クルルのおじさん 料理を楽しむ

沖縄=ゴーヤチャンプルー

前回に続き『英国一家、日本を食べる』を再読して面白かったクダリの紹介です。以前、読んだ時にはそれ程記憶に残らなかったのに、今回、読み直してみると結構、面白いと思ってしまいました。僕が如何にいい加減に本を読んでいるのか分かってしまって恥ずかしく思いますが・・。

 

 沖縄は、かつて、長寿県ナンバーワンでありました。最近では肥満の増加と共に、成人病疾患が増加しているようです。一番の理由は、かつての沖縄伝統料理(=健康に最適な料理)中心の生活が大きく変わり、アメリカ風食生活に転換してしまったことと指摘されています。ゴーヤチャンプルーは、日本の各地では沖縄の健康食としてすっかり有名になってしまったのに、肝心の地元では相対的に沖縄料理を食べなくなっているのでしょうね。

 

英国一家のマイケル・ブースさん。沖縄も訪問しています。日本滞在100日間の間によくぞこれだけ精力的に全国を駆け巡ったものだと感心します。沖縄についての著者マイケルの関心は、沖縄が不老長寿の島・健康な島・長生き出来る秘密がある場所と聞き及んでいるところから来ています。

前回、記載した通り英国一家が来日したのは、2007年8月末。彼は、35歳(のはずです⇒註)。この年齢で彼は「日に何度か死について考える。自分の死という惨たらしい現実と格闘して」生きていたそうです。「短くても充実した人生なんてお断りだ。70歳どころか、100歳過ぎまで生き延びたい。」という強い願望を持っている。沖縄についての章のタイトルも「不死身でいたい?---沖縄」となっています。

沖縄に対する思い入れは大変なモノがあったようで「沖縄の人たちは、永遠の命の秘訣をしっているーーそれはオーバーだとしても、少なくとも、年齢が3桁になるまで健康で活動的に生きられる秘訣は知っている」と思い込んでいます。「沖縄の人たちは何世紀も前から、もしかしたら何千年も前から、健康的な暮らしをしてきたと言われている。紀元前3世紀に沖縄と貿易を始めていた中国では、沖縄のことを『不死の人の国』と呼んでいた」とか。

 

沖縄の人の長寿に関する研究の第一人者である博士(沖縄在住のカナダ人です)を博士の自宅に訪ねて面談しています。

博士がマイケルに長寿の秘密を解説しますが、この時にどういう訳かゴーヤーチャンプルーを食べながら話をしています。暗示的なシーンです。「沖縄の人は、塩分をあまり摂りません。・・・平均で週に3回は魚を食べます。全粒の穀物、野菜、大豆食品もたっぷりと摂ります。そして、豆腐や昆布は、世界の誰よりも多く食べています。タウリンを豊富に含むイカやタコもたくさん食べています」と。まるで健康のための教科書そのものの食生活の様子が紹介されています。沖縄のサツマイモ=紅芋の評価もすこぶる高い。そして、この博士の認識として面白いのが「口に入れないモノも重要である」と。つまり「食べ過ぎないことが長生きの鍵になる」。

マイケルも食べ過ぎない習慣が大切であることをよく理解しています。「台風、病気、貧困、地理的な孤立によって、沖縄の人たちはたび重なる飢饉に耐えてきた。食べる量を少なくすることは、沖縄の人々の精神はもちろん、おそらく遺伝子にも、深く刻まれている」、「そういう(食生活)の哲学を表す『腹八分』という言葉まであるくらいだ」と。筆者マイケル自身は、食べること大好き人間ですが、この「腹八分」という自制心については100%共鳴しているようで、「人類の進化の過程で、大勢の人間が食物を過剰に摂取するようになったのは、せいぜい20世紀になってからのことで、僕らの肉体はもっとずっと少ない量の食事にまだ順応出来る」、「日頃から『腹八分』を実行するくらいのちょっとした自制心は誰だって持ち合わせているはずだと僕は思う」と極めて真っ当な見解を述べています。

 

筆者の沖縄に対する思い込みは訪日前の調査によるものかと思われますが、その資料がやや古い年代のものであったのかもしれません。博士との面談の際も「沖縄の人が長寿である時代は終わりを告げそうだ」と指摘されています。筆者自身も「アメリカのファーストフードに馴染み・・・肉類だって、親の世代の倍ほど食べている。かつて痩せていた沖縄の人は、この数十年で、日本で一番BMIが高い集団になってしまった」と嘆いています。

 

 博士の研究では、沖縄の高齢者が健康なのは4つの要因、すなわち、食事、運動、心を満たす信仰があること、友情や社会支援システムなどの社会心理的な要素、これらがバランスが良く取れていることが高齢者が活動的に、自立して暮らし、社会に貢献していることの背景にあるとのことです。

 

 (註)マイケル君が当時35歳と推測するのは、この章の最初に「ウインブルドンでボルグがマッケンローに負けた、確か9歳の時と記憶する」との記述があるからです。ボルグが6連覇を逃したのが1981年。その時9歳=1972年生れ。この来日が2007年ですから35歳と。男性の著者の場合、生年月日を記載する方が多いですが彼の本には記載がありませんでした。これも彼独特のシャレの世界ですかね。

 

 

かつての県別の平均寿命の推移を調べてみましたら、1980年、1985年の調査結果では、男女ともに沖縄が全国no.1。その後、男は1990年代に4-5位に、2000年代に入ると更に急落して25-29位に、2010年には30位。一方女子は、1975年調査再開から2005年までNO.1を維持。2010年は3位になっている由。人口10万人あたりの100歳以上の高齢者数でも、沖縄は2009年まではno.1であったものの、その後低下し2017年度では全国10位となっているらしいです。データの出所は不案内です。

 

本年7月20日付けの日経新聞の記事では、「1990年から2015年までの25年間で、日本の平均寿命は4.2歳延びた。県別に見ると、平均寿命が最も長い県と短い県の差が最大3.1歳に広がっている」と。東京大学の研究発表です。これによると2015年の沖縄の平均寿命は81.9歳で全国46位、健康寿命も72.9歳で同46位となっています。これは厚生省などのデータを使って分析したものと記載がありました。データの整合性は不案内のままですが、沖縄=長寿県というのは完全に昔話になってしまったということですかねえ。

 

 

沖縄には仕事の関係で年に何回も訪問しています。あまり余裕のある出張ではありません。この11月には家族で旅行する予定をしております。おばあちゃん=僕のかみさんのお母様と一緒に行きます。少しはのんびり出来るかと、そして、ひょっとするとかつての長寿の秘訣に接することが出来るかもと考えるようになりました。またその時には沖縄訪問記を書いてみたいと思っています。

 

