7月12日、東京は4度目の「緊急事態」となりました。沖縄は「緊急事態」が延長されます。来月の8月22日まで。発令時としては最長期間の6週間となります。埼玉、千葉、神奈川、大阪では「まん延防止等重点措置」が継続となり同じく8月22日まで延長されます。
7月23日から開催される東京五輪を見据えて7月8日に決定されたものですが、この決定を受けて東京五輪は東京の全会場を無観客とすることが決まりました。次いで、神奈川、埼玉、千葉の3県の会場でも無観客が決まりました。これで五輪会場の8割が無観客になるそうです。その後、さらに北海道、福島でも無観客とすることが発表されています。福島で「無観客」になったことで当初の「復興五輪」の意義は一段と薄れてしまいました。
ガタガタ・ボロボロの状況だと思いますが、菅首相は8日の記者会見ではワクチン接種が進んでいることを強調しているようです。「本格的な接種が始まって2か月余りで累計回数は5400万回を超えた」。「7月中には人口の4割が少なくとも1回接種できる見通し」、また「希望する65歳以上への2回接種は7月中に完了する」等々をアピールしています。
一方、自治体からはワクチン配給に支障が生じているとの声が多く報じられており、接種受付の一時停止が多く報道されています。相変わらず何が原因で支障が生じているのかは理解出来る説明がありません。政権にとっても頼みの綱のワクチン接種のはずですから、もう少し丁寧なフォローアップが不可欠だと思いますが。
緊急事態下では飲食店に酒類提供の一律停止が求められていますが、その見返りになるはずの協力金の迅速な支給、更には、先渡しの仕組みは残念乍らいずれもスムーズに進んでいないようです。この施策そのものに妥当性があるのか、関係者からは反発や疑問の声が益々強くなっています。
隠れ家のある愛知県は、お陰様(?)で「まん延防止」が11日に解除されました。12日からは県独自の「厳重警戒措置」が始まっています。如何に”厳重警戒”するのか不案内ですが、名古屋市の飲食店は夜9時までの営業が認められ酒類の提供も閉店まで可能になるとのこと。緊急事態下にあるお店とお客さんには申し訳ない気がしますが、ワクチン接種二回終了後の元気なお年寄りはソロソロ仲間の集まりを再開しようとの動きが出始めています(僕のことです)。ある意味極めて正常な反応かと思っていますが、まだ接種を受けることが出来ていない若い現役世代の方々に感染が拡大しないように十分に注意してやらないとバチが当たりますね。
久しぶりに”100分de名著”を見ました。ボーヴォワールの「老い」がテーマ。講師はあの上野千鶴子さん。一回目の放送を見て面白かったのでテキスト本も書店で買ってきました。
以前、上野千鶴子さんの本の事を書いたブログです。
(読み返すと自分の無知を曝け出しているようでかなり恥ずかしいですが・・・。懐かしいものですね。)
関心を持ったのはボーヴォワールに対してなのですが、一回目の放送とテキストを見て確認しましたが彼女は1908年の生まれ。僕の大好きな神谷美恵子さんは1914年の生まれですから6歳の年少さん。ほぼ同世代の女性版”知の巨人”として、またまた神谷さん繋がりとして興味を持ちました。
ボーヴォワールの代表作は「第二の性」、それと今回テーマの「老い」。「第二の性」は1949年、彼女が41歳の時の著作ですが、上野さんに言わせると「性差は運命でも生物学的なモノでなく、社会的に構築されるもの」「老い(の問題)は個人の問題ではなく社会の問題である」というのがボーヴォワールの主張であると。上野さんご自身も多々影響を受けている様子で彼女も著書で「女の解放に不可欠なのは女の努力ではなく社会の変化だ」と主張したし「(社会問題として)女性のことだけでなく『社会的弱者』に共通する問題として高齢者や介護問題を研究するようになった」とのことです。
一方の神谷さん。自分の使命(召命)として、社会的弱者であるハンセン病患者さんの”看護”に終生を捧げる活動を続け、その活動を踏まえて「生きがいについて」等の人間一人ひとりの心の問題についての著作を残しています。一人の女性として妻として母としての生き方を貫き通した生き様であったと理解しているのですが、同世代人としてのボーヴォワールさんのそれと比較すると、当時の”女・知の巨人”と言ってもおかしくないお二人の活動振りの対照的なことがはっきり分かるような気分になって、一層、神谷さんへの興味を強くしています。
