クルルのおじさん 料理を楽しむ

東京五輪・開幕前夜

 

今日は7月22日、明日がオリンピックの開会式です。今日と明日が祝日になっているのを今週19日の月曜日(もともとの”海の日”の祝日)まで気が付きませんでした。情けないやら恥ずかしいやら。まあ、毎日のんびりした生活を送っていますから祝日であろうがなかろうが然程は影響ないことには間違いないのですが。

 

今月に入ってからは、やはりコロナとオリンピックのニュースが気になっています。嫌になる話が多いです。コロナの感染拡大は悪いほうの予想通り急加速していて専門家の話では「すでに第五派が進行している」由。東京および周辺の首都圏全域での感染の拡大は目を覆いたくなるほど。

コロナ禍のなか五輪の運営は益々難しくなっていますが、全く論外の不祥事が続いています。「五輪直前、新たな試練」の報道も。19日、開会式の楽曲制作の担当が辞任。過去、学生時代に障害のある生徒にいじめをしていたことに批判が続出、組織委員会が方針を転換して謝罪に追い込まれたとか。また、明日の開幕を控え今日22日になって開会式のショーの責任者・デイレクターが解任されたとの報道。昔、売れない時代にナチスドイツによるユダヤ人虐殺を揶揄するコントネタをしていたことが問題になったと。組織委員会の脇の甘さはいかがなものかと、もうこれは「試練」云々のレベルを超えていると思います。

そう言えば、女性蔑視発言で大会組織委員会の会長を辞任した森元総理がIOC会長のあのバッハさんの歓迎会に出席したそうです。そのことを記者から質問をされた政府官房長官は「元総理の立場で参加されたと聞いている」と説明をしたとか。

19日の日経記事では「米紙ワシントン・ポストは17日の記事で東京五輪について『完全な失敗に向かっているように見える』と論評するコラムを掲載した」と報じられていました。世界に対する歓迎を示すはずであった「おもてなし」の心は「偏狭で内向きな外国人への警戒」に変化したと論評しているそうです。原文を読んだ訳ではありませんが、受け取り様によっては日本人に対する一方的な非難のようにも感じてしまいます。日本の行政乃至は五輪の運営に対する論評なのかを明確にして記事にしてほしいモノだと残念に思いました。

 

宮城、茨城、静岡県以外の会場では無観客での開催となりました。宮城県では「復興五輪」へのこだわりからお客さんに来てもらうべしとの判断をされた由。県内でも意見が分かれており、知事と市長との意見の差、溝も大きいとか。サッカー会場は最大一万人を収容することになり三県のなかでは収容者数は宮城が最多となるそうです。感染拡大に繋がらないように祈りたい。

 

参加選手のほうも大変のようです。選手については連日の検査に加え、立ち入り先や移動手段を厳しく制限して外部との接触を断つ「バブル方式」が採用されています。一方、海外からの大会関係者は多くが一般のタクシーを利用しているとか、選手と接触する警備や輸送関係者への対応もマチマチとか、「バブル方式」の有効性が懸念されています。競技が盛り上がるにつれてフアンが会場周辺、街に集まることも十分に考えられ、さまざまな事態を念頭においてきめ細やかな対策が求められると。「感染を封じて五輪の安全な運営を」(日経7/15社説)。

 

 少しは明るい話題も報じられていました。「復興五輪、パリで発信」の記事。次のオリンピック、2024年五輪の開催都市パリで、東京五輪の開会式の直前に福島を中心に宮城、岩手の三県の食材をPRするイベントが開かれるそうです。コロナ禍で沈滞する「復興五輪」の理念を海外に発信する、被災地支援に取り組んでいる二つの団体の共催です。

もともとの今回のオリンピックの開催の意義「復興五輪」。地味な活動だと思いますがアピールしてもらえれば嬉しいなあと思います。

この記事の隅っこに嫌な記事が掲載されていました。国民感情を逆なでするような残念な記事。「韓国選手団は独自弁当、福島県産の食材を懸念」。韓国のオリンピック委員会である大韓体育会は、選手村近くのホテルを借りて韓国選手団の弁当を用意する給食センターを設置するそうです。韓国では福島第一原発事故後、福島を含む日本の8県産の水産物輸入禁止措置を続けており、一般市民の間でも依然として福島県産の安全性を心配する見方が根強いからだそうです(以上、7/20、日経・夕刊)。

 

