クルルのおじさん 料理を楽しむ

京都一周トレイル・東山コース、その2.

京都一周トレイルの二回目です。今回は、前回の東山コースの続き、北白川からケーブル比叡までのコースを歩きました。これで、京都一周トレイルのなかの東山コースの2/3程を歩いたことになります。

 

11月14日・土曜日、早朝、名古屋を出発、京都に向かいました。”一日目に山歩きを行い、その夜は、ゆっくりと反省会をして、翌日は京都市街を散策してから解散しよう”とのアイデアが出てきて、”それならば、京都に二泊して前日は前夜祭をやろう”、との盛り上がりを見せたのですが、幸か不幸か、お互いそこまで時間に余裕はなく、前回同様に一泊二日での挑戦に落ち着きました。

朝、まだ暗いうちに名古屋の隠れ家を出発。朝の早いのは一向に気になりませんが、前回よりも寒さ対策を十分にやっておかねばと、どうしても荷物が大袈裟になります。今年はとにかく風邪を引きたくないので、少々、荷物が重たくとも寒さで”ブルっ”とする瞬間をなくすように心がけています。例年、冬になると一回か二回、風邪を引いてしまいますが、いつも風邪を引くのは「油断して薄着をしていて”ブルっ”と感じた時」に引いていると分析しています。重ね着をしておいて、暑く感じる時には順々に脱いでいけばよい、と慎重に対応しようと。

 

ドラゴン岡崎マンションに7時半ごろに到着。ドラゴン先生、普段の朝食=ゆで卵とパン、野菜サラダとコーヒーが準備されていました。手際の良いこと。ゆで卵がキレイに向かれた状態で出てきたのにビックリ。作った時、熱いうちに水で冷ましながら皮を剥いてしまうのが極意とか。ゆで卵には(にも)一家言あり、ゆで卵作りには(にも)大変な自信を持たれています。

前回よりも今回のコースのほうが長くてキツイであろうとのことで、準備を整えて早めに出発。「京都一周トレイル」の回り方・歩き方の解説資料・本はたくさーん出ていますが、ネットで検索できる京都府山岳連盟トレイル委員会という大変に権威のありそうなガイド資料によれば、今回のコースの起点は、北白川仕伏町バス停前ということになっています。ここに向かって”くろ谷さん”から銀閣寺町経由して歩いたつもりだったのですが、チョット道を間違えて、白川沿いの近江神宮滋賀県)への道を登ってしまいました。無理してこのルートを進む手もあったのですが、二人とも基本に忠実な性格なので(?)間違いを素直に認め元の道に取って返しました。ガイド資料にある「仕伏町バス停」でコースに入る脇道のポイントに気づくのが難しいということが良く分かりました。指標・方向指示の目印が全く無し。京都は景観を大切にしようと看板の類を限りなく少なくしているそうですが、さすがのドラゴン先生も「ここには標識があってもよいなあ」と。

 

ドラゴン先生が「白川」を解説をしてくれました。「白川夜船」(=行きもしないで京見物をしてきたと称する人が、白川のことを聞かれ「夜船でぐっすり寝ていたので覚えていない」と答えて嘘がばれたという故事から、ぐっすり寝込んで何も覚えていないことをいう---ガイド資料より)の白川は確かに船が浮かぶような川ではありませんでした。ドラゴン先生はもっとイロイロと説明してくれていたのですが、その時にはちゃんと理解して聞く余裕がなく、右から左に通り抜けていました。

後日調べてみましたら、なるほど、イロイロな意味があるような。「白河夜船」とも「白川夜船」とも書くようです。「白河」はもっぱら地域の名前(=鴨川の東、岡崎を中心にして北白川から東山、南は栗田口)を指すようです。一方の「白川」は川の名前。比叡山~如意ヶ嶽の水が川となり北白川で京都盆地に入り最後は鴨川に合流している川。故事に出てくるおっちゃん(おにいさん、かな)は地域の「白河」を川と間違え、更に「白川」が船が浮かぶような川では無いことも知らず、二重の間違いをしたことになるのかと。このことわざの解釈も「熟睡していて何も覚えていない」という意味と「知ったかぶりをすること」の二通りあるとか。京都の諺は奥が深い?。

また、北白川は「白川岩」の産地として有名な地域でもあり、白色中粒の黒雲母花崗岩が容易に取ることが出来たことが京都の景観に寄与しているそうです。---これ以上続けると「知ったかぶり」の白川夜船になってきそうですので、この辺で”物知り話”は止めておきます。

 

この後は、標高300mほどの瓜生山から標高400mほどの石鳥居にかけて、ほぼずっと「登り」ながらも尾根筋をゆったりと歩く道が続きました。おじさん二人ともに予想より楽に気持ちよく歩けるコースに大満足。”このコースはちょうど良い!、いくらでも歩けそう!”。

交叉点・分岐点では別なところから登ってくる人ともすれ違います。気持ちよく歩いていますから声も出ます。関西のおばちゃんの大群(といっても10人から15人ほどですが)と出会いました。皆さん、お疲れなのか意外と物静か。すかさず、ドラゴン先生がエールを送り(チャチを入れて)「もう少しだよー、もぅちょっとだよー、頑張ってー」、息を吹き返したおばちゃんから「ホンマかいな、みなさん、そない言ワハルけど着かしませんわ」と苦情が飛んできました。

 

関西のおばちゃんを冷やかした祟りか、石鳥居を越したところから登り下りの繰り返し。それもかなりの急坂、丸太の橋を跨いで三本の沢を超すことに。これでかなり体力を消耗しました。僕はそろそろ膝が不安になってきました。

