クルルのおじさん 料理を楽しむ

平兵衛酢の苗木

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桜が満開です。名古屋の気象台は3月27日に名古屋市内で桜の満開を発表、平年より7日、昨年より10日早いそうです。近所の散歩コースの小学校。桜が似合う風景、やはり、お城と学校ですかね。2018年3月26日撮影。

 

 

平兵衛酢の苗木を植えました。新居の古いマンションのベランダで鉢植えにしました。確か昨年の初夏のころ、収穫されたへベスの実を頂いた時に、ふと自分でも育てられないモノかと思い立ち、日向にいる友達に問い合わせたところ苗木の配布会が行われていることが分かりました。これは良かった、植えてみよう!。

この友達に”すぐに送って頂戴”と気安く頼んだのですが、苗木のことですから、年中、手配できるものではなく、また、苗木として適したものだけを配布する必要があることから、年に一回だけの配布会で、年末に申し込みを締め切って翌年開けに準備して発送するというものでした。苗木が十分に準備出来なくて、申し込みの本数に全ては応じ切れない時もあるとのことでした。

 

年明けに日向の友達から連絡があり、8本の苗木を頂けることとなりました。三月下旬に配送の連絡が入りました。名古屋の単身生活マンションに一本、留守宅に一本、レモンの木を育てている兄きのところに一本。「戦艦ヤマト」のドラゴン先生が”俺も植えてみたい”と強い希望があったのでドラゴン先生に三本。残りの二本を会社の仲間に。サトウキビの収穫体験会を頑張ったトウナル役員、それから、日向出身の元気印のエキプロくんに一本づつ。みなさん喜んでくれて、それぞれお庭に地植えしたり、鉢植えしたり。育て方を説明したものが意外となく、件の友達には聞いてみたのですが、「庭に植えて普通に育てておけば勝手に身を付けてくれますよお」と気のない返事。多分、よく出来た彼の嫁ハンがキチンと管理・育成されているのでしょう。また、かつて碧南から日向に単身赴任していて今は岐阜の自然のなかでの生活を楽しんでいる山男クンに以前に問い合わせたことがあるのですが、彼は「岐阜の山奥でも冬の寒さにやられることなく育っています」とのことでありました。

 

近年は、名古屋市内でも雪が積もる時が結構ありますから、寒さ対策、雪対策にやや心配なところが残っていますが、今からの半年ほどでしっかりと根を張って、まずは、順調に生育していることを確認したいところです。どれくらいの時が経てば、実をつけてくれるものか、楽しみと不安が交差するところです。

 

 

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新居の古ーいマンションのベランダに鉢植えしました。身の丈、約60㎝。2018年3月29日撮影。

 

 

平兵衛酢=へベスは日向市の特産です。僕が愛飲しているへベス果汁のボトルに書いてありますが「平兵衛酢とは宮崎県日向市富高で発見された柑橘類の果実」。江戸時代の末期に富高村の長曾我部平兵衛さんが自生するへベスを発見して自宅庭先で栽培したのが始まりとされています。平兵衛さんの酢=平兵衛酢=へベスと呼ばれるようになったと。ちなみに「富高」は今でも日向市の中心部の地名で残っており、富高高校は日向市の中でも優秀な高校として誉れが高い。いま開催されている選抜甲子園野球大会に初出場したはずです。日向の僕たちの会社・工場にも多数の卒業生が働いてくれています。

 

 

へベスを初めて口にしたのは日向に赴任したその日のことでした。夜、件の友達の馴染みの居酒屋に連れていってもらいました。お酒大好きの二人、とりあえずのビールを飲んでから「次はサケにしましょうか」とのお薦めに、「はい、よろこんで」と答えました。出てきたのは、焼酎。「いやいや、ちゃうちゃう、サケゆうたら日本酒やんか、日本酒ちょうだい」と言ったところ、ここの大将がオカミさんに「おーい、このお客さん、日本酒、ていうとるよ、日本酒あったかねえ」と大声で聞いています。「なんでやねん、居酒屋やったら日本酒置いてないわけがないやろに」。

「いやいやxxさん(僕のこと)、日向ではサケと言えば焼酎ですよ」との友達の一言に、郷に入れば何とか、というよりも、お酒であれば何でもおいで、の僕は全く躊躇なく焼酎を頂きました。そこでいきなり出てきたのがへベスでした。「紅茶にレモンは分かるが、焼酎にカボスとか入れるのかいな?」。「カボスとちゃいますよ。これは平兵衛酢=へベスといいます。焼酎に合いますよ」。

 

 

