クルルのおじさん 料理を楽しむ

三木清『人生論ノート』

物見の丘。あいち海上の森センター内の施設。風よけに透明の板でカバーされており、向こう側の鳥は張り付けてある写真。本物の鳥が中に入ろうとして透明の板にぶつからないように。この後、近くの物見山に登りました。2018年11月25日、撮影。

 

 

またまたNHKです。「100分de名著」という番組。11月は「三木清『人生論ノート』」でした。2017年4月放送のアンコールです。『同期会、2018年』(2018年10月31日)で記載した通りですが、三木清さんの故郷=龍野を訪問した帰路に本屋さんを覗いたら、この番組のテキストに出会ったものです。

毎週月曜日の夜に25分の放送があり、一カ月で4回=100分で名著を紹介する番組です。最近、テレビはNHKを見ることが多くなりました。製作にもお金をかけている印象を受けます。民放が所謂お笑い系のタレントがゴチャゴチャ出てきて大騒ぎしているのと対照的かも。といってもお笑い系をバカにしている訳では全くありません。念のため。

 

番組は録画して自分の好きな時間にお酒を飲みながらユックリと観ました。大きな声の大きな顔をしたタレントさんと女性のアナウンサーが喋り過ぎかと心配しましたが、指南役と紹介されていた哲学者=岸見一郎さんが冷静に分かりやすくお話をされていたのが印象的でした。

 

録画を見るのと並行してこのテキストを読みました。テキストも岸見さんが優しく解説しているのでスムーズに読むことが出来ました。若い頃、多分、高校生の時に一度は読んだことがあると思っていましたが、何となく思い出すようなところも出てきました。

 

 

この「人生論ノート」は、当時、雑誌「文學界」の編集長をしていた小林秀雄から ”一般向けの哲学エッセイ” を連載して欲しいとの依頼を受け、それに応じて昭和13年から16年(1938年から1941年)にかけて執筆、連載したものを一冊にまとめたもの。昭和16年(1941年)8月に刊行されています。ナチス・ドイツポーランド侵攻が1939年9月、日本軍の真珠湾攻撃が1941年12月という時代のことです。文庫版は、戦後の昭和29年(1954年)に刊行され108刷りの超ロングセラーになっている由。

 

掲載された最初のテーマが「死」、それから「幸福」と続きます。最後のテーマが「希望」。時代背景を考えると長い期間の連載を続けられたものだと感心します。岸見さんの解説でも ”戦争の重苦しい空気が影響を及ぼしている、あえて難解な書き方を選んでいると思われるところも多い” とのこと。当時の三木清の日記にも「狂人の真似をしなければ正しいことが云えない時代かもしれない」と記載があったそうです。このような難解な本が刊行されるやベストセラーになったのですから、日本という国の民度は本当に高かったんですね。一番最後のテーマが「希望」というのも大変に象徴的です。

 

岸見さんは ”この本は今の時代にこそ再読されるべき一冊” と指摘していますが、確かに今読んでも新鮮な印象を与えてくれます。最初は、喋りすぎかと思ったお二人、伊集院光さんと島津友理子アナウンサーも回を重ねるごとに岸見さんとの波長も良くなり間合いも良くなりました。「100分de名著」とはよく名付けた番組名と思うようになりました。

 

 

三木清の本が懐かしいと思ったので、別途、文庫本の「哲学ノート」を買ってきて読んでみました。やはり、難解でした。散歩がてらに偶に行く図書館でも、三木清の本を探してみましたが見つけることは出来ませんでした。評論、哲学史等々をパラパラと見ていたら、三木清の著書:「構想力の論理」=ロゴスとパトスとの弁証法的統一を解明しようとするもの、等々の記載がありました。昔、図書館で同じように読んだ記憶があるように思いました。また、当時、難しい言葉使いをハシャイでいたような記憶を懐かしく思い出しました。

 

三木清は、終戦の年の3月に疎開先で逮捕され獄中で終戦を迎えたそうです。8月の終戦時にも釈放されず、衛生状態が極端に酷い刑務所で病気に感染。終戦一か月後の9月に病死。48歳の若さです。まさに「無念の獄死」であった由です。獄中の困難を生き抜いて、戦後の自由に言論を展開できる時代に活躍できる機会を持てれば良かったことでしょうね。もっともっと分かりやすい言葉で表現で沢山の著書を残すことが出来ていれば良かったのになあと思います。

 

『同期会』で龍野を訪問した効用で、この年になり改めて『人生論ノート』に触れることが出来ました。内容は今も昔も相変わらず良く分からないような、そして、分からなくても分かったような気分を感じています。嬉しい限りです。

 

 

「物見山」の頂上から遥か名古屋中心部を。山歩きの友人から"名古屋市内から近くて安全な山歩きコース”として「物見山」を紹介してもらいました。標高は328mの低山ですが、初めてのコースで久しぶりに一人だったので、かなり緊張しました。標識も良く整理されており無事に往復出来ました。海上の森センター内を散策する時間も含めて3時間ほど山歩きを楽しめました。2018年11月25日、撮影。

 

 

小雪鍋」です。ホントはこれが本日のメインイベント。

前置きが長くなりますが・・・24節気の一つに「小雪」(=しょうせつ、と読みます)というのがあって本年は11月22日だそうです。僕の長男の誕生日です。そして長男の長女(=僕の孫)の名前が「小雪」(=こゆき)です(『出産読本』2018年3月13日をご参照ください)。大変な巡り合わせと驚きました。

「星たちの座談会・地球号の未来」というブログの11月21日付けの記事に紹介されていました。そして、その記事に掲載されていた料理が「大根麺のヘルシー豚バラみぞれ鍋」でした。冬のあったか鍋レシピコンテストの優秀賞とのこと。僕はこれを「小雪鍋」と名付けました。

●大根をピーラーで細く麺状にする。別途、大根おろしを準備する。鍋に大根麺を敷き詰めて、その上に白菜・ネギ・豆腐と豚バラを乗せ、昆布だしを張る。大根おろしを乗せて温めれば良し。ポン酢等で。簡単ですが大変に美味しい!。大根を麺とおろしで楽しめます。もっと大根おろしを大量に準備すればよかったと反省。ブログのレシピ材料には人参、玉ねぎ、水菜、等々も。2018年11月28日、料理と撮影。