12月26日(木)、名古屋市昭和区にある南山大学人類学博物館に行きました。「あほ桐」の集まり・社会見学です。大学構内の紅葉が見事でした。このシーズン一番の紅葉をクリスマス明けに堪能することが出来ました。
「すべての人の好奇心のために=For Everyone`s Curiosity」がキャッチフレーズになっています。神父さんが収集した旧石器時代のヨーロッパの石器類、縄文時代の遺物、パプアニューギニアの民族資料、昭和30年代の日本のくらしの道具等々が展示されています。入場無料です。展示品の横には「触れて感じて下さい!」と。遺物を傷つけないために見学者は手の指輪等にはゴムのカバーをして腕時計等は見学中は外すことが義務付けられています。パンフレット等には全て点字が付けられています。大変に心の籠った工夫をしているイイ博物館だと感じました。
あほ桐の集まりは12月早々にやったのですが(12月10日の「北斎漫画」をご参照ください)、何故か誰彼からともなく”みんなの時間が合えば「忘年会」をしよう”ということになりました。そして、お店は八事(ヤゴト、と読みます)にある味噌おでんのお店に行こうと決めていました。21年前(2003年です)に僕が名古屋に単身赴任になった時に、このメンバー(正確にはプラス一名)で初めて食事飲み会をした場所です。
僕自身は名古屋に高校同窓の連中がいることを知らなかったのですが、連絡を取ってくれたのはS君という蛮カラの友人でした。「いいヤツ(オモロイやつ=あほなヤツ=僕のこと)やから誘たってくれ」と連絡を取ってくれました。
そのS君が最近は体調を崩して入退院を繰り返していました。12月3日の食事会の時に、あほ桐の隊長が”お見舞いに行く予定”と話をしていましたので、忘年会のこの日に近況を聞けるものと思っていました。
12月23日に隊長からラインが入ってきました。
「S君、12月16日にご逝去」「ご遺族の意向を尊重して一週間後にみんなに連絡することにした」と。
このお店の名物「味噌おでん」です(食べログの読者投稿の写真をコピーしました)。この日はS君を偲ぶ忘年会となりました。懐かしい、楽しい昔話に花が咲き誇りましたが、時折は涙が出てしまいました。同期の友の死が続きました。キツイです。心よりご冥福をお祈りしたいです。
12月第四週のNHK俳句です。選者は高野ムツオさん。「句会」です。今回のメンバーは俳人の奥坂まやさん、高山れおなさん、ゲストにお馴染みの能町みね子さん、レギュラーの中西アルノさん。兼題は「冬麗(とうれい)。いつもの通り得点の高い順です。
6点 冬うらら電信柱が長すぎる 能町みね子
中西さんと高野さんが特選、奥坂さんと高山さんが並選。皆さん「取り合わせ」を評価。高野さんがジュール・ルナールの詩「蛇、長すぎる」が頭を過ったとコメントしていましたが、能町さんも作る時にこの詩は意識したそうです。
5点 冬麗や闇はスマホに閉じ込めて 高野ムツオ
高山さんと奥坂さんが特選、能町さんが並選。能町さんから「若い句、高校生の様な瑞々しさ」とコメントされて高野さんがムチャ喜んでいました。
2点 冬麗や餓うる如く岩峰鋭し 奥坂まや(餓うる=かつうる、鋭し=とし)
能町さんが特選。奥坂さん自ら「季語が合ってないか?」と。
1点 冬麗の高きに傾ぎ昼の月 高山れおな(傾ぎ=かしぎ)
中西さんが並選。
1点 はんぶんこ豚まんはふはふ冬うらら 中西アルノ
高野さんが並選。「三段切れ」になっているとの注意がありました。
特選三句です。
一席 冬麗の地層に眠る貝の殻
二席 冬麗や毬藻の揺るる湖の底 (毬藻=まりま、湖=うみ)
三席 隣り合ふ豚舎と牛舎冬うらら
1点しか取れなかった高山れおなさん。テキストに「句会懐疑派の弁」を寄稿していました。高山さんは「句会に気乗り薄」の由。「無理をしてまで句会に出る必要はない」「(昔は)俳句は一人で作るものという意識が強かった」「(前衛系の俳人の文章には)『深夜の俳句工房』といった類の表現が良く出てくる」と。「結社の主宰と言う人種には必ず備えている属性=社交性がある。それも、芯からの人間好きの社交好きと、お山の大将タイプの社交好きと」。面白い人ですねえ。1968年のお生まれの方です。
駄句です。
冬麗や友が逝ったとラインあり 孔瑠々
大変な一年だったと感じます。ウクライナも中東も先行きが益々不透明な様に。内外あちこちの選挙結果も予想外のことが多かった様な。日本はこれでもまだマシな平和な方だと感じますが、これからホントに大丈夫かいな?と心配になります。子供たち、孫たちの時代に少なくとも戦争に巻き込まれることだけはありませんように。安寧を祈願する以外に何もしていない能天気な生活です。平穏な年末年始を向かえることが出来ます様に。
皆さま、どうぞ良いお年をお迎えください。