なるほど、よく見ると、この柑橘は皮が凄く薄いのです。とってもジューシー。焼酎の味を損なうことなく柔らかく飲み易くしてくれる。これは危険、飲み過ぎそう。その通り、よく飲みました。二人で中ビンを軽く一本以上は開けたかと。驚いたのは、出てくる料理にもへベスを絞って汁をかけて頂く。お野菜に良し、焼き魚にも良し、唐揚げにも良し。同じく食材の味を損なうことなく食味をよくしてくれるような。

この飲み会ですっかり日向に愛着が沸いたわけですから、お酒飲みは本当に幸せな人種であると思います。母親に感謝です。この居酒屋には家族が日向に遊びに来た時もお邪魔しました。家族も全員、大変に喜んでおりました。日向のお気に入りのお店になって、その後も何回も行きました。楽しい思い出が一杯あります。

 

 

赴任後、結構早めに、九州各地のお客さんへの挨拶回りしました。挨拶回りの最後は同じ宮崎県の日南市のお客さんを訪問しました。楽しく歓談して日向に戻ってしばらくしたら、宅急便の不在通知が届いていました。平日は時間帯の都合がつかず受け取ることが出来きません。週末の土曜日か日曜日の夕方に漸く受け取ることが出来ました。ナント、日南で有名な一本釣りのカツオがまるまる一本。”ぎゃあ、こんなもん、どないしたらええんや”。当時は、まだ、自分では全く料理をしていない時ですから、自分で捌くなんてことは考えもしない(情けないですが、もし今いただいたとしても、自分で捌く技はありません)。件の友達に相談したら、いとも簡単に「あの大将に頼んだら良いですよ」と。その日お店は休みだったと思うのですが、嫌な顔一つせずに店を開けて調理してくれました。日向の人は優しいのです。

 

カツオ一本、さあ捌いて料理することは出来るようになりましたが、”ちょっと待て、誰が食べるんや?食べるのを手伝ってくれるヤツを探さねば”。とは言え、時すでに皆さんご家庭で夕餉の支度が出来上がっている時間帯。”迷惑な話やろなあ”と思いつつも、友達に手伝ってもらって電話をかけまくりました。一人でボチボチやっているとポツリポツリと結局4-5人が苦笑いしながら集まってくれました。家の晩御飯を食べてから顔を出してくれたヤツもいれば、夕食を途中抜け出してわざわざ参加してくれたヤツもいました。刺身から、煮物、揚げ物、カツオ尽くし。へベスもかけまくり。結局は週末の大宴会になってしまい、唐揚げはお土産にお持ち帰りに。大将とオカミさんには大変にお世話になりました。会社の仲間とも突然のサプライズの懇親会が出来て、親しみが一気に増しました。有り難いことでした。

 

普通、一度にこれだけ食べてしまうと、美味しいものでも嫌いになることがあるのかもしれませんが、幸いなことに、いまでもカツオは好きですし、へベスはそれ以来、大のフアンになっています。

 

 

平兵衛酢の木、『体質改善』2017年8月12日、に写真を掲載しましたが、2m程の高さに育てて剪定して枝張りを広げると実が良くなり、収穫も便利に出来るようです。今までの記載の中でも紹介した通りですが、おじや、雑炊、お粥、湯豆腐、稲荷納豆、黄身乗っけナットドーフ、もちろん、焼酎にも大変に良く馴染みます。最近は、冷奴、各種サラダにも、要は何にでも使っています。自分が育てたへベスで食事を頂ける、焼酎を飲めるというのは楽しいだろうなあと。各所で植えられたへベスがちゃんと育って沢山の実をつけて欲しいものです。

 

 

3月23日の日経に「野菜の高値一服、レタス卸値、前年比2割安」との記事が出ていました。「昨秋から続いていた葉物野菜の高値が一段落した。東京・大田市場のレタスの卸値は年初の5分の1に下落、一年前に比べて2割安い。キャベツ、白菜も前年並みに戻った」と。”実感が無いなあ。とにかく、この冬は鍋物を味わう機会を逸した。レタス、キャベツは高値の花のような存在であった”と感じていましたが、昨日、久しぶりにスーパーの食品売り場に行ったらレタスが一個88円で売られていました。迷わず一個買いました。当分、「1/8カットトースト+マスタード&マヨネーズ、ハムエッグきゅうり乗っけ、上からたっぷりレタスでカバー」サンドを楽しみたいと思います。

 

 

日向のお店はその後10年ほどしてから店仕舞いされました。 

 

 

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古いマンションのベランダからの景色。春や春。モクレンがほぼ満開。花が咲いて急に景色が艶やかになりました。2018年3月27日撮影。

 

 

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オマケ。大須観音の梅(これ梅ですよね)。一つの木に白梅、紅梅が咲き誇っていました。見事な枝ぶりです。2018年3月29日夕方撮影。