クルルのおじさん 料理を楽しむ

駆け足で「12月のNHK俳句」と年末の風景

あっという間に年末です。今年はコロナ、コロナで大変な一年でした。春先にはここまで大騒ぎになるとは思っていなかったように。毎年、年末には、子供たち、孫たちと全員集合して食事会をやっていますが、今年は早々に中止することにしました。何も無いと寂しいですから、個別に(小人数)で会食をしようかと思ったのですが、年末にかけての感染の広がり具合から、これらも止めました。カミさんと二人でのんびりと年末年始を迎えようとしております。

 

 

12月のNHK俳句です。僕の備忘録です。お付き合い頂ければ嬉しいです。 

 

第一週、司会は戸田菜穂さん、進行役が宮戸洋行さん。選者は小澤實さん。凄いゲストさんが登場しました。チョビひげ、パンチパーマ、ヒョウ柄のシャツ、黒のスーツ。どう見てもあの筋の方にしか見えない。北大路翼さん。1978年生れの方。33歳の時に新宿歌舞伎町俳句一家「屍(しかばね)派」を立ち上げた。テキストではボウズ頭の写真が掲載されていましたが、TVではイメージチェンジして、更に迫力のある風貌で登場となりました。

 

今月の兼題は「嚔(くさめ)」。ゲストの翼さんの句。 

   次の嚔にポケットティッシュは耐えられまい   北大路翼

 

翼さんは、小学三年の時に種田山頭火の句に出会って俳句にのめり込んだそうです。 

    石に腰を、墓であったか   種田山頭火 

 

小澤さんが面白いと選んだ翼さんの句、 

   雪合戦顔に当てられたら怒鳴る   北大路翼

 

くしゃみ(嚔)を題にしての句、自分では作句しようとしても全くイメージが湧いてこなかったです。発想が貧弱なんですねえ。寂しい。實さんの特選三句です(記載の順番を一席からにしました)。

 

一席   くしゃみして蒼穹へ魂吸われむか  (そうきゅう、たま)

二席   全身の全霊の大嚔なり

三席   星一つ消し飛んでいる嚔かな

 

特選三句には選ばれませんでしたが、面白い句がたくさんありました。

     嚔してささる視線にまた嚔

     へっくしゅんちきしょーちきしょーへっくしゅん

     三十三間堂をつらぬく嚔かな

     じっちゃんの嚔放屁をともないて

     我が句想破壊す妻の大嚔

 

翼さんの近著「加藤楸邨の100句」の紹介がありました。翼さんの俳句の先生が今井聖さん、楸邨はその聖さんの先生になるとか。楸邨の一句、 

     生きてあれ冬の北斗の柄の下に   加藤楸邨

 

この本は、翼さんが楸邨俳句に熱く鑑賞を書いているものですが、この句のクダリを戸田さんが朗読しました。戦争の時代の句です。戸田さんに朗読してもらい翼さんが感激していました。”生きてあれ!”という言葉がホントに秀逸だと思います。次は「中村草田男の100句」を纏めようとしているとか。読んでみたいと思いました。四人で話が大変に盛り上がり、あっという間の30分でした。翼さん、見た目も印象に残りますが、中身も大変に面白そうです。

 

 

第二週、司会は武井壮さん、選者は対馬康子さん、ゲストに朝倉海さん。海さんは1993年生まれ、総合格闘家バンタム級の王者とか。武井さんは海さんがまだ全く無名の時代から交友があり、ずっと成長を見続けている由。いい兄貴分ですね。海さんは俳句はまったく素人とのことでしたが、句に対しての受け留め方が大変に想像力豊かでビックリして感心しました。

 

今週の兼題は「枯木」。特選三句です。

一席   手放すといふ安らぎに枯木立つ

二席   ゆるぎなき枯木へ星のオルゴール

三席   明日はなほ美しからん枯木道

 

この一席の句に対する海さんの鑑賞は「試合に負けた。悔しいけれど解放された気持ち。あとは練習に励むしかない、強くなれる」。特選には選ばれませんでしたが、面白いと思った句と海さんの受け取め方です。 

     眼差しの枯木の彼方なる光

「試合前の減量に苦しんでいるところ。その先の栄光を目指して」。

     夕暮れは優しき器枯木山

「苦しかった練習の帰り道、夕暮れに慰められているような」

ご自分でも「(俳句を読むと)いろいろと想像力が刺激されて楽しい」とのことでした。一流の格闘家はやはり感性が素晴らしく高いものだと思いました。

 

 

第三週、司会は岸本葉子さん、選者は西村和子さん。ゲストにまたまた浜口京子さん。

兼題は「山眠る」。春は「山笑う」、夏は「山滴る」、秋は「山装う」、そして冬が「山眠る」、中国の詩人の言葉だそうです。”なるほどなあ”と感心してしまいます。特選三句です。

 

一席   山眠る津軽海峡時化十日  (しけ)

二席   桑畑は拳振り上げ山眠る

三席   免許証撫でて返すや山眠る

 

特選には選ばれませんでしたが、面白いと思った句です。

     すれ違うバスも空っぽ山眠る

     山眠る野菜売り場がバス乗り場

 

