クルルのおじさん 料理を楽しむ

鯱城学園、三学期の講座

名古屋市千種区平和公園。雨上がり、久しぶりに散歩しました。まだ、冷っとしていますが、間違いなく春は直ぐそこまで来ているように感じます。2020年2月16日、撮影。

 

 

鯱城学園の三学期、 1月29日(水)から2月12日(水)の三回分の共通講座と専門講座の要約を試みます。他の記事を書いていると(他の記事も書きたいので)、時間が無くなりそうになってます。かなり駆け足で端折った要約になるかもしれませんが、僕の備忘録として記録を残しておきたいと思っています。ご了承のうえ、お付き合い頂ければ嬉しいです。

 

 

鯱城学園、2020年1月28日(水)、共通講座です。

お題は『名古屋城本丸御殿 障壁画の復元』。講師は、日本画家の加藤純子先生。日本画のジャンルのなかには「古典模写」というのがあるそうです。加藤先生は、既に30年近く名古屋城本丸御殿の障壁画の復元模写に携わり指導を続けておられる方。今年で72歳になられるそうですが、いつもの事ながら鯱城学園の講師の方がお若く感じられること(姿勢も声も)には驚いてしまいます。

 

名古屋城はご存じの方も多いと思いますが、日本の国宝第一号(第二号が姫路城)でした。その国宝が昭和20年(1940年)5月14日に米軍の爆撃により焼失。漸く、平成4年(1992年)に障壁画の復元事業がスタートとしたそうです。本丸御殿そのものの復元も実現し、現在では「復元された本丸御殿の調度として建物のなかのあるべき姿で、一般見学者の鑑賞に供せられている」と説明されました。

 

復元模写とは「原本資料に忠実に原本に肉迫すること。本丸御殿は極めて水準の高い狩野派の名手が手掛けたもので、その精髄に肉迫するのは大変に高いハードルがある」と強調されていました。これはレプリカでは無いと。「模写作品は400年経過すれば現在の原本のようになる」という説明が面白かったです。使用画材も可能な限り400年前と同じものを使うそうです。絵具は比較的入手が簡単だそうですが、素材の中で復元が難しいののは”料紙”であると。手漉き和紙の「簀桁(すけた)」を作る人がいなくなっている、そして和紙を漉く人がいなくなっていると。科学調査をして可能な限り和紙を復元して漉いているとのことでした。

 

舞台上の大きなスクリーンに本丸御殿に飾られている復元作品を映し出して見どころポイントを説明されました。「ここを見なければダメですよ!」と気持ちが入りすぎてついつい強要するような口ぶりになっていましたが、それだけ真剣に向き合って作業をされているからと感じました。

  

現在もまだ復元の作業は継続されており、全てが完成するにはあと更に10年はかかるであろうとのことです。その時に先生は82歳になっていると仰っていましたが、この先生であれば最後の完成の時まで元気にご指導を続けられるであろう、それを祈念したいと思いました。

 

昨年、仲間と本丸御殿の見学に行ったのですが、いま思えば”ざあっ”と見ただけでした。是非、もう一度じっくりと拝見してみたいと思います。前回、見学に行った時の記事と、その背景の記事を参考までに埋め込んでおきます。

 

kururupapa.hatenadiary.jp

 

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その日の午後、園芸科の講座です。お題は「椿と梅」。講師は園芸家の塚本周作さん。この前の園芸講座で「一子侘助」を吉田先生から分けて頂いたところだったので興味深く聴講しました。

まずは「ウメ」から。塚本先生はかなり垢抜けた方なのか、ウメにまつわる面白い言葉・表現からお話をされました。

 

●「梅に鶯。ここから思い浮かぶ情景は何ですか?。花と鳥、はい「花札」ですね」とか。

●「梅ヶ枝の手水鉢。茶庭の袖ヶ香。」・・・この辺りの言葉使いになると粋な日本文化に接してないと俄かには理解出来ない、説明してもらわないと分かりませんでした。茶庭では梅が 手水鉢に覆い被さるように植えられていることが多いそうですが、昔の人は経験的にウメの葉(花)の殺菌効果を知っていた、との見方もあるそうです。

