クルルのおじさん 料理を楽しむ

「食の起源」と「雑食動物のジレンマ」

東急田園都市線の南町田グランベリーパーク駅です。駅のホームでスヌーピーがお出迎えしてくれています。前回、ク「リス」マスの写真が評判良かったようなので、二回目の紹介です。カミさんと再度の訪問。今回はシーフード・レストランに行きました。美味しかったです。ちなみに、パーク内には「スヌーピーミュージアム」があり、12月14日にオープン予定となっています。アメリカ、サンフランシスコの本家以外では、世界で一つだけの公式サテライト=分館とのことです。 2019年12月9日、撮影。

  

 

NHKの番組「食の起源」シリーズを見ました。第一回は、ご飯・米です。この番組のことは偶然に、TOKIOの太一君に教えてもらいました。太一君は「男子ご飯」で栗原心平ちゃんと共演しています。心平ちゃんのお料理と二人の丁々発止の掛け合いが面白く録画してみています。40歳過ぎた男の子を君付けは失礼かと思っていますが、清潔感あふれる好青年(に見える)。彼が「チコちゃんに叱られる」に出場して、冒頭でいきなり正解しました。お馴染みになった「つまんないやつだなあ!」と言われたのですが、直ぐ後に「食の起源」の一部が紹介され、それに出演していた太一君がチコちゃんの質問と同じ内容の話を聞いて驚いているシーンが映されました。岡村(なぜか呼び捨てです)も感心してうなずくほど、NHKも面白い番組予告紹介をするもんだと感心しました。もともと大変に関心の高いテーマだったで録画も準備して放送を見ました。

 

 

アナウンサーとTOKIOのメンバーが進行役、女優さんと大学教授がコメンテーター。現在の我々は何をどう食べればよいのか?という難しい命題に対して、生命・人類の40億年の進化を通してその答えを模索しようとするもの。そして、その模索の結果として、ご飯・お米=糖質の重要性を改めてアピールするものでした。

 

●32億年前の地球、植物プランクトン光合成で酸素と糖を作るようになった。そして糖を食べてエネルギーを生み出す微生物が現れた。自分では糖を食べられない単細胞生物がその微生物ごとまるごと体内に取り込んだ。その結果、20億年前から生物は糖からエネルギーを取り込むことが出来ている。今でも細胞の中にあるミトコンドリアはこの名残である。

● 700万年前の人類の祖先、弱小の生物であり、捕食して肉を食べることが出来る力はなかった。細々とナマの木の実、地下茎を食べていた。200万年前に「火」を使うようになり木の実を焼いて食べた。デンプンがブドウ糖に変化し、祖先は「甘い!という食の喜び」を知るところとなった。ブドウ糖は脳を刺激、神経細胞が成長=脳が成長、巨大化することにより祖先は道具を使い、仲間との結束・連携が出来るようになった。

●1万年前、農耕の始まり。3000年前、日本でもコメを栽培するようになった。

 

この番組がアピールしている点は、でんぷん=糖質は人類がずっと取り続けているものであり、コメは、でんぷん豊富であるだけでなく、その隙間にはたんぱく質、更に植物繊維・ビタミン・ミネラルまでを含む栄養源として優れたものであるということ。

また、シモンズ大学の教授、コメンテーター役の慶応大学医学部の教授さんが「昨今の低糖質ダイエットは半年から一年程度の期間は効果はあろうが、健康な人が続けると栄養のバランスが崩れてしまい、動脈硬化、ガン、脳梗塞のリスクを高めることにもなりかねない」と警鐘を鳴らされていました。

そして、番組としての結論=最適な摂取バランスは糖質を50~55%程度、毎食時に、ごはん一杯程度を取るのが良い!というものでありました。

 

 

 「ご飯は最高の健康食」vs「糖質オフ!健康法」で記載した通り、この問題は僕とドラゴン先生の間では永遠とも言えるテーマなのですが、この番組の内容は僕にとっては正に我が意を得たり! のものでありました。

 

