クルルのおじさん 料理を楽しむ

クルルのサトウキビ収穫体験会

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 12月3日(日曜日)碧南のクルルの工場で育てているサトウキビ畑で、サトウキビ収穫体験会を開催しました。

 

 

『沖縄=ゴーヤチャンプルー』(2017/10/10)の写真欄で紹介した通りですが、「クルルのサトウキビ収穫体験会」を開催することが出来ました。台風・強風の影響で幹が傾き倒伏の被害発生が懸念された時期もありましたが、関係者の熱心な世話の甲斐が有り良く育ってくれました。もともと逆境に強い作物です。強風で傾いて曲がってしまっても、茎が折れてしまわない限り再び成長して伸びていく回復力が強い作物です。

 

クルルの工場でサトウキビを栽培し始めてから早いモノでもう三年目。”砂糖を製造・販売している会社として、サトウキビそのものをもっともっと地元の方々に紹介して砂糖の良さをアピールしていこう”と社内の有志がイロイロと苦心しながら栽培を開始したものです。昨年からは、”一般の人にも収穫体験をしてもらおう”ということで第一回目の収穫体験会を開催したのですが、ナント、この地域では珍しく寒風・吹雪の日に重なってしまいました。それでも、30から40名ほどの方々が参加して下さり、自分達が思っていた以上に地域・地元での関心が高いことを感じ取ることが出来ました。”この行事は是非続けてやっていきたい!”と社内でも一段と弾みが着きました。

 

二年間の反省と経験を基に、生育状況の管理、糖度の上昇度合いの把握(こういうのはメーカーですので得意分野です)をやりながら体験会の開催日程を決定。地元の行政、メデイア、新聞にも協力してもらい体験会の開催案内と来場募集を行いました。主催者の狙いとしては、”地元中心にサトウキビに関心を持ってもらえれば嬉しい。来場者のターゲットは、やはり、家族だ。それも親子だけでなく、三世代=ジジ・ババと親子の三世代となればもっと素晴らしい。きっと、サトウキビに対する感慨、思い出はジジ・ババ世代の方がなにがしか強く持っていることだろう。農作業もお年寄りの方が経験豊富であろう。三世代が交流出来る場となって、その時に、子供たちがジジ・ババをレスペクトする場面が一つでも出てくれば素晴らしいことだ”。

 

 

いよいよ収穫体験会の日を迎えました。今年はお天気に恵まれ、気持ちの良い晴天です。午後一時の受付開始の時には、既に沢山の方々が到着されており受付に列ができるほどになりました。嬉しい誤算。

受け入れの流れとして考えていたのは、①受付⇒②キビを小さくカットしたキビ・スティックを噛んで味わってもらう⇒③キビ・ジュースを飲んでもらう⇒④キビ畑で収穫体験⇒⑤その間に、主催者がキビ・ジュースから黒砂糖を手作りして、出来立ての黒砂糖を味わってもらう⇒⑤刈り取ったキビを裁断して適宜お土産にお持ち帰り、というものでしたが、②の段階で、もう会話が盛り上がって前に進まない。

 

僕は小さい時から都会育ち(いわゆる下町ですが)でキビが育っているところなど見たことはありませんでしたが、町内の行事とかお祭りのお店とかでサトウキビが売られているのは良く目にしましたし、買って皮を剥いでもらい噛り付いて味わったことを覚えています。最初は、”なんじゃこの棒みたいなものは”と思ったわけですが噛めば甘い汁が出てくる、”おお、これは魔法の食べ物だ”と驚きました。

サトウキビの原産地は東南アジア、現在のパプアニューギニア島辺りと言われていますが、初めて、このキビを噛り付いた人は、さぞかし、ビックリ仰天したものと今更ながら思います。

予想通り、僕と同世代っぽいオジサン、オバサン(ジジ・ババ)は懐かしがってキビ・スティックに噛りついていました。若い人、子供たちはなかなか無い機会でしょう。初めて見た方もいらっしゃったような。”なんじゃ、これ”という表情です。お年寄りの話「昔はリヤカーに積んでサトウキビを売りに来ていたもんだ。甘いモノがなかなか手に入らず、スティックのキビを噛んで出てくる甘い汁が美味しかった。懐かしい。苦労していた時代を思い出すわ。」

そうなんですよ。甘いモノが手に入らない時の、甘いモノの価値は凄いと思います。このお年寄りの周りには若い家族連れの方々も加わり、”固いなあ、でも、いい甘さだなあ”と噛り付いていました。

 

 

その後は、キビ・ジュースの試飲コーナー。キレイな薄緑色のジュースです。爽やかな香り、収穫したばかりのフレッシュなキビ・ジュースの美味しさは格別です。『沖縄旅行、その2.』で書いてしまいましたが、日本最大のサトウキビ産地のキビジュースよりも間違いなく美味いです。新鮮だから。

