クルルのおじさん 料理を楽しむ

最終講座

最終講義というと大学の教授が退官される時の最後の講義で、内田樹の「最終講義」は有名だし、中井久夫さんにも「最終講義」という論文、エッセイ集があります(これは昨年12月の「100分de名著」で知りました)。今回のお題は最終講義ではなくて「最終講座」。

 

3月10日(金)、鯱城学園34期生の最終講座でした。10時から学園ホールでの「共通講座」、午後は園芸科のクラスミーテイング。通常は2年で卒業するところをコロナのお陰で4年かけて卒業することになる34期生の最後の講座です。

共通講座のテーマは「高齢者の生きがいと地域活動」。鯱城学園での最後の講座に相応しいテーマ。日本福祉大学の中川晴夫さんが熱弁を振るわれました。中川さんは75歳、すでに教授を退官されていますが大学からの要請で講演(講義)を継続している由。「福祉大学ではなく『酷使』大学です」と楽しそうに話されていました。最後の講座でもあり面白いと思ったところを纏めておきます。

 

日本の高齢化率は2021年現在で29.1%とのこと。2065年には38.4%に達することが予想されており、この水準が予想される高齢化率のピークになると考えられているそうです。今年は2023年ですから42年後のことですが、「今年23歳の若者が65歳になる時が高齢化率のピークとなる=高齢化の問題は今23歳の若者のテーマ=ちょうど2000年生まれの方々の大きな問題になる」というお話。西暦年代と年齢の符合が面白くて新鮮に感じました。

高齢者を一括りにしないで三分類して考えているのも納得出来る指摘だと思いました。超高齢化社会になりつつあるわけですが高齢者像もそれぞれの年代で異なると。三分類は①A群=80歳代後半以上=いわゆる「戦中派」、②B群=70歳代後半から80歳代前半=戦前の価値観と戦後教育の狭間の世代)、③Ⅽ群=60歳代後半から70歳代前半=戦後教育の世代。

高齢者の「生きがい」についても従来は個人レベル、仲間レベルの趣味の世界が中心であったものが、より社会レベルなものに変化してきていると。社会レベル=社会参加=人の役に立ちたい、という「生きがいについての調査結果」を紹介されていました。

高齢者の「学び」(乃至は「学び直し」)についての課題(必要かも知れないこと)として「異質な集団」づくりを挙げられていました。これも同感、納得。今までの仕事、生活でのお付き合いの延長ではない「異質な」方々との交流の面白さ=鯱城学園を例にとってのお話で皆さん、大変に喜んでいました。

最後は「地域」について。「地域とは自然、社会、文化の統合物である、それが人間を育てる機能を持っている(持っていた)」。現在の高齢者が「地域離れ」していく過程を年代を追って面白く説明されていました(1940年代生まれの世代がモデルのようです)。

●小学生の時期:「地域知らず」---学校制度の改変、肥大化。

●中学・高校期:「地域離れ」---集団就職、金の卵、通学圏の拡大。

●大学生・青年期:「地域抜け」---地縁集団の衰退、地域行事の消失。

●20歳代---1960年代=猛烈社員。

●30歳代---1970年代=企業戦士。

●40歳代---1980年代=働きバチ。

●50歳代---1990年代=社畜、勤続疲労、粗大ごみ。

●60歳代---2000年代=濡れ落ち葉。

●70歳代---2010年代=「ワシも族」。

改めて「地域づくり」=仲間づくり、居場所づくり、生活づくりの大切なことをお話されていました。

 

午後は園芸科のクラスミーティング。最初に先生から卒業式の式次第!の説明がありました。過去(コロナ前)のビデオを参考までに早送りして見せてくれました。結構、皆さんキチンとした服装で出席している。男性はスーツ・ネクタイ姿がほとんど。ドレスコードが決められているのか質問してしまいましたが、「カジュアルな格好で問題なし」とのお答に一安心。その後、先生がこの四年間の記録写真をスライドショーで見せてくれました。クラスの人数が約半分に減った訳ですから、辞めていった懐かしい顔も思い出しました。シンミリしたところで一人一言。ハンカチで目頭を拭いながら思い出や感想をお話する方も。