ゴーヤチャンプルー。実は僕の得意の料理の一つなのです。料理して写真を載せようかと思ったのですが、残念、時季を逸しました。11月に訪問時に本場のゴーヤチャンプルーを楽しめれば嬉しいです。

チャンプルーというのは沖縄の方言で、混ぜこぜ・ごちゃまぜの意味とか。いろいろな食材と豆腐とを炒めた料理。あくまでも豆腐がベースと教わりました。ゴーヤチャンプルーと言えば、ゴーヤをメインにしたチャンプルー。沖縄の固い豆腐=島豆腐がよく合います。レシピとして豆腐はmustと信じておりましたが、mustでは無く、ソーミンチャンプルー等、豆腐を加えなくともチャンプルーと呼ばれるモノもあると最近指摘をうけました。

また、チャンプルーは「ちゃんぽん」(長崎ちゃんぽんのちゃんぽん)の沖縄方言読みとの説もあるそうですが、僕は順序が逆ではないかと思っています。一方では、ネシア・マレー語のcampur(チャンプル=混ぜる、混ぜたモノの意とか)に由来しているとの説もあるそうですが、こちらの方が筋が通りそうだと感じます。

 

ゴーヤが無いからという訳ではありませんが、最近「黄身乗せナットドーフ(納豆豆腐)」 に凝ってます。かつて神田の居酒屋で酒のつまみによく食べました。今、考えてみても健康的ツマミno.1と思います。美味しく出来つつあるのですが写真を撮ると写り映えがしない(と言うよりも気持ち悪い)ので、また、改めて表現方法を工夫します。

天高く馬肥える秋を向かえて、「腹八分」よりも更に進んで「飢餓感を感じる健康法」、はたまた、今や死語になった「ひもじさに耐える健康法」が必要な年代になりつつあるのかと感じ始めている今日この頃です。

 

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 2017年10月1日撮影。碧南の工場、正門へのアプローチ。「クルル」マークを花壇に表現。今日は会社の社友会(OB/現役の家族懇親会)。会社・工場を見てもらってから、安城のデンパークでバーべキュー。腹 120%になります。自制心は何処にか。ヒモジイは日本では完全な死語になってしまったか。

 

同、碧南の工場で栽培しているサトウキビ畑。12月には収穫祭をやります。地元の子供たちにも参加してもらって。採れたてのキビ・ジュースが絶品です。

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大相撲=ちゃんこ料理

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たまには、お酒でなくてコーヒーで寛いでます。瀬戸で買ったお気に入りのコーヒーカップ。おばあちゃんのパッチワークをコースターにして。2017年9月吉日、撮影。

 

大相撲の秋場所が終了しました。千秋楽に何んとか横綱日馬富士が踏ん張って、本割で追いつき決定戦で勝利しての見事な大逆転優勝でした。横綱の面目を保てて何よりです。でも場所前に一人横綱になってしまった日馬富士、前半戦はボロボロの状態で観ていて情けないような状態でした。情けないを通り越して、可哀そうにと同情されていたように感じます。プロ、それも横綱が同情されるようではいけません。一方、これも一人大関豪栄道は、後半までのリードを維持できず、残念ながら優勝叶わずでした。でも、こちらの方は嫌味な言い方になりますが、先場所休場してカド番で迎えた場所ですから、3横綱2大関が休場というのは随分とラッキーだったかと。お相撲の新聞記事は、概して、好意的な書き方が多いかと思います。国技だからですかね。皮肉なコメント、批判的な見方は記事にされないのかも知れません。

今場所は、3横綱2大関以外で人気者の宇良も負傷欠場でした。一部の辛口コメントでは秋場所ならぬ”秋風場所”と揶揄されていましたが、入場者数はいかがものであったのか気になるところです。月曜日の新聞の最終の星取表を見ていましたら、休場していたのに、途中から出場した力士が二人いらっしゃいました。碧山と佐田の海。幕内上位力士が大量に休場するなかで、なんとか場所を盛り上げる、カッコつける必要があるから、駆り出されたのではないかと心配になります。協会とか親方から「お前、休んでる場合とちがうやろ。とにかく、土俵を上がれ!」てなプレッシャーがかかったか??。二人とも復帰後も黒星のほうが多い結果でしたから、それこそ可哀そうな気がします。中途半端に出場して元々のケガが更に悪化することがなければよいのですが。

力士のケガが増えている訳ですが、解説を聞いていると、やはり、力士が大型化していることが最大の原因のようです。重量級、超重量級の力士が増加しているので、本人もそして対戦相手も体重を支える腰、膝、足、足首に大変な負担がかかっている、そして、年間の場所数が昔に比べて増加しているからケガをしても完治する以前に無理をしてでも出場しなければならない、等々、イロイロな指摘がされてます。プロの世界では完全休養することはなかなか難しいことなのでしょう。

カド番大関であった照ノ富士は今場所、途中休場となり大関陥落が決まりました。ケガをする前は、まさに日の出の勢い。相手を睨みつける表情に凄みがありました。ファンです。横綱になるのは間違いない、時間の問題と誰しもが思った時にケガをしました。それ以降は素人の僕がが観ていても、膝・足腰の状態がかなり悪そうなのが分かるくらい。身体のハリも失われつつあるように思います。プッツンして廃業にならなければよいがと心配しています。

 

かなり前に読んだ本で、外人が日本を食べ歩きした話を綴ったものがあり、その中に相撲部屋を訪問取材した際の記載があったなあと思い出し探してみました。

 

英国一家、日本を食べる」、マイケル・ブースさん著、寺西のぶ子さん訳、亜紀書房。2013年4月第一刷、2014年5月第14刷。イギリス人のジャーナリストが日本の食と食生活に興味を持ち、なんと一家全員(奥さん、二人の坊やと一緒に)で100日間、日本の各地を食べ回った時のお話です。プロのジャーナリストですが、訳あって家族同伴の取材旅行をすることになりました。奥さんはもちろん幼い坊や二人を同行しての家族での取材旅行です。

 

再読したら、間違いなく相撲部屋を取材したクダリがありました。この取材旅行は、著者が自身の独特の感性から日本の食と食文化に興味を持ったことがキッカケになっていますから、相撲部屋訪問の目的は当然ちゃんこ料理なのですが、家族ご一緒ということで随所に面白い場面が出てきます。イギリス人というのも結構面白い人種なのだなあと感心させられます。

家族四人ともに日本に初来日です。来日して三日目に相撲部屋の見学に。把瑠都が所属している尾上部屋です。何年の来日なのかは記載が無いように思いましたが、把瑠都のことを「23歳のエストニア出身」と書いてあったので、調べて計算すると2007年と分かりました。また、彼らはこの年の9月場所=秋場所を観戦しています。他の記述でも年月を特定できる記載があったので、2007年8月末の来日というのが今回初めて分かって気分がスッキリしました。たまたま偶然、ちょうど10年前の秋場所のころの旅行記です。