 

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 これがサトウキビの圧搾マシーン。当初一台のみであったが、この日のために二台目も手配。流れがスムーズになるように。上段の穴に外皮を剥いたキビを一本づつ投入すると、下段の蛇口からきびジュースが出てくる。60~80㎝程度のキビで紙コップに7合目くらいは取れる。紙コップに受けて試飲。皆さん、飲む前はややおっかなびっくりであるが、口に入れた途端に表情が変わる。優しい、爽やかな甘さにビックリ。お代りの注文も沢山ありました。

 

 

そしていよいよ収穫体験です。ご来場者には、園芸ハサミ、作業手袋、ビニール袋を準備しました。本当は、鎌で根元をスパっと切るのがサトウキビを収穫した充実感が感じられると思うのですが、鎌の使用は大人でも危険度が高い。子供さん連れが多いことを考慮した結果、安全第一、ケガをしないことを最優先して、園芸バサミを使用してもらうことにしたものです。お陰様でケガ・事故は皆無でした。何よりでした。

  

 

皆さん、収穫作業に夢中、楽しくやっていました。冒頭の写真です。農作業というのはやりだすと自然に周りにいる人を気にかける、自然に助け合う、自然に協力するものですね。改めて気が着きました。期待通り、ジジ・ババは昔取った杵柄で園芸バサミを器用に使い込んでお孫さんからレスペクトされていました。

農耕民族、日本人のDNAに刷り込まれているのでしょう。もう、家族・知り合いの枠を離れて、老いも若きも子供たちも、協力して園芸ハサミで刈り取り、一緒になってそのキビの外皮をむしり取る、きびを適度な長さに切断するのを支えやったり、持ち帰りやすくキビを紐で縛るのを手伝ったり。一家総出、全員参加の収穫作業です。

 

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 新鮮なキビ・ジュースから黒砂糖を製造。クルルの社員が研究と練習を重ね手作り黒砂糖に挑戦です。普段、クルルの工場でグラニュー糖、上白糖、三温糖、ザラメ糖、液糖を製造しているプロ達もお鍋で黒砂糖を造るのは勝手が違う。煮詰めたあと、㏗調整に食用石灰を投入し、空気を抱き込むように混ぜる。このタイミングと力加減、スピードが難しい由。うまく結晶化してくれれば成功。失敗すれば情けないアメ状の塊になるだけ。本場の沖縄の黒砂糖工場でもこの匙加減が職人技だそうです。

 

 

沖縄、鹿児島のサトウキビ産地にある分蜜糖の原料粗糖工場では、収穫時には、刈り取られたサトウキビを満載したトラックが列をなします。一日に何百トン何千トン単位の処理をする規模です。一方、黒砂糖(含蜜糖)の工場は、概して小規模の工場で、零細な家内工業的な工場もあります。近年、黒砂糖の良さが見直しされてはいますが、消費量が増加する訳ではなく、労働条件の厳しさ等々を考えると経営的には決して楽なものではありません。

 サトウキビは収穫された後、切り取った株から新しい芽が出てきます。これを「株出し」と言います。新しい苗は植える時期で「夏植え」、「春植え」と区別されています。茎を30㎝ほどにカットし横に並べて土に埋めると節のところから芽が出てきます。

秋の後半、気温の低下と共に茎の成長が緩やかになってくると茎中の糖分が上昇します。12月頃から収穫。何度も言いますが、刈り取り後放置すると直ぐに糖分が劣化、品質が低下してしまうので、収穫後、速やかに製糖工程に搬入する必要があります。

 

沖縄県、鹿児島県がサトウキビの主産地ですが主要産地は県内の離島です。自然環境は概して厳しい中で、サトウキビが離島の主要作物、主要産業になっています。生産農家さんは大変な苦労をされている訳ですが、それでも、サトウキビの存在が、離島に仕事を生み出し、その地に住んで生活する人々を支えていることになります。最近のお隣の国の動きを見ていると、国防の観点からも貴重な作物だと痛感しています。

 

 

後日、社内で反省会をした際、ご来場者は193人であったことが報告されました。男性が85名、女性が108名。19歳以下の方が78名、その内10歳以下のお子様は61名でした。嬉しい限りです。キビにはまだ余裕がありましたから、来年以降は、安全面での管理を行える主催者側の人員体制をしっかりして、もっと広い範囲、多くの方々に声をかけていこうと考えてます。 

 

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 お見事、クルルの黒砂糖の完成。即、試食会。「できたて!黒砂糖」。これも大好評でした(量が少なかったからかも知れません)。撮影は全て2017年12月3日。

 

中日新聞に収穫体験会の模様が掲載されました。後付けで、写真を添付します。

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 中日新聞の記事、フリモかわらの記事を掲載します(2017/12/31)。