クルルのおじさん 料理を楽しむ

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食品ロス、続き

食品ロスを削減するために、一消費者が出来る簡単で大切なことは、①買いすぎない、②買ったら使い切る、③作ったら食べ残さない、ことと言われます。単身生活で料理に興味を持っており、かつ、野菜大好きおじさん(=僕のことです)もよく理解はしているのですが、お店で旬の野菜を見ると美味しそうと思い、ついつい買ってしまいます。買うときには一応料理のイメージはあるので、その通り、料理します。でも、買いすぎているので、使い切れず残ります。また、料理したものも、多く作ってしまうので、食べきれず残ることが多いです。(注:以前は、作ったものは無理しても食べ切っていたのですが、体重増加に直面して最近は残すことを罪と思わないようにしています。)

料理したが使い切れなかった食材、そして食べ残した料理、これを捨ててしまうと食品ロスの発生となります。さてどうするか!。

 

ここで展開料理の思想です。誰しも残った同じ物を何日も食べ続けることを想像すると嫌になります。同じものを食べるのは嫌ですから、もしその状態が継続すると、その次の段階では料理そのものをやろうという意欲さえも無くしてしまう。食べることを楽しむ、料理を楽しむという気持ちが大切なのに、それが逆に嫌になってしまったら、それこそ本末転倒だ。

辰巳芳子先生の展開料理の要諦は、「時間を創れる」ようになるべし、読者の方が生きていき易くなるように時間を贈りたい、と書かれてます。その背景にあるのは、毎日の家事を繰り返すことの相克を解消したいという考えだそうです。相克の原因とは深層部で自己の尊厳が傷つくから、と看破されてます。料理研究家というよりも宗教指導者か哲学家ですねえ。僕は多分既に感化され、時には反発しながらも熱心な信者(理屈っぽい、天の邪鬼の信者ですが)になっていますが、これは素晴らしい鋭い指摘であると感心しております。

「買いすぎて 料理はしたが 余らせて 捨て去ることの 侘しさぞこれ」(孔瑠々)というのは「家事を繰り返すことの相克」の一つに該当することだと思います。この相克を解消する方法の一つが展開料理であろうと。料理することを楽しみながら、美味しく食事を味わいながら、そして、自己の相克を解消して、食品ロスを削減する。かなり肩に力が入った言い方ですが、相変わらず、理屈をコネないと納得できない世代です。

 

ちなみに教祖さまの辰巳先生はもっとしつこく掘り下げてものを考えられるようで、あの福岡伸一博士との対談もされています。福岡博士の「動的平衡」を読んで、辰巳先生の方から博士との面談を希望されたとか。”何故、食べるのか?”をとことん追求したいと思われた由。辰巳先生の「この国の食を守りたい」(筑摩書房、2009年6月第一刷)の第四章は福岡伸一博士との対談。「料理することは、いのちあるものの中で人間にだけに許された一つの自由」と言っておられます。

 

常備菜とか作り置き料理というのも、同じ思想で考える方が理に適っているように思うのですが・・・。辞書を引くと「常備菜=普段から用意しておく副菜。日持ちがして、まとめて作り置きに出来るおかず。きんぴら、佃煮、煮豆、ひじきの煮物など。」と解説されてますが、ここに「余った食材で作る料理」という概念も入れても良いのではないでしょうか。わざわざ材料を買ってきて作るのもアリでしょうが、使い切れなかった・余った材料で作るのが、結果として、常備菜・作り置き料理と考える方が自然な流れと思うのですがね。

僕の料理力のレベルと経験でこんなことを言ってられるのも技術の進歩のお陰だと感謝してます。冷蔵・冷凍・解凍の技術進歩がなければ、このような考えに至ることはなかっただろうと。今の時代に生きてて良かったわい。冷凍して保存して解凍して温めて、その工程をちょっと工夫すれば、美味しく頂けることを発見出来る時もある。楽しいですね。これが出来る日本の料理の流れ、日本の料理そのものに感謝です。食品ロスを発生させない仕組みが日本の料理の中に組み込まれているのではと日本の料理を礼讃してます。

  

 ちなみにアメリカでも食品ロスは問題になっています。10月16日の日経記事ですが、「米国では40%の食品が廃棄されると推定されている。米環境保護局によると、埋め立て処理される食品は、3500万トンに上る。」

公表されている日本の食品ロス 632万トンと桁違いな多さで、数字の把握の仕方に整合性があるのか不確かのように感じます。面白いのは、アメリカでは政府・農務省と環境保護局が削減目標を設定して、官民挙げて削減に取り組んでいると。その一環として、廃棄されるであろう食品を寄付に回す(これにはコストがかかります)流通業者に対して税制面での優遇をはじめとして経済的な刺激を与えて削減に取り組んでいると。また、余った食品を生活困窮者に無償で配るフードバンク活動も大変に盛んであるとのこと。削減目標を達成するには「技術やビジネスモデルにおけるイノベーション」が重要とされているとか。いかにもアメリカ的な対応の仕方かと思います。

前述の「賞味期限のウソーー食品ロスはなぜ生まれるのか」の著者、井出留美さんは、日本で初めてのフードバンク団体の広報を委託され、その団体を「食品産業もったいない大賞食料産業局長賞」の受賞に導かれたとか。日本でももっともっと官民を挙げての対応が必要なのでしょうね。

 

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 大好きな日向、その3。大御神社のさざれ石。「君が代は・・・さざれ石の巌となりて」です。2016年10月撮影。