クルルのおじさん 料理を楽しむ

『凌ぐ!』、2020年4月の景色

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名古屋市東山動植物園、桜の回廊の「八重紅枝垂桜」。鯱城学園の園芸講座で教わったエドヒガン系の桜です。愛知県でも独自の緊急事態宣言が表明されて、東山動植物園も明日(4月10日)から約一か月、休園となります。サクラは今が絶好の見ごろなのに残念な限り。今日は予定を取りやめて隠れ家で籠っていましたが、ニュースで明日からの休園を知り、気合を入れ直して出かけました。2020年4月9日、撮影。以下の桜の写真は全て同じ日に撮影したものです。

 

 

4月7日に東京など7都道府県に緊急事態宣言が発令されました。愛知県はその対象地域に含まれていませんでしたが、10日に県独自の宣言が出されました。そして、4月16日、緊急事態宣言の対象は全国に広げられました。愛知県を含む13都道府県は「特定警戒」指定となっています。5月6日までの期間とされています。全国の知事さんが法的根拠に基づいて、外出自粛などを要請出来ることになるそうです。

 

翌4月17日の日経朝刊の社説では「ドタバタ劇を演じている場合ではない」と政府・与党に(日経としては珍しく)厳しく注文をつけています。コロナ対策をめぐって官邸と省庁の意思疎通の悪さ、国と都道府県との行き違いを指摘して「”政治の真価”を示すときだ」と主張しています。

 

 

海外でもコロナ対応で”政治の真価”が問われているようです。韓国では15日投開票の総選挙で与党が圧勝しましたが、徹底した防疫で感染拡大を抑え込んでいることが政権の評価が高まった大きな要因になっている由。この大統領は運のよい人だなあと思いました。

一方、WHOへの資金拠出の停止を表明したトランプ大統領には国際社会から批判が相次いでいます。一貫して中国の対応を擁護してきたWHOが、米国・台湾と中国の政争の場になっているようです。マイクロソフトの創業者、ビル・ゲイツさんもトランプ大統領の措置に対して「実に危険なこと」だと厳しく批判。ビル・ゲイツさんはご夫妻の財団で慈善事業に取り組んでいますが、コロナウイルスのワクチン開発に多額の資金拠出をされているそうです。

 

トランプ大統領の「アメリカ第一」は当初からイロイロな批判を浴びてきていますが、このWHOへの対応を見ていると、国家の危機に対応できる指導者とは思えないですね。それ以上に、イアン・ブレマー氏が指摘した「新型コロナとの闘いに各国が協調して臨むという姿勢が見えない(3/19、日経)」ことが改めて切実な問題と感じてしまいます。イアンさんに言わせると「新型コロナは、国際社会を主導する国が存在しない『Gゼロ』時代に入っての初めての地政学的な危機」とのこと。

 

 

「コロナ」との戦争→世界の危機、日本の危機→「緊急事態」の時には”政治の真価”を期待したいところですが、一方では「自分の城は自分で守る」ことを肝に銘じたいと思います。自分の健康、家族の安全、会社の存続、地域社会の落ち着き、等々。今の僕に出来ることはそれほど多くありませんが、少なくとも、自分の健康だけはしっかり維持したいもんだと思っています。

 

昨年の4月は、鯱城学園に入学してピカピカの一年生、同時に、親しい会社の顧問になり週に二回の勤務を再開して、新しい生活のパターンを作り始めた時期でした。あっという間の一年間、思った以上に楽しく充実していた一年間と満足していたのですが、まさか「疫病」で自分の日常生活が激変するとは全く想定しておりませんでした。鯱城学園は春休みのあとも4月中は休校になっていましたが、さらに延長され5月末までの休校が決定されています。残念ですが、当然の措置だと受け止めています。

 

通信機器の発達はホントに有難いもので、僕の家族はラインを共有して毎日の挨拶を交信していますが、メッセージの交信に加えて写真・動画を授受出来るのは嬉しい限り、有難い限りです。タカト君(次女の長男)が絵を描いているところ、ケーキを焼いているところ見たり、サクト君(次女の次男)の誕生日には、アラタ君(長女の長男)と小雪ちゃん(長男の長女)が”happy birthday to Sakuto-kun!”と歌っている動画を見ることが出来たり、これだけで元気いっぱいになります。病は気から、笑いを忘れず、前向きな気持ちを大切に。お陰様で僕もカミさんも子供達家族も全員元気です。

 

 

 三月末に留守宅に帰って以降、ずっーと隠れ家での単身生活を続けています。仲間と集まって飲み会をするのが大好きな僕ですが、今の環境では当分は難しいと覚悟を決めています。もっとも、お酒は大好きですので、夕食の時には規則正しく楽しんでおります(自分ではアル中では無いと確信していますが、アル中の人で自分がアル中だと認識している人はあまりいないとか。注意したいと思います)。

という訳で、最近は、もっぱら、読書、散歩、ピアノ、料理、そして、俳句を楽しんでいます。”結構、一人でも楽しめるモンがあるものや。自分の好きなことやって忙しく毎日を過ごすことが出来るというのはエエことや、有難いことや”と思っています。

 

 

緊急事態宣言は5月6日までの期間とされていますが、連休明けにはどんな景色が待ち構えているのやら。コロナとは長い闘いになるのかも知れません。多くの識者の方が指摘されているように、長期戦の覚悟をしておくことも必要かと思っています。コロナとの闘いに疲れて折れたりしないこと。上手くコロナとの闘いを「凌い」でいく。いま「凌ぐ」という言葉を気に入ってます。

