クルルのおじさん 料理を楽しむ

お弁当・考

お弁当シリーズです。2019年6月26日、調理と撮影。師匠のアドバイスで百均でシリコンおかず仕切りを購入しました。確かにスッキリ。のり弁にニラじゃこ玉子炒めのっけ(この日はご飯を少なめに。前日、食べ過ぎたので)。おかずは、ゴーヤ・人参の味噌炒め、キノコの炒め煮、自家製の鶏ハムにラッキョの黒酢漬け(このラッキョは頂きモノ)。スペースが余ったので、ニラじゃこ玉子焼きも加えて。美味しくいただけたのですが・・・。弁当作りも数回目にして既にマンネリの兆しが。最初に作った時の喜び感、面白さが薄れてきております。楽しく継続できるように何か工夫をしなければと・・・。

 

 

弁当は保冷剤を入れて包み、それを保冷バッグに入れて持ち運んでいます。今回も、美味しく頂くことが出来ました。手作りの弁当っていうのは美味しいですよね。作ってもらっても、自分で作っても(今のところですが)。同じ料理を作って、家で普段通りの器に装って食べるよりも”お弁当”として食べる方が美味しいような気がしています。何故かしら。一度、試しに家で食べる時に”お弁当”状態にして食べてみようかと思っています。

 

 

 一方では、すでにマンネリの兆しが。”同じ材料・料理で構成したくない(かといって時間の制約がある)”。そして、”やはり見た目も鮮やかにキメタイ、華やかな弁当にしたい”という贅沢な願望があるのですが、そもそも、それほど料理の幅・技を持っていないし沢山の種類の料理を一度に作った経験も無い訳だから、何回か作れば、すぐに手詰まりになるのは自明のこと。自分の料理のレパートリーをちょっと考えれば当たり前のことなのですが、この矛盾する思いをどうこなしていけばよいのやら。

 

 

僕の料理の原点は『(料理の)本』ですから、やはりここは原点に戻って書斎の蔵書のなかから料理の本を見直しました。平易に言えば、リビングの一角に設置した収納力抜群の本棚に収めてある、溜めてしまった料理本のホコリをぬぐい取り出してみました。アルアル、有るもんです。何冊も。弁当作りのコンセプトの再構築(大袈裟な話です)に役立ちそうな本を見つけました。「きょうの料理」のバックナンバー、「暮らしの手帖・お弁当特集号」、それから、何冊かの単行本。

数多くいらっしゃる高名な料理研究家さんの中でも人気・実力トップクラスのお二人、小林カツ代さんと栗原はるみさんの本がありました(カツ代さんは残念ながら既に他界されています)。

お二人にはこのブログにも登場してもらっています。『ごちそうさまが聞きたくてvs単身おじさんの朝ごはん』2016年10月5日、『本棚』2018年10月20日、等をご参照下さい。カツ代さんの文庫本は沢山ありました。カツ代さんの文章は切れがよくてそれだけでも面白いと思います。栗原さんの本が意外と少なく、これは”多分、図書館で借りて読んでいたから”と思っていましたら、「栗原さんちの朝20分のお弁当」という本を見つけました。”ふーむ、買った記憶が全く無い”。1992年3月第一刷、2006年3月第63刷です。凄い刷数であることに、あらためて感心、司馬遼太郎さんもビックリでしょうね。パラパラと見たら、巻末に本の中で紹介されている料理のIndexが掲載されていました。この分類が面白い。〇大きなおかず・・・●肉、●魚介etc etc、〇中くらいのおかず、〇小さなおかず、〇作っておくと便利なおかず、〇ご飯ものetc、となっています。”こういう分類の表現は上手いなあ”、シリコンカップの隙間をうまく埋めつつ、全体のバランスを良くすること。僕に欠落しているのは、”〇小さなおかず、〇作っておくと便利なおかず”ということに気がつきました。カツ代さんの「時短料理」、栗原さんの「小さなおかず」が僕の弁当作りのキーワードになりそうです。

