クルルのおじさん 料理を楽しむ

鯱城学園、令和元年最後の講座

 

正月飾りの「松竹梅」を作りました。鯱城学園・園芸科、令和元年の最後の授業です。隠れ家に持ち帰り、ピアノの椅子を台にして記念撮影。材料は、松、梅、笹、ヤブコウジ南天、そして、苔。富士石を三個、仕上げに寒水石を。正面は設定するのですが、どの方面から見ても鑑賞に堪えられるように配置するのが極意とか。2019年12月18日、制作と撮影。

 

 

令和元年も押し迫って来ました。忘年会=飲み会・反省会を繰り返すうちに残すところ10日を切ってきました。時間が経つのがホントに早いと感じます。今回は、鯱城学園の最後の講座の紹介です。例によって、僕の備忘録として記載しています。お付き合い下さい。

 

 

12月11日の共通講座です。お題は「踊りで体操してみよう」、講師は日本舞踊の西川流総師の西川右近さん。1939年生まれの80歳と自己紹介されましたが、和服で登壇されたお姿は背筋がピンと伸びて所作の一つひとつが美しい。さすが日本舞踊の家元をされた方と感心しました。講義は10時からですが、約一時間半のあいだ舞台中央に立ちっぱなし、携帯マイクを駆使して舞台を動きながらずーっとしゃべりっぱなし。「お話をするのが大好きである」とご本人もおっしゃっていましたが、落語家さんの間合いのような聴衆の気を逸らすことのない自然な楽しい語り口でした。最近、家元を息子さんに譲られ、ご自分は「総師」という偉そうな肩書を付けて楽しんでいると。

 

 

冒頭で、日野原さんと交流があったことを紹介されました。日野原さんが98歳の時とか。右近さんが鯱城ホールのような大きなホールで講演した時の話です。テーマは同じく「踊りで体操」。”日野原さんは自分(右近さん)のあとトリの講演を行う予定と聞いていたが、気が付くと舞台の裾でずっと自分の講演を熱心に聞いている。そして予定には全く無かったが、体操の実技の時にはとうとう舞台に登場してもらって、一緒に最後まで「踊りで体操」をこなして頂いた。当時、自分もすでに70歳を超えていたが日野原さんのお元気振りに大変な刺激を受けた、三年先のスケジュールを作られていたことにも大変な刺激を受けた”とのことでした。日野原さんフアンの僕としては、久しぶりに日野原さんがお元気に活躍されていた様子をお聞きして何やら懐かしい思いがしました。

 

 

講義のメインテーマは「踊りで体操」なのですが、その前に介護の話をされました。右近さんは奥さまを亡くされていますが、9年間、在宅で奥さまを介護されたそうです。最愛の奥さまに学んだことは、上手に介護を受けることがいかに大切なことか。巷では介護をする側の心構え等々はよく書かれているが、介護を受ける側のことを書いたものが無い。”介護されていて楽しい、気持ちが良い”ということを奥さまは素直に右近さんに伝えてくれたそうです。寝たままではあるが介護を受けて喜んでくれている奥さまの笑顔で自分の疲れが全てとれた、とおっしゃっていました。壇上から鯱城学園生に対して「皆さんも介護を受けることになるのは時間の問題でしょうから、くれぐれも介護され上手になって下さいねえ!」とエールを送って頂きました。場内の聴衆者からはやんやの喝采、一部は涙して聞いていた人もいたように思います。

 

 

メインテーマの「踊りで体操してみよう」ですが、中京大学名誉教授の湯浅景元さんとの共同研究で「NOSS」を考案、普及活動に勤めておられます。NOSSとは「日本おどりスポーツサイエンス」の略だそうです(こういう洒落っ気のある略語は、僕は好きなほうです)。詳細は割愛しますが、日本舞踊の動きはとにかく非常に体に良い(これは太極拳のゆったりとした動きにも通じるのではと思います、素人の意見ですが)。

講演の最後はとにかく笑顔を忘れるな!で締めくくりです。隣の人と二人一組になり、それぞれが指でほっぺを抑えて横を向き顔を見合わせて「イチ、二イ、サンでニコ(⌒∇⌒)っ」と。確かにこれは笑うしかないですね。どんな時でも笑顔を絶やすな、肝に銘じておきたいと思いました(すぐに忘れそうですが)。口喧嘩をしない極意かも知れませんね。

 

 

この日の弁当です。精米50%、玄米49%、もち麦1%のご飯=のり弁の上に、カボチャとツナの炒め煮、ネギと卵のパラパラ焼きのっけ。おかずは、ニンジンのキンピラ、冬瓜と挽き肉の炒め煮、カブの炒め煮、キュウリと豆のサラダ。カキ一個、カブの浅漬け。ニンジンとカブは農園で収穫したもの(間引いたもの)です。簡単に出来る野菜料理尽くしでした。2019年12月11日、撮影。

 

 