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早速、ドラゴン先生にメールを送りました。すぐに反応があり。予想通り、ちゃんと番組を観ておられました。そして「以前からこういう見方はあります。目新しい話ではありません。また、次回にゆっくりと議論しましょう」と。まったく動ぜず、ガンコというか、とにかく軸がブレないお方です。あまりに動じない姿勢に逆に関心するほどでした。

 

 

話がちょっと脇道に逸れますが、この放送の前後、たまたま図書館でマイケル・ポーランの「雑食動物のジレンマ」(ハードカバーの上下二冊モノ。東洋経済、2009年11月第一刷発行)を見つけて読んでいるところでした。本の前書きに「2002年当時、NYタイムズマガジンの記事が切っ掛けになり、全米が炭水化物恐怖症に陥っている。何を食べればよいのか訳が分からなくなっていることが、この本を書く切っ掛けになった」と記述されていました。

”これは面白そう!”。

著者のマイケル・ポーランは1955年生まれ、UCLA教授、ジャーナリスト。人間と自然が交わる世界を描き続けている方。以前「COOKED:人間は料理をする、上・下」を大変に興味深く読んだことを思い出しました。こちらの続編かと一瞬思いましたが、順序は逆でした。「COOKED」は2014年3月初版第一刷発行。以前のブログでも記載したことがありますが改めて埋め込んでおきます。

 

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2002年当時、アメリカで炭水化物恐怖症的な観点から”何を食べればよいのか?!”ということが社会問題になっていたのは、僕自身は余りピンと来ていませんでした。NHKの食の起源が「進化」にその答えを求めようとしたのに対して、マイケルさんは”いったいアメリカ人は何を食べているのか(食べさせられているのか)、食物連鎖を大地から食卓まで追跡しよう、自分の目で確かめてみよう、自分自身で体験してみよう”とアプローチしたわけです。マイケルさんは「COOKED」でもそうですが、とにかく自分で動いて感じることを大切にしています。タイトルの「雑食動物」というのは、もちろん人間のことを言っているわけですが、現代の雑食動物アメリカ人の食事を三つのジャンルに括ってそれぞれの切り口から追跡をしています。三つのジャンルは象徴的な意味も込めて、①トウモロコシ、②牧草、③狩猟・採集、という括りからなっています。

 

①トウモロコシは、農業の工業化のシンボルとして、化石燃料依存の農業の象徴として取り上げられています。本来、多様性そのものである農業が産業資本と市場のニーズ(と思われるもの)により大規模単作農業に変化した。化学肥料・農薬が投入され反芻動物の胃の機能が変化、抗生物質が投与されることに。そして残酷とも言える加工処理工場。「大地と食卓の結びつきがなくなり、食体系が工業的な生産ラインで管理されるようになってしまった。人間の活動が引き起こした温室効果ガスの1/3は工業的農業に起因している」と大変に厳しい指摘です。

僕は若いころアメリカからの大豆・トウモロコシ等々の食糧の取り扱いをやっていました。アメリカ農業の力強さ、素晴らしさを感じている側の人間なので、やや一方的すぎる見方ではなかろうかと感じてしまうところが多々ありましたが、マイケル流の自分自身で現地に足を運び、体験したことをベースにレポートしている姿勢は(自分の体験に基づく局部的な見方に陥りやすいとの批判も勿論あるようですが)大変に説得力のあるものだと思います。

②牧草は、農業の多様性の象徴として捉えられています。土壌が劣化しない、肥沃さを維持する食物連鎖の基盤であると。本来のオーガニックの原点と位置付けているのですが、マイケルさんも取材を進めるにつれて、本来のオーガニックと別に「工業的なオーガニック」が増加していることを気づいてしまい、オーガニックをわざわざ「当たり前のオーガニック」と「工業的オーガニック」とに二分類せざるを得ないほど。ここでも厳しいながらもフェアーな記載がされています。

③狩猟・採集は、これぞマイケル流の極致かと。昔むかしの食生活を自分で体験してみることを時間をかけてやっています。

 

アメリカにはそもそも食文化が存在したことが無いのかも知れない。人間と食の関係を管理する文化の力、それが弱くなるに従って人間の食生活は苦しみを増すようだ」。自分の意見を押し付けるような記述ではなく、自分で実践して確認しようとしていることを順序だてて記載することで、読者の我々が忘れかけている(かもしれない)自然の多様性の大切さ、豊かさを分かって欲しいと言っているようです。