選者の西村和子さんは、子育てで忙しい時、句会に参加できずに悶々としていたそうですが、友人と一日10句ハガキで交換を100日間続けたそうです。コロナで句会が開けない日々が続いているそうですが、ネット句会の紹介がありました。「夏雲システム」というのがあるそうです。

句会とほぼ同様に参加者が各自の句を投句する。システムで自動的にシャッフルされて一覧にまとめてくれる。それに対して選句するとまた自動集計して結果公開=特選、並選を抽出してくれると。西村さんも「簡単に使える、とっても便利」と絶賛されていました。

 

 

第四週です。俳句さく咲く!、先生は櫂未知子さん。生徒さんは常連の四名。宿題の兼題は、「数え日」「短日」「冬銀河」「山眠る」「湯豆腐」「寒雀」「千両」、そして自由3句。前回、最高点を取った武雅さんに、紗季さんが「あれがまぐれだったのかどうか注目」と鋭いツッコミを入れていましたが、今週も武雅さんが最高点でした。未知子先生も驚くほどの急速な進歩。先生が褒めていた武雅さんの句(8点)、

   鍋蓋を褞袍の裾で掴みけり   塚地武雅   (どてら)

 

生活実感が素直に詠まれていると評価されていました。そう思います。 

紗季さんの句で良いなあと思った句です。

   数え日や茶碗の傷を確かむる   桜井紗季

   短日の自転車を漕ぐ速さかな   同

   湯豆腐を崩れぬように移しけり  同

 

授業はその後、面白い「地名」を句に織り込んでみる練習、吟行では「はねつき」を兼題に、そしてミニ句会は兼題「セーター」。ここでも武雅さんがまた特選を取りました。二週連続の二冠達成です。

   弟が父のセーター着たりけり   武雅

 

もったいない句に、紗季さんの句が、

   セーターのほつれを直す月夜かな   紗季

 

これを居残り授業で、未知子先生から「『月夜かな』が重たすぎる。『かな』が強すぎて、上五中七の印象が薄くなる。もう少し軽くする方が良いのでは」と指導がありました。

   セーターのほつれを直す夜なりけり  添削例 

 

添削句を見ると”なるほどなあ”と思います。

 

今週の投稿句、兼題は「鍋焼」。特選句です。

   鍋焼きや並んで小さき老姉妹

 

番組の最後に1月5日締め切りの兼題が表示されていました。「公魚」。知っているはずなのに読みが出てこなかった。「わかさぎ」でした。江戸時代に将軍に献上されたので「公」の字が充てられた由。難しいですね。

 

 

12月27日、久しぶりに「居酒屋ヒデさん」にお邪魔しました。小人数でも外食は止めることにしましたが、これは特別です。楽しく歓談、例によってヒデさんの手料理を堪能させてもらいました。

写真を撮るのを忘れており、かなり食べ散らかした後に撮ったのですが、画面に出してみると、やはり、ヒデさんにはキレイな状態で撮っていなくて申し訳ないなあと。写真の掲載は止めました。今日の献立は、ローストビーフ二種、タレ三種類(グレービー、わさび、玉ねぎ)、エビとアボカドのサラダ、鯛三種(昆布締め、塩締め、普通に刺身に引いたもの)、ネギ焼き、キャベツのザワ―クラウト風、牡蠣のアヒージョ。お昼からビールとワインが美味しく頂けました。

昆布締めが美味しかったなあ。会社を卒業した時、博多の小料理屋さんで取引先の会長さんご夫妻と我々夫婦と四人で会食した時に出された料理を思い出しました。調理場に並べられていた各種の庖丁が長年に研がれてチビて短くなっていました。

 

 

12月29日、翌日からは雨から雪との天気予報が出ていました。この日はやや暖かく、年内の予定はほぼ全部中止にしていたので、気分転換にカミさんと二人で高尾山歩きに出かけることにしました。のんびりと9時ごろに出発。登山口の駅まで、神奈川の自宅から1時間チョットで着くことが出来るので気楽に行くことが出来ます。

 

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中間の展望台から。晴れた日には都庁、スカイツリー等々が見晴らせますが、あいにく、この日は曇りで見えませんでした。頂上からは、富士山も見えるのですが、やはり微かにしか分かりませんでした。京都トレイルのお陰か、膝の状態もそれほど重くはならず、帰路もケーブルカーを利用せずにチャンと歩いて下山出来ました。よかったです。

 

 

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千両を頂いたので、花瓶に入れました。赤と黄色がキレイです。

あっという間に大晦日。このブログを発信してから、のんびりとNHK紅白を見ようとしていましたら、また、PCトラブル。ネット接続が突如出来なくなってしまいました。大慌て。イロイロ工夫しましたが、やはり出来ず。諦めて、お酒を飲んで紅白を楽しみました(結局、新年早々に留守宅のネットサービスの会社にコンタクトして、解決することが出来ました。新年からのサービスに感謝です)。ややフラストレーションの残る大晦日でありました。

 

良いお年をお迎えくださいませす(註:と言っても、実際に発信したのは、元旦のお昼になりました。新年のテーマ=もう少しシステムに強くなりたい!)。