クルルのおじさん 料理を楽しむ

『凌ぐ!』、2020年5月の日常

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留守宅の庭のスズラン。カミさんが撮って送ってくれました。平兵衛酢の木にも花が着き始め、エラブのユリもそろそろ咲き始めそうとか。花が咲くころには新幹線乗車の禁止令が解除されるかな。2020年5月9日、撮影。 

 

 

   五月晴れ読書の時間がやたら増え  孔瑠々

 

 

隠れ家生活を続けています。散歩・ウオーキングは意識してほぼ毎日、継続しています。食品・日用品以外の買い物は自粛、近くの大きな本屋さんは閉店状態、図書館も休館となっています。隠れ家の本棚にはまだ読んでいない本が積んだまま状態でしたから、その中から数冊取り出して読んでみました。

 

 

白洲次郎さん関連の本が二冊。「白洲次郎 占領を背負った男」北康利さん著、第14回「山本七平賞」受賞作。2005年8月第一刷、2006年3月第13刷。この本は、むかーし次郎さんのかばん持ち(秘書?)をやったことがあるという方から戴いたもの。もちろん、その方も大の次郎さんフアン、いやいやフアン以上の白洲次郎信奉者でした。余り熱い方から薦められるとつい引けてしまって却って読む気が削がれるものです。長い間本棚で寝たままになっていました。もう一冊は「プリンシプルのない日本」白洲次郎著、平成18年(2006年)6月発行、平成23年(2011年)7月 28刷。これは次郎さんご自身が1951年から数年間、主に「文藝春秋」に寄稿したモノを纏めたもの。白洲正子さんの本を読みまくっていた時に、”ついでに”買ったものと思いますが、そのまま積んだままになっていました(スミマセン、次郎さん)。

 

 

それからシンガポールの初代の首相、リー・クアンユーさんの本。「One Man's view of the World」。2013年発行。これは、リーさんが晩年になって、世界をどう見ているか、どう感じているかをインタビューも交えて一冊に纏めたもの。出張時にシンガポール空港の書店で見つけて買ったものだと思います。僕がマレーシア・シンガポールに駐在していた時には、すでに、首相の地位はゴー・チョクトンさんに譲っていましたが、上級相として内閣に留まっていて、会社で言えば創業者・会長のような印象がありました。この本の出版の前の時点では、既に内閣閣僚からも引退していますが、まだまだ、影響は大であったように思います。

 

次郎さんと言い、リーさんと言い、強烈な個性で国家の危機に立ち向かい尽力した方です。今の時期、そういう”強い方”のことを読んでみようという気持ちになったのかも知れません。

 

 

連休中、政府が緊急事態を5月末まで延長することが報道されました。”まあ、已む無しの決定やろなあ”と理解しつつも、さすがに、自分でも自粛疲れの気配が出てきていると感じます。ちょっとしたことにイライラすることが多くなっているかも知れません。歓談しながらの飲み会なんぞ、既に、随分と昔のコトの様になってきております(物忘れが良い性格も相まってです)。お酒は一人で飲んでも美味しいのですが、やはり仲間と一緒に楽しく会話・議論・言い合いをしながら飲むのが一番ですよね。もっとも、医療を初めてとしてコロナ対応のそれぞれの現場で頑張っている方々が多数いらっしゃる訳ですから「自粛疲れ」なんてのはバチ当たりな言葉かと反省しています。

 

 

こんなことを考えている時、5月6日にドイツ政府が経済規制の大幅な緩和策を発表したと報じられました。メルケル首相が「少しは大胆になれたが、引き続き注意が必要」と(日経、5月7日、夕刊)。ドイツのメルケル首相、手腕が絶賛されているように感じます。評価が高い理由は、国家の危機に際して政府の基本方針を分かりやすく説明して、国民の理解と支持を得ていること。そして、感染を抑える施策を含めコロナへの対応策が論理一貫して具体的であること。

