クルルのおじさん 料理を楽しむ

令和元年12月

久しぶりに名古屋能楽堂に能を観に行きました。曲は「卒塔婆小町」。作者は観阿弥と言われており、老女物の狂女物(四番目物)です。宝生流シテ方、衣斐正宜(いびまさよし)さんの舞台生活65年記念能として12月7日に「卒塔婆小町を観る会」で上演されました。「能楽者となった者、いつかは舞いたいと思うほどの魅力のある奥深い曲」とごあいさつに記載されていました。至難の大曲だそうです。

梅原さんの「梅原猛の授業・能を観る」を読み返していたら、第二章(第二時限)に登場している曲で、観阿弥の最も優れた作品と紹介されていました。梅原さんの授業が面白いので、一度、観てみたいと思っていたのですが、タマタマこの記念公演があることに気づいて足を運びました。

仕舞「岩船」と能「卒塔婆小町」で二時間たっぷり、大変な大曲です。解説講演をされた作家・国文学者の林望さんの話では「観阿弥のオリジナルはもっと長ーい作品であったものを、子の世阿弥が今の形に切り詰めた」とか。能はもう少し勉強してみたいなあと思っていますが、大曲・大作を鑑賞するのには体力が必要なことを痛感します。

拙い知識ですが、宝生流は「謡宝生」と言われるシテ方流儀で、さすがに重厚な謡と舞であったと思います。機会があれば「能」についてはまた書いてみたいと思っています。

写真は、前日に切符を受け取りに行ったのですが、その日が舞台施設公開日であったので中に入らせてもらい誰もいない能舞台を撮影したものです。2019年12月6日、撮影。

 

 

あっという間に12月。今年も、早くもカレンダーが残り一枚になりました。イロイロなことがあった年だと感じます。世の中の先生と呼ばれる方々が、あちこちで走り回っている月になりました。日本には「秋」という季節はもう死語になったかと思わせるような急な冷え込みかたです。身体が寒暖の変化に追いついていかないような気がします。皆さま、くれぐれもご自愛のほど。

 

 

今回もまた、鯱城学園の共通講座、二題です。文化祭のあとの11月の共通講座の二回分です。書き続けていると中断させるのが何やら縁起が悪いような、しっくりとこない気分になるので記載を続けることにしました。僕の備忘録として書いています、お付き合いください。12月にあと二回、共通講座があり、そのあと冬休みになります。

 

 

2019年11月20日の共通講座『運動で頭もからだも元気』、講師は東海学園大学 島岡清先生。鯱城学園の共通講座の鉄板テーマです。

 

運動をしないことが生活習慣病リスクを大変に高めることを丁寧に説明して頂きました。そして、歩くことの大切さ=歩行能力を維持することの大切さを力説され、最後は「どこでもできる簡単な運動」を舞台の上で実際にやって頂けました。先生は72歳とのことですが、その動きの軽やかなこと。驚きです。

 

2019年9月の時点で日本の65歳以上の高齢者数は 35.9百万人。総人口の 28.4%を占めるそうです。男女別には、女性は全人口のうち 31.3%が高齢者、実に約三人に一人が高齢者になっています。男性は同じく 25.4%、約四人に一人が高齢者です。以前から言われていることですが、改めて指摘されると”なるほど、街を歩いていても地下鉄に乗っていても「年寄り」が多く目につくのは当然のことなんや”と実感させられます(自分のことを棚に上げての感覚で申し訳ありません)。

 

そして、最近の厚労省の調査「国民生活基礎調査・2016年」を基に要介護の主要原因についての説明がありました。今まで『脳卒中』が介護保険制度が始まって以来(2000年(平成12年)にスタート)ずっと主要原因の第一位をしめていたものが、最近では、『認知症』が一位となっているそうです。

 

要介護のうち、要支援1~2レベル(比較的軽度なレベル)では主要要因は運動器の障害ないし機能低下であり、要介護1~5(比較的重度なレベル)では認知症が圧倒的に多いそうです。運動と認知機能との関係が強くあることを説明して頂き、高齢者の健康づくりには「ロコモ予防」が重要であることを説明されました。

 

ロコモティブシンドローム(略してロコモ)=運動器症候群。関節・骨・筋肉等の運動器が衰える結果、要支援・要介護になる危険性が高い状態のことで、その予防には運動器の機能向上のためのトレーニングが必要だということです。

 

運動の効用として最近、分かってきたことです。①運動は脳の血流量を増加させる(加齢に伴い低下することをカバーできる)。②運動(特に有酸素性運動)は海馬の容積を維持あるいは増加させる(海馬は記憶・学習との相関が高い)。③運動はアルツハイマー病の発症を抑制する。④更に、最近の研究では筋肉を鍛えることで認知機能が向上する可能性があることも分かってきていると。

 

ということで、高齢者の認知症予防のためには、ウオーキングなどの有酸素運動が重要であり、更に最近では複合的な運動(これは「コグニサイズ」と言われているそうです)が効果的であると。

また、歩行能力の低下が認知機能の低下や認知症発症の危険と関連があることが分かってきているそうですが、特に、歩行速度が低下することが危険信号とのことです。

 

という訳で「どこでもできる簡単な運動」を紹介して頂きました。歩行能力ですが、いくつになってもトレーニングを続ければ筋量は増やすことが出来るそうです。大腿四頭筋、大腰筋を衰えさせないようにイメージしてトレーニングを続けることが大切とか。

 

