クルルのおじさん 料理を楽しむ

「ご飯は最強の健康食」vs「糖質オフ!健康法」

愛知県安城市にあるデンパーク。安城市は日本のデンマークともいわれ酪農が盛んな地域。公園のなかにバーべキューハウス等々の施設があり家族連れで大賑わい。この日は、前に勤めていた会社の社友会行事で現役とOB/OG家族が一緒にバーべキュー。カミさんも毎年、神奈川から参加しています。昨年は台風のために中止になったのですが、今年は晴天に恵まれました。2019年10月6日、撮影。

今、10月16日の夜ですが、12-13日の台風19号で被害に遭われた皆様には心からお見舞い申し上げます。まだ、避難中で救助を待っている方もいらっしゃるなかで、今週末には、また、かなりの