クルルのおじさん 料理を楽しむ

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COOL JAPAN

NHKの番組で「COOL  JAPAN]というのがあります。日本に滞在しているイロイロな国の方(学生っぽいのから社会人まで)にスタジオに集まってもらい、日本の面白いところを語ってもらう番組。テーマは日本の伝統、文化が中心になっていると思いますが、外人の方がそれを見た時に「いいねっ!、カッコいいね!」と思うところを意見交換させる。築地市場で早朝から行列が出来る寿司屋さんとか、東京下町で落語家が外人に粋な蕎麦の食べ方を教えるとか、本屋さんで買った本にカバーをかけてくれるのは日本だけでそれが面白いとか、日本人からすれば何ら特別のことでは無いと思うことが外人さんから見ると凄く新鮮に感じているところが面白い。蕎麦にワサビを添えて啜りながら食べるなど、日本人でも知らない食べ方で、なかなか小粋だねえ、と思うところも出て来ます。進行役のおじさんもあまり出しゃばりもせず上手く外人さんをリードして話をさせていて好感が持てます。

 

海外の方の見方を気にする、海外からの評判に影響されやすいと言うのは、日本乃至は日本人の意識に刷り込まれている性格なのですかね。最近の観光本のなかに「外国人だけが知っている美しい日本」なんていうのがあります。著者はチューリッヒ生れのスイスの方。日本に興味を持っている・旅行を考えている海外の方を対象とした旅行情報サイトを運営されている。日本人の奥さんを持たれて日本に住まれており、サイトに掲載する情報は全て自分たちが実際に見て確認したもの。日本について大変に信頼出来る人気のサイトとのことです。サイトは海外の方に対してのモノですが、この本は当然日本人向けに書かれたものです。副題に「スイス人の私が愛する(日本の)人と街と自然」とある通り、日本人に対して日本の良いところをスイスの方に教えてもらうという趣向の本です。こんなことまで外人の方の見方を持ち出すのかと変な感じがしますが、一読しますと、確かに色々な角度から日本の良いところを紹介してくれてます。著者が強調しているのは、訪れる外人に対して日本人が意識しないでやっている親切さ・自然なおもてなしが大変に素晴らしいことだと。「落し物が戻ってくる奇跡の国」、日本人が自分では気ついていないサービスの良さが訪れる外人には大変に評価が高いのですよ!と力説しています。 

 

日本に対して「クール」との言い方がされたのは、日本のアニメが海外で人気を集めた時の表現として印象に残っています。それまでは日本というと経済の力。かつては政治家でさえトランジスタの商人と揶揄されたり、一時はお金にモノを言わせてニューヨークにあるアメリカの象徴のようなビルを買ってしまうとか、とにかく、経済(カネ)の力、が話題になることがほとんどであったように思います。文化という観点からはフジヤマ、ゲイシャ、スキヤキ等が変に有名になったり、または、一部のマニアックなフアンがお茶、お花、歌舞伎、能・狂言に関心を持っていた程度で最近言われる日本の文化的な側面を評価するムキは極めてすくなかったと思います。

 

経済力があるからこその日本だったと思うのですが、バブルが崩壊した1990年代から2000年代初め、バブルの崩壊で身も心もズタズタになっていた日本の姿を厳しくえぐった本があります。当時の日本は全くクールどころではなかったと思うのですが、これでもか、これでもか、と思う位、厳しい指摘をしている本です。

「犬と鬼」--知られざる日本の肖像ーー、アレックス・カー、講談社。著者は1952年、米国生まれ。2002年4月第一刷発行。

当時、仕事で付き合いのあった同年配のアメリカ人がプレゼントしてくれました。この方も長く日本に滞在しており日本語も達者で日本の政治・経済に一言ある方でした。確かこの本の著者とも親交があったかと思います。表紙の写真が凄い。手前は昔ながらの日本の田園風景、奥の方に里山里山の山肌に幾何学的な模様が散りばめられている。最近流行りのアートの一種かと思うくらいキラキラしている。よーく見ると、ギャアッ!となります。丸坊主の山肌がコンクリートで固められている風景です。

