クルルのおじさん 料理を楽しむ

豊田市美術館

豊田市美術館の茶室の庭。モミジが鮮やかでした。今年初めての紅葉の景色です。2019年11月24日、撮影。

 

 

11月24日(日曜日)、弁当を持参して豊田市美術館に行きました。前日の夜の時点では、それほど寒くはなさそうな、むしろ暖かいくらいの天気予報でした。”よし、思い立ったが吉日である。久しぶりに一人でのんびり散策に行こう!”と。せっかくだからお弁当を持参して行くことにしました。”美術館の展示を見た後で、一人のんびりと美術館の庭で弁当を食べる姿をイメージ、ふむふむ、なかなか面白そうな趣向だ”、と一人満足して準備しました。

 

 

豊田市美術館は、1995年の開館。美術館建築で有名な谷口吉生さんの設計で、庭園は米国のランドスケープ設計家のピーター・ウオーカーさんによるもの。「展示のみならず建築と建物を含めた美術館全体を楽しんで下さい」とHPにも説明されています。

 

 

この数日前、ドラゴン先生との定例反省会に、地元の大手放送メディアで長くプロデューサーをされその後には経営のトップになられた方を迎えました。この方の参加は二回目。既に第一線は退かれているとは言え、まだアドバイザー的な関与をされている半分現役の方。このブログにはこれからも登場してもらうことになろうと思いますので、とりあえず「モッタさん」としておきます。年齢は僕より2歳下(多分)。人品骨柄申し分なし、知性と理性、感性の素晴らしい方、お仕事柄からイロイロな分野で幅広い高い水準の見識をお持ちであります。もちろんユーモアたっぷり、駄洒落も大好き。もう一人の常連メンバー「ウナル役員」はずっと若手になるので、いつもドラゴン先生と僕を立てて(ちょっと遠慮して)会話に加わっているので、ほぼ同年配で忌憚なくお話が出来そうな「モッタさん」は大歓迎です。期待通り、いつも以上に盛り上がりお酒が進みました。

 

談論風発、日本文化を醸成する風土について、現在の政治情勢について等々、いつになく真面目な話題が飛び交いました。年齢が少しは近いモッタさんの参戦でウナル役員もいつも以上に会話に加わる機会が増えたような。堅い話だけで収まる訳はなく、例によって「ご飯が美味しいvs糖質制限」の話題はもちろん、ラーメン本気のチャンポンの話まで。何かのきっかけで(多分、ドラゴン先生が「直島」の美術館の話を出したから?)モッタさんが豊田市美術館の紹介をしてくれました。

 

挙母藩の七州城跡、高台にある美術館で敷地内にある庭園の風情、高橋節郎館からの景色が好きである。何度か一人で行ってのんびりと時間を過ごしたことがある”由。モッタさんが話をするとその情景が目に浮かぶようで大変に興味を持ちました。何でも知っているドラゴン先生は当然よくご存じで、まだ、行ったことが無い僕を哀れむような目線で「よかったら又、大人の遠足、第二弾を企画しますよ」と暖かい言葉をかけてくれました。お言葉に甘えて、その通りにさせてもらおうかなと一瞬思ったのですが、このところ、やや考えるところがあり、今回は一人で散策してみようと思い立ちました。

 

 

”どうも最近、自分は群れ過ぎになっておる”。鯱城学園に通いだしてから改めて新しい交友の輪を広げることを学び、その大切さを肌で感じているところなのですが、”人間あまり群れ過ぎはイカン、連みすぎはイカン”と最近、感じるようになっておりました。天邪鬼の性格がなせる感覚なのか、アタマかココロの何処かで何かが警鐘を鳴らしているような。

 

そのタイミングでのモッタさんのお話でした。これは何かの啓示かと。隠れ家に帰り早速調べてみたところ、それまで中止されていた展示が11月23日(土曜日)から再開されることになっていました。休館であれば行こうと思うはずはない、これもまた一つの吉兆、巡り会わせに違いない。天気予報を見て、日曜日に行くことにしました。

 

 

美術館では11月23日から造形作家の岡崎乾二郎さんの「視覚のカイソウ」(Retrospective Strata)が展示されておりました。作品の面白さと谷口吉生さん設計の美術館そのものの面白さを楽しめました(ただし、日本語のタイトルは全く”ナンのこっちゃわからへん”。隠れ家に帰って英語の辞書を引いてやっと理解出来ました。”もうチョット工夫して欲しいなあ”とマジに感じました)。

順路に沿って回り、美術館を出たところに大きな池が。地形の妙です。ランドスケープアーキテクトなるものの面白さが少しは分かるような気がしました。自然な流れで歩いていくと「高橋節郎館」があります。モッタさんのお気に入りの庭園と建物。ここにも足を踏み入れました(美術館の入場券を購入すると高橋節郎館」にも入場出来ます)。恥ずかしながら僕は高橋何某さんがどんなお方か全く存じておりませんでした。漆芸家。1914年生まれ、2007年までの生涯を通じて新たな漆の表現に挑み続けられた方。艶やかな幻想的な作品がたくさん展示されていました。なかでもグランドピアノとハーブに金銀の装飾を施した漆塗りの作品に驚きました。これらの楽器は折に触れて実際に演奏されているそうです。この空間で、このピアノとハーブの演奏を聴く機会があれば、是非に聴いてみたいものだと本気に思いました。 

 

 

 節郎館を出て池の周辺を散策。池の周りの石畳みに腰を下ろして弁当を広げました。地域の写生大会が開催されていました。家族連れの方がたくさん来場されています。それぞれに芝生の上でシートを広げたり、キャンプ用の椅子を持参したりして昼食を取られています。子供たちは熱心に絵を描いていました。のんびりと穏やかな景色です。一人で食べていてもホンワカと暖かいお弁当でした。

   

 

弁当です。得意のノリ弁に野菜のてんぷら(なす、さつまいも、かぼちゃ)とパラパラ玉子のっけ。おかずは、砂肝と人参の葉の揚げ焼き、フライドポテト、竹輪と紅しょうがのてんぷら、大豆の花淑炒め揚げ。揚げ物ばかりなので、農園で農家さんから直接に買った美味しいトマトときゅうりを詰め込んで。おかずはすべて手作りです(=全て酒のつまみ。この時も一瞬、ビールを持参すればよかったと思ったのですが、”いやいや、この場所にはアルコールは似合わない”と自分を納得させました。まだアル中ではなさそうです)。

  

 

茶室、縁先の手水鉢に紅葉の葉が浮かんでいました(浮かべられていました、というのが正解なんでしょう)。今年「苔玉」を作り、来年は「盆栽」にトライするであろう園芸科の学生の立場からは、この鉢の周辺の「苔」に目が行ってしまいました。なかなかの風情ですね。

 

お昼のあとは茶室に。「童子苑」という茶室では立礼(りゅうれい)席が準備されておりテーブルと椅子の席で気軽にお茶を頂けます。お茶菓子付きで350円也。この日は季節にピッタリの「モミジ」の和菓子でありました。ちなみに庭園、お茶室等々は、美術館への入場券無しでも利用することが出来ます。

 

久しぶりに一人時間をのんびりと楽しむことが出来た一日となりました。この場所を紹介してくれたモッタさんに感謝です。

 

   紅葉の一人べんとう拳母城    孔瑠々