番組の司会はアナウンサーの安部みちこさんとタレントの伊集院光さんですが、伊集院さんが良いですねえ。冴えてます。上野さんからはいろいろなボールが飛んできますが、それにたじろぐことなく核心を突いた反応をしていました。心配なのは彼かなり太り過ぎでないかと。ゆったりめのシャツを着ていますがそれでもお肉が溢れています。老婆心ながら健康に是非とも注意して欲しいものです。
上野さんは相変わらず頭の良さそうな切れ味鋭いお話振りですが、この方は話を伺うよりも書かれたものを読む方が素直に入っていける感じがしています。文章は分かり易いし文字では嫌味は感じないで済むのでずっと説得力があるように思います。
テキスト本を読みながらも次の放送も楽しみにしたいと思ってます。
7月12日、夜のNHKニュース、世論調査結果では内閣支持率が発足来の最低の33%に下落、支持しない率は46%と逆に最高になったとか。ワクチン接種とオリンピックに賭けているように見える政権に対して、普通は周到な準備をしてから賭けに出るはずのものが、準備無しで根拠のない勝負に出ているような恐ろしさをみんなが感じ始めた結果なのかも知れません。
ガラッと話が変わりますが、NHK俳句です。7月の第一、第二週です。僕の備忘録として書いています。お付き合い頂ければ嬉しいです。
第一週は司会が武井壮さん。選者は片山由美子さん。ゲストに日本文学研究者のロバート・キャンベルさん。キャンベルさん、俳句歴はすでに10年以上で「仙歌」という俳号も持たれています。今週のテーマは「オノマトペ」、モノの様子を表す擬声語(擬音語)、擬態語です。新鮮な表現、意外性のある表現が求められると。例句として、
きらきらと松葉が落ちる松手入れ 星野立子
テキストにも面白い句がありました。
へなへなにこしのぬけたる団扇かな 久保田万太郎
(きらきらの二つ目の「きら」、へなへなの二つ目の「へな」は、繰り返し符号「く」で記載されています。縦書きの時は「く」が使えますが、横書きの時は「へ」を使うのですかね。調べてもよく分かりませんでした)
さらに”オリジナルの音”を創り出して俳句に使っている例として、
ラレレラと水田の蛙鳴き交す 山口誓子
オノマトペを使う練習を司会とゲストのお二人にやらせていました。武井さんの句も〇を頂いていましたが省略して、キャンベルさんの句です。
しゅるしゅると隅へと消えつ青蜥蜴 仙歌
しやましやまと卵白溶いて夏の空 仙歌
「しやましやま」が大好評でした。話振り、言葉使いともに日本人よりも日本人の様な方です。今月の兼題は「向日葵」。特選三句です。
一席 向日葵やテレビには空爆の街
二席 向日葵の途方に暮れて立ちており
三席 向日葵や選挙ポスターみな笑顔
面白いと思った句です。
向日葵や孫のやうなる研修医
向日葵や鉄棒が嫌ひだった頃
「オノマトペ」の話も面白かったし「向日葵」も良い句がたくさん紹介されて楽しい30分でした。
第二週です。司会は岸本葉子さん、ゲストは俳優の古館寛治さん。選者は鴇田智哉さん。「句のひとみ」がテーマですが、今月は「移動する『句のひとみ』」。三人が自分で撮った映像をベースに句作して紹介していましたが、あまりピンと来ませんでした。省略します。今月の兼題は「蝉」。特選三句です。
一席 落蝉の草に戻せば歩き出す
二席 蝉取って認められたき大人かな
三席 蝉の殻見え隠れして二つかな
面白いと思った句です。
蝉をさわれた一九九〇年
みんみんの声べとべとと松林
向日葵の満満と種宿しけり
最初の句は「七六六」になるそうです。「みんみんの」句、「向日葵」の句は、第一週で取り上げても面白かったような。「向日葵」の句は選者の提出先を間違ったのでしょうね。最後の最後にゲストの古館さんが「自分も”蝉”の句を詠みたかった」と一句紹介されました。
仰向いて「これで終い」と蝉の言う 古館寛治
今回はこの句が一番面白かったですね(「これで”しまい”」です)。
おまけの駄句です。
二回目を終えて一服夏料理 孔瑠々
留守にして紫陽花の挿し木枯れもせず 孔瑠々
おまけの料理です。
先日、留守宅で久しぶりに料理した”取れたてローズマリー”(の香り)のトマト煮が上手く出来たので、隠れ家でも作ってみました。勿論、ローズマリーも加えて。上出来。ソースが美味しかったので、翌日に残りものに麺を合えてみました。パスタが無かったので頂きモノの”備中岡山手延べ極細うどん「絹ひめ」”を加えました。美味しかったです(トマトの色がもう少しキレイだったのですが残念)。2021年7月12日、料理と撮影。