初めて力士のぶつかり稽古を見た奥さんが泥んこになっている力士を見て「不思議だけどすごいキレイだわ」とコメントしたり、茶目っ気のある把瑠都クンが長男クンを土俵に上がらせて真剣勝負、見事、長男クンが把瑠都を押し倒して圧勝したり。旦那さんは、自身の記述から推測するとかなり太目の体形で、甘いもの大好き、美味しい食べ物に目が無いタイプ。来日して以降(まだ三日目ですが)街で自分より大きな太った日本人を見かけたことが無い、それなのにスモーレスラーの体形はどうしてなんだろう。力士はきっと甘いモノ、カロリーの高い美味しいモノをたらふく食べて寝ているからに違いない。それこそ自分が理想とする生活だ。その秘密が相撲部屋の「ちゃんこ料理」だと。大変にマニアックな観点から食べ物に対する関心をもっているジャーナリストであります。

 

ところが、ちゃんこ鍋の中身、具材を見てビックリ。健康に良さそうなモノばかり。この時の尾上親方の説明が素晴らしいものでした。「ただ太るのではなく、けがをしない筋肉を作り上げなきゃなりません」。そして「相撲取りは伝統的に四つ足の動物を食べない。なぜなら、彼らにとって、四つ足になるということは負けを意味するからだ。」これが歴史と伝統の良いことろだと思うのですが、残念ながら「でも、相撲取りの食事は変わってきました」とのことです。 

この取材は2007年のことですから、それから既に10年。海外からの力士は、この10年で更に増加しています。ひょっとすると相撲部屋の食生活も随分と変化しているのではなかろうか。ケガが増えているのは、食生活の変化も関係しているのではなかろうかと門外漢ながら心配しております。

 

把瑠都クンはその後、大関まで順調に昇進しました。将来を嘱望されながらも、結局ケガが原因で廃業したそうです。”ケガをしない体を作る料理”をモットウに力士を育成していた親方の部屋でも、部屋の筆頭力士をケガで失ったわけですから、料理、食事だけではケガを無くすることは難しいのでしょうねえ。照ノ富士がますます心配になります。

 

ちゃんこ料理。大阪の実家の近くの駅前にも有名なお店がありました。おばあちゃんも大好きで、近所のお友達にも参加してもらって、忘年会か新年会をしたこともあったかしら。味は、チョット濃い過ぎていまイチであったように思い出します。

東京の亀戸でむかーし食べたちゃんこ鍋は美味しかったなあ。ちゃんこ料理には、イロイロな種類のものがあるそうで、尾上部屋では10種類くらいのものがあり、みんなが当番で作るので、それぞれ得意なのがあるとのことです。あの亀戸のは「ソップ炊き」だったと思うのですが。お魚(鰺でしょう)のツミレがなんとも旨い味でありました。まだお店があれば、もう一度、お邪魔して食べてみたいなあと改めて思いました。

ソップ炊きはご存知の通り、鶏ガラスープで美味しい味を出しているちゃんこ鍋ですが、その鶏ガラからソップ型力士=筋肉質・痩せ型力士と言う呼び方があったそうです。初代の貴乃花さんが典型です。今では、死語になってますかねえ。

  

番付表を見ていると関取の名前も、随分と難しい変わった名前が増えてきているように思います。昔は、栃錦若乃花柏戸大鵬北の富士北の湖貴乃花、等々字体を見てもキレイな言葉が多かったように感じます。「の」、「ノ」、「乃」の使い方も面白いですね。今場所の番付け表では、稀勢の里、千代の国、佐田の海隠岐の海、朝乃山。日本人力士は、「の」か「乃」。モンゴル勢中心の外人力士は、照ノ富士、栃ノ心、逸ノ城、貴ノ岩。全て「ノ」。ちなみに、豪栄道の「栄」は出身高校である埼玉栄高校の「栄」であると教えてもらいました。

 

次の場所には、今場所休場した力士さん達が全員元気な姿で登場してくれますように。ケガをしない体つくりに励んでくださいませ。

  

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2017年9月25日、日経。大相撲秋場所、最終成績。昔むかし、甲子園でも有名な東海大相模高校の”大相模”のところだけを見て、ついつい、”大相撲”と間違えた人がいました。それ以降シャレ半分で”トウカイ・オオズモウ”と呼ばれています。

 

みをつくし料理帖、その2.

全10巻、読破してしまいました。最後の三巻は、エンターテインメント小説の粋を尽くした出来上がり。スリルとサスペンス、謎解きの面白さ、主人公の恋の行方は・・・。毎回出てくる料理のお話も最後まで面白かったです。

 

時代背景は、文化から文政に移る時。最後の場面が、ちょうど、文政に年号が改められた時代に設定されています。昭和25年生れのおじさんの目からは、昭和30年代に大人気であった人情物のチャンバラ映画を観ているような。チャンバラ・シーンはありませんが、懐かしい匂いがします。

 

『食は人の天なり』・・・「口から摂るものだけが、ひとの身体を作ります。つまり、料理はひとの命を支える最も大切なものです。だからこそ、贅を尽くした特別なものではなく、食べるひとの心と身体を日々健やかに保ち得る料理を作り続けていきたい。」澪さんの心意気です。

 

この小説には、漢字が沢山使われていて丁寧に読み仮名を振ってあります。振り仮名が無ければ読み難いので大変に助かります。そして、漢字で表現されているという趣が、この小説の流れに凄く味を深めているように思います。編集には手間が掛かって、また、印刷のコストは高くなるのでしょうが、これも作者の拘りだと感心します。

 

以下、頭の体操です。読めますか?。台所・料理の道具などは、もはや、死語になっているのもありそうな。昭和20年代のおじさんの郷愁ですかね。僕らが小さい時には、日常、身の回りでゴロゴロしていたモノばかりと思うのですが・・・。(読みは、最後の写真の後に記載してあります。)

 

①料理、食材

牡蠣、味醂、生姜、時雨蛤、蜆の佃煮、山葵、山椒、花鰹、心太、瓢箪、干瓢、豌豆、牛蒡、蒟蒻、蒲鉾・・・15点満点です。

 

②料理道具、その他

箸、酒の肴、行李、女将さん、夕餉、爪楊枝、暖簾、勿体ない、炙る、擂り鉢、蕎麦屋、盥、衝立、俎板、竈、襷、手拭い、柄杓、砥石、御櫃・・・20点満点です。

  

