クルルのおじさん 料理を楽しむ

鯱城学園・共通講座、二題

鯱城学園、園芸講座。お題は「秋の山野草」、講師は園芸家の吉田篤さん。前回、6月26日「斑(ふ)入り植物の魅力」に続き二回目の登場です。夏の終わりから秋にかけて花をさかせる山野草のお話です。ご自分で育てられている鉢をたくさん持参して頂きました。ダイモンジソウ、ホトトギス、シャジン、野菊等々。今回も、珍しい貴重な品種にまつわる園芸業界の生々しい話を面白くお話して頂きました。次週の講座では、文化祭の時に出展することになる「苔玉の作り方」を教えて頂く予定になっています。2019年10月23日、撮影。

 

 

 

鯱城学園、共通講座のまとめです。僕の備忘録として記載していますが、毎回、その筋ではかなりレベルの高い先生の講義なので、一読して頂ければ面白い内容かと。

 

 

10月16日の共通講座です。お題は「老人語力を伸ばそうーー多世代共生の時代」、講師は成田徹男さん。専門は「言語学」。昨年まで名古屋市立大学の人間文化研究科の教授をされていた方です。講義の前に「ちょっと前置き」と「一つのお願い」がありました。今までの共通講座の経験からは、講義を離れての雑談の類の方が圧倒的に面白い。今回も何をお話されるのか興味深々です。

 

「ちょっと前置き」は成田教授の大学の話でした。名古屋市立大学は元々、医学・薬学・経済学の三学部からスタート、それに、人文社会・芸術工学・看護が加わり、さらに、総合生命科学が加わったユニークな市立大学とのこと。名古屋大学を”メイダイ”というように、名古屋市立大学も短縮形が使われる。メイシダイ=名刺の大きさか!?と笑いを取られました。笑いを取った後ホントに伝えたかったことは、この成田先生の人間文化研究科は「社会人向けに夜間も開講し長期履修が可能な制度を設けている。2年間の授業料で修士論文を仕上げるのに4年かけて良い(4年間、在学できる)。最高齢の方は78歳で入学された。鯱城学園も良いが是非”メイシダイ”にも来てほしい!」と。大うけでした。僕は大変に良い制度であると思います。 

 

「ひとつのお願い」は、英語表記でも日本人名は「姓」を先にしよう!との呼びかけ。中国、アジア圏の国々で苗字を先に記載・読み方している姓名に対して英米のニュース等では、その通りの記載・読み方をしているのに、日本人に対しては相変わらずシンゾー・アベと言われている。アベ・シンゾーと読んでもらいましょう。一致させましょう!という呼びかけです。僕は大賛成。英語で記載・話すときも、普段使っている通りの通りの姓・名の順で記載するほうが良いと思っています。先生の話では、最近の学生さんは既に「姓」を先に記載する方がかなり多くなっているそうです。

 

 

本題の講義の骨子は、以下のようなものでした。

●「言葉」は時代、場所、社会・職業・集団で変化する。変化することに抵抗するのは「むだな抵抗」と言われるが、決して「むだ」ではないはず。「あえて言葉の変化に”あらがおう”」というのが、この先生の主張です。

●そして、子供のころに使った言葉、「老人語」では響きが悪いので可愛らしく「じいじ語・ばあば語」を駆使して「言葉コスプレ」を楽しもう。「言語は伝達手段であると同時に、話し手の自己意識、自分らしさをかたちづくる」というものです。

 

 

「老人語」という言葉は辞典にチャンと載っているそうです。「すでに多くの人の常用語彙の中には無いが、高年の人には用いられており、まだ死後・古語の扱いは出来ない語」とのことです(三省堂の「新明解国語辞典 第七版」)。最近では「老人語」という用語は避けられており「ナニナニの古風な表現」とされているとか。先生のおっしゃる「言葉コスプレ」というのは、このような言葉をそのまま死語にしてしまうことが無いように、それを利用して「老人キャラ」を楽しもう、積極的に使って「老人語力をのばそう」というもの。古い表現を利用して、上品なおばあさま・おじいさまを演じる、ガンコじじい・文句ばばあを演じる、こだわり老人を演じる、頑張り老人を演じる。「じいじ語・ばあば言葉」を利用してイロイロな老人のキャラを演じて楽しむ。言葉の変化にあらがおう、との主旨です(だと理解しました)。

  

 