素人の僕がTV・新聞記事等で知る限りでも、”事実を隠すことなく正直に伝えようとしている、国民と危機意識を共有して対処していこうとしている”ことが感じられます。

ドイツ政府の感染を抑える基本の考えは二つ。一つは、感染者を早期に見つけるために大量の検査を実施すること、そして二つ目は、人と人との接触を最小限に抑える行動制限。とりわけ、検査は無症状や軽症の感染者が気づかないうちに高齢者を感染させてしまう事態を避ける防波堤という位置づけである由。また、検査で感染が判明しても重症でなければ医療システムへの負担も抑えられるという確信に基づいた考え方。

ドイツの行動制限の特徴は、外出そのものではなく、接触を減らすことに重点を置いていると。外出そのものには比較的寛容(散歩、運動は自由に出来るとか)であるが、3人以上で立ち話することは厳禁。

また、感心するのは、規制を緩和するための要件を分かりやすく納得出来るように説明していることだと思います。既に4月15日の記者会見の時点で「再生産数(一人の感染者が新たに何人を感染させるかを示す数値)」を使って小規模の商店に限っての営業を認める判断をしたこと説明しています。

 

 

翻って日本国。「日本、検査体制なお課題」、「緊急事態の解除へ明確な基準を求める」等々の指摘がTV・新聞でも連日、続いています。はたまた、PCR検査を受ける目安改定とかで「37.5度以上の条件を削除」するとか、相変わらず、基本施策の軸がブレているのではと不安になります。イライラします、ストレスを感じます。落ち着いている僕の血圧も上がってしまうのではと心配になります(まだ、安定してくれています。ご安心くださいませ)。

 

数字で見る限り、日本の感染者数、死者数の数字は、欧米諸国と比較しても、桁違いに数段優れたコントロールされている状態だと思われるのに。ナントも残念な、情けないことかと感じてしまいます。

 

5月11日の日経社説では「科学的な根拠に基づく政策決定を」と書かれてしまいました。「政治と科学の連携が重要。政策決定プロセスの透明化も欠かせない。現状はいずれも不十分だ」「専門家会議は非公開で---分析結果や見解の公表内容をめぐり、首相官邸からは頻繁に注文が付くという」とまで。どうも基本のところがしっかりしていないから不安感が拭えない。イライラが減らない。ストレスを感じる。もう少し、しっかりしたリーダーシップが欲しいなあと思ってしまいます。

 

 

  

白洲次郎さんのことは以前にも、このブログで書きました。

kururupapa.hatenadiary.jp

 

kururupapa.hatenadiary.jp

 

次郎さんの生き様はTVドラマにもなったそうですから、ご存じの方も多いかと思いますが、ムチャ端折って説明しますと「家柄良し、大金持ちの息子」「英国ケンブリッジ大学留学」「語学力を含め留学で得た知力・経験を基に活躍」「吉田茂との出会い」「GHQマッカーサー時代のたくさんの逸話」「新憲法制定時の苦渋」「講和条約での活躍」「通産省の設立」そして「車とゴルフ」「奥さん・正子さんのこと」ということになるかと思います。

また、政・官・財界以外でも、小林秀雄川上徹太郎今日出海さん等々との幅広い交友がホントに面白い。「プリンシプルの無い日本」と本の題になっていますが「プリンシプル」という言葉に拘りを持っていたそうです。”原理原則。外すことが出来ない軸のようなもの”。正子さんの本の中にも「プリンシプルに忠実であった」「大ざっぱなくせに、外側の現象に惑わされず、ものの本質を見抜く才能に恵まれていた」との記載がありました。ご本人もこの本の中で川上、今さんとの対談で「どうも日本人というのは、物事の原則ってのをちっとも考えないんだ」「妥協は妥協でいいんだ。だけども、原則がハッキリしている所に妥協ということが出てくる。」と熱くなって語っている件が印象的です。

 

 

