クルルのおじさん 料理を楽しむ

京都、送り火

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比叡山延暦寺、東塔地域にある「戒壇院」。江戸時代初期に再建された国の重要文化財。平たく言えば僧になるための戒律を受けるお堂。ボランテイアの方が詳しく東塔地域を案内・説明してくれました。根本中堂=総本堂は現在、改修工事中。平成28(2016)年から約10年かけての大改修とのことです。2018年8月16日撮影。

 

 

 

三年続けてドラゴン先生の京都のマンションに「大文字」送り火を見に行きました。今年二回目の参加となるウナル後輩がその日は夏休みを取得、自宅から車で行くので一緒に乗せてもらうことに。名古屋の隠れ家を早めに出発して、途中、比叡山延暦寺・東塔地域を散策、そのあと安部晴明神社に立ち寄ってから先生のマンションに夕方到着しました。心配された雨も無く、夜8時からの「大文字」の送り火を楽しむことが出来ました。例年通り、先生の娘さんご夫妻も参加、一息ついたところで食事は近くの洋食屋まで散歩がてら出かけることになりました。

 

この近辺を勝手知ったるドラゴン先生の指導のもと、繁盛しているお店のお客さんが一巡する時間を計って。狙い違わず、ちょうど席が空いたところで待つこともなく注文することが出来ました。昔懐かしい洋食屋さんです。オムライス、焼き飯、チキンカツ・デミグラソース、特性サラダ、あともう一品。大人五人とは言え、マンションで小料理、おつまみで結構出来上がっている割には注文しすぎではなかろうか。おまけにドラゴン先生は、このところ低糖質生活を実践しているとか。この注文はどう見ても炭水化物リッチである。さては糖質制限の反動が出たか。なんだかんだ言いながらも、娘さんご夫妻がまだ夕食を取られてなかったこともあり、それなりにお皿をキレイに片付けることが出来ました。

 

 久しぶりに爽やかな夜、また、ゆっくりとマンションに戻り、改めて乾杯。今までの反省の効果が出たものか今回はゆっくりと歓談、いろいろなお話を夜が更けるまで楽しむことが出来ました。三回目にして「送り火」の夜らしい時間をすごせたのかなと。翌朝、ウナル後輩は朝一番でお仕事に復帰、ドラゴン先生も名古屋にトンボ帰り、卒業生の僕はのんびりと予定の行動に入りました。

 

 

 

昨年、紹介してもらったイノダコーヒー本店に。すでに行列が出来ていましたが、これは想定通り。持参した本を読みながら”待つを楽しむ”。20分ほどで僕の順が来たので、昨年座ったお店の裏にあるベランダ席を所望。下の写真のテーブルが4-5席はあるゆったりしたスペースですが、行列が出来ていても席が満杯になるまでにはお客さんを入れない。まして相席なんか以ての外。お陰様ででノンビリと朝食を楽しむことが出来ました。

 

待っている時にふと気づきましたが、このお店では、順番待ちをしている観光客中心お客さんを尻目に、いかにも常連客らしい地元のおっさんが慣れた様子で勝手に入っていく。席も一見(イチゲン)さん席とは別にスペースを確保しているような。席待ちのお客さんも”京都とはこういうもんだろう”と納得しているのか誰も文句も言わずに静観している。一昔前の僕は大変にショートテンパーでしたから、こういう場面ではお店の人を捕まえてオオ声でクレームしていたと思います、「不公平である!」。何も文句を言わずに本を読んでいたというのは成長したということか其れとも単に年寄りになったということか。

 

地元のオッサンたちは気楽な普段着姿ながら何か垢抜けていて様になっている。結構大きな声で話ししているが、声が良いのか、はたまた、京都言葉のアクセントが良いからか、あまり耳障りにはならない。この風情も総合して『京都』ということなんですかね。

 

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イノダコーヒー本店。久しぶりに暑さも和らぎ、気持ち良くベランダ席を楽しめました。この席は喫煙が出来ます。僕はすっと以前にタバコは卒業しました。置いてある新聞を読み、持参した文庫本を30分ほど読み、次に行く処までの時間調整をさせてもらって店を出ました。店の人は嫌な顔一つしませんでした。2018年8月17日撮影。