最後の登り。距離は大した事無さそうですが、200m弱の登り。ほぼ一本調子の登り。これが辛い。この辺りで実力差が明らかに。若い人、年寄・年配の方でもいかにも山歩きに慣れている方にドンドン追い越されました。追い越される時には、それでも見栄をはり「こんにちはー」とニコヤカに声をかけましたが、ホントはもうフラフラ状態。元気に活躍していたウルトラマンが残り三分を切ってゼイゼイと息を切らせている気分です。体力低下、”もうあきまへん”と思った時に、電波塔の一部がチラリと覗けました。”おぉ♪、もう目と鼻の先”、途端に元気回復。一歩一歩を踏みしめながら、最後の見栄を張り、余裕のポーズで悠然と展望ポイントに到着することが出来ました。助かった。お疲れ様でした。

 

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ケーブル比叡駅手前の展望場所から。京都市街が一望出来ます。更に遥か先には生駒・葛城・金剛山らしき山並みが見えました。案内版には、大阪のビル群も見えるとの記載があり、注意して目を凝らしたら、確かに大阪市内の高層ビル群、そして左側、やや離れたところにはひときわ図体のデカい阿倍野ハルカスも見ることが出来ました。

 

今回もかなりフラフラになりながらの山歩きでしたが、気が楽であったことは、下山には叡山ケーブル叡山電鉄を利用する予定であったこと。もともと下りが不得意な僕には願ったりかなったりのコースでありました。

 

叡山ケーブルに乗車すると、叡山駅から麓の八瀬駅まで約9分で下山出来ます。「何時間もかけて登ったところをたった9分で降りてしまうとは、ナント、勿体ないことか!」との声も聞こえてきましたが、僕にとっては大変に有難いことでした。

八瀬駅に1時半ごろに到着、約5時間ほどのトレイルを無事に終了することが出来ました。因みに叡山駅と八瀬駅の高低差は561m、ケーブルカーとしては日本最大とのことです。

東山コースの次のコース、北山東部コースは、このケーブル叡山駅がスタート地点になっています。残念ながら、このケーブルカーは冬季は運休されています(正月の三が日だけは初詣のお客さんように運行するとか)。北山コースは来年の楽しみですかね。

 

比叡山山頂には、ここから更に叡山ロープウェイを利用して登ることが可能です。2018年の五山送り火の時には、仲間の車で延暦寺・東塔地域に立ち寄り、改修中の根本中堂を見学したことを懐かしく思い出しました。かつての記事を埋め込んでおきます。

 

kururupapa.hatenadiary.jp

 

 

 その日の夕食には、ドラゴン先生の娘さんご夫妻も参加。楽しく歓談出来ました。お二人とも山歩き(山登り)大好き人間、「京都一周トレイル」はすでにすべてのルートを二人して完走された由。我々が多分来年、北山コースに挑戦する時には「都合付けてご一緒します」と嬉しいことを言ってくれました。

 

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翌朝、11月15日・日曜日、京都散策。朝食をイノダ珈琲店で楽しんだ後、錦市場で買い物したり、本屋さんを覗いたり。この日も元気に歩きまくりました。写真は、ドラゴン岡崎マンションの北側にある真如堂。紅葉がキレイでした。

 

 

名古屋の隠れ家に戻り、軽い夕食の後、お酒を飲みながらNHK麒麟がくる」を見ていたら、信長が叡山の僧兵に悩まされる時代局面になってきていました。宗教の力は大変なものだと思いますが、あんなに険しい山の中を飛び回っていた僧兵というのは体力的にも凄かったんであろうと推察します。

 

「因みに」のおまけです。延暦寺の根本中堂から修学院離宮への最短コースは「雲母坂」と呼ばれる山道です。有名な千日回峰行の行者道だそうです。今回のトレイルでも途中に交差するポイントがありました。「都から見ると夕雲が覆って雲が生じるように見える為」というのが名前の由来だそうですが、一説には「花崗岩の砕けた地質で土砂に雲母が含まれるため」だそうです。いずれにしても読み方は「きらら坂」です。「うんも坂」とは読みません。「うんも坂」と言った時に厳しい突っ込みが入ったことを、今、思い出しました(行者が走り回っていたにしては「きらら坂」なんてカワイ過ぎるかと思いますがね)。

 

 

おまけの料理です。 

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農園で収穫したサツマイモを中心に。煮込み料理なのですが、バーミキュラ鍋で水分を少なめにして弱火で時間をかけて。蒸し料理にようになりました。野菜の自然の甘みが美味しい。今回は、写真貼り付け等々の作業の調子が良いのがうれしいです。11月17日、料理と撮影。

 

 

11月18日・水曜日。ドラゴン先生と反省会を兼ねて会食。今回は久しぶりにモッタさんも参戦。コロナ禍で騒がしい中ですが、コロナ対策を真剣にされて営業を続けているお店に。気持ち的にはお店への陣中見舞いも兼ねての会食です。

京都トレイル、次回は東山コースの起点、伏見桃山から伏見稲荷、さらに伏見稲荷から蹴上までになりそうです。これを歩けば、東山コースは全て走破(歩破)することになります。概してなだらかな起伏のコース、名所旧跡がたくさん楽しめるコースのようです。「因みに」が増えるかも知れません。

 

おまけの一句、

 

   比叡駅ケーブル待ちの小春かな   孔瑠々

 

この日は春を思わせる麗らかな日で寒さ対策の衣類はほぼ不要でした。嵩張った荷物は無駄になりましたが、気持ちよく歩くことが出来ました。引き続き油断しないで凌いでいきたいものです。

 

最後までお付き合いありがとうございました。コロナがまた騒がしくなってきています。皆さま、くれぐれもご自愛のほど。