●天神様は「梅紋」、加賀藩家紋は「梅鉢」だそうです。全く知りませんでした。

●塩梅=梅の身が不可欠であったが故の料理言葉、味加減のことですね。これは僕も百も承知!でした。

 

お話が続きます。ウメは、長崎出島に来たドイツ人シーボルトにより西欧に紹介されたことで海外では日本的な植物として知られているそうですが、奈良時代以前に薬用で遣唐使によりもたらされたという説が有力とのこと。また、万葉集に詠まれている花の中では、サクラよりもウメのほうが詠まれている数が圧倒的に多いと。当時は花と言えばウメのことだったとか(ちなみに一番多く詠まれているのはハギだそうですが)。さらには、昭和の初期、サクラとウメのどちらを日本の国花にするかで論争があったと。ウメ派は”ウメこそ寒風に立ち向かう忍耐と覇気がある、高潔な美しさである”と主張した由。先生はウメ派の主張も共感できる、とのことでした。サクラについては薄墨サクラ、江戸彼岸サクラは寿命が長いものの、ソメイヨシノは60-70年程度の寿命であり、かつ、サクラは同じ場所で続けては育たないことを心配されていました。

その後、ウメの植え付け、管理等々のお話を頂きましたが、ここでは割愛。ウメの特性としては、①排水が良く、日当たりが良いところを好む、②強剪定に耐え、樹齢は長い、③移植は老樹でも比較的容易、とのことでした。

 

ようやく「椿」がテーマに。ツバキって、英語でCamellia(カメリア)なんですねえ。知ってるようで知りませんでした。”カメリア”って何か別な花と思っていたような。恥ずかしい限りです。僕が関心の高い栽培についての話を記載しておきます。

 

●ツバキの特性、①水はけの良い土壌が好ましい。粘土質より軽い赤土、黒土が適している。②庭植えも鉢植えも苗のうちは強い光を嫌うので、半日陰で管理する。③植え付けの時期は春と秋。④増殖は実生、挿し木、取りき、接ぎ木のいずれも可能。

●花付きを良くするコツ、①花芽は、春に伸びた新梢の先端と葉脈に、6月ごろに作られる(夏に再伸長する枝には花芽は付けない)。この一か月だけ、根が水不足になるように管理すると花芽が多く形成される。②鉢植えでは、この一か月、水遣りをうんと控えめにする。③庭木は(2-3月ごろに)スコップで根切りすると効果が顕著。

●剪定、①基本的には花後すぐか、9-10月に軽く剪定する。②かならず、すかし剪定を併用する=空間を作ることが大切(これも、花が終わったらスグに)。③花芽は6月ごろに作られるので、5月に剪定しても萌芽しない、もしくは、萌芽しても花芽を持つ枝をつけない。

●おまけ:チャドクガ(=病虫)に刺されたら、固形石鹸を細かく粉状にしたものを塗ると効果あり。

 

 

続いて、2月5日(水)の共通講座です。『みんなで歌おう!!歌声広場』。ラウム・ソングリーダーの内田公仁子さんに指導いただきました。伴奏のピアノは鈴木弓さん。ソングリーダーの方は、声楽でソプラノをされている方。豪華なドレス姿で颯爽と登場され会場からは大変な拍手。ラウムというのは名古屋市にある歌声サロン=むかし懐かしい歌声喫茶のようなもの(と思います)。誰もが知っている、ピアノ伴奏で楽しく歌える歌集を配布して頂き(これは残念ながら講座終了後には回収されてしまいました、止む無しですね)、みんなで大きな声を出して歌をうたいました。歌と歌の間には、内田さんの楽しいお喋りあり、講座の真ん中では我々の休憩を兼ねて、内田さんのオペラ独唱もありましたが、テンポのよい進行に乗せられて、つぎから次に歌いっ放しの状態でした。もともと学園の皆さんは、参加型のイベントが大好きな方が多く、また、大きな声を出してみんなで一緒に歌うことは体に良いことだと理解されてますから、皆さんノリノリの大盛況のうちに、あっという間に終了時間になってしまいました。一時間半みんなで一緒に歌っただけですが、会場全体の一体感が高まったように感じました。