五輪の競技運営そのものにも課題が山積しているようです。感染者が出た場合「失格」ではなく「棄権」扱いになるとか。濃厚接触者と認定された場合の取り扱いはどうなるのか、まだあいまいな点も残されている様子。決勝進出チームで感染が発生するケース、クラスターが発生するケース、もうこれは悪夢であろうと。

  

今晩、サッカー一次リーグで日本と対戦する予定の南アフリカチームでは、選手に三人の感染者、多数の濃厚接触者が出ています。試合が出来るかどうかが心配されましたが、幸いに試合は成立することになりました。

日本のサッカー代表チームは事前の強化試合で金メダル候補のスペインと引き分け。期待が高まっています。同じく、男子バスケも強化試合で世界ランク7位のフランスを破っており、これも大変に期待が高まっています。 開会式前に始まった予選会では、女子ソフトボールが二連勝。女子サッカーは強豪カナダと引き分けスタート。選手、関係者がコロナ禍に巻き込まれないように引き続き試合に臨めますように。

 

今回の五輪は、改めて「オリンピックは何のため」ということを問いかけているように思います。日経7/15付けの春秋欄に一つの問題提起がされていました。

「コロナ禍ではほぼ無観客の開催となる東京大会も、テレビの放映権料が入るからIOCの腹は痛まないと聞く。・・・開催国に負担を強い、自らは肥え太るIOCビジネスが限界に来ていることは自明だろう。・・・そんな中で開く大会が五輪貴族たちに改心をもたらすなら、いささかの救いはあるが---」。主旨はこの通りだと思いますが、あのバッハ会長に「改心をもたらす」なんてことはあり得ないことでしょう。

先ほどのワシントンポストの記事にも「(無観客の)会場や納税者負担で『東京都民はなぜ、誰のためにこの犠牲を払うのかを自問自答している』」と記載がありました。

 

ちょっと観点が違うかも知れませんが、何日か前の日経新聞の記事に「学生アスリートの報酬承認。NCAA独禁法違反で完敗」という記事がありました。全米大学体育協会NCAA)が学生がスポンサーをつけるなど肖像権を使って報酬を得ることを承認した、というものです。最初はアマチュアリズムとプロ化の議論なのかと思ったのですが、全くそうではなく「NCAAのビジネスモデルは無給の学生アスリートを使って多額の収益を得ている=独禁法上の深刻な問題」という争議であった由。

  

オリンピックがアマチュアリズムから乖離して商業化に大きく舵を切ったのは1984年のロスアンジェルス大会です。スポンサー契約、TV放映権、プロ選手の参加。カール・ルイス選手の陸上4冠がそれを象徴すると言われています。IOCが「オリンピック・ブランド」の商売を確立した大会。その前の1980年のモスクワ大会はソ連のアフガン侵攻に異議を唱えてアメリカのジミー・カーター大統領がモスクワ大会への参加をボイコット。政治の問題、人権の問題、人種の問題を経て、1984年ロス大会では商業化の問題が発生した(商業的には大成功!であった)。「オリンピックは参加することに意義がある」というのが死語になった大会という意味では大変な変わり目の大会であったと言われています。 

 

今回の運営の仕方の経緯を見ていて一日本国民としてイライラが募る一つの原因は「五者協議」。大会組織委員会、都市・東京都、日本国、それとIOC国際オリンピック委員会)、IPC(国際パラリンピック委員会)の五者協議。開催国側=委員会、都市、国の主体性が見えなかった。オリンピック・ブランドビジネスを確立しているIOCの意向に振り回されているだけだった様に感じられます。何やら、巨大IT企業と国家との関係に近いような。両者に共通する変な違和感を持って見てしまいました。 

 

20日、たまたまですがアマゾンの創業者ジェフ・ペソスさんら四人の有人宇宙飛行が成功。宇宙”旅行”の時代ですね。上空、たかだか80-100㎞の高さだそうです。平地で言えば、車でせいぜい1-2時間の距離かと。地球の引力というのが凄まじいパワーであることを実感します。人間というのは地球の表面に張り付いて生活している生き物なんですね。宇宙からみたらコロナとかオリンピック騒ぎしているのはどんな風に見えることやら。先駆者はレスペクトしたいですが、巨大組織が国家の枠から離れた活動でフェアな取り組みに繋がることを期待したいものです。

 

 

スポーツの大きな効用は感動を与えてくれること。スポーツ(観戦)大好きなクルルのおじさんとしては、選手・チームが十分に力を発揮して感動を与えてくれることを祈るばかりです。

  

 