そして、12月18日。いよいよ令和元年の最後の講座です。この日は、共通講座と専門講座がありますが、園芸科の専門講座では、正月飾りの「松竹梅」を制作します。ワクワクしながら授業を迎えました。いつも以上に、出席者が多いように思いました。その前に共通講座です。この日のお題は「高齢社会と成年後見制度について」。講師は名古屋市社会福祉協議会成年後見あんしんセンター所長の伊藤秀司さん。年末、最後の講義に随分と硬いテーマを持ってきたもんだとあきれるほど感心してしまいました。

 

 

期待通り難しいテーマです。メゲズに要約を続けますと、

●まず、成年後見制度とは「判断能力の不十分な方々を保護、支援する制度」です。認知症、知的障害、精神障害等々で判断能力の不十分な方々を対象に、財産管理、介護・サービス施設への入所契約等々を援助したり、悪徳商法の被害等々に合わないように保護し、支援するもの。超高齢社会になり、かつ核家族化・地域の人間関係の希薄化が進み、そして消費者被害や虐待が増加していることがこの制度の背景にあります。

●制度は二つの体系に分かれます。

①法定後見制度と②任意後見制度があります。

②任意後見制度というのは、砕いて言えば、まだ本人がしっかりしているうちに、将来、判断能力が不十分な時に備えて、あらかじめ自分で選んだ代理人に代理権を与える契約=任意後見契約を公証人の公正証書によって結んでおくもの。

①の法定後見制度が本来の必要性からの制度(だと思います)。こちらは、本人だけでなく配偶者等の親族、検察官などが申請(”申し立て”と言うそうです)することが出来ます。住んで居るところの家庭裁判所に申請します。本人の判断能力の程度に応じて、成年後見人、保佐人、補助人が選任されます。成年後見人等は、本人に代わって財産管理、身上監護を行うことになります。身上監護というのは、本人の生活・健康に配慮して安心した生活が送れるように契約等をすることで、直接の介護や看護をすることではありません。後見人、保佐人、補助人それぞれで与えられる権限、責務が規定されており、報酬は家庭裁判所が決定することになります。・・・等々の詳しい説明が続きました。講師の方も堅いテーマであると十分にご認識されているようで、途中で「コグニサイズ」を挟まれました。

 

 

「コグニサイズ」、話には聞いていましたが、実際にやるのは初めて。最初は簡単な動きです。足踏みする→足踏みして、同時に、声を出して1から20まで数える。→同じ動作を続けながら、3の倍数の時に手を叩く。→この動作を続けながら、3の倍数で手を叩く時に声を出さない。・・・この辺りになるとかなり難しい状況になっています。出来そうで出来ないものです。更にさらに、4の倍数でも同じことをする。そして最後は、3と4の倍数の両方で同じことをする。・・・これは出来ませんでした。口を閉ざせば足踏みも止まる。ないしは手を叩くことが出来ない。回りを見ると結構スムーズに対応されている方がいらっしゃいました。普段からされているような様子、何事も訓練なのかと感心しました。

 

 

講師の方にはやや申し訳ないですが、結局、こちらの方が印象に残った講義でした。コグニサイズに励んで、後見制度を利用しないでも大丈夫な生活を続けたいものだと思いました。

追:家に帰って一人でやってみたのですが、3と4の両方で行うのはかなりの訓練が必要に思います。これを継続すると確かに良い刺激を受けるものだと思いました。是非、お試し下さいませ。 

 

 

令和元年、最後のお弁当です。フライ、から揚げは店やモンです。おかずに野菜系をたくさん入れました。買ってきた総菜を利用することも含め、あまり身構えなくとも弁当を準備することが出来るようになったような。一年間の大進歩と自画自賛しております。2019年12月18日、撮影。

 

 

この日は「松竹梅」の制作をして本年最後の授業が終了。園芸科4班有志で、打ち上げをしました。宴会幹事が場所をチェック、近くで既に開店している居酒屋を見つけてくれました。「松竹梅」を持ち帰るので荷物が大変ではありましたが、授業に出席していた8人全員が参加。楽しく歓談できました。この学園に入学して以降のお友達、一年弱のお付き合いでこれ程の盛り上がりが出来ることになるとは期待以上の展開であると皆さん、口を揃えて喜んでおりました。新しい出会いがあるのはホントに良いことであるなあ、と大変うれしく思いました。

 

 

おまけ、です。 

打ち上げの日の週末に最後の農園実習があったのですが、都合悪く参加出来ず。「年末までには収穫を完了させておく方が良い作物がある」とのアドバイスを受け、翌週に一人で収穫に行きました。カブは一株だけを残して全部収穫、ニンジンは半分残して収穫、ダイコンは試しに二本収穫。ジャガイモは予定していなかったのですが、班長さんや他の方の畑を見ると収穫されていたので、掘り返してみました。”おおっ、これはジャガイモであったのか”。恥ずかしい話ですが、何も分からずに掘り返したらジャガイモが出てきたというのも感激するものです。2019年12月23日、撮影。

収穫した野菜は、その日に飲む約束をしていたきっちゃん、翌日のピアノレッスンで先生にチョコっとづつお裾分けしました。喜んで受け取ってくれる人がいるというのも嬉しいものです。