 

 

声を張り上げて歌を歌ったおかげで腹ペコ状態に。この日の前夜、久しぶりに飲み過ぎたためこの日はお弁当の準備が出来ておりませんでした。園芸科の仲間は弁当持参が多いので、パソコンクラブの仲間に合流して近くのお店でゆっくりとお値打ちの食事を楽しみました。午後は、園芸科の講座『タネを播こう』です。

 

 

『タネを播こう』、講師は園芸研究家の横田直樹さん。「最近では、苗を購入して育てることが普通になってきており、種子を播いて育てるのは専門の園芸農家さんに限られるようになってきている」との話からスタートされました。種が大手種苗会社の独占になりつつあり一代交配の改良品種が増えていること、また、苗の生産者が増加してホームセンター等で苗を安価に購入することが出来るようになったためと。確かに、そう言われればそうだと思います。神奈川の家の庭では、球根を植えただけでした(そういえば、永良部のユリは元気に今年も育ってくれています)。あとは、苗木を買ってきて植えたのがほとんどです。園芸科に入ったおかげで、学園の畑でタネを播くことを経験させてもらっていますが、確かに苗もたくさん利用しました。素人からすると苗を植える方が(その後の生育に対して)安心感が高いように感じます。

 

横田さんは種子の面白さに注目されています。「種子にはイロイロな遺伝情報が詰まっている。かなりの確率で親とは異なったものが生まれることがある。園芸の最大の楽しみは、既定のルールに乗らないものをみつけることにある!と言っても過言ではない」と。「”種を播く”ということが、我々の想像を絶する様々な秘密やトリックがあることを、是非、学んでください!」という趣旨のお話でした。聞いている限りでは面白そうに思いますが、果たして僕に出来るかどうかはかなり疑問に思います。

 

サクラソウ、モモ、エビネからクロマツ、ネギ・タマネギ、ナデシコまで駆け足でしたが、合計20種類の種子のお話をして頂きました。大変に申し訳ないことに、前夜の夜更かしとお昼の美味しい食事により、この日の僕は珍しく幽玄を彷徨う世界に入っていたようで、メモを取っているつもりが後で見ても良く分からない状態になっていました。

 

 唯一、記憶に残っているのが「ヤマコウバシ」のお話。庭園樹として人気が高い樹種ながら発芽率が極めて低いのが特徴だそうです。「平和公園には一本だけ、育っていますよ」ということでした。平和公園は、冒頭の写真がそうですが僕の大好きな散歩コースの一つなので、この件の時だけは脳が活性化したのでしょう。あんなに広大な公園のなかで一本の木を見つけ出すのは(多分、僕には)至難の業だと思いますが、次回以降、探しながら歩いてみたいと思っています。ネットで調べてみたら、広島の植物園のおじさん(館長さん?)は、冬に枯れても葉が”落ちない”ことを受験と結び付けて、ヤマコウバシの葉を入れたお守りを作られたと。受験生の間で大評判となっている由。ヤマコウバシ=山で香ばしい、からの名前だそうです。受験生の皆さんは、とにかく、頑張ってください。

 

 

あと一日分です。最後の力を振り絞って(簡単に)。

2月12日(水)、共通講座。お題は『アンチエイジングから長寿へ』。講師は愛知みずほ大学の土田満教授。この先生は69歳、僕の席から見る限りではホントにお若い。小顔・痩身、声もやや高めながらよく通る声。このタイトルの講義をするのには最適な風貌かと思ったところ、ご本人も自覚されているようで「遠目には若く見えますが、近くで見てもらえれば、”ああっ、そんなもんか”と言われますよ」と謙虚におっしゃっていました。大変に面白い先生でしたが、このテーマは鯱城学園の鉄板ですので、重複するところは端折って(かなり疲れてきましたので)、新鮮に面白かったところを中心に要約しておきます。