たまたまですが、僕の出身大学の学友会(OB/OG会)の名称は「凌霜会」「凌霜クラブ」と言います。「凌霜」とは、霜を凌いで咲く菊の様な”不撓不屈(ふとうふくつ)の精神”のことだそうです。「逃げる」のではなく、『凌ぐ』という言葉が、長くなるかも知れないコロナとの闘いのキーワードかと感じており大切にしたいと思っております。

  

 

 

「俳句のお話」の続きになりますが、「NHK俳句」4月最初の放送を見ました。また”目から鱗”を感じました。4月から新年度に入り選者の先生が交代されたようです。第一週の先生は小澤實さん。昭和31年(1956年)生まれ。

放送講座のテーマは「令和の新星」。”令和の俳壇を彩る新星たちの俳句に学ぶ”をテーマにされています。番組ではゲストに若手の俳人、福田若之さんが登場。1991年生まれの方。この日の兼題は「ヒヤシンス」、いきなり福田さんの句が紹介されました。

 

   ヒヤシンスしあわせがどうしても要る  福田若之

 

この句は福田さんが東日本大震災の直後に発表した句だそうです。もう一句、紹介がありました。

 

   春はすぐそこだけどパスワードが違う  福田若之

 

小澤さんの解説では「口語ながら新たな切れを生み出している」「今を生きる”われ”と向き合っている、生活に根ざした句」と。対談では福田さんの伸び伸びとした話ぶりと小澤さんの先輩面しない真摯な話ぶりが大変に印象的でした。

選者の小澤さんが兼題「ヒヤシンス」の投句から選んだ句が印象的でした。10句選んで紹介された中から特選の三句を記載します。

 

一席   風信子探偵はソファーで眠る

 

二席   少年を操る少女ヒヤシンス

 

三席   かつ丼のふた取れば湯気ヒヤシンス

 

特選には選ばれなかったものの、

 

   校長と肘掛け椅子とヒヤシンス

 

   もうおしゃべりなんだからヒヤシンス

 

最後の句なんてビックリ仰天、面白いなあと感心しました。今回の投句がタマタマ僕が新鮮と感じる句が多かったのか、選者の小澤さんの選び方が懐が広いからなのか、僕には随分と俳句の景色が変わりました。

 

  

次回の応募要領「兼題は『夏』、4月20日まで締め切り、6月7日に放送、8月号に掲載」を聞いた時にモッタさんが話していたことを思い出しました。TV放送の難しいところだと思うのですが、兼題の季節とそれを読む(作る)時期が全くずれている。「夏」を4月20日までに詠んで投稿する。モッタさんは、こんなやり方に疑問を呈していました。「頭のなかだけで作る、これはクイズか頭の体操か。単なる文字遊びか」ということだと思います。今回のヒヤシンスは春の季語ですが、投句の締め切りは2月。これでは「客観写生」とか「対象を深く見る」なんてことは出来ないはずです。”虚子さんとか汀子さんはどう思うのかしら”と例によって理屈っぽく考えてしまうのですが、時代の流れと共に俳句の作り方も変化しているのかも知れません。今回の番組は大変に面白かったので、”まっ、エエか。頭の体操でエエやん。はたまた、訓練か修行かと割り切ってやってみるのもアリやわ”と前向きに受け止めております。全く別な話ですが、ツラツラと考えるにつけ、俳句に級・段の階位を設けていないのは大変に結構なことだなあ、と改めて思います。

 

 

東山動植物園の桜の回廊。イロイロな種類の桜が咲いていました。 

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左から、三ケ日桜、手弱女、太白。三ケ日桜は浜松市乎那の峰(おなのみね)が有名。手弱女は京都平野神社、手弱女(たおやめ)はしなやか、優雅の意味、益荒男と対を成す言葉(もう死語ですかね)。太白は、中国では宵の明星、金星のことらしいです。太白ゴマ油というと、煎らずに低温で搾ったゴマ油のことを言います。最高級の食用油です(元、油脂原料取り扱いの商社マンの一言)。

 

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左から、鷲の尾、紅豊、嵐山。紅豊はマツマエベニユタカとも言われ北海道松前町のサクラ。大輪の八重桜です。

 

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大島桜。桜の原種の一つです。ソメイヨシノの片方の親の品種(のはず)です。これは見事なサクラでした。

 

   サクラいまがキレイでも明日から休園  孔瑠々

 

   桜吹雪ゴリラがないてる日曜日  孔瑠々

 

   桜散りまだ続いてる休園日  孔瑠々

 

 

 おまけです。

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会食、飲み会の機会が激減しています。その分、隠れ家で料理する機会が増えています。ゆっくりと料理する時間があるのが”楽しい!”、と思えばストレスが溜まる訳が無い。久しぶりに野菜たっぷりラーメン。ニンニクとショウガを沢山入れました。美味しかった。「栄養取ってコロナを凌ぐ」ことが肝要と思うのですが、僕の場合は逆に食べ過ぎて太らないよう注意が必要です。

 

   春深し一人籠って飯を炊き  孔瑠々

 

   春ゆうべ新じゃが小の甘辛煮  孔瑠々

 

引き続き皆さまくれぐれもご自愛くださいませ。凌ぎ切って下さいます様に。