リーさんの本。日本についての件を読んで驚きました。現実主義・実務重視のリーさんは戦後日本の復興には一目もニ目も置いていたとのことですが、この本では「strolling into mediocrity」とバッサリ切り捨てられていました。日本=茹でガエル状態に警鐘をならしている。当時すでに日本の人口の減少、急速な老齢化に大変な危機感をお持ちで、日本のリーダーと思しき方々にこの問題にどう対処するつもりか、会う度に質問していた由です。彼らからまともな答えが返ってきたことは無いと、大変な失望感を露わにしています。シンガポール外国人労働者、移民を答えの一つにしているが、日本のリーダーが移民の是非を真剣に考えている様には見えない。このままでは日本はそこらへんの凡庸な国になっていくだろうと。大金持ちの日本人は海外に出ていくのでは、とまで警鐘されています。国民一人ひとりの勤勉さ、能力の高さを高く評価してくれていることが救いですかね。

 

日本の指導者に改めてダメ出しをされたようなイヤーな気分になってしまいました。自粛疲れの空気が更に重くなってしまったような。でも、辛口のアドバイスというのは貴重ですよね。ちなみに、リーさんも若いころ英国ケンブリッジ大学に留学しています。次郎さんの後輩になりますね。

 

 

シンガポール、初期のころはコロナ対応の優等生と評価されていました。ソーシャル・デイスタンスを見える化して接触を抑え感染拡大を防いだと。しかし、最近になり感染者が急増したそうです。政府に対し”対応が甘かった”と批判が増えている由です。感染急増の原因は外国人労働者。彼らの生活区域が感染源となり感染が拡大していると。皮肉なことですが難しい問題ですね。コロナがイロイロな問題、矛盾点を浮き彫りにしているかのような印象を受けます。

 

 

今日(5月12日)の朝刊では、「ドイツの再生産数がまた「1」を超えた」、「韓国で集団感染が発生した」、「中国・武漢では都市封鎖解除後初めての感染者が発生した」等、再度、感染拡大の懸念が報道されています。

 

日本では感染者数、死者数ともに収まりを示しつつある状態。5月末まで延長された緊急事態ですが、中旬には再度の見直しの動きが出てきています。制限を緩めれば、再度、感染者・死者数が増加することは間違いないと覚悟しておく必要があるのでしょうね。制限の緩和→強化→緩和、の繰り返しが続くのでしょうねえ。長い付き合いになりそうですが、凌いでいきたいと思います。

 

 

5月のNHK俳句、第一週も昨年の番組の再放送でした。コロナのため新規の収録とロケを中止している由です。再放送は引き続き、選者;宇多喜代子さん、司会;小林聡美さん。5月第二週(5月10日)も昨年の再放送でしたが、どういう訳か、昨年6月2日のモノでした。選者は同じく宇多さん、司会は小林さん。どうせ再放送するのなら、昨年の5月の他の選者さんのものにすれば、同じ週・日のものを見ることが出来て良さそうに思いますが、再放送にもイロイロな制限、制約があるのですかね。僕は、このお二人とも好きなので楽しんで見ております。放送は無いですが、テキストも”やたら増え”ている時間に楽しんで読んでおります。次回は、また、俳句の話を続けたいものです。

 

 

 

おまけです。

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巣籠り生活で料理を作る回数が増えています。腕もチョットは上達したかな。

写真・右、古い花山椒が残っていたので「ちりめん山椒」に挑戦。予想以上に上手く、美味しくできました。満足。アツアツの玄米ご飯に合います。朝食(和食バージョン)は、玄米ご飯と納豆、豆腐、めかぶ、わかめ、佃煮、そして、ちりめん山椒、更に、葉モノ野菜の和え物を組み合わせて飽きずに楽しんでいます。

写真・左、鶏モモ肉をはちみつ・しょうゆ等のタレに漬け込んでからオーブンに放り込みました(それだけ、手間が掛からない)。野菜たっぷり焼きそばと。昼食・夕食には、関西粉モン系の料理を頻繁に作ってます。2020年5月6日、8日料理と撮影。