クルルのおじさん 料理を楽しむ

京都一周トレイル・東山コース、その3.


12月12日、土曜日に京都一周トレイル、東山コースの残りを歩きました。タイトルは”東山コース・完結編”にしようかと思ったのですが、”その3.”としました。もともとの東山コースというのは、京都伏見稲荷駅からケーブル比叡駅までの約25㎞で、これは1993年(平成5年)に開設されたコースなのですが、その後、2014年(平成26年)に、追加のルート=伏見・深草ルート(Fルートというそうです)が出来たそうです。今回、歩いたのはこの元々のルートの伏見稲荷駅から蹴上(一回目のスタート地点)まで。まあ、これで元々ルートは制覇したことになります。

 

例によって早朝に名古屋の隠れ家を出発、ドラゴン岡崎マンションに。防寒対策を更にしっかり準備したので荷物が多くなりましたが、三回目ともなるとだんだんと要領が良くなってきて、気持ちに余裕が感じられます。

”今日のコースは、今までで一番、距離が長いものの高低差はあまりない。ハイキング気分で歩くことが出来よう”とのドラゴン先生のご託宣があり、安心しつつも”低い山もナメタラアカン”と気持ちを引き締めて出発です。今回は、京阪電車に乗って伏見稲荷駅まで行き、京都一周トレイル・東山1.の標識からのスタートとなりました。

 

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 伏見稲荷はご存じの通り、商売繁盛を願う神様。海外からの観光客が訪問する人気スポットのNO.1とのことですが、この時期、外人さんを含め観光・参拝者の姿はあまり多くはありませんでした。千本鳥居から奥の院に至る石段を軽やかに!?登っていきます。

今お世話になっている会社も毎年年初には幹部社員一同で参拝をやっています。今年の一月には、僕も参加させてもらって同じ道を登ったのですが、その時はスーツにネクタイ姿。石段が大変だったことが記憶に新しいのですが、登山靴にリュックのスタイルで登ると長い石段も屁のカッパでありました。出足、好調です。

 

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稲荷山「四つ辻」から奥の院の途中にある茶店です。いつもであれば、席に座れないほどの混雑ぶりですが、ゆったりしていました。「四つ辻」は絶好の展望場所で、古くは大阪城天守伏見城天守が見渡せた戦略的に重要な場所であったそうです。

 

この後、清水寺の清水山方面に。北に向かってひたすらに歩くのですが、山道から一旦下って住宅街を通ります。地図を見るとトレイルに適しているようななだらかな山並みが連なっているのに、”なんで一旦、住宅街に下りるルートにしているのか”理解が出来ませんでした。あとで案内解説書を読むと、この辺りには皇室の菩提寺、皇室の廟が点在しており、トレイル・コースを山並みに沿って設定してしまうと、コースから見降すことになってしまう。やはり、それはいかがなものかということで、住宅街を抜けることに設定されたそうです。なんとも京都、さすが京都の考え方かと。

 

清水寺は言わずもがな「清水の舞台」で有名。この木造の「舞台」は世界文化遺産に登録されているそうです。このトレイル・ルートには市街の各所からいろいろな登り道が整備されていて、どこからでも登り降りが出来るようになっています。至る所に聞いたことがある遺跡や文化遺産が点在していますから、その方面が好きな方には堪えられない素晴らしいコースかと。ドンドンと北上を続け、あっという間に、東山山頂公園、将軍塚のある青蓮院門跡大日堂に到着。京都を一望できる展望台が開けています。写真は、東山山頂公園の紅葉です。

 

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ここ迄来ると今回のトレイルのピークを越えたことになり、あとはどのルートで降りていくか。案内書通りに下山して山並みの北東側の蹴上に出るか、西側に下りて円山公園から知恩院、青蓮院を散策するか。ここでドラゴン先生からグッドアイデアが出ました。”よし、円山公園方面に下山するにしよう。円山公園に山側から入っていくのは初めてである”。確かに。なかなか機会の無いことに違いありません。

 

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円山公園に山側から降りてきました。昔むかーし、遠足で来た時には庭園と池が印象に残っていましたが、山側への広がりが大きく広いことに今更ながら驚きました。京都の景観が素晴らしいのは東山連峰を背景にしていることが大きな要因であることを実感します。

 

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円山公園から知恩院に。小学生の時、みんなで写生に行った時のことを思い出しました。懐かしい景色です。

 

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知恩院から青蓮院門跡。この手前に有名な「クスノキ」があります。京都市の天然記念物。樹齢、数百年とか。

 