あまり楽しい話題ではありませんでしたので最近のスポーツの楽しい話題を二つ。 

その一。大谷翔平選手。

大リーグのオールスター戦。ホームラン・ダービーで第一シードで出場しました。大リーグのホームラン・ダービーで第一シードですよ。さらにオールスタ―ゲーム本戦。ルールの変更までなされて”一番指名打者+先発投手”で出場しました。一昔前の「良きアメリカ」を思い出しました。選手同士もお互いをレスペクトして親交を深めている。久しぶりに良い景色でした。その素晴らしい景色の中心が大谷選手だというのに痺れました。

 

その二。照ノ富士関、横綱に昇進。

kururupapa.hatenadiary.jp

照ノ富士関、大関陥落の時のブログです。膝、糖尿病、内臓疾患に苦しみ大関の地位を失い番付を転がり落ちた。27歳で第二の相撲人生が始まり序二段からの復帰。千秋楽の大一番には大きな声援が飛んでいましたが白鵬の気合が勝りました。文字通りのケンカ相撲、白鵬の闘争心の凄まじさに驚きました。横綱の品格を問われる以上に闘争心が全面に出ていたと思います。

 

大谷選手の活躍、大相撲の大一番、いずれも観客の大声援が場を盛り上げていました。観客のいないスポーツとは。TVで観戦する無観客のオリンピック。改めて何の為のオリンピックかと思ってしまいます。

五輪に参加しているアスリートさん、一人ひとりが、コロナに邪魔されずに日ごろの鍛錬の成果を無事に発揮してくれますように。

 

 

話が変わってNHK俳句、7月第三週です。お付き合い頂ければ嬉しいです。第三週、司会は中田喜子さん、選者は岸本尚毅さん。ゲストには”なぞかけ芸人”のねずっちさん。「整いまいした・・・、その心は・・・」のフレーズを思い出しました。今月のテーマは「俳句と夢」。赤尾兜子の句が紹介されていました。昭和18年、兜子18歳の初期の作の由。

 

   蚊帳に寝てまた睡蓮の閉ずる夢   赤尾兜子

 

(註;蚊帳は難しい一文字の漢字でした)

テキストを見ると漱石の句が載っていました。

 

   或夜夢に雛娶りけり白い酒   夏目漱石

 

(あるよゆめにひなめとりけりしろいさけ)

漱石30歳の時の句だそうです。一年前に鏡子夫人を娶っていたとか。ちょうど日経新聞の朝刊の小説、伊集院静の「ミチクサ先生」がほぼ最終章。寺田寅彦芥川龍之介が亡くなった漱石先生の思い出を語り合っているところでした。漱石というのはやはり大変に魅力的で楽しい方だったんですねえ(この週のNHK俳句とは何の関係もありませんが)。

今月の兼題は「蚊帳」。特選三句です。

 

一席   蚊帳の中明日の剱岳の地図披く   

二席   キューピーと寝たるはしかの蚊帳高し

三席   蚊帳ゆらす山から田へのかよいかぜ

 

面白いと思った句です。

     今しがた殿急変の蚊帳を剥ぐ

 

選句の発表のあとは岸本教官の「添削道場」です。岸本さんは「添削」で評価が高い先生なんだと理解するようになりました。司会とゲストの句、それと投句の中から一句を「添削」されています。

 

投句から   幼子の頬っぺに蚊帳の押し模様  

教官添削   幼子の頬なる蚊帳の押し模様

 

   蚊帳吊るや繕ひあとは豆絞り   中田喜子

   蚊帳吊るや当てたる継ぎは豆絞り   教官添削

 

   蚊帳の中着てる浴衣は加賀友禅   ねずっち

   蚊帳に透け加賀友禅の浴衣かな   教官添削

 

加賀友禅は「蚊が悠然」のなぞかけ(駄洒落)です。”蚊帳に透け”という上五はなかなか出てこない言い方だと皆さん感心されていました。やはりプロの添削という感じがしてきますね。因みに、投句の「頬っぺ」を「頬なる」にしたのは「幼子」ですでに”可愛らしさ”は出ているので重ならないようにとのことでした。  

 

駄句です。

   明日開幕五輪はコロナに耐えうるか   孔瑠々

   二回目を終えた集まり生ビール   孔瑠々 

 

おまけの料理は省略です。面白い写真が撮れませんでした。また、次回に。

 

追伸;サッカー、日本男子は初戦を勝利しました。それから今週は「写真」も無しです。次回は準備したいです。お休みなさいませ。