牛蒡、蒟蒻、蒲鉾、というのは思い出が深い漢字です。亡くなったおばあちゃん(僕の母親のことです)が一度目に倒れたあと、リハビリの時に、字を書けるように無理やり手を動かす訓練をしていたのですが、頑張り屋さんのおばあちゃんは「ついでに頭の体操や!」と忘れないように、わざわざ、難しい漢字を書く練習をしていました。お見舞いに行った時に、突然、「牛蒡」「蒟蒻」「蒲鉾」と書かれた時には、正直大変に驚きました。”おばあちゃん、あんた、ひょっとしたら天才やったのか!?”。最初の二つは、書くどころか読むのも定かでなく冷や汗をかきました。

 

立春大吉」、おめでたい言葉も思い出しました。「この文字は縦半分に折れば、左右がぴたりと重なるから縁起が良い。また、裏からみても同じく「立春大吉」と読めるから厄除けになる。」とのことです。

 

 小説がドラマ化、映画化されることは結構あると思います。残念ながら、どちらも上出来というのは滅多にお目にかかれるものではないように思います。一方で、小説を読んでいて主人公のイメージが湧いてくる俳優さんが頭に浮かぶとこれは面白い。僕は最近の俳優さんの名前を余り多く知りませんが、今回の黒木さんがそうでしたが、たまたま、もう一作品、パッと主人公が浮かんだ小説があります。和田竜さん作の「村上海賊の娘」。読んだ瞬間に、これがもし映画化されるとしたら、主人公は、”杏ちゃん”しかいないと思いました。ひょっとしたら、作者は杏ちゃんをイメージしながら、主人公を創り上げたのではないかと思うくらいです。最も、この小説の活劇シーンを映像化するのはコスト的に大変に経費がかかりそうで映画化は難しいだろうなあと心配になりますが・・・。やるのであれば”杏ちゃん”が若くて体力のあるうちに是非、実現して欲しいものです。ちなみに、この小説は「有次」の本を読んだ時に面白そうに思って読んでみたのですが、庖丁、刀、鍛冶の話はそれ程出てきませんでした。ちょっと残念でした。

 

NHKの「みをつくし料理帖」は全8回で終了。話の途中で中断されています。小説の最終巻までやっていないはず。人気があれば、次のシリーズという意図なのかしら。是非、テレビでも完結まで製作して欲しいですね。

  

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 澪ちゃんの料理に影響されて?。「稲荷納豆」と命名。宮崎の芋焼酎「川越」をロックで、それに平兵衛酢を絞って。稲荷納豆は平兵衛酢ポン酢で。ドミニックさん流のゆったり一人メシのイメージです。2017年9月17日撮影。・・・八個全部食べた訳ではありませんから、念のため。

 

①かき、みりん、しょうが、しぐれハマグリ、シジミのつくだに、わさび、さんしょう、はながつお、ところてん、ひょうたん、かんぴょう、エンドウ、ごぼう、こんにゃく、かまぼこ

 

②はし、さけのさかな、こうり、おかみさん、ゆうげ、つまようじ、のれん、もったいない、あぶる、すりばち、そばや、たらい、ついたて、まないた、かまど、たすき、てぬぐい、ひしゃく、といし、おひつ

 

 

みをつくし料理帖

みをつくし料理帖」、NHKで連続ドラマ化され今年の5月から放映されました。黒木華さん主演、土曜時代ドラマ。全8回。NHKの前宣伝で主演女優の黒木さんを見た時、「ピンポン、そうそう、この小説の主演はこの女優しかいないと思っていたのよ。同感、納得。やっぱり、やっぱり」。

2011年頃に、このを読んでいました。作者は高田郁さん。全10巻。第一巻は、第一刷が2009年5月、僕が買ったのが、第27刷・2010年6月。第7巻辺りまでは一気に読んでいたのですが、その後、中断状態でした。 

本を中断している時に、NHKの朝ドラで、この主演女優=黒木さんがわき役(とは言っても、その朝ドラの主人公の妹役でけっこう重要な役で人気があったはず)で登場しているドラマがありました。僕はその時に始めて黒木さんを観たと思うのですが、その時の印象で、そのうちにこの本=「みをつくし料理帖」がドラマ化されるときには、この子は主演候補だなあ、と感じたことを覚えています。

 

この本は、文庫の書き下ろし作品。角川春樹事務所「ハルキ文庫」。最近、残りの2冊を買いました。いま読んでいるところです。何故、中断したのか?自分でも何故かなあと思っていた時に、件のドラゴン先生との会話のなかで、なんとドラゴン先生も途中まで読んだが中断している、最後まで読んでいない、ということが分かったのです。ドラゴン先生は、5月からのNHKのドラマも録画して観ているとのことでした。御寮さん役が良いねえと。小説の方は、お互い同じところで中断していたので、”主人公の恋心は、太夫の運命は、御寮さんの息子はこれからどうなるのか?!”と真剣に語り合いました。御寮さん=大阪での発音は「ごりょんさん」、語感が良いですねえ。

 

全部で10巻あります。以下、中断したのは何故か?についての考察と推理です。

1.「八朔の雪」第一刷・2009年5月、僕が買ったのは第27刷・2010年6月です。

2.「花散らしの雨」同・2009年10月、同じく僕が買ったのが第25刷・2011年8月。

3.「想い雲」同・2010年3月、同第12刷・2010年9月。

4.「今朝の春」同・2010年9月、同第6刷・2010年12月。

5.「小夜しぐれ」同・2011年3月、同左。

6.「心星ひとつ」同・2011年8月、同左。

7.「夏天の虹」同・2012年3月、同左。

8.「残月」同・2013年6月、同左。

9.「美雪晴れ」同・2014年2月、僕が買ったのは第11刷・2017年6月。

10.「天の梯」同・2014年8月、同第10刷2017年6月。

全て、文庫本の書き下ろし作品。それぞれの第一刷の年月を見ると分かりますが、第1部から第7 部までは毎年、春・秋の2回出版されています。それが第7部から次の第8部の間が1年以上空いている。作者さんが完結に向けての構想を練るのに時間がかかったのか、体調を崩されたのか寡聞にして存じておりません。前述の通り、僕は第7部までは、次から次へと継続して読んだのですが、第8部で止まっていました。多分、ドラゴン先生も同様。二人そろってというのには何か訳があるはずだ?その時は、よく分からなったのですが、年代順に並べてみてその理由が分かった様に思いました。

 

推理してみますと、僕が読み始めたのは、2011年の7-8月ごろなのでしょう。面白かったので、即、第2部を買った=これが2.の第25刷=2011年8月なので大体の時期が特定できます。その後もドンドン読み続け・・・読みやすい本で、時を忘れるほど面白いですから・・・あっという間に第6部まで読んでしまった。第6部の第一刷は2011年8月ですから、僕が読み始めた頃には既に出版されていた訳ですね。それからが問題。次に行くのに待った!が掛かった。作者の執筆のスピードを追い越してしまったから。約半年お預けを食らい、第7部は発行されてすぐに読んだ(と思います)。その後、前述の通り、作者のブランクで一年以上間が空くことに。第8部が出された時に、すぐに買ったものの、さすがに興味・関心が薄れており、ツンドク状態になったのであろう。読書家?二人(少なくともお一人は大変な読書家ですから)が中断した謎が解けたように思い気持ちがスッキリとしました。

