クルルのおじさん 料理を楽しむ

蒼太の包丁

東京、原宿から表参道にかけての交差点。久しぶりに大都会のクリスマスシーズンの景色を見て。「やはり東京は豪華絢爛やなあ」と感じ入りました。この近くの蕎麦屋さんで以前の会社の仲間と楽しく忘年会をしました。2018年12月12日。

 

 

「蒼太の包丁、銀座・板前修行日記」、全41巻を読破しました。と言ってもそれ程自慢することではないのですが。僕としては一気に読まず、じっくりと味わいながら読み終えた面白さです。『知の巨人vs全41巻』(本年9月10日付けのブログを参照ください)で紹介した通り、僕の長女のダンナが僕の誕生日祝いに名古屋の隠れ家に全巻揃えて送り届けてくれました。

 

副題に「板前修行日記」とある通り板前になる蒼太くんの修行物語です。下町の人情味溢れる人々との触れ合いを通じて、蒼太くんが成長していく姿を折々のお料理の紹介も含めて描かれています。ストーリーと料理を一緒に楽しめるのが面白い。

 

料理人、特に日本料理の料理人さんというのは世に言う料理研究家とは全く違う人種なんだなあと改めて納得します。「修行」というのはイロイロな世界、特に職人さんの世界では当たり前のことなのでしょうが、もはや死語になっている分野もありそうかと。一方では、その道を極めるためにわざわざ辛い修行を重ねる若者も出てきているようにも。報道されるのは、それだけ少数だから取り上げられるのでしょうね。自分自身は何年も修行を重ねるのは不得意なタイプだと思ってますが、自分では出来ないだろうと思うから余計に頑張って修行している人は応援したくなりますね。

 

この連載は終盤になると物語がイロイロなところで急展開していくのですが、その一つにまだ一人前の板前でない=修業中の三人組が大衆向けの料理屋に挑戦したい、転向したい、というクダリが出てきます。修行に耐えられない、修行が嫌になったという意味では全くなく、お客さんとフェイスtoフェイフで接することが出来て、お客さんの喜ぶ顔を目の当たりに出来る嬉しさを実現したいという前向きな意味での転向なのですが、僕としては、やはり修行を完遂してから次の展開に向かってほしいなあ、と感じてしまいます。これも年のせいですかね。どうも親父目線でモノを見てしまうのかも。

 

さらに物語では蒼太くん本人を取り巻く環境にも大きな変化が起こってきます。最終章ではそれなりの結末となって終わっているのですが、なんとかく尻切れトンボとも感じる終わり方。やや釈然としないので、僕よりもこの漫画に精通している長女のダンナと真剣に意見交換をしました。”どうも続編があるらしい。既に発売されているかも。そして、続編で、もう少しスッキリした終わり方、全てハッピーエンドの終わり方に繋がっていくのではなかろうか”との見方。さすがに読みが深い。気になったので調べてみると、この連載が終了したのは掲載されていた雑誌そのものが廃刊になったためとか。とにかく一旦連載を打ち切らざるを得なくなったということらしい。そう理解して最終41巻の巻末挨拶を読むと原作者、漫画家のお二人とも「じつは本当の物語はこれからだったりします」とか「わたしのなかでは”蒼太の包丁”はまだ終わっておりません」とかモロに後ろ髪を引かれているようなコメントが記載されていました。人気漫画も雑誌経営との兼ね合いで大変な影響を受けるモノなんですねえ。

 

 

蒼太くんの下宿先の隣に、おばあちゃんが一人でやっている大衆居酒屋があります。立ち飲みのお店、千円でベロベロになるほど飲める安い店=センベロというそうです。蒼太君の弟子=まだ「追い回し」クラス、そして前述の三人組が休日を利用してこの居酒屋のお手伝いをします。普段は本格的な日本料理店で働いている料理人(の見習い)ですから、普段は出来ない大衆料理を工夫する場面が出てきます。イカの煮つけ缶詰めを使ったツマミとか、オニオンスライスの作り方と各種のタレとか。超簡単な立ち飲み居酒屋料理でも料理人のひと手間が加わると次元の違う料理になる。ひと手間の大切さ。面白いですねえ。嬉しいですねえ。

 

 物語は、東京オリンピックに向かって続いていくそうです。いつの日か蒼太くんとその仲間たち全員がハッピーな姿で本当の完結を迎えることを祈りたいと思います。2025年・大阪万博も決まりましたから、そこまで続くかもしれませんね。

 

 

話が変わりますが、「知の巨人vs全41巻」の「知の巨人」というのは小林秀雄さんのことですが、彼の「考えるヒント」には続編が出ており「考えるヒント2」「考えるヒント3」も買ってしまいました。「考えるヒント2」の最初の章は「忠臣蔵」をテーマにした考察で、これはかつて確かに読んだことがあるような微かな記憶が蘇りました。この小林秀雄の切り口は面白い。

この考察には全く関係ないのですが、赤穂浪士が討ち入りしたのは12月14日です。そして、この日は次女の誕生日なのです。大発見したように思ったのでラインで家族のみんなにその旨を発信しました。

瞬時に「今頃何を言っておるの」「前からミンナ知っておるよ」と優しくも棘のある反応が返ってきました。そう云われてみると確かに次女が生れて直ぐに、そのようなことを話題にしたことがあったような。ボケかな。チコちゃんにどなられそうや、こわっ。

 

もう一つ大発見がありますので、めげずに記載しますが、「小林秀雄」の名前と長女のダンナの名前は一字違いだということに気付きました。小〇秀雄、×林秀雄、小林秀△、小林□雄。〇、✖、△、□の一つだけに一文字いれて正解を当てられた方には「今年の一皿」のサバ缶を一個プレゼントします。

  

 

2018年度の「今年の一皿」は「鯖」と発表されました。これはぐるなび総研が「人々の共通の遺産として残すために、その年の世相を反映、象徴する食」を選んでいるものだそうです。「サバ缶」が注目されたことが選定の理由。災害に見舞われた一年、防災意識の高まり=「缶詰め」等の非常食の再評価。および、青魚に含まれる必須脂肪酸EPA,DHA人気を反映したもの。

今年は青魚に凝っていましたので、早速にやってみました。世相を反映してサバ缶料理のレシピが沢山掲載されてましたので適宜参考にさせて頂いて。小松菜、それからやはり”しょうが”ポイントだと思います。青魚の臭みが気にならなくなります。結構見栄え良く出来た(と自己満足)。2018年12月11日、料理と撮影。

ちなみに2017年の今年の一皿は「鳥むね肉料理」、2016年は「パクチー料理」、2015年は「おにぎらず」。なるほどねえ、と納得です。

 

富士山に白雪。晴れた日にお目にかかると何回見てもいいもんですねえ。それにしても最近のスマホの写真の性能の良いこと。「私にも写せます」という古ーいCMがありましたが、嬉しい限りです。2018年12月17日、撮影。