 

 

そして、もう一冊ありました。「げんきときれいをつくる 五味五色」、パン ウエイさん。日経ビジネス文庫、2013年1月第一刷。この本はよく覚えています。この本も料理レシピの本ですが、中国4000年の知恵=「医(薬)食同源」がベースになっているのが興味深いところです。紀元前8世紀、周王朝の時代、お医者さんは四つの位に分けられていたそうですが、その最高位が「食医」。王侯貴族の健康を維持するため彼らの普段の食事を管理する”医者”です。「病気を治すよりも、病気にならないように」というのが「医(薬)食同源」の考え方であることが分かりやすく記載されています。その分かりやすさの極め付きが「五味を食べて内臓を元気に」と「毎日五つの色を食べる」こと。「五味」は省略しますが、五色は白、赤、黄、黒、緑。カロリーを気にするよりも、五味・五色を毎日きちんと摂ることが肝要!という記載が、大変に印象に残っております。僕が”見た目も鮮やかにキメタイ、華やかな弁当にしたい”と思うのは、大変に理にかなっていることを再確認出来て一人で喜んでおります。「今の食事は五年後の元気をつくる」という言葉も改めて大切にしたいと。

「時短料理」と「小さなおかず」そして「五色を食べる」で、弁当作りのモチベーションを維持したいなあ!と励みになりました。 

 

 

鯱城学園の共通講座のまとめを続けます。僕の備忘録です。お付き合いください。

お題は「健康寿命を延ばそう」。副題に「PPKを目指しての”ある”考え方」と書いてありました。「PPK」というのは”ピンピンコロリ”の略だそうです。良く使われるフレーズで、”亡くなる直前ギリギリまで元気な生活を続けていけるのが理想的な生き方”という意味でしょうが、”コロリ”というのは人様の亡くなるときの有り様を表現する言葉としては何か不適切なような感じがします。あまり好きな表現ではありません。講師は鈴鹿医療科学大学の長村洋一さん。6月26日の講義です。

註:ずっと「健康」をテーマにした講義が続いているように見えますが、僕が欠席した6月12日の講義は「大作曲家の知られざる素顔」(講師は、セントラル愛知交響楽団の山本雅士さん(音楽主幹)と山本洋子さん(同、ピアニスト))。「健康」を軸にしながら、いろいろなテーマを取り混ぜた面白い構成となっています。

 

 

副題の付け方には違和感がありましたが、今回も分かり易い講義でした。冒頭に「健康とは?」=世界保健機構(WHO)が定義する「健康」の定義の紹介がありました。「健康とは、病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態である」。WHOの原文は、

「Health is a state of complete physical,mental and social well-being and not merely the abesence of disease or infirmity.」とのこと。普段、僕たちが考えているのは、健康=病気でない状態、だと思いますが、それよりもずっとレベルの高い・範囲の広い状態と位置付けていることが認識出来ました。心身共に、そして、社会的にも上手くいっている状態。「健康」を「幸福」と置き換えてもおかしくないですから、要は、健康=心身ともに幸せな状態のことと理解しました。健康を維持するというのは、かなりハードルが高いことなのかも知れませんね。

 

次に、腹八分目は本当に医者いらずか?との話題を提供されました。海外の学会での研究=カロリー制限食の赤毛サルと自由食の赤毛サルの罹患率比較の研究等々を説明され「カロリー制限が赤毛サルの病気の始まりと死ぬことを遅らせる」という研究成果を説明されました。この講師の面白いところは、一方からの見方だけではなく、他方の別の見方があることも紹介、説明される点。別な研究論文では「カロリー制限は赤毛サルの寿命を長くしなかった」という発表もされている由です。このテーマに対する、この先生の言いたいことは「カロリー制限をしても低栄養にしてはいけない」ということだと理解しました。

