クルルのおじさん 料理を楽しむ

パトカー二台、白バイ三台

  

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京都岡崎、真如堂の三重塔です。あと1~2週間で紅葉が見事になろうかと。この日も秋晴れの最高の天気でした。2021年11月7日(日)、撮影。

 

2021年11月6日、土曜日。京都トレイルを再開しました。今回は「北山・東部コース」の半分に挑戦しました。比叡山から大原・鞍馬を経由して二ノ瀬までを一気に歩くように設計されているようですが、ドラゴン先生がコースを検討結果、二回に分けて歩くことにしました。僕は当日に名古屋から参戦するのであまり早く出発時間を設定出来ないし、二人の年齢・体力を勘案してのドラゴン先生の判断です。「北山・東部コース」の全長は17.9㎞ありますから、距離から考えても二回に分けるのが適切であろうと思いました。今回歩くのは9.8㎞になります。

 

朝9時前に岡崎ドラゴン・マンションに集合。叡山ケーブルにてケーブル比叡駅に。北山・東部コースのスタート地点です。10時に歩き始めました。快晴。  

 

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左;叡山ケーブルです。高低差561mは日本一。二台のケーブルカーが直径40㎜の鋼鉄のワイヤーで井戸のつるべのように引っ張られています。車両の先頭に立ちました。改めて認識しましたが、線路の間にケーブルが施設されています。この写真は途中でもう一台とすれ違った後ですからケーブルが二本通っているのが分かります。ちなみに運転は山上の駅にいる運転士さんが行っています。社内の運転席(の様な所)に座っている方は説明ガイド役兼ブレーキとドアの操作係さんの様です。

右;空中に浮かんでいるように見える「輪」は「かわらけ投げ」の的です。この輪っかの中に土器(かわらけ)を投げてくぐらせることが出来れば願いが叶うと。ケーブル比叡駅からロープ比叡駅の間にある広場で。

 

前回までの東山コースは概してまだ街に近い東山の名所旧跡巡りという趣が強かったですが、北山コースはさすがに本格的な山歩きコースでした。それでも最初のうち、ケーブル比叡から比叡山延暦寺の境内に向けてのコースは眺めも良し、道も良し、勾配加減も良し。おまけにお天気も最高。根本中堂への道を経由して最澄さんの廟所である浄土院を過ぎる辺りまでは快適な名所旧跡巡りの山歩きを楽しめました。

 

その後は京都府滋賀県の県境に沿って歩きます。右手には琵琶湖が広がっているのですが見ることは出来ません。アップダウンが少しづつ厳しくなってきます。ほぼ中間点であろう「玉体杉」に到着。まだまだ元気です。 

  

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「玉体杉」。回峰行ではここで京都御所を拝する玉体=天皇の安泰、国の平安を祈る場所であったとか。展望の開けたところでした。この辺りまでくるとさすがに名所旧跡の類はもうありません。山道です。横高山(767m)に向かいます。それほどの急坂ではないもののアップダウンの繰り返し、これはキツイ。何故、苦労して上った道をまた下り、更にまた上ることを繰り返しているのか。愚痴が出ます。

横高山から水井山(794m)に。ここが京都一周トレイルの中で一番標高が高い地点。ほぼ直線に近い急な登りです。しんどい。   

 

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左;「横高山」山頂。この辺りからは樹木、木々の間を縫って遥か琵琶湖を望むことが出来ました。急な上り下りに参りましたが良い景色です。

右;「仰木峠(573m)」。仰木の里(滋賀県)と大原の里(京都府)を結ぶ峠。水井山から随分と降りてきました。ほぼ直線のかなり急な下りが続きました。

 

この仰木峠のあと大原・戸寺までずーっと下りです。それまでのアップダウンで僕の膝にはかなり負担がかかっていました。ここで膝サポーターをつけました。両手にステッキを持ちもともと不得意な下り坂に悪戦苦闘。驚いたことに、ここに来てドラゴン先生の足取りが益々軽快になってきました。「もともと下り坂は得意!」とか。上り坂の時は遅れることもなく歩けていたのですが、とても追いつける速さではない。「先生、あんた鞍馬の天狗さんだったの?」、”ひょっとすると今までの山歩きでは僕を慮ってペースを合わせてくれていたのかしら、歳は僕より上なのに”とショックでした。

 

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ドラゴン先生、ブログに初登場!。歩き始めて直ぐに撮った写真です。ご本人の許可を得ての掲載。改めて見ると颯爽としているなあ(よいしょです)。

 

軽快な足運びを続けるドラゴン先生にショックを受けながらも戸寺町のバス停までたどり着くことが出来ました。時刻は午後2時半でしたから、休憩時間を除いて4時間強は歩いたことになります。へとへと状態。僕にとってはこの辺りが限界。”全く平気な顔している年長さんが横にいるのは癪に障るなあ”。今から思えば東部コースを二回に分けてくれたのは僕の体力を心配してのことであったか。有難いやら(ちょっと)悔しいやら。