タイトルの「犬と鬼」は、韓非子に出てくる故事から。「犬は描きにくく、鬼は描きやすい」。著者自ら、故白洲正子さんのご自宅で「犬馬難、鬼魅易」という短冊をご本人から見せてもらい、その意味を教えてもらったそうです。

派手なモニュメント(ハコモノ)にお金をつぎ込むことは簡単なのだ、という著者の言いたいことを表紙の写真が怖いくらいに表現しています。この風景も当時の日本人にとってはそこら辺にある当たり前の風景、何の抵抗も無く目にしていたと思います。著者に言わせると日本人の感性は溶けてしまっている、その最たるものの一つがこの写真。また、町中に張り巡らされている電線。電線を埋めることを考えず、電柱をブロンズ色で被うことに金を使っている。白浜が無くなり、松林が消えた。かろうじて僕ら昭和の20年代生まれ世代には記憶に残っているキレイな白浜、松林。それがなくなり、工業地帯になり住宅街になった。それが経済成長の姿。景色が変わるということは生活がよくなる=良いことだと思っていた時代かも知れません。日本人は細かいところには拘るが、大きなところまで広げたうえでの全体を考えていないから、鬼ばっかりの風景になっているんだ!という指摘です。

帯の宣伝には、海外のメデイアの書評として「日本人への愛のムチだ」とか「日本の政治指導者は国家と国民に恐ろしい犠牲を払わせた」とか、この本が「常識に還る動きに貢献することを望む」とか好き勝手なことが記載されています。

 

この本が出版されてから10数年経過しました。日本は良い方向に変わってるのですかね?(確かに、電線・電柱は主要な都市の表玄関では地下に埋められるようになったと感じます。著者に感謝!?)。海外の日本を見る目=「クール ジャパン」!、良く日本の国民性を理解してくれるようになったということですかね?東北大震災の時の助け合いのシーン、ヒトを慮る気持ち、日本人の僕たちが見ても感動して頑張れっ!と応援したと思います。おもてなし!、東京オリンピックのプレゼンは今となればやや気持ち悪いですが、日本人の持っているおもてなしの心って大切にしたいですよね。日本ってやっぱり良い国なんだ(と思いたい)。

 

ため息が出ますが、今回のアメリカの大統領選挙は醜くかった、と言うしかないと思っています。主義主張よりも好き嫌い(嫌い嫌い)の非難合戦。勝負が終わったら相手を称えてノーサイドのはずが、今回はノーサイドにならない。選挙後のデモも異常なほどの盛り上がり様。国を分断する人間を新しい指導者に選んだ。これも健全な民主国家、これがアメリカ的なんだとの見方もありますが、生活格差、人種・性別・移民に対する偏見を言いつらい国を分断した候補者が選ばれてしまった。勝った後でお茶を濁した言い方に変えようとしても一度心に刻まれたことを忘れる訳にはいかないのではと心配になります。時間が解決してくれる話では無いように思ってしまいます。日本はどうなんやろ、日本は意外とましな国なんやろうか???とイロイロとアタマを巡らせてしまいました。日本は本当にクールなのかなあ。いまでも「鬼」ばっか造ってるんやないやろうねえ。

 

独り言です・・・はあ、今回はテーマが重たくなったなあ。小粋にお蕎麦でも食べにいこうか。最近、料理の話題が出てこないねえ。「料理を楽しむ」がどっかいってしもうた。そうや、和食=世界遺産、これこそクールジャパン。食べ過ぎ・飲みすぎには注意して久しぶりにのんびりと家メシを楽しもう・・・・。

結局、今晩は、「僕でも出来る 一人分・韓国風ラーメン鍋」にしました。レシピはCPの「クルルのおじさんのキッチン」に(そのうち)アップしておきますので是非覗いてください。

 

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2016年11月 東山公園の紅葉