クルルのおじさん 料理を楽しむ

「あほ桐」瀬戸散策

   

瀬戸市洞町(ほらまち)の窯垣の小径(かまがきのこみち)。窯垣というのは、焼き物を焼くときに使われた古い窯道具---エンゴロ、棚板、ツクなどを組み上げて築かれた壁、塀のことです。小径の両側は昔のままの瀬戸の街並み(ほとんどが窯元)が残っています。3月18日(月)、「あほ桐」の仲間と瀬戸散策に出かけました。風がムチャ厳しい日でした。

 

小径の先にある「洞 本業窯」(ほら ほんぎょうがま)。連房式登り窯。江戸時代後期からこの地で陶器(=本業製品)を焼成していたそうです。瀬戸市の指定有形民俗文化財。この写真の窯の横に置いてあるのが「エンゴロ」「ツク」です。

 

この日はいつもの四人組に加えて大阪からO君が飛び入り参戦。陶芸、瀬戸に興味を持っていたので良い機会になろうかと参加してくれました。ところが予定していた「瀬戸蔵ミュージアム」「工芸館」が軒並みに臨時の休館日。それでも瀬戸にはイロイロ楽しいところがたくさんありました。

   

瀬戸の銀座通り商店街、藤井聡太棋士八冠のお陰ですっかり有名になりました。商店の壁に棋王戦の投了図が掲載されています(恥ずかしながら、これで詰んだことになるのか理解が出来ませんでした)。観光案内所のショップにも藤井八冠グッズがたくさん置いてありました。瀬戸では大谷選手を凌ぐ圧倒的な人気です。

 

ショップの藤井八冠グッズの横の棚=陶芸製品の棚に米山雅司さん(かつての楽陶館での陶芸の先生です)の作品が並んでいました。あほ桐の仲間にも自慢して紹介してしまいました。一年間だけの短い期間でしたが、最初に陶芸を教わった先生です。活躍されている様子を垣間見て嬉しい気分になりました。

 

   

米山雅司作、左はロボ花器、右はビアカップです。

昨年の記事を埋め込んでおきます。陶磁美術館で米山さんの作品が展示されていた時のことです。

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瀬戸散策の最後は「染付工芸館」に立ち寄りました。全員で瀬戸染付に挑戦。

「染付」というのは素焼きしたものに”呉須”と呼ばれる絵具の材料で図柄を描き、それに透明釉を掛けて本焼きするものを云うそうです。楽陶館での作品作りの時にやったことはあるのですが、この作業のことを「染付」ということを理解しておりませんでした。全員、ブッツケ本番で「染付」開始。持ち時間は30-40分ほど。僕は内心では”楽陶館でやったことがあるので余裕で出来るだろう”と思っていたのですが、お手本、見本サンプルが無い状態では勝手が違いました。皆なドタバタしながらとにかく完成。どんな出来上がりになるものやら。焼き上がったときにはまた全員集合してギャーギャーと講評しながら会食したいものです。

 

 

NHK俳句です。三月第二週、選者は山田佳乃さん。ゲストは歌人笹公人さん。今週の兼題は「蓬」。「蓬はキク科の多年生、葉は菊のように切れ込んで裏面に白い綿毛が密生している。蓬餅(草餅)の材料とするので餅草とも言われる。成長した葉は干して綿毛を集め艾(もぐさ)を作り灸に用いる」(テキストの解説より)。「蓬」の代表句の一つが紹介されていました。

   籠あけて蓬にまじる塵を選る   高浜虚子   

特選句の中で面白いと思った句です。

   擂鉢の音に遅れて蓬の香   (擂鉢=すりばち)

特選三句です。

一席   夕映えへめくれゆく空蓬摘む

二席   蓬生や風に掠れる五時の鐘   (蓬生=よもぎう、掠れる=かすれる)

三席   子の摘みし蓬と蓬らしきもの

 

「蓬生」は蓬が生い茂っている野原のことだそうです。源氏物語の巻名にもなっているとか。ゲストの笹さんが詠んだ句が面白かったです。

   蓬餅フォークで喰らう破戒僧   笹公人

 

第三週、選者は村上鞆彦さん、ゲストには南杏子さん。南さんは内科医で小説家(あの「いのちの停車場」の作者)です。村上さんの年間テーマは「人生を詠う」で最終回はのテーマは「死・命」。「死」を詠んだ句の代表句に僕の好きな句が紹介されていました。

   死ぬときは箸置くやうに草の花   小川軽舟

テキストに掲載されていた「命」の句です。

   百合の香を深く吸ふさへいのちかな   村越化石

村越さんはハンセン病を患い、療養所での生活を強いられつつも俳句を拠り所として生涯を過ごされた方です。

もう一句、「命を詠んだ句と言えば、この句を多くの方が挙げるのでは」(テキストの解説)。

   湯豆腐やいのちのはてのうすあかり   久保田万太郎

「鑑賞の難しい句」「理屈より、十七音を肚に収めてじっくりとその妙味が滲み出すのを待ちたい句」(テキストの解説)とありました。いい講評だと思いました。

今週の兼題は「春塵」。特選句で面白いと思った句です。

   いつか弾くショパンの楽譜春の塵

   春塵を吹き天金の書の目覚む

 

ショパンの楽譜」の句、”季語”がイイですねえ。感心しました。「天金」というのは本(多分、ハードカバーの本)の上の部分が金紛で装飾されている(高価な)本のことだそうです。

特選三句です。

一席   金粉も混じりをらむ春の塵

二席   春塵降る虎の彷徨として降る

三席   出さぬまま失せし手紙や春の塵

 

「虎の彷徨」、南さん「阪神タイガース、今年もいくぞ!」と解釈していました。「いのちの停車場」では泣かされましたがユーモアのある楽しい講評でした。

 

南さんの「いのちの停車場」を観た時と読んだ時のブログです。コロナの緊急事態で大騒ぎしている時でした。

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ついでに小川軽舟さんのことを書いたブログです。2017年の記事でした。懐かしいなあ(埋め込みが多くなってしまいました。適宜、ドンドン端折って下さいませ)。

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駄句です。

   出来立ての織部の皿に蓬餅   孔瑠々

   春塵に集うかつての高校生   孔瑠々

 

   

久しぶりに長男宅で食事会。小雪ちゃんと司くんに会いに出かけました。長男の嫁さんとお母さんが僕の陶芸作品に興味を持ってくれています。一応は厳選?してマアマアかと思われるモノを持参したら、全部、引き取ってくれました。使ってくれるそうです。長男も面白がって子供達に作品を見せていました。小雪ちゃんは瑠璃のお皿、司くんは魚のお皿(これ「染付」です)がイイと言ってくれました。嬉しいですねえ。

小雪ちゃんに「ばい菌マン」の絵を描いてもらいました。次回、大きめのお皿を作ったときに「染付」でこれをなぞって描いてみようかと。

 

陶芸の研究コースは明日(3月21日)が最終日(作品の焼き上がり)です。4月から新年度、研究コースの二年目になります。申し込みをしていますが抽選に当たるかどうか。仲間と一緒に続けたいものです。

 

今日は「春分の日」。生憎と全国で大荒れのお天気の様です。名古屋も曇り空、冬日。夜はMLBの開幕戦が放送されます。大谷選手の活躍が日本中のみんなに元気を与えてくれることを期待したいですね。