  

時代モノの通俗小説は、あまり読んでないかも知れません。池波の正ちゃんモノくらいかしら。この本は、やはり”料理”がテーマの一つであったから、ついつい買ってしまったのですが、テンポ・展開が早い。あっという間に作者のペースにハマっています。ストーリーもののプロの作品だと感心します。俳句でいうところの付き過ぎ感はある。出来過ぎ、合い過ぎ、とは思うものの読んでいて涙が出てくる場面が沢山ありました。プロの筆力ですねえ。

 

主人公のお名前が”澪”さん。「澪標」=みおつくし、の”澪”ですが、「身を尽くす」が掛けられてます。「食は、人の天なり」と言う名文句も登場します。美味しいモノを喜んで食べて頂く。この主人公は料理人=お仕事ですから、生活が懸かっている。プロとして「ごちそう様を」聞きたい。この主人公の矜持が「食は、人の天なり」と言う言葉に凝縮されています。

 

毎回、料理・献立が出て来て、それが話の進行にも一役も二役も買っています。料理が重要な役割を果たしています。巻末には、そのレシピも記載されています。テレビは2回ほどしか見ませんでしたが、番組の最後に、「きょうの料理」にも出ている若手のハンサムな料理研究家が登場してその料理を解説、主人公の黒木さんがドラマ役のままの恰好で料理していました。この役作りのために練習されたのか、もともとお料理大好きなのか、庖丁捌きも自然体で感心しました。

 

話がそれますが・・・・、ウイスキーのコマーシャルで有名な人気のある女優の方、こんな女将さんがやっている小料理屋、カウンター・バーならば是非に足を運びたいと思わせる、世の男性、それも、単身赴任・おひとりさまには多数のフアンがいらっしゃると思います。この方が主役の料理の取材番組をたまたま見ました。そのなかで、ご本人が料理される場面がありました。庖丁捌きも手慣れたもの。さすが!、と思ったのですが、指先が透明ながらもヒカリ輝いている。マネキュアをしたキレイな指先でありました。プロデューサーの設定が悪かったのか、ご本人が料理をする番組でマネキュア付けたままというのは、残念、これで少なくともフアンを一人無くしたかも知れません。結構、繊細なおじさん心です。

 

江戸時代にはマネキュアが無くて何よりでした。我らが”澪坊”は、親しみの持てる手と指であったと思います。

その2.に続く。

 

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これが日向の「”平兵衛酢”=へべす」です。送ってもらいました。澪坊にあげたら、どんな料理に使うのかしら。2017年9月17日、撮影。

足掛け三年

このブログを開始してから、足掛け3年になりました!。

これが「足掛け」の正しい使い方かどうかやや不安なのですが、「足掛け」というのは面白い言葉で、「年・月・日などを計算する場合、始めと終わりの端数を一として計算する時に使う語」(大辞林)と説明されています。

例えば、2000年12月に始まって2002年1月で終了したなら、2000年、2001年、2002年をそれぞれ一年と数えますから、足掛け三年と言います。これは間違いなく正しい使い方。敬愛する先輩の一人に、昔、本当にこのようなタイミングでニューヨーク駐在をされた方がおられました。優秀な方なので、はやく日本の本社に戻せ、ということで一年チョットの駐在で帰国された訳ですが、ご本人(関西ご出身でシャレもツッコミも得意な方)は、「一年チョットで戻ったというのはカッコ悪いわ。俺は、足掛け三年のニューヨーク駐在を経験してきたんや」とおっしゃってました。言葉的には正確な表現だと今でも感心しております。

 

僕の場合、ブログの第一回が2016年9月2日で、今日が2017年9月7日ですから、一年チョット継続出来た!ということだけなのですが、これを年齢ベースで表現すると「このブログを開始してから、早いモノで、足掛け三年になります」となる訳です。僕の誕生日は、1950年9月3日。65歳の最後の日に開始して、最近67歳になった訳ですから、年齢ベース65歳、66歳、67歳の足掛け三年です。決して間違った使い方ではないことを祈りたい。

 

この記事がちょうど50回目になります。開始してしばらくしたら、”いいね!”マークを頂きました。一か月ほどしたら、書き込みも頂戴しました。初めての書き込みを頂いた時には大変に感激してしまいました。『先輩』10/22、に記載した通りです。反応を頂けるというのは、本当に励みになります。cha師匠、感謝です。riicccsさん、いつも本当にありがとう。また、継続出来ているのはハードが機能してくれているからです。パソコンが動かない、接続が出来ない、写真の掲載が出来ない等々、僕は機械オンチのようですから全くお手上げになります。エキプロ(『京都五山送り火』の写真を参照ください)にはお世話になりっぱなしです。この場を借りまして今日までこのブログを内外で支えて頂いている皆様方に心よりの御礼、それから、引き続き、適宜・適切な反応を下さいます様にお願いを申し上げる次第です。

 

週に一回更新を出来れば上出来と思っていましたが、やはり、チトしんどい。出張も旅行もあって単身マンションを離れることが結構あります。パソコンを持参して出かけることもたまにはやるのですが物理的に重いのに閉口します。イロイロな意味で、継続することの難しさを痛感するところです。一年=約53週間のなかでの50回ですから、まあまあの回数かなあ。とにかく、楽しんでやることを忘れないようにと。ブログを継続するのにストレス感じるようになったら、それこそアホみたい、ですからね。

 

過去2-3回で、「とりあえずの集大成」を書けたのはよかったと思っています。自分なりの一つの区切りです。最初にこのブログをやる時の所信表明は青臭くて肩に力が入っていたなとかなり恥ずかしいものがありますが、自分なりにはあまりブレることもなく”単身の生活をしているおじさん”の立ち位置からイロイロと勉強になったと感じています。そう言えば「おひとりさま』と言う言葉に出会ったのも、このブログのお陰、より関心を持っていたからかも知れません。

 

仕事のことを考えると単身生活はいつまでも続くものではありません。この一両年くらいの期間には留守宅ベースの生活に戻る可能性の方が高いと思います。『同期会』(2016年11月3日)で書きました通り、カミさんとの間合いもよく考えながら、今からの生活のパターンを”創って”みたいと思っています。日野原先生、あっちから見ててねえ。今年も10月後半に、この同期会の開催が決まってますから、その後の、皆さんの生活ぶりを参考にさせて頂こうと楽しみにしています。

