クルルのおじさん 料理を楽しむ

大相撲=ちゃんこ料理

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たまには、お酒でなくてコーヒーで寛いでます。瀬戸で買ったお気に入りのコーヒーカップ。おばあちゃんのパッチワークをコースターにして。2017年9月吉日、撮影。

 

大相撲の秋場所が終了しました。千秋楽に何んとか横綱日馬富士が踏ん張って、本割で追いつき決定戦で勝利しての見事な大逆転優勝でした。横綱の面目を保てて何よりです。でも場所前に一人横綱になってしまった日馬富士、前半戦はボロボロの状態で観ていて情けないような状態でした。情けないを通り越して、可哀そうにと同情されていたように感じます。プロ、それも横綱が同情されるようではいけません。一方、これも一人大関豪栄道は、後半までのリードを維持できず、残念ながら優勝叶わずでした。でも、こちらの方は嫌味な言い方になりますが、先場所休場してカド番で迎えた場所ですから、3横綱2大関が休場というのは随分とラッキーだったかと。お相撲の新聞記事は、概して、好意的な書き方が多いかと思います。国技だからですかね。皮肉なコメント、批判的な見方は記事にされないのかも知れません。

今場所は、3横綱2大関以外で人気者の宇良も負傷欠場でした。一部の辛口コメントでは秋場所ならぬ”秋風場所”と揶揄されていましたが、入場者数はいかがものであったのか気になるところです。月曜日の新聞の最終の星取表を見ていましたら、休場していたのに、途中から出場した力士が二人いらっしゃいました。碧山と佐田の海。幕内上位力士が大量に休場するなかで、なんとか場所を盛り上げる、カッコつける必要があるから、駆り出されたのではないかと心配になります。協会とか親方から「お前、休んでる場合とちがうやろ。とにかく、土俵を上がれ!」てなプレッシャーがかかったか??。二人とも復帰後も黒星のほうが多い結果でしたから、それこそ可哀そうな気がします。中途半端に出場して元々のケガが更に悪化することがなければよいのですが。

力士のケガが増えている訳ですが、解説を聞いていると、やはり、力士が大型化していることが最大の原因のようです。重量級、超重量級の力士が増加しているので、本人もそして対戦相手も体重を支える腰、膝、足、足首に大変な負担がかかっている、そして、年間の場所数が昔に比べて増加しているからケガをしても完治する以前に無理をしてでも出場しなければならない、等々、イロイロな指摘がされてます。プロの世界では完全休養することはなかなか難しいことなのでしょう。

カド番大関であった照ノ富士は今場所、途中休場となり大関陥落が決まりました。ケガをする前は、まさに日の出の勢い。相手を睨みつける表情に凄みがありました。ファンです。横綱になるのは間違いない、時間の問題と誰しもが思った時にケガをしました。それ以降は素人の僕がが観ていても、膝・足腰の状態がかなり悪そうなのが分かるくらい。身体のハリも失われつつあるように思います。プッツンして廃業にならなければよいがと心配しています。

 

かなり前に読んだ本で、外人が日本を食べ歩きした話を綴ったものがあり、その中に相撲部屋を訪問取材した際の記載があったなあと思い出し探してみました。

 

英国一家、日本を食べる」、マイケル・ブースさん著、寺西のぶ子さん訳、亜紀書房。2013年4月第一刷、2014年5月第14刷。イギリス人のジャーナリストが日本の食と食生活に興味を持ち、なんと一家全員(奥さん、二人の坊やと一緒に)で100日間、日本の各地を食べ回った時のお話です。プロのジャーナリストですが、訳あって家族同伴の取材旅行をすることになりました。奥さんはもちろん幼い坊や二人を同行しての家族での取材旅行です。

 

再読したら、間違いなく相撲部屋を取材したクダリがありました。この取材旅行は、著者が自身の独特の感性から日本の食と食文化に興味を持ったことがキッカケになっていますから、相撲部屋訪問の目的は当然ちゃんこ料理なのですが、家族ご一緒ということで随所に面白い場面が出てきます。イギリス人というのも結構面白い人種なのだなあと感心させられます。

家族四人ともに日本に初来日です。来日して三日目に相撲部屋の見学に。把瑠都が所属している尾上部屋です。何年の来日なのかは記載が無いように思いましたが、把瑠都のことを「23歳のエストニア出身」と書いてあったので、調べて計算すると2007年と分かりました。また、彼らはこの年の9月場所=秋場所を観戦しています。他の記述でも年月を特定できる記載があったので、2007年8月末の来日というのが今回初めて分かって気分がスッキリしました。たまたま偶然、ちょうど10年前の秋場所のころの旅行記です。