伏見稲荷清水寺円山公園知恩院、青蓮院、いずれもビッグネームの名所巡りとなりました。お昼に近くのうどん屋さんに入りました。もちろん、”京都うどん”です。ケツネうどんではありません。ここまでで約4時間、10㎞強の道のりでした。三回目で体も馴染んできたのか、今日のコースが年寄りにも優しいコースであったからか、二人とも余力を残してのトレイルでありました。とにかく無事で何より。よかった、よかった。

 

 

京都の東山の山々を総称して「東山三十六峰」と言いますが、北は比叡山から南は稲荷山に連なる山並みです。三回のトレイルでほぼ制覇したことになります。トレイル後には、京都の市街地から東山を見る景色も違って見えてきました。なにやら嬉しい自慢気な気持ちになっています。

 

ドラゴン先生から渡された資料のなかに「京都東山の見かけ高さに基づく主峰視点領域の分布特性」という論文がありました(普通の人が関心を持たないような論文に興味をお持ちなんですねえ。面白い?)。岐阜大工学部の准教授が中心に研究されたもの。遠くから眺められる山頂と、山中に入って見える山頂(見かけの山頂)が異なることがあることに注目して、観測視点から山頂への仰角を指標として分類・分析した論文です。”何のためにこんなこと研究するんかいな?暇なことを勉強している学者さんもおるんやなあ”としか思えませんでしたが、読んでみるとそれなりに面白いものでした。

 

この論文の結語は「山辺の自然景観とそこに織り込まれた文化的景観との間に『比類なき調和』を創出している要因の一つとしての地形構造を明らかに」したと。東山連山は山中に入って見える”見かけの山頂”が多いのが特徴で、その地域に歴史的な寺社仏閣が密集し、人が南北に移動する参詣道が発達しているとか。今後は、山を意識した空間演出を調査して、それらと「主峰視点領域」との関係を考察したいとのことでした。やはり、分かったような分からないような論文です。論文に記載があった江戸時代の俳諧師服部嵐雪の句「ふとん着て寝たる姿や東山」が東山三十六峰をうまく表していると感心しました。

 

大発見が一つ!。東山三十六峰と言っても、昔は個々の山の名前を特定していた訳では無かったそうですが、近年では36の山の名前が決まっています。そして、その中の一つの山がナント僕の苗字と一緒でした。小さい山のようで、僕の持っている「京都一周トレイル・東山」の地図(1/25000)には表示がありませんでした(これはチト残念)。

 

 

東山コース・Fルートというのは、起点が更に南に下って、伏見桃山駅から今回の起点である伏見稲荷までです。次回、第四回目をやれば東山コース、完走(完歩)となります。10月から開始しましたが、毎月一回のトレイルを継続出来るとは思っていませんでした。嬉しい限りです。体も少しは馴染んできているように思います。継続したいものです。

 

 

昼食の後、ドラゴン岡崎マンションまでプラプラと歩きましたが、平安神宮前の公園広場で平安楽市が開催されていました。定期開催されている手作りの作品に限定した市。たくさんのお店が出ていて賑わっていましたが、だれもお客が立ち寄っていないお店があったので、二人で冷やかしに覗きました。「揺(ゆらぎ)」というタイトルで、青磁器を作っているおにいちゃん。キレイなぐい飲み、お猪口等々が並べられていました。一つ記念に買っても良いかと思い始め、参考までに作者のおにいちゃんの名前を聞いたところ、ナント、僕の名前と一緒でした。漢字も一緒。意味なく大変な盛り上がり、ドラゴン先生も参戦してくれて「二つ買うからまけといてえ」と大阪弁でなく名古屋言葉でもなく京都言葉?なのかを駆使した値切りの言葉が飛び出しました。「普通よりも既に値段をさげて出品していまーす」とやや悲痛な声が出ましたが、結局は、上品なオッサン二人に囲まれて気持ちよく値下げに応じてくれました。

 

 

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青磁のぐい飲み、作品名は「ホタル」。ドラゴン先生はお猪口を。作品名は「春雨」。柔らかーい丸身を持った三角の形です。見かけよりも重みがあり手にした時のバランス・感触が良いように工夫したとか。熱燗(僕は”ぬる燗”ですが)に良さそうに思います。

東山三十六峰には苗字と同じ山を見つけたし、青磁のおにいちゃんとは名前が一緒だったし、面白いことが続いたトレイル三回目でした。来年はこの勢いで「完結編」に挑戦したいものです。

 

 

おまけの料理です。

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 手羽先とジャガイモの揚げ焼き。ローズマリーの香りがイイですねえ。それとニンニクを皮ごと、大きなカケラを3-4個入れました。ホクホクで美味しかったです。手羽先は切込みを入れてタレに漬け込んでおいたものを揚げました。安くて美味しい!。2020年12月18日、料理と撮影。