 

今年の僕の誕生日は家族全員集合して食事会が出来ました。長男夫婦、長女夫婦と孫(1歳)、次女夫婦と孫(3歳)、焼き肉を食べて盛り上がりました。それぞれからプレゼントを頂戴しました。嬉しいものですね。食事は、やはり、家族、友人、誰とでも楽しくワイワイ、ギャーギャー言いながら食べるのが良いですね。お昼ということもあり、飲み過ぎることも無くお酒を味わうことが出来ました(ちょっと、飲み足りなかったかな)。

・・・一人の時は”健康のために食べる”というのは本当に正解なのかなあ、と自問自答しております。一人の時も出来るだけ楽しんで食べたいと思いますが、そうすると、ついつい食べ過ぎ(飲み過ぎ)になってしまうのでしょうねえ。やはり、ドミニック・ローホーさんは奥が深いのか。

 

『ごちそうさまが聞きたくてvs単身おじさんの朝ご飯』(2016年10月5日)の通り、今までは、単身おじさんの料理・食事でしたが、今からは「ごちそうさまが聞きたくて」も頭に入れながらの修行をした方が面白いのかなあ、と考え始めているクルルのおじさんです。

 

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 みんなからのプレゼント。その1.お箸:葛飾区生まれの吉成金房さん作。箸先が繊細、全ての工程をお一人で作られている。その2.箸置きとお皿(平皿):石巻市雄勝町名産の雄勝玄昌石から作られるテーブルウエア。

ドミニック方式で総菜をお皿とお盆に載せて、単身おじさんの一人メシ。360円のお刺身も立派に見える(見える訳ないか)。

  

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みんなからのプレゼント、その3.お酢シリーズ第二弾。今回はバルサミコ酢を頂戴しました。

Aceto Balasamico, Terra Del Tuono.

封を切るのを躊躇ってしまうような。楽しくソテーかマリネしようっと。

 

今までに紹介した本です。参考までに。僕の備忘録です。

●「シンプルに暮らす」ドミニック・ローホー著、笹根由恵訳、中経出版、2011年4月第一刷。副題は、”心から喜びを感じる食べ方、飲み方、人生の過ごし方”。

・・・体質改善=とりあえずの集大成:食べ物編・その2.(2017/8/27)

●「平静の心」・・・オスラー博士講演集。新訂増補版。日野原重明・仁木久恵 訳。医学書院。1983年9月に第一版第一刷が発行、2014年8月に新訂増補版第7刷。

・・・日野原先生のこと (2017/7/31)

●「世界に広がる 日本の酢の文化」。奥村彪生監修、岩崎信也著、ミツカングループ企画。2003年1月初版。

●「鮨 そのほか」新潮文庫阿川弘之平成27年9月発行。

・・・お酢の話、その2.(2017/7/17)

●「有次と庖丁」。江弘毅著。新潮社。2014年3月初版。

・・・庖丁(2017/6/11)

● 「食べる力」---口腔医療革命---塩田芳享著。文春文庫、2017年1月20日第一刷発行

・・・『食べる力』(2017/4/7)

●「俳句と暮らす」、小川軽舟著、中央新書。2016年12月25日発行。

・・・台所俳句(2017/3/29)

●「命の響き」左手のピアニスト、生きる勇気をくれる23の言葉。舘野泉著、集英社

・・・「3・11」(2017/3/19)

●「ごみと日本人=衛生・倹約・リサイクルからみる近代史」、稲村光郎著、ミネルヴァ書房、2015年6月第一刷発行。

・・・『ごみと日本人』(2017/3/7)

●「おいしく食べて元気に老いる」吉沢久子、高見澤たか子、大和書房、2001年9月第一刷。

●「インド・カレー伝」、リジー・コリンガム著。河出書房、2016年3月初版発行。

 ・・・両方ともに「カレーライス」(2017/3/2)。

●「純米酒を極める」、上原浩著、光文社・知恵の森文庫。2002年12月刊行を文庫化、2011年1月初版。

●「純米酒・匠の技と伝統」、同、角川ソフィア文庫。2002年ダイアモンド社刊行を改題。2015年3月初版。

・・・日本酒(2017/2/20)

●「あなたの体は9割が細菌-----微生物の生態系が崩れはじめた-----」アランナ・コリン著、河出書房出版、

・・・ 共生微生物(2017/1/23) 

●「賞味期限のウソーー食品ロスはなぜ生まれるのか」井出留美著、幻冬舎新書

・・・食品ロス(2016/12/14)

●「犬と鬼・・・知られざる日本の肖像」、アレックス・カー、講談社、2002年4月第一刷。

・・・COOL JAPAN(2016/11/20)

●「キッチンの歴史、料理道具が変えた人類の食文化」、B・ウイルソン著、河出書房、2014年1月初版。

・・・ひと手間(2016/11/13)

●「ザ・フェミニズム」、上野千鶴子小倉千加子

●「女ぎらい・ニッポンのミソジニー」、上野千鶴子

・・・同期会(2016/11/3)

●「男おひとりさま道」、上野千鶴子

・・・男おひとりさま(2016/10/12)

●「ごちそうさまが聞きたくて」

●「もう一度、ごちそうさまが聞きたくて」、栗原はるみ

・・・ごちそうさまが聞きたくてvs単身おじさんの朝ごはん(2016/10/5) 

●「おいしさの人類史」、ジョン・マッケイド、

・・・続・料理って(2016/9/29)

●「ああ言えばこう食う」、他二冊、阿川佐和子檀ふみ

・・・図書館 (2016/9/19)

●「辰巳芳子の展開料理」、辰巳芳子、ソニーマガジンズ、2009年10月初版第一刷

●「スラムダンク」、全24巻、

・・・私の本棚(2016/9/18)

●「今日の料理」、2007年4月号

・・・「今日の料理」、2007年4月号 (2016/9/8)。今から考えてもこの本が全ての始まりですかねえ。

●「料理の四面体」、玉村富男、

●「人間は料理をする」、上・下、マイケル・ポーラン

・・・料理って? (2016/9/2) 

 

結構イロイロな本が登場しておりました。並べてみると面白いものですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

体質改善=とりあえずの集大成:食べ物編・その2.

