クルルのおじさん 料理を楽しむ

晴(耕)ナシ雨読たまに料理

隠れ家のベランダ。ハイビスカスの花が咲きました。三鉢買ったものが一鉢だけ残りました。冬は部屋の中に入れて。元気な緑の葉を着けて背丈も大きくなっておりました。観葉植物と考えておりましたが、きれいな花が咲いてくれました。2019年7月12日、撮影。

 

 

今年の7月は日照時間の不足が顕著のようです。作物の生育に悪影響を与え、野菜の値段が上がっていることがTV・新聞で報道されています。キュウリが高い!。昨年は『平成30年7月豪雨』と『かつて経験のない異常な暑さ』で大変でしたが、今年の天気も困ったものです。7月中旬になっても雨の日が続き、残念なことに楽しみにしていたゴルフが二回も中止になりました。最近、ゴルフは雨の時にはやらないようにしています。レインウエアの機能は昔に比べると格段に向上していますが、やはり、雨に当たると終わってから体が重く、疲れがドーンとくるように思います。年齢を自覚して、無理をしてはいけないと自分に言い聞かせています。同伴のプレイヤーも同じ年代の方がほとんどですから、皆さん同じように考えるようです。天気予報を見て、前日に中止することもあれば、当日、ゴルフ場に集合して話合いの上、中止・延期として解散することも結構あります。

 

 

お陰様で時間の余裕が沢山できました。買った後、積んだままになっていた本を、神奈川の自宅で手当たり次第に読むことが出来ました。自宅に居るときは、カミさんが台所の片づけ、洗い物、炊飯、等々をやってくれます。隠れ家に居る時よりも僕の仕事は少なくて済みますから、朝・昼の食事はカミさんの手を煩わせることなく、自分でチャッチャッと準備して食べるようにしています。僕は納豆と豆腐と卵があれば生きていけます(+野菜)。気が向けば、レシピを見ないでも作れる料理=チャーハン、焼きそば、そして、得意のソーミンチャンプルーを二人分作って食べることもあります。夜は、二人とも予定が無い時には家でカミさんの手料理中心に、または、二人で外に食べに行ったり。それぞれ何かしらの用事があるので別々の時が結構あります。要は、お互いに相手を拘束しない=自分のペースを大切にしての生活を心掛けています。

 

 

中村紘子さんの「ピアニストという蛮族がいる」(1992年1月、第一刷)。この本は月刊の文藝春秋に1990年1月から連載され、その年の「文藝春秋・読者賞」を受賞したもの。本の帯に「大宅賞受賞の名ピアニストが描く”わが部族”の自画像」とある通りですが、音楽に魅入られたピアニストたちの世界、巨匠たちの「奇行」「伝説」を描いたもの。

巻末に実物大のショパンの手の写真とラフマニノフの手の大きさを説明するための鍵盤の写真が添付されています。ショパンの左手を石膏で型どったもの(=これは紘子さんがワルシャワショパン協会から記念に貰われたモノとか)の写真ですが、ショパンの手は女性のモノと見紛うばかり何と細く華奢であることか。一方、ラフマニノフはそもそも身長が2mに達するほどの長身で、手も大きくて柔軟。右手の人差指、中指、薬指でド、ミ、ソを押さえ、小指でオクターブ上のドを押さえ、更にさらに、余った親指を下に潜らせて、次のミを弾いたとか。

僕も手は大きい方だと思うのですが、レッスンを受けていて感じてしまうのは、大切なのは手の大きさそのものより、それぞれの指の柔軟性と独立性かと。僕の指の関節は固くて連動してしまいます。独立性と柔軟性は天性のモノかとやっかみ気分になってしまいますが、練習というよりも訓練!である程度は矯正することが可能とのことです。この写真にも「拷問器具にも似た指の強化器具」が紹介されています。もっとも、ラフマニノフの手が余りにも柔軟過ぎるのは「”マルファン症候群”と言われる、結合組織が侵される遺伝病である」との研究論文も出ているとのこと。ラフマニノフご本人は病気であることを認識しないまま、この病気による眼精疲労、頭痛に生涯苦しんだそうです。

 

 

巻末の資料の写真です。僕は中指と薬指の関節が固いので、ミとソを押さえることも一苦労。ドミソを押さえたままで小指で次のドを押さえる!?。ましてや、そこから親指を下に潜らせるなんて有り得ない、としか言いようがないですねえ。2019年7月20日、撮影。

 

 

紘子さんが大宅壮一ノンフィクション賞を受賞したのは「チャイコフスキー・コンクール」です。これは、僕が読んだ初めての紘子さんの本。元々は1988年11月に中央公論から刊行。僕が読んだのは新潮文庫、2012(平成24)年3月発行のモノ。紘子さんご本人は、ご存じの通り、1965年のショパン・コンクールで入賞と最年少者賞を受賞された世界クラスのピアニスト。後には、この両方のコンクールの審査員を歴任されています。チャイコフスキー・コンクールの審査員は1982年から。この本は、1986年のコンクールを中心に書かれたものです。この本のなかでも紹介されていますが、僕の大好きな小山実稚恵さんがこのコンクールに3位入賞したのが1982年のこと=紘子さんが審査員を務めて最初のコンクールだったのですね。ついでに、ヴァイオリンの諏訪内晶子さんが一位になったのは1990年のコンクール。この時の話もこの新潮文庫版には「ピアニストが聴くペレストロイカ」として追加収録されています。