 

京都バスと叡山電鉄を乗り継いで出町柳駅に来ました。山歩きの途中では二人とも休憩時におにぎり一個程度の軽食でしたので、相談結果、ドラゴン先生お薦めのラーメンを食べに行くことにしました。出町柳からは京都大学界隈を通り越して白川疎水通りにあるラーメン屋さん。小さなお店ながら昔から味に変わりがない評判のお店とのこと。僕は初めてですが、ドラゴン先生が連れて行ってくれる店は定評がありますから楽しみなことです。15~20分程度歩けば行ける距離ですが、山歩きの後だけにタクシーに乗るのかしらと思いきや全くその気配は無し。「歩ければ歩きましょうか」と挑発的とも思えるオッファーがありました。もちろん歩いて行く!ことにしました。

 

実は今回のブログのメインイベントはここから始まります。

「土曜日なのにまだ人通りはそれ程多くないねえ」とか「平坦な道を歩くのは楽だわなあ」「なだらかな道だとこのままずっと歩き続けることが出来そうだ」とか呑気な会話をしながら、京大の理学部辺りを通り過ぎようとしている時、事件?が起こりました。歩道をドラゴン先生が先に、僕がその斜め後を歩いていました。後ろから一台の自転車が追い越してきて、僕を通り越してドラゴン先生の横に付いた時に、突然、大声で「おおい、道の真ん中歩くやないでえ。邪魔やろが!」とドラゴン先生に食って掛りました。何のことかと不審な目でそのおっちゃんを見据えたドラゴン先生に対して更に「邪魔やと言うとんじゃああ。謝らんかい!」と自転車からわざわざ降りて言いがかりをつけてきました。

”おやおや変なおっさんが登場してきたなあ。人通りも多く無いし、僕たちは横に広がって歩いていた訳では無いから、自転車の一台くらいは無理なく通り過ぎることが出来るのに。機嫌が悪くて通行人にわざと因縁をつけようとしてるのかしら”。

”最近は変な人が多いし、余り関わらない方が良いのでは”と思っていたところ、驚いたことにドラゴン先生がそのオッサンに歩道の歩き方、自転車の通り方についてレクチャーを開始してしまいました。相変わらず冷静な話し方です。道路交通法の条文まで持ち出して。

オッサンの方は、通行人を大声で脅したら怖がって「スミマセン」「ごめんなさい」等の反応が返ってくるのを期待?して、憂さ晴らしをしようとしていたのでしょうが、勝手が違って全く真逆の冷静沈着な反応をされてしまった。面食らった気配がアリアリでしたが、オッサンのほうも引っ込みがつかなくなったのでしょう。更に、声が大きくなり訳の分からない文句を言い続けました。

横で見ている限り、そのオッサンが変なものを取り出したり、暴力を振るう素振りは無さそうなのでそっちの心配は無いと思っていましたが、”道路の真ん中で大声を上げ続けてるオッサンの相手を何時まで続けるのかしら”と思い始めた時、ドラゴン先生が相変わらず冷静な言葉使いで「時間が無駄だから言いたい事をオマワリさんに言いなさい。警察を呼んであげます。いいですね。」と。”ええっ、警察を呼ぶの!?”と僕は驚きましたが、オッサンのほうも同様に一瞬はビビったようでした。それでも引っ込みがつかないからか「おおっ、エエヤないか。呼んでみいや」と啖呵を切っていました。

ドラゴン先生は平気な顔して110番。電話で状況と場所を説明。僕は手際の良さに感心しながら「110番は初めての経験になるがどの程度の時間で来るものですかねえ」と能天気な質問をしてしまいました。

待つこと3分!。オッサンも流石にやや大人しくなりました。パトカーが一台到着。まずは一人のお巡りさんがヒアリングを開始。間髪を入れず、白バイが二台。これでオッサン側と先生側の距離を空けて別々にヒアリング、事情聴取。更にさらに、パトカーが一台、白バイが一台到着。大事件の様相を呈してきました。少なくとも6~7人のお巡りさんがオッサンと先生を取り囲み(僕も先生側で取り囲まれましたが)事情聴取。道行く人たちはいったい何が起こったのかと。

お互いに暴力沙汰は無かったことを確認して聴取は終了。僕たち二人は解放。おっさんの聴取はまだ続けられていました。大きな声を荒げて言いがかりをつけるような振る舞いを注意されているようでした。

 