 

 

NHKの番組「食の起源」は、この後二回目が「塩」さらに「脂」「酒」「美食」と続くそうです。面白い番組だと楽しみにしているのですが・・・。ドラゴン先生の全く軸のぶれない反応と、タマタマ同時期に読んでいたマイケルさんのスタンスを考えると、この一回目の番組の内容は、やや決めつけ過ぎではなかろうかと感じるようになりました。僕自身の受け止め方としてほぼ100%賛成!なのですが、公共放送を標榜しているNHKが自局の番組で、”最適な摂取バランスは糖質を50~55%程度、毎食時に、ごはん一杯程度を取るのが良い!”なんてことを番組の結論として言い切っているのは、いかがなものなのかしらと。穿ち過ぎの見方かと思いますが、何やら上から目線でモノを教え込んでそれに従わさせようとしているような、視聴していて居心地の悪さを感じるようになりました。

 

 

その後、間を置くことなくドラゴン先生とモッタさんの三人で会食(僕たちはいつも「反省会」と称しております)の機会を持ちました。モッタさんからは席につくなり「モッタです」と挨拶がありました。”あら、読んでいてくれたの”、嬉しいやら恥ずかしいやら、感謝、感謝です。豊田市美術館を紹介頂いたお礼をお伝えしました。それぞれ近況報告のあと、自然とこの番組のことが話題に。

モッタさんはその筋のプロの方ですから、お立場上からも注意深く言葉を選んでのコメントですが「番組のなかで”モノを断定して言い切る”と視聴者に強いインパクトを与えることが出来る。一方、異なる意見・考え方がある場合の公平性をどう担保するか、また番組の品格の観点からは、断定するには十二分の確証が求められる」ことを指摘されていました。ドラゴン先生は相変わらず泰然自若「世の中イロイロな意見があって、イロイロな事を言う人がいますからねえ」と全く意に介さずのスタンス。

”ちがいまっせ、僕の言うてるのは番組のスタンスの話です。内容的には賛成なんですよ。そろそろ「糖質制限食事法」を緩めたらどうでっか!”。

 

僕の思いを知ってか知らずか最近のドラゴン先生は糖質オフから一歩”改心”されたようで、糖質控えめ食事法に転向されているような気配になってきています。「最近、自分ではカロリーベースで20%程度の糖質バランスが良かろうと思っている」との見解。なるほど、彦根のチャンポンは完食であったし、この日の〆の美味しい一口親子丼(ホントに極少量です)も素直に美味しそうに食べておられました(註:この日は名古屋で有名な鳥鍋のお店=安くて旨い店で反省会をしておりました)。僕はご存じの通りご飯大好き人間ですが、自分なりにはなんとか40-50%程度に抑えたいと思っています(どれくらい抑えたらこの比率になるのか細かいことは全く分かっておらず、いつも、ついつい食べ過ぎになっていると思っていますが)。ここに来て、ご飯大好き人間と糖質制限先生の両者の乖離幅はその差20-30%程度に収斂しようとしつつあるようです。お二人の懐の深さを学びつつ、次回の「食の起源」を楽しみたいと思っています。

 

  

  

「ぴあの会」に参加しました。僕のピアノの先生の大学の先輩になる方のピアノの演奏会です。ご自宅の居間に10人程度のゲストを迎えて定期的に演奏会をされています。ワインを頂きながら、写真のおしのぎを頂きながら演奏を聴かせて頂けます。ピアノのお皿の飾りつけもおしのぎもプログラムの作成も全てご自身の手作り。手作りのピアノ演奏会。この日は優しいダンナさんもお仕事オフでご在宅。ホスト役をやっておられました。演奏会の終了後はモチロン皆さんご一緒に打ち上げ飲み会をしました。2019年12月15日、撮影。

(追)このピアノ会のことを反省会でドラゴン先生とモッタさんに話をしたのですが、お二人からは予想以上にビビッドな反応。お二人の音楽の造詣の深さを思い知らされビックリ仰天しました。また機会があれば記載したいと思います。