初めて力士のぶつかり稽古を見た奥さんが泥んこになっている力士を見て「不思議だけどすごいキレイだわ」とコメントしたり、茶目っ気のある把瑠都クンが長男クンを土俵に上がらせて真剣勝負、見事、長男クンが把瑠都を押し倒して圧勝したり。旦那さんは、自身の記述から推測するとかなり太目の体形で、甘いもの大好き、美味しい食べ物に目が無いタイプ。来日して以降(まだ三日目ですが)街で自分より大きな太った日本人を見かけたことが無い、それなのにスモーレスラーの体形はどうしてなんだろう。力士はきっと甘いモノ、カロリーの高い美味しいモノをたらふく食べて寝ているからに違いない。それこそ自分が理想とする生活だ。その秘密が相撲部屋の「ちゃんこ料理」だと。大変にマニアックな観点から食べ物に対する関心をもっているジャーナリストであります。

 

ところが、ちゃんこ鍋の中身、具材を見てビックリ。健康に良さそうなモノばかり。この時の尾上親方の説明が素晴らしいものでした。「ただ太るのではなく、けがをしない筋肉を作り上げなきゃなりません」。そして「相撲取りは伝統的に四つ足の動物を食べない。なぜなら、彼らにとって、四つ足になるということは負けを意味するからだ。」これが歴史と伝統の良いことろだと思うのですが、残念ながら「でも、相撲取りの食事は変わってきました」とのことです。 

この取材は2007年のことですから、それから既に10年。海外からの力士は、この10年で更に増加しています。ひょっとすると相撲部屋の食生活も随分と変化しているのではなかろうか。ケガが増えているのは、食生活の変化も関係しているのではなかろうかと門外漢ながら心配しております。

 

把瑠都クンはその後、大関まで順調に昇進しました。将来を嘱望されながらも、結局ケガが原因で廃業したそうです。”ケガをしない体を作る料理”をモットウに力士を育成していた親方の部屋でも、部屋の筆頭力士をケガで失ったわけですから、料理、食事だけではケガを無くすることは難しいのでしょうねえ。照ノ富士がますます心配になります。

 

ちゃんこ料理。大阪の実家の近くの駅前にも有名なお店がありました。おばあちゃんも大好きで、近所のお友達にも参加してもらって、忘年会か新年会をしたこともあったかしら。味は、チョット濃い過ぎていまイチであったように思い出します。

東京の亀戸でむかーし食べたちゃんこ鍋は美味しかったなあ。ちゃんこ料理には、イロイロな種類のものがあるそうで、尾上部屋では10種類くらいのものがあり、みんなが当番で作るので、それぞれ得意なのがあるとのことです。あの亀戸のは「ソップ炊き」だったと思うのですが。お魚(鰺でしょう)のツミレがなんとも旨い味でありました。まだお店があれば、もう一度、お邪魔して食べてみたいなあと改めて思いました。

ソップ炊きはご存知の通り、鶏ガラスープで美味しい味を出しているちゃんこ鍋ですが、その鶏ガラからソップ型力士=筋肉質・痩せ型力士と言う呼び方があったそうです。初代の貴乃花さんが典型です。今では、死語になってますかねえ。

  

番付表を見ていると関取の名前も、随分と難しい変わった名前が増えてきているように思います。昔は、栃錦若乃花柏戸大鵬北の富士北の湖貴乃花、等々字体を見てもキレイな言葉が多かったように感じます。「の」、「ノ」、「乃」の使い方も面白いですね。今場所の番付け表では、稀勢の里、千代の国、佐田の海隠岐の海、朝乃山。日本人力士は、「の」か「乃」。モンゴル勢中心の外人力士は、照ノ富士、栃ノ心、逸ノ城、貴ノ岩。全て「ノ」。ちなみに、豪栄道の「栄」は出身高校である埼玉栄高校の「栄」であると教えてもらいました。

 

次の場所には、今場所休場した力士さん達が全員元気な姿で登場してくれますように。ケガをしない体つくりに励んでくださいませ。

  

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2017年9月25日、日経。大相撲秋場所、最終成績。昔むかし、甲子園でも有名な東海大相模高校の”大相模”のところだけを見て、ついつい、”大相撲”と間違えた人がいました。それ以降シャレ半分で”トウカイ・オオズモウ”と呼ばれています。