ラーメン屋さんのお昼の営業が続いていることを祈念しながらお店に向かいました。道中で「世間にいちゃもんをつけるヤツを放っておくのは良くないと思っている。昔からそんなヤツは許せない性格である。その性格からの行動であった」との説明がありました。「先生はまだまだお若いねえ」と茶化しながらも「その通りであると思うが、世の中、想像も出来ないぐらい変な人も多くなっているから、くれぐれも御身お大切な行動を」お願いしました。

 

このラーメン屋さんも(以前のカレーライスのお店同様に)先代の主人の時代から、ずっとドラゴン先生が通っているお店とか。若かった時には朝、昼、夜の三食ともに「ラーメンご飯定食」を食べに行って、その時には先代から「なあ、学生さん。あんた、毎食、足を運んでくれるのは嬉しい限りやが、栄養を偏らせるのはあきまへん。他のお店にいってお肉とかお野菜とかをバランスよく摂りなさい」と説教された由。今は糖質制限云々しているドラゴン先生の若き姿です。

「人気のお店でいつも行列が出来ており順番待ちを覚悟しないと入れない。今日は、中途半端な時間だから、多分、大丈夫であろう」と話を聞きながら疎水通り沿いのお店に着きました。店の表には暖簾も掛かっており営業中でした。表の通りには自転車が一台留まっているだけ。これなら待つことも無く入れてもらえるだろうとホッと一息。二人で暖簾をくぐりました。お客さんは一人だけ。カギ(『)状のカウンターの奥の席に二人座りました。

ふと手前に座っているお客を見てビックリ。ナントこれが先ほどの自転車のオッサン!でした。先にラーメンを啜って食べていたオッサンもほぼ同時に気が付いた様子で目を白黒。「なんでアンタらここにおるんや」とべそをかいたような表情になっていました。こちらも驚きましたが、まさかの偶然に思わず先生と大笑いしてしまいました。

”こんなことがあるもんや。世の中ホンマに狭いなあ。京都は面白いところやなあ”

オッサンの方は”もう降参”とでも言うような顔つきになり、ばつが悪いのかそそくさと食べ終え「どうぞ、ごゆっくり」と捨て台詞?を残して店を出て行きました。お巡りさんから搾られて気分悪く落ち込んで、美味しいラーメンで気分を転換しようと思ったら、また、そこで二人組と合流してしまった。”今日は、とんでもない日や”と思っていたのかも知れません。

”オッサンにはちょっと可哀そうな事態であったか”と思わないでもなかったのですが、やはり、きっかけはあの脅かすような言いがかりが問題。自業自得であろうと。ドラゴン先生も同じような気持ちであったように思いましたが「やはり、人を恫喝する、言いがかりをつけるヤツは許してはいけない」と厳しい見方をしていました。ラーメンはやや細麺系、ネギたっぷりのオーソドックスな味で大変に美味しく頂けました。

 

その日の夜、ドラゴン・マンションに長女さんご夫妻が合流。北山コースの話以上にこの”自転車おじちゃん”の話になってしまいました。この時には”オッサン”から”おじちゃん”に昇格です。長女さんはドラゴン先生のそういう性格はもう変わらないと思っているものの、とにかく自身の安全に十分に注意するようにと大変に心配していました。その通りだと思います。

旦那さんからは「あの界隈で、自転車に乗って、道行く人に声を荒げて文句を付けたり、同じ自転車で通行している人にいちゃもんをつける人がいる。ひょっとすると同一人物かも知れない」という話が出ました。ひょっとするとそうなのかも知れません。世間は意外と狭いようです。

それにしても日本の警察力は大したもんだと思いました。数分でパトカー二台、白バイ三台が駆け付けてくれる。京都の中心部だから、道路が空いていたから、いろいろなことが重なってのことかも知れませんが。

 

長くなりますがお口直しに翌日の京都風景です。朝、のんびりと散歩に出かけました。岡崎から白川沿いに歩いて錦市場を散策してからいつもの通りイノダコーヒーに。

 

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左:白川に架かる一本橋(通称、行者橋)。比叡山阿闍梨修業で千日回峰行を終えた行者が報告のために京の町に入洛するときに最初に渡る橋だそうです。

右;祇園辰巳大明神近くの白川沿いの風情。この先で鴨川に繋がります。

 

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朝食の後は遠回りして鴨川沿いに北に上り丸太町辺りからくろ谷さん、真如堂に行きました。冒頭の三重塔の紅葉を楽しんでから、久しぶりにアフロヘアの仏様にお目にかかりました。お元気そうで安心しました。すっかり心が安らぎました。以前の記事を埋め込んでおきます。懐かしいなあ。

 

kururupapa.hatenadiary.jp

 

二日目もよく歩きました。今回は京都尽くしでした。NHK俳句、居酒屋ヒデさん、料理の写真は次回にします。皆さま方もいろいろな出来事に出くわすことがあろうかと思いますが、くれぐれもご自愛下さいます様に。