 食べ物編(その1)の最後に記載しました通り、僕は真正面から ”これを食べると体質改善に効果あり!血圧によい様々な成分を持つ食材を食べる”ことを心掛けようとしています。

 いよいよメインデッシュ、主食の紹介です。そもそも料理と食事の話ですから、何を食べるか、どう食べるか、また、どういう順序で食べるか、がポイント=主要テーマになるのですが、僕の場合、どれだけ食べるか、どれだけ飲むか(もちろん、アルコールのことです)が、より重要なポイントだと大反省しております。

「食べ物編(その1)」を書いた後、すぐに、この「その2.」を書いていたのですが、使っているパソコン君が急に夏バテ?を起こし、はたまた、機嫌を損ねてしまい?、しばらくの間、使うことが出来なくなりました。その間『京都五山送り火』で記載した通り大反省することがあり、今まで以上に落ち込んでおりました。世の中、上手く出来ているもので、こういう時、自分なりにもがき苦しんでいると何かに当たるものです。古本屋でプラプラしていましたら目から鱗の本に出会いました。

 

『シンプルに暮らす』ドミニック・ローホー著、笹根由恵訳、中経出版、2011年4月第一刷。副題は、”心から喜びを感じる食べ方、飲み方、人生の過ごし方”。

著者は、フランスの女性。年齢は記載がありませんでしたが、日本に30年滞在されている由。禅、墨絵を学ばれ、日本の精神文化に通じておられる方。言ってみれば、フランスの方に、日本文化、日本料理を基にした生き方を教わったようなもので、感心するやら、情けないやら、恥ずかしいやら。例によって、話がかなり、ヨコ道にそれますが、胸に突き刺さった彼女の主張を書きます。

 

冒頭から凄いです。食事、食べ方についてです。

●今の私たちは、満足と言う言葉を忘れ、常に何か流し込まずにはいられないマシンのようになっていませんか?。

・・・以下、インパクトがあったところを抜き出します。

●心身の状態をよく知り、大切に出来るのは、自分だけです。生き生きと暮らすために「食」を整える。身体の声に耳を傾ける。

●空腹感と満足感をきちんと感じられるように。食べ物を飲み込もうとする瞬間に、もう一度ゆっくりと噛む。ダイエットではなく自制心を持つ。自分の身体を守ると心に決める。

・・・家で食事するときの「黄金ルール」が書かれています。僕も含め、特におひとりさまには絶対に必要なことかと。

●料理しながら食べたり飲んだりしない。

●冷蔵庫、棚から出してじかに食べることは絶対にしない。必ずお皿、お椀に移す。座って食べる。

●必ずスープかサラダから食べ始める。

●誰かと一緒のときは楽しむために食べる、一人のときは健康のために食べる。

・・・次が、彼女の哲学だと思います。

●量を控えた良い食事は、シンプルな暮らしの根幹となる。それは、節度ある行動につながり、自らと周囲を敬う気持ちを育む。そして、自らの世界観とでも呼ぶべきものを確立していくことにつながる。

 

 ・・・そして、今の僕にとっての一番の金言は、

●喉が渇いた時に飲むべきなのは、水だけなのです。水以外の飲料は、楽しんだり、リラックスしたり、集中したりするためのもの。アルコールは「味わう」ものです。

・・・そうなんですよね。スミマセン。お酒はもっと味わって飲まないと。浴びるように飲むのは何かが欠落しているからなのでしょうね。おっしゃる通りだと反省しております。

 ・・・以下は、若干の技術的な話ですが、この方に言われると、思想が背景にありそうで、なるほど!と納得してしまいます。

●家庭でも一皿に盛り付けて食事する。小さな器を使う。(日本の)お椀の魅力を感じて食事をする。お盆に器、お皿を載せて食べる。

 ・・・そして最後に、次が、この方の極意だと思います。

●料理をして、控えめに、楽しんで食べる。

 

フランスの方というのは、たまに、特に思想・哲学の分野とかで、着眼点とか、発想力とか面白い方がいらっしゃって感心することがあります。『21世紀の資本』のピケテイさんなんかもそうですよね。このローホーさん、日本の文化、食生活を大変に評価されています。こんな方に日本を評価してもらえて嬉しいなあ、と思いつつ、外人から指摘されるまで、腹に落ちていない自分が情けないなあと感じたり。まだまだ発展途上の新老人の思いです。

 

ようやく、今回のテーマに戻りますが、

高血圧改善の食事法=『DASH :dietary approaches to stop hypertension』

というそうです。 基本の考え方は、ナトリウム(=塩分)を排出する効果のある、カリウム・カルシウム・マグネシウムを豊富に含む食材=海藻類、色の濃い野菜、豆類、イモ類、果物を積極的に取る、というものと理解しています。

 

効果ありと言われる食材のなかで、僕が気にいっているモノは、かぼちゃ、玉ねぎ、ニンジン、ワカメ、ひじき、モズク、キノコ、納豆、豆類、青魚、タコ、レバー、等々。僕でも出来る料理を抜き出しておきます。

<主食系>

●納豆ご飯・・・何んと言っても納豆です。クックパッドの「クルルのおじさん」のキッチンにレシピ掲載しております。ご参照ください。

ラタトゥイユ・・・イロモノ野菜をいっぱい取れるお料理。冷やしても美味しい。作り置き・可。結構モチマス。

●ミネストローネスープ・・・同上。

●青魚のエスカベッシュ風・・・「戦艦ヤマト」での料理第一号です(6月1日『中華鍋』に写真があります)。これもクックパッドに掲載しました。命名は師匠のchaさんです。

●ザワ―クラウト風(キャベツ)・・・ホットドッグが最高。ソーセージと煮込んでも。

●カレーライス ・・・思い出いっぱい、日本の国民食ですね。野菜いっぱいカレーが最高です。3月2日『カレーライス』をご参照ください。

●炒飯・・・酢タマネギのチャーハンは、クックパッドに載せました。最近は、イロイロなバージョンのチャーハンにお酢を加えて食べております。

●焼きそば ・・・中華あんかけ風には、酢を加えて食べると美味しいですね。

書いていても、我ながら、相変わらず炭水化物系が大好きなのがよく分かります。食べ方と量の問題ですね。この後、<サラダ系>、<メインデッシュ系>も記載しようと思っていたのですが、限りなく続いてしまいそうなので、この辺りで割愛します。折に触れ、これは!と思うものを記載するようにします。

  

以前に記載したかと思いますが、「腹八分目では無い、腹六分目と心がけよ」。僕の尊敬する先輩の格言です。この方は、僕よりも一回り以上の年長さんですが、多分「日野原さん越え」を実現されると思います。研究開発ではいまだに現役以上の興味・関心を持ち続けられており、その分野での発信を続けられています。

 

最後にローホーさんに一言だけ反撃。食べる順序、”野菜を先に食べるべし”、言われなくても前から知っとったあよお。

 

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日光東照宮。陽明門、平成の大修理が完了。2017年3月から四年振りのお披露目とか。大おばあちゃんは、頑張って、陽明門まで自力で行きました。

 

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早朝の男体山。瞬間、頂上が見えました。一人で朝の散歩です。歩け、歩け。

 