最後は先生が挨拶をしましたが「農園に行くバスの中で○○さん(僕のこと)から聞いた話が大変に印象に残っている」と話し始めました。”ありゃ、何を言ったのであったか?”。「名古屋の人は鯱城学園を当たり前のモノだと思っているかも知れないが名古屋の外からの人間が見るとこんなに立派な高年学園は無いと思う。名古屋の自慢だと言って良い!」とバスのなかで僕が先生に熱弁を振るったそうです。”確かにそうであった。その通りだからねえ”。先生も「当たり前のモノ」と思っていた一人だったので「目から鱗」(とは言われませんでしたが)の思いであったと。僕もシンミリとした気持ちになっておりましたが、”先生、良く覚えてくれていたもんだ”と嬉しく思いました。 

 

   

学園の近くの三蔵通りの「オカメザクラ」。早咲きのサクラが通り一面に咲いていました。3月10日、撮影。この日はお昼に四班全員で近くの食事処で食事会をしました。園芸科の陶芸クラブの仲間も加わって。

授業が終了した後は同じく四班のメンバーに一班の仲間も加わって再度、喫茶店に立ち寄りました。四年間の思い出話に花が咲きました。また、皆さんそれぞれに4月以降も新しい「学び」を模索しているのが面白く楽しく盛り上がりました。来週、14日(火曜日)が陶芸クラブの最終回、そして23日(木曜日)が卒業式です。

 

NHK俳句です。三月の第一週です。司会は武井壮さん、選者は高柳克弘さん、今週のゲストは俳優の鈴木砂羽さん。今週の兼題は「凧」ですが、鈴木さんは浜松出身の方で浜松では昔から凧揚げが盛んであったとか。「凧」「凧揚げ」は正月のイメージが強いですが、春の季語。「風」、それも「春の風」に関わるところから春の季語になっているとのことです。「凧」のことを「いかのぼり」とも言いますが、これは”江戸時代には凧揚げのことを「いかのぼり」と言っていたのが、余り熱狂的になり過ぎて「いかのぼり禁止令」が出された。江戸っ子の屁理屈でイカではなくてタコなら文句ないだろうと「いかのぼり」ならぬ「たこあげ」と言い張った”のがその謂れとか。

蕪村の句の紹介がありました。

   凧きのふの空のありどころ   蕪村   (凧=いかのぼり)

今週の特選三句です。

一席   三陸の松まだ低し凧   (凧=いかのぼり)

二席   炭酸の泡のいきほひ凧あがる

三席   赤木山凧など軽く吹き飛ばし

 

 

WBC(ワールド・ベースボール・クラッシク)、侍ジャパン二連勝です。大谷、ダルビッシュ、吉田、ヌートバー、大リーグ組が予想通り(予想以上)の大活躍。チームの纏まりは素晴らしく良さそうです。今晩はいよいよ佐々木朗希投手が先発予定。

 

佐々木投手は3.11で父親と祖父母を亡くしたそうです。東日本大震災から12年。避難者数は今年2月時点でなお3万人強。3月1日時点で震災による死者は1万5900人、行方不明者は2,523人(日経新聞、3/11朝刊)。佐々木投手、頑張って欲しいです。

 

 

 

ピアノサロン「心音」の玄関。心音先生が僕の陶芸作品「ピアノ皿」を飾ってくれました。壁に掛けてあるのでは無くて、土台も造って嵌め込んである。嬉しい!、感激しました。が、よく見るとやはり作り様の粗さが目について情けないやら恥ずかしいやら申し訳ないやら。3月2日、レッスンの時に撮影。
4月以降、研鑽を積んでもう一度「ピアノ皿」に挑戦したいもんだあ!。