 

 

知り合いの方が経営しているアクセサリーショップに行きました。カミさんと娘たちに気持ちだけのお土産を。知り合いの社長さんは、あいにくと不在。お託を残して店を出たらすぐに携帯に電話がかかってきました。「事前に連絡をしようかとも思ったが、ぶらり立ち寄りのサプライズということで」またの機会を楽しみに。

 

 

 

次が本日のメインイベント。錦小路の「有次」に行きました。2017年6月11日付けの『庖丁』を是非ご参照くださいませ。「有次と庖丁」の写真通りのお店。錦市場は朝から大勢の買い物客、それも外人観光客の方が多いかと。その中でも「有次」のお店は特に外人の方が沢山来ていました。『庖丁』で書いた通りですが、僕の料理の腕前は魚を捌くところまで達しておらず、今でも同じ状態が続いています。この腕前では、せいぜい三徳庖丁がお似合いと自覚はしているのですが、今回の京都行きでは是非「有次」のお店だけは覗いてみようと考えておりました。

 

恐る恐るお店に入ってぶらぶら見ておりました。大変な種類の庖丁が並んでいるなかに、何やら使いやすそうな庖丁も。これなら僕にでも普段使いが出来るのではと思わせるような。店員さんの親切な説明を聞いているうちに「かなり高価であるが今回買わねば多分これから買う機会は無かろう」と思うようになりました。自分で自分に言い聞かせていたのでしょう。よし!卒業記念の買い物にと覚悟してゲット。「有次と庖丁」の本に書いてあった通りですが、大変丁寧に使い方の説明をして頂き、その間に買った庖丁の裏に僕の銘を刻印してくれました。

 

 

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「歩く」。この日は京都の街中を10㎞以上散策しました。爽やかなお天気で久しぶりに気持ち良く汗をかきました。自分の影が面白くて撮影。2018年8月17日。

 

 

帰路、京都から名古屋まで新幹線を利用せず在来線に乗りました。二度乗り換え。金をかけずに時間をかけて。ノンビリ旅なので持参した本を読みながら帰ろうと。

今は、内田樹さんと河合隼雄さんを同時並行して乱読しております。樹さんの本はほぼ読み終えることが出来ました。たまたま「トリックスター」についての記載が両方の本に。”これは偶然、なにかの因縁?”か。「トリックスター」とか「メタファー」とかは村上春樹さんの専売特許のような印象がありましたが、昔から取り上げられていた概念なんですねえ。あまりピンと来ていませんでした。樹さんが「ブログという発信のツールが無かったら文筆家にはなっていなかった」との記載があり、奇才内田樹もツールのお陰というのは面白いなあと思いました。新幹線であれば40分くらいのところを2時間以上かけて名古屋に到着。卒業生、読書の在来線の旅というのもアリと思います。

 

 

隠れ家に帰り一息ついてから疲れた体をものともせず「有次」を使って料理。玩具を買ってもらった子供が早くそれで遊びたい心境か。といっても焼き飯をつくっただけです。野菜沢山、お肉少な目、ニンニクとショウガは必須食材。人参、ピーマン、玉ねぎ、にんにく、しょうがを切るのに「有次」を初めて使うのは申し訳ないのでは?、家庭菜園で収穫するのに大型のコンバインを繰り出すの如きかとも思いながら、使ってみて、その切れ味にビックリ仰天。今までの包丁はなんだったのか。『庖丁』でも書いた通りですが、そもそも野菜を切るのは一種の快感だと思いますが、これは当分病みつきになりそうな気配です。重量感、握った時のバランス。切れ味が鋭すぎて怖いくらい。ケガしない様に気をつけようっと。

 

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「平常一品 有次」。調理後は丁寧に洗い、即、水気を拭いて庖丁立てに。「有次と庖丁」に記載がありましたが、当主さんが「大げさに言えば、よい鋼の庖丁は人の性格をも一変させる。ずぼらな人が良い庖丁を使うことによって、お世話することが好きになる。そうすると道具が喜んで役に立ってくれるから、余計にまたお世話したくなる。」というのはナルホド当たっているなあと感じております。そのうちに庖丁研ぎを教わろうかしら。2018年8月17日撮影。