それ以降も、「お酒は『百薬の長』?」とか、「菜食者の種類と死亡リスク」とかの興味深いテーマについて、これらについても一方からの見方に止まらず、いろいろな角度から説明をされるのが面白かったです。同じ文脈で「朝食は学力向上の源」という話では、「全国学力・学習状況調査」の結果として、朝食と学力との相関関係がモノの見事に正比例していることを説明する一方、この調査だけでは、それが本当に朝食をキチンと取っていることだけの結果なのか、はたまた、その家庭環境の差が反映されたものかが不明確であることを指摘され、世間では”調査をして問題をすり替えて説明していることが多い”ことに注意すべきとのお話されていました。官僚・役所批判ともとれるお話でしたが、こういう”モノの見方”の見方を中庸の立場から説明されるのは良いことだと思います。

 

冒頭の「健康」の定義に沿って「健康に関与する食の作用」として、

①肉体的影響=栄養素の供給、体力の維持。②精神的、社会的影響=同じ釜の飯を食う。という見方を説明され、「companion」という言葉の語源は=com~(共に) +pan(is)(パン) +ion(すること)ということで、「食事仲間」と楽しく食事をすることが健康に繋がることを説明されました。納得です。やはり、弁当も皆で一緒に食べるから美味しいのでしょうねえ。元気なお年寄りさんの調査から推測できる健康を支える要素も、①良く食べる、②良くしゃべる、③良く動く、ということだそうです。

 

最後に、ハーバード大学の75年に亘る調査のお話がありました。「ヒトが幸福であるために必要なこと」について、75年間に亘って725人の人達を対象にして詳細に観察した調査があるそうです。2015年にその調査結果が報告されているとのことですが、その調査結果の結論は、

「良い人間関係が、我々をより健康に、より幸福にする。(この長年の調査で分かったことは)ただ、それだけでした。」

とのこと。コンパニオン(=食事仲間)と楽しく食事をすることが健康の秘訣、幸せの極意なんですねえ。 

 

 

「カボチャの花」です。蜂や蝶々、はたまた、風により自然に受粉できるのが一番良いそうですが、自然受粉しない場合には、人の手で受粉させることが必要になる由。雌花が開花するのは午前中の早い時間のみとのことで、この日は早めに農園に出向きました。教えられた通りにやったつもりなのですが、どうなることやら。近くで見たのは初めてですが、ホントに綺麗な見事な花です。別な畝に植えてあるナス、しし唐、とうがらしの若取りをしました。他の方に比べて、僕のナスの生育が遅いような気がしました。やや、心配。しし唐、とうがらしは沢山実っていました。この日は水遣り当番で一人で農園に。台風が接近中で雨が降っているので水遣りは不要でした。2019年6月27日、撮影と収穫(というほどのものではありませんが)。

 

 自分で収穫した野菜(なす、しし唐、唐辛子、カボチャ、とうもろこし、いも、等々)を料理して弁当作りが出来るまでは、弁当作りを継続しよう。お弁当作りも継続は力なり!、キットそうだろう!と気合を入れ直しています。

  

 

 おまけです。

鯱城学園の 園芸講座では、農園での実習だけではなく教室での座学もあります。この日のテーマは「斑(ふ)入り植物の魅力」と題して、園芸家の吉田篤さんの講義。ご自身の農園で野生のランを中心に斑入り植物も含め変わった品種(珍しい品種)を1万鉢以上も育てている方。斑入り植物を沢山持参されて、その面白さを説明され、実際に鉢を鑑賞させていただきました。「斑」の種類もたくさんあって、覆輪、縞斑、中斑、散り斑、虎斑、等々いろいろな名称がつけられているそうです。恥ずかしながら、全く、知らない世界でした。ギボウシ、ニシキササ等の鉢を生徒に無料で配布して頂きました。隠れ家のベランダに鉢植えしました。ニシキササ=「錦笹」です。簡単に挿し木で増やせるとのことですが・・。2019年6月26日、撮影。