小山実稚恵さんのことは『同期会・一年の後』(2017年11月12日)、『小山実稚恵さん・讃歌』(2017年12月10日)で書きましたが、ショパンチャイコフスキーの両方のコンクールで入賞した唯一の日本人。小山さんの手は、その筋の方が見ると何千人、何万人に一人の「手」だそうです。

 

 

紘子さんの『蛮族』のなかで印象深いピアニストの一人がイグナッツ・パデレフスキー。ピアニストから政治家、それも独立ポーランドの初代首相になった方。超遅咲きのピアニストとして有名で、爆発的な人気を博したのは31歳の時のアメリカ・デビューとか。国民的な英雄として第一次大戦後のポーランド共和国の初代首相に。「鍵盤のパトリオット」のタイトルの通り、その後、1939年ナチス・ドイツポーランドに侵入してワルシャワを陥落させた時には既に79歳の高齢ながら、祖国救済のキャンペーンコンサートをアメリカで展開。残念ながら、その無理が祟って、1941年に滞在中のニューヨークのホテルで病死された。友人であったフランクリン・ルーズベルト大統領の計らいでワシントンのアーリントン墓地に埋葬されたそうです。紘子さんの本では、「その後何度か故国ポーランドのクラコフ市にあるバーベル城(クラクフのヴァヴェル城)に埋葬しようという動きが起こったが、共産党政権のもとでは実現しなかった」となっていましたが、たまたま調べてみたら、1992年にワルシャワに埋葬された由です。時の移り変わりを感じました。

 

 

紘子さんは、2016年7月に72歳で逝去されました。隠れ家にあった「チャイコフスキー・コンクール」の文庫本を開いてみたら、本文の目次の後にさりげなく「福田章二さんに」と書かれてました。オシャレですねえ。福田章二さん=ダンナさん=庄司薫さん=「赤頭巾ちゃん気をつけて」の芥川賞作家さんです。お二人が結婚された時に、高校時代の友人が物知り顔で言ってたことを思い出しました。

「”赤頭巾ちゃん”のなかで主人公の薫くんが紘子さんのことを話題にして”あんなにキレイな先生についてピアノを教えてもらえれば云々”と書いてある行がある。そのことが切っ掛けになってお二人の交際が始まったのだ!」。

この会話はてっきり高校時代のものと思い込んでいましたが、よく考えると「赤頭巾ちゃん」は東大入試中止の時代を背景にした物語。お二人の結婚は当然もっと後の話。僕の記憶も時空を自由に飛び回るようになってきたのかと。当時、庄司薫さんの本はほぼ全部買って読んでいたように思います。自宅の押し入れを探してみましたが見つかりませんでした。

 

 

今年のチャイコフスキー・コンクール(正式には「チャイコフスキー国際コンクール」)のピアノ部門では、藤田真央(まお)さんが二位に入りました。20歳。ピアノ部門では、2002年に上原彩子さんが初優勝したそうですが、それに次ぐ快挙と報じられています(日経、6月28日記事)。YouTubeでコンクールの模様を見ましたが、演奏時の表情が本当に豊かな良い表情の好青年だと思いました(真央ちゃんですが男の子です、念のため)。益々の活躍を期待したいですね。

 

 

今日は、夕方、僕のピアノの先生が主催する”リトルピアニスト・コンサート”を聴きに行ってきます。毎年開かれているコンサートで今年で6回目。僕が行くのは二回目です。第一部は、小学一年生から中学一年生までの生徒さんそれぞれの演奏。第二部は、チェロとソプラノのお友達が共演して先生のピアノ・コンサート。”発表会”と言わずに子供達の”コンサート”としているのが先生のコダワリです。子供達が緊張しながらも真剣に一生懸命に演奏しているのを聴く(見る)とホントにすごいなあと感心します。

 

 

本年3月19日のブログ『居酒屋ヒデさん』を参照ください。シェフ・ヒデさんの料理です。前回は写真を撮るのを忘れたので、今回はチャンと撮ってきました。

豚の角煮とゆで卵、鶏肉と豆腐の「棒々鶏風」サラダ、アボガドとマグロのサラダ、イワシのマリネ、エビとマッシュルームのアヒージョ、ラタトゥイユ、すべて手作り。イワシは自分で三枚に下ろした由。それとバゲット、ビールとワインで堪能しました。牛若丸の「新」(あらた)くんとも遊べて楽しい時間を過ごせました。2019年7月14日、撮影。

 

『居酒屋ヒデ』さんは以下をクリックください。張り付けるワザをブログの師匠から教えてもらいました(2019年8月28日、更新)。

kururupapa.hatenadiary.jp