クルルのおじさん 料理を楽しむ

みをつくし料理帖

みをつくし料理帖」、NHKで連続ドラマ化され今年の5月から放映されました。黒木華さん主演、土曜時代ドラマ。全8回。NHKの前宣伝で主演女優の黒木さんを見た時、「ピンポン、そうそう、この小説の主演はこの女優しかいないと思っていたのよ。同感、納得。やっぱり、やっぱり」。

2011年頃に、このを読んでいました。作者は高田郁さん。全10巻。第一巻は、第一刷が2009年5月、僕が買ったのが、第27刷・2010年6月。第7巻辺りまでは一気に読んでいたのですが、その後、中断状態でした。 

本を中断している時に、NHKの朝ドラで、この主演女優=黒木さんがわき役(とは言っても、その朝ドラの主人公の妹役でけっこう重要な役で人気があったはず)で登場しているドラマがありました。僕はその時に始めて黒木さんを観たと思うのですが、その時の印象で、そのうちにこの本=「みをつくし料理帖」がドラマ化されるときには、この子は主演候補だなあ、と感じたことを覚えています。

 

この本は、文庫の書き下ろし作品。角川春樹事務所「ハルキ文庫」。最近、残りの2冊を買いました。いま読んでいるところです。何故、中断したのか?自分でも何故かなあと思っていた時に、件のドラゴン先生との会話のなかで、なんとドラゴン先生も途中まで読んだが中断している、最後まで読んでいない、ということが分かったのです。ドラゴン先生は、5月からのNHKのドラマも録画して観ているとのことでした。御寮さん役が良いねえと。小説の方は、お互い同じところで中断していたので、”主人公の恋心は、太夫の運命は、御寮さんの息子はこれからどうなるのか?!”と真剣に語り合いました。御寮さん=大阪での発音は「ごりょんさん」、語感が良いですねえ。

 

全部で10巻あります。以下、中断したのは何故か?についての考察と推理です。

1.「八朔の雪」第一刷・2009年5月、僕が買ったのは第27刷・2010年6月です。

2.「花散らしの雨」同・2009年10月、同じく僕が買ったのが第25刷・2011年8月。

3.「想い雲」同・2010年3月、同第12刷・2010年9月。

4.「今朝の春」同・2010年9月、同第6刷・2010年12月。

5.「小夜しぐれ」同・2011年3月、同左。

6.「心星ひとつ」同・2011年8月、同左。

7.「夏天の虹」同・2012年3月、同左。

8.「残月」同・2013年6月、同左。

9.「美雪晴れ」同・2014年2月、僕が買ったのは第11刷・2017年6月。

10.「天の梯」同・2014年8月、同第10刷2017年6月。

全て、文庫本の書き下ろし作品。それぞれの第一刷の年月を見ると分かりますが、第1部から第7 部までは毎年、春・秋の2回出版されています。それが第7部から次の第8部の間が1年以上空いている。作者さんが完結に向けての構想を練るのに時間がかかったのか、体調を崩されたのか寡聞にして存じておりません。前述の通り、僕は第7部までは、次から次へと継続して読んだのですが、第8部で止まっていました。多分、ドラゴン先生も同様。二人そろってというのには何か訳があるはずだ?その時は、よく分からなったのですが、年代順に並べてみてその理由が分かった様に思いました。

 

推理してみますと、僕が読み始めたのは、2011年の7-8月ごろなのでしょう。面白かったので、即、第2部を買った=これが2.の第25刷=2011年8月なので大体の時期が特定できます。その後もドンドン読み続け・・・読みやすい本で、時を忘れるほど面白いですから・・・あっという間に第6部まで読んでしまった。第6部の第一刷は2011年8月ですから、僕が読み始めた頃には既に出版されていた訳ですね。それからが問題。次に行くのに待った!が掛かった。作者の執筆のスピードを追い越してしまったから。約半年お預けを食らい、第7部は発行されてすぐに読んだ(と思います)。その後、前述の通り、作者のブランクで一年以上間が空くことに。第8部が出された時に、すぐに買ったものの、さすがに興味・関心が薄れており、ツンドク状態になったのであろう。読書家?二人(少なくともお一人は大変な読書家ですから)が中断した謎が解けたように思い気持ちがスッキリとしました。

  

時代モノの通俗小説は、あまり読んでないかも知れません。池波の正ちゃんモノくらいかしら。この本は、やはり”料理”がテーマの一つであったから、ついつい買ってしまったのですが、テンポ・展開が早い。あっという間に作者のペースにハマっています。ストーリーもののプロの作品だと感心します。俳句でいうところの付き過ぎ感はある。出来過ぎ、合い過ぎ、とは思うものの読んでいて涙が出てくる場面が沢山ありました。プロの筆力ですねえ。

 

主人公のお名前が”澪”さん。「澪標」=みおつくし、の”澪”ですが、「身を尽くす」が掛けられてます。「食は、人の天なり」と言う名文句も登場します。美味しいモノを喜んで食べて頂く。この主人公は料理人=お仕事ですから、生活が懸かっている。プロとして「ごちそう様を」聞きたい。この主人公の矜持が「食は、人の天なり」と言う言葉に凝縮されています。

 

毎回、料理・献立が出て来て、それが話の進行にも一役も二役も買っています。料理が重要な役割を果たしています。巻末には、そのレシピも記載されています。テレビは2回ほどしか見ませんでしたが、番組の最後に、「きょうの料理」にも出ている若手のハンサムな料理研究家が登場してその料理を解説、主人公の黒木さんがドラマ役のままの恰好で料理していました。この役作りのために練習されたのか、もともとお料理大好きなのか、庖丁捌きも自然体で感心しました。

 

話がそれますが・・・・、ウイスキーのコマーシャルで有名な人気のある女優の方、こんな女将さんがやっている小料理屋、カウンター・バーならば是非に足を運びたいと思わせる、世の男性、それも、単身赴任・おひとりさまには多数のフアンがいらっしゃると思います。この方が主役の料理の取材番組をたまたま見ました。そのなかで、ご本人が料理される場面がありました。庖丁捌きも手慣れたもの。さすが!、と思ったのですが、指先が透明ながらもヒカリ輝いている。マネキュアをしたキレイな指先でありました。プロデューサーの設定が悪かったのか、ご本人が料理をする番組でマネキュア付けたままというのは、残念、これで少なくともフアンを一人無くしたかも知れません。結構、繊細なおじさん心です。

 

江戸時代にはマネキュアが無くて何よりでした。我らが”澪坊”は、親しみの持てる手と指であったと思います。

その2.に続く。

 

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これが日向の「”平兵衛酢”=へべす」です。送ってもらいました。澪坊にあげたら、どんな料理に使うのかしら。2017年9月17日、撮影。