京都五山送り火......反省の記

8月16日、京都五山送り火を見に行きました。平安神宮の近くにあるマンションの三階から、午後8時点火の「如意ケ嶽の大文字」をのんびりと楽しむことが出来ました。昨年も同じ場所で見ていたのですが、雨のため残念ながら途中で打ち切りになりました。お陰様で二回目にして良いお天気に恵まれました。

 

 ドラゴン先生の京都のマンションです。ドラゴン先生は、このブログでも登場して頂いてますが、普段から大変にお世話になっている先生です。名古屋の能楽堂での「名古屋伝統文化を楽しむ会」に招待して頂いたり(3月7日『ごみと日本人』)、何と言っても中華鍋「戦艦ヤマト」をプレゼントしてくれた方です(6月1日『中華鍋』)。読書家にして料理大好きおじさん、上野千鶴子さんに精通されており、海原万里さんの大フアンです。そして、本当の姿は・・・多羅尾伴内ではありません。まあ、お酒を楽しくお付き合いさせて頂ける兄貴分(実際に僕の兄と同年配と思います)ということで。

 

僕たちが楽しんだのは午後8時に点火される東山如意ケ嶽の大文字ですが、その後、送り火は、5分刻みに合計五か所で点火が継続します。五山送り火です。その四番目は「左大文字」。この左大文字では、地元住民の皆さんによる保存会が中心になって運営をされているのですが、今年から、その保存会の会員資格を従来の男系のみの世襲制から女系の男子にも広げるように改めたそうです。伝承では、左大文字の送り火はかつて、地域代表者の惣代が中心となって執り行われた。神聖なものとされる火を扱うため、それぞれの家系では代々男系が継いできていたと。新聞の見出しには「京の伝統に少子化の波」と書かれてました(8月15日、中日新聞)。僕はこの種の話には全く疎いほうですが、時代の変化に沿って対応していくのがよかろうと何の違和感もありません。「送り火」の運営でもこれだけ話題になるのですから、「平成」以降の次の時代の在り方がなかなか纏まりがつかないのも理解できそうな気がします。

 

今回の参加者は、ドラゴン先生と僕以外には、僕の会社の若手の役員(あくまでもドラゴン先生と僕の年齢と比較しての若手です。世間一般的に言えば、おじさん、でしょう)。彼は、常日頃、尊敬するドラゴン先生と語りあえる機会を持てるならばと積極的に自主参加。それから、昨年同様、京都在住のドラゴン先生の娘さんご夫妻がご参戦。お二人とも、まだ二度目の歓談の機会ですが、爽やかな、かつ、お酒大好きの方(旦那さん。奥様も?)で楽しく歓談させてもらいました。京都の美味しいお惣菜をツマミにして、ビール、日本酒、焼酎、etc etc。道中、先生自らが名物コロッケを揚げていただいたりして。時の過ぎるのも忘れるほどの盛り上がり・・・・。この辺りから、表題にある「反省の記」になるのですが、”時の過ぎるのも忘れるほど”飲んでいたのは、どうも、僕一人であったような。皆さん、所謂、大人の飲み方。コロッケを美味しく頂き、娘さんご夫妻が帰られた辺りまでは記憶にあるのですが・・・。気が着いた時には、マンションの一部屋で朝を迎えておりました。

 

懺悔が続きますが、このような飲み方は慎もうと思っていた矢先であったため、自分でも自分のアホさ加減にアホらしくなってしまった訳です。じつは、この半年ほどで、近親で同じくお酒大好きおにいさん、おじさんがそれぞれお酒の飲み過ぎにより、皆に心配をかけた事件が三件も起こっておりました。他人様に迷惑をかけた訳では全くありませんが、救急車が呼ばれたり、病院に入院したりと。幸いに三件とも大事には至りませんでしたが、それぞれの家族がどれだけ心配したことか。僕も飲み過ぎることが多々あり。決して、他人様にご迷惑をかけることは無いと自負してはおりますが、自分自身そして家族のことを考えるとあまり無茶な飲み方はそろそろ卒業しなければと考えていた訳です。お酒を飲んで楽しくなって、そして調子に乗って更に飲み過ぎる、こんな時、どうしたら上手く歯止めをかけることができるのかしら、僕にとって古くて新しいテーマですが、現実的・具体的な対応策を考えないといけない重要課題になりました。

 

ゆっくりとお茶を頂き、呼吸を整えさせて頂いてから、ドラゴン先生のお誘いで朝食を取りに出かけました。洒落たカフェに連れて行ってもらいました。京都ということろは、やはり、奥が深いと感じます。街の一角にある地元の方々が自然体で通っているカフェが観光のスポットになっています。観光客らしき方々も多数来ている。地元のおじさん連中と観光のおにいさん・おねいちゃん、その両者が全く違和感なく溶け込んでいる。観光客はカフェの写真を撮ったりしているが地元の方は全く気にしていない。それがまた自然な風情を醸し出している。面白い場所ですねえ。

さらにさらに、朝食の後、酔い覚ましと腹ごなしを兼ねて、ドラゴン先生に案内していただき、近所を散策しました。近所と言っても、名所旧跡ばかりです。岡崎公園から平安神宮、更に、黒谷に入って真如堂まで散策しました。この辺りは先生のお気に入りの散策コース。勝手知ったる散策コースだからということもあるとは思いますが、チョット、裏通りに入ると落ち着いた味わいのある街並みと道並みが続きます。先生のマンションの立地が特に素晴らしい場所だからとは思いますが、この環境が、京都人の贅沢なんだなあとつくづくと感じさせられました。

 

お土産に僕の大好きな老舗のおじゃこ、ちりめんを頂きました。アツアツのご飯にぶっかけて食べると最高です。その日の夜に反省しながら頂きました。美味しかったです。 

 

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中日新聞(8月15日)、日経新聞(同16日)の記事。

ドラゴン先生が撮影した「大」の字点火の写真と、翌朝の同じ場所の写真を掲載しようと思っていたのですが、キャパが十分でないのか、僕の技では上手く掲載出来ませんでした。望遠で2-3㎞先の「大」の字がクッキリと写っていたのにお見せ出来なくて残念です。

ちなみに、日経記事によると、山梨の「大」は発光ダイオードによるもの。LEDライトによる送り火は山梨だけであろうと。また、秋田では「大」ではなく、「犬」=秋田犬の「犬文字焼き」とか。京都以外では女系男子云々は関係の無い世界なのでしょうね。

  

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<2017年8月28日に追加掲載です>

・・・うちの専門家(今後、エキプロと称します)に技を駆使してもらい、掲載することが出来ました。ドラゴン先生の撮影です。 3㎞ほど先の送り火がこんなに臨場感あり。熱くて火傷しそう。先生の腕が良いのか文明の進歩か、はたまた、その合わせ技か。