紹介された運動の例と注意事項を記載しておきます。

1.足(くるぶしから下)の運動=足裏の筋肉を鍛え、偏平足・外反母趾を予防する。

①足の指を使ったグー・チョキ・パー体操。②足の指を使ってタオル・てぬぐいを引き寄せる。

2.足首を使う運動=血流を良くする。脛とふくらはぎの筋肉を鍛える。

①つま先を伸ばしたり引きつけたりする。②つま先、かかとを回す、ワイパー上に動かす。③かかとを床につけて、つま先を高く上げる(一回5秒程度)。④つま先立ち。

3.膝関節、股関節まわりの運動

①(座って)膝伸ばし(足首に1㎏の重りをつけると効果的)。②膝にボールを挟んで締め付ける。③もも上げ。④椅子から立ったり座ったり(ハーフスクワット)、ゆっくりと。⑤横臥位で、上側の足を数十センチ持ち上げる。⑥仰臥位で膝を90度曲げお尻を持ち上げる(肩、腰、かかとが一直線)。

4.ウオーキングのバリエーション=筋力、バランスを鍛える。

①大股歩き(目いっぱい「大股」で)。②横歩き(同じく、目いっぱい「大股」で)。③小股歩き(足あとが繋がるほど狭めて)。④チェアウオーキング

注意事項:①力を入れる時は数を数えながら、息まない様に注意。②全力は出さない。7~8割程度の力で。③痛みを感じる時は止める。痛くない範囲で行う。④原則1セット10回、余裕があれば3セット行う。一度に行えない場合は、何回かに分けてやれば良い(総回数が大切だそうです。分けてやれば良いと指導されると随分と気持ちが楽になりますね)。

 

4-①の大股歩き、というのは単に大股で歩くのではありません。後ろの足を動かさずに目いっぱいに片方の足を前に出す。重心は極めて低くなり、後ろ脚の膝は地面を擦るくらいに。「歩くスクワット」と表現されていました。街のなかでは出来ません。回りの人がビックリします。舞台で実演されましたが、軽やかな動きでした。後日、公園でやってみましたが大変に負荷がかかる運動です。最初は、まっすぐにバランスを取って進んでいくこと自体が難しいほどでした。お試し下さい(無理をしない程度に)。

 

今更ながら、故日野原さんが歩くことを大切にされていたことを思い出しました。講義でも、階段の二段歩きは大腿四頭筋の強化にお薦めとのことでした。日野原さん、エライ!。

 

 

続いて、2019年11月27日の共通講座『ボランティア活動と地域社会づくり』。講師は、地域ボランテイアグループ「かがやき」代表の近藤京子さん。女性ですがご自分で年齢を開示されました。75歳。当然、とてもそんなお歳には見えません。名古屋市瑞穂区を中心に、すでに30年近くボランテイア活動を継続されている方です。自己紹介の後「ボランティアってなに?」という切り口からお話を始められました。

 

「ボランティア活動とは、『自発性』を軸にする活動とのことです。自己犠牲、献身ということではありません。何よりも他者からの命令や強制ではなく、自ら進んで自分の持てる力を他者や社会の為に役立てていく活動」と説明されていました。近藤さんが肝に銘じているのは①私がやりたくてやる活動=自発性、②誰かの役に立つ活動=社会性、③経済的な見返りを期待しない活動=無償性、と考えていらっしゃると。立派な心構えだと感心しました。

 

 「(ボランテイア活動には)誰かを支える喜びがあり、そして、いつかはこんな風に支えて貰いたいという側面があるように思う」と 素直にお話をされているのが印象的でした。電話育児相談員の活動、その後「手話」通訳者育成講習会に参加したお話、さらに、地域に根差した活動、孤立している高齢者に対する活動を紹介された後、最近は「ひたすら相手の話を聴く不思議なボランテイア活動『傾聴』」のお話をされました。これはマジに傾聴に値します。『傾聴』とは「自分の口をとざす芸術」だそうです。相手を尊重するルールがあるそうです。曰く「アドバイスをしない、説教しない、結論を出さない、自分の考えを押し付けない」。その為に大切なことがあると、曰く「笑顔で接する、うなづく、前かがみで対応する、あいづちを打つ、否定言葉は使わない、そして、最後まで聞く」こと。これはなかなか出来ることでは無さそうに思います。ボランテイア活動で無くても、普段の、日常の生活でも必要なスタンスであろうと大変な反省材料に聞こえました。

 

素晴らしい講義で、ボランテイア活動、特に『傾聴』には目から鱗の思いでした。ただし、講義の最後のほうで、家事はボランティア活動か、というテーマでお話され「家事も立派なボランテイア活動ですよ」とおっしゃった(と理解した)のですが、これはシャレでおっしゃったことなのかよく分かりませんでした。根本的に意味合いが違うように思うのですが、いかがなものですかね。

 

 

 僕の神奈川の家の近くのショッピングセンター=大型商業施設が11月中旬にオープンしました。「南町田グランベリーパーク」。隣の駅なので散歩がてらカミさんと一緒に晩御飯を食べに出かけました。東急グループが二年間かけて再開発した施設。230以上のお店があると。アウトレット、飲食、それから、アウトドア関連に特色があるらしいです。お値打ちの食事処を見つけて、子供たち家族と一緒に行きたいものです。すでにクリスマスシーズンの飾り付けがされており、土曜日であったからか大変な人だかりでした。 2019年11月30日、撮影。