講義の流れ・先生の主張は100%は理解出来なかった様に思いましたが、随所に面白いお話がありました。「テクシー、アベック、ナウい、チョッキ、とっくりセーター、ウルトラC、等々」も古臭いし、すでに死語(の予備軍)だと。その通りですねえ。「ナウい」は、かつての若者のはやり言葉ですから敢えて復活させる意義は無さそうに思いますが、僕はいまでも「ナウい」と言ってしまう時があります。「その”ナウい”という表現はナウくないよ」と返してくれるのは同年配の方だけですね。

一方、NHKの「花子とアン」で復活した「ごきげんよう!」は、良い言葉だなあと思いました。当時、若い世代の方、娘達も真似して喜んでいたように思います。死語、古語、老人語、古風な表現、と言っても中身がイロイロとありそうですね。古語、古風な表現は、大切にしたいように思います。

 

 

慣用句の一部で、かつて誤用が多かったものが、本来の意味に理解されるようになったのもあるそうです。平成24年度(2012年)の文化庁国語に関する世論調査」では、「役不足」「流れに掉さす」「的を射る」等の言葉・表現が、平成14年に比較すると、正しい意味の回答が増えていたそうです。正解が向上した理由は「日本語ブーム」「クイズばやり」「マスコミの報道」「教師の努力」等々だそうですが、先生に言わせると、とにかく皆が「あらがった」からだと。僕は「日本語言葉クイズ」が影響しているのではと思いますが。

 

偶々ですが、10月30日の新聞に2018年の文化庁の同調査が掲載されていました。「天地神明に誓って」vs「天地天命に誓って」、どちらが正しいと思いますか?「砂をかむよう」「憮然」の本来の意味は?結構、難しいですね。この調査では残念ながら”誤用”が増加しているとのことでした。はい、僕ももっと自分自身で「あらがう」必要がありそうに思いました。

 

 

 

 次の共通講座は10月23日、「人生100年時代をどう生きるかーーー認知症を予防して健康寿命を伸ばそう」です。講師は、NPO法人「健康な脳つくり」理事長の西野仁雄さん。名古屋市立大学の元学長をされていた方。二週続いて「メイシダイ」の先生が登場です。

 

 

こちらは鯱城学園講座の「鉄板」テーマ(僕は「鉄板」という言葉の使い方を最近までピンと来ておりませんでした。これも何年かすると死語になるんでしょうかね)。西野先生は認知症予防の第一人者だそうです。認知症の予防=脳を活性化する=日ごろの生活習慣(食・運動・人との交流)に留意することが大切であると。そして一人暮らしで家に閉じこもりがちな人が増えてきていることに対して、地域=「町内会」の果たすべき役割の大切さを指摘されていました。

 

 

人間の脳は手・足・口をよく使うことにより発達したそうです。従って、普段から手・足・口をよく使えば脳は活性化される、ということです。そのためには、①食、②運動、③人の輪の中に入ること。①食についていえば、バランス良い食事、よく噛む、腹八分目がキーワード。②運動については、先生ご自身が歩くことに難しさを抱えられており、ご自身で開発協力した「高反発クッション」、「高反発グリップ」を紹介されていまいた。ハードな運動は必要なく、ゆっくりでも十分。三つの動作を同時にやることが、脳の活性化に効果的であると。足フミをしながら手でグリップして大きな声をシリトリ遊びをする。

 

 

そして、さらにより強くに脳を活性化するには、④好奇心・向上心を持つ。趣味を楽しむ、⑤感動する心、感謝する心を大切に、⑥よく眠る!。心の持ち方によって、脳を作り変えていくことが出来ることが解明されているとのことでした。途中、「30秒間、大きな声を出して笑う!」、ことを会場の全員でやりました。大変なエネルギーを費やした感があり、あとは爽快な気持ちになりました。ほぼ同じテーマの講演をこの共通講座で既に何回も聞いたように思いますが、こういう話は機会がある度に聞かせてもらうのが良いと思うようになっています。

  

 

 その日の園芸講座。冒頭の山野草に加えて、次週教えていただくことになる「苔玉」の鉢も見せて頂きました。果たして、こんな立派なモノを作ることが出来るのかしら?2019年10月23日、撮影。

 

 

 おまけ。当日のお弁当です。 

得意のノリ弁に野菜のてんぷらのっけ(レンコン、カボチャ、ナス)。おかずは、竹輪とアスパラのてんぷら、サトイモ、ザーサイ、大豆の揚げ炒め。のり弁ご飯には持参した出汁を掛けて食べました。てんぷら丼風になってなかなかに美味しかった。大成功です。2019年10月23日、料理と撮影。