 

何故、人間は「老化」するのか、科学的にはまだハッキリと分かっていないそうです。消耗説、神経内分泌説、遺伝子支配説、フリーラジカル説、カロリー制限説等々。分からない中でアンチエイジング=老化を進めない(抗老化)と若さを保つ(抗加齢)の方法は結構見えてきていると。今までの講座でも説明がありましたが、改めて、食事、運動、睡眠、ストレスを抱えない生活、が有効であることを説明して頂きました。最近、園芸科の畑ではホウレンソウ、小松菜、ブロッコリーが収穫のピークを向かえていますが、これらは全て「葉酸」リッチなので大変に良し!とのことでした。収穫物を完食したいと思っています。

 

また、笑いは、作り笑いであっても笑い顔をして声を出せば効果があると。気になる体形は「小太りで良いんですよ」と慰めてもらえましたが、一方では「20歳代の時の±5㎏が良いんです」とか。20歳代でも前半か後半かで(結婚前か、結婚後かな)下手すると10㎏近くは違っていますから、アドバイスは明確にしてもらえると安心できますね。

 

それから「新しい刺激!を感じることが大切です」との話がありました。日野原さんが「(新しいことを)創める」ことを大切にされていたことを久しぶりに思い出しました。通勤、通学等で毎日歩く道を別なルートに変えるだけでも効果があるそうです。

 

最後に、1921年スタンフォード大学の教授が行った有名な調査の話。夫婦の寿命の調査結果についてですが、「男性にはかなり影響が見られたが、女性は、夫と離婚しても、夫に先立たれても、寿命にはほとんど影響はなかった」とのことでした。会場からはヤンヤの拍手、学園の皆さん=男性も女性も全ての方が納得して頷いておられたように思いました。

 

 

この日の午後は、仲間と一緒にバスで農園に行きました。畑に行くときには弁当は準備しないようにしています。収穫物を持ち帰るのに出来るだけ荷物を少なくしておきたいから。お昼は仲間と一緒によく利用する近くのお店で牛丼を食べました。これで二週間続けて、お弁当作らず、でしたから次回はまた是非作ってみたいと思ってます。

 

      

 

左がこの日の収穫物。緑の野菜がいっぱい。ビニールに入っているのは、近くの農家さんの格安トマト(を買ったもの)、そして優しい班長さんがご自分の農園で収穫されたお裾分けを頂きました、レモンとミカンです。

右は帰ってから料理したもの。授業を聞いた後だったので「葉酸」を食べようと疲れた体に鞭打って捌きました。ブロッコリーの蒸したん。右の色の濃いのが一度収穫したあとの株に育った小さなブロッコリー。ブツブツのある色が鮮やかなのが、小ぶりの品種。名前が出てこない。いずれもホクホクして旨い(何も付けないでも)!。2020年2月12日、撮影。

 

  

おまけです。 

 2020年2月15日(土)、撮影。久しぶりに宗次ホールに演奏を聴きに行きました。「冬の日のおとぎ話」と題して、四人組のマリンバ演奏です。皆さん、愛知芸大の卒業生。お昼の一時間、1000円でクラシックの世界を楽しむことが出来ます。

宗次ホールの近くの歩道には黄色の花が並べられています。オーナーの宗次さんが長年ずっと自らの手で育てています。黄色は宗次さんのシンボルカラー。よく見てもらうと中央分離帯に沿って鉢植え・地植えの花が続いているのが見えます。大変な数の花。エライ人です。

この日は、鯱城学園の「8クラブ展」の最終日。午後は僕の当番だったので、お昼に宗次ホールに顔を出してからすぐ近くの会場に足を運びました。8クラブ展のことは、また、改めて記載したいと思っています。

最後まで、お付き合い頂きありがとうございました。