クルルのおじさん 料理を楽しむ

食品ロス

 11月30日の日経新聞に「野菜ショック=高騰騒動=混乱続く給食=全国で献立変更」の記事が出てました。今秋の野菜価格の高騰で学校給食の予算が不足、そのため一部の市町村では給食の中止を決定した。しかし保護者からの大反発を受け撤回せざるを得なくなった云々、全国の至る所で混乱が発生しているとの報道です。確かに夏以降の野菜価格の高騰ぶりはビックリでした。レタス大好き、キャベツ大好きの僕は、いつも一玉買ってバリバリ、ムシャムシャと食べていましたが、さすがに丸ごと買うのを躊躇するほどの高騰ぶりでした。夏の台風が本州にいくつも上陸した。特に北海道では観測史上初めて台風が三つも直撃した。秋雨前線の停滞、それに伴う日照不足により、産地での大減産につながったと言われています。北海道帯広市では10月以降、価格の高騰のため給食に出す地元の生ホウレンソウの手当てが難しくなり、遥か宮崎県の冷凍品に変更せざるを得なかったとか。さすがに11月の後半になると出荷量の回復があり農水省の価格動向調査では前週比10%から20%程度の下落になっているようです。早く落ち着いて欲しいと思います。

 

値段が高くなり過ぎると売る方も買う方もそれぞれ自衛の為に工夫をします。いつも通っている食品スーパーでも、今まで以上にハーフサイズ、クオータサイズでの売り方が増えたように思います。買う方も高いので丸々一個買うのは抵抗がありますから、小さいサイズを買って遣り繰り・始末する工夫をします。食べ残して捨てるなんてことになると、もったいない、という気持ちがより強くなるからでしょう。僕は買った野菜、食材は使い切るほうです。残して捨てるのが癪だから。意地になっても使い切ろうと思う方です。要はケチだからと思うのですが・・・大阪では「ケチとは違う、始末するんやでえ」と言います。一世を風靡したんNHKの朝ドラ「ごちそうさま」で主人公の杏ちゃんが姑のようなお姉さんにいけずされた場面で出てきておりました。違いは分かるように思うのですが、僕の場合は始末する技を持っていないから・・・単純にケチだからと思います。また、捨てるのが惜しいから少々無理をしても残さないで食べてしまいます。料理をやり始めて体重が順調に増えてしまったのは、食い意地が張っているのと、ケチなのが原因かと思っています。クルルのおじさん流のレタス一玉、キャベツ一玉の捌き方は、別途、記載したいです。

 

 野菜の値段が高騰するというのは困ったことですが、買った野菜を使い切れず・食べきれず、挙句の果てに捨てることになる=「もったいない」と思う気持ちが再認識されるのは良いことかも知れません。もったいないが強くなると「食品ロス」というのは間違いなく減少するのでしょうね。食品ロスというのは、食べられるのに捨てられてしまう食品のこと。もちろん生鮮品だけでなく加工食品、全ての食品が対象になります。政府広報によれば「日本国内の食品ロスは632万トンに達している。これは全世界の食糧援助量の3倍の規模」とのことです。食品ロスのうち330万トンは事業系の食品ロス、つまり、食品メーカー・小売り・飲食店での規格外、返品、売れ残り、食べ残り。残りの302万トンが家庭での食べ残し、調理の時の過剰除去、期限切れに伴う廃棄、ということだそうです。なんと家庭で発生している食品ロスが半分近くあることになります。期限切れの問題についてはイロイロと議論がされています。賞味期限、消費期限の設定の在り方自体が、この食品ロスに大きな影響を与えているとの指摘も多くなりました。もともと食品安全の観点から制度化されているものが、特に賞味期限については、日本の消費者の期限に対する感性の高さ、日本の食品流通・小売店の対消費者アピールの精度の高さから、賞味期限の範囲の中で更に1/3ルールと称せられる納品期限、販売期限が設定される商慣習となっています。このあたりの事情は、最近、出版された「賞味期限のウソーー食品ロスはなぜ生まれるのか」井出留美著、幻冬舎新書に詳しく書かれています。著者は元食品メーカーに勤務されていた経験がある方で、生産側・消費者側の両方から見てフェアーに分かりやすく記載されていると思います。卵の賞味期限の記載は、全くその通りと膝を打ちたくなります。卵は棚の手前から順に買えば不都合は全く無く、かつ、全体で見れば食品ロスの削減に繋がることがよく理解出来ます。

経済学でいう合成の誤謬というのがありますが、僕も一消費者として、消費者一人ひとりの効用の追及が社会全体では不効用に繋がってしまうことが心配になります。この著者は「他人が決めたことを鵜呑みにするのをやめ、自分で考え、感じ、行動する」ことを進められてますが、このような啓蒙活動を継続していくことは食品ロスを削減するために大切なことだと思います。蛇足ですが、本のタイトルは出版社が決めてしまうのでしょうが「XXXのウソ」というのは誤解を与える表現かと。せめて「本当の賞味期限」とか「賞味期限のホント」とするほうが著者の言いたいことを表しているように思います。これではインパクトに欠けるからですかね。

 

かなり昔(中学後半時代かしら)に見たアメリカ映画。アン・マーガレットとステイーブ・マックイン(だったと思う)、普通の家庭のシーンです。夫婦(恋人?)が食事をしている。料理(血も滴るようなステーキです)を食べた後、食べ残したものを、それもステーキのかなりの量が残っているお皿を、ゴミ箱に、何の迷いも無く、ばさーっ!とひっくり返して捨て去りました。まだお肉は高級食材の時代「おいおい、そんなもったいないことするなよお」映画の内容は記憶にありませんが、このシーンだけは強烈な印象を残しました。最近、このシーンを思い出した今の冷静な僕が改めて考え結論つけたことは、アメリカ食文化には展開料理の思想は存在しない!、ということでした。

・・・続く

 

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2016年12月10日、ゴルフ場で野菜売りのおじさんから大根一本を100円で買った。葉っぱ付き。その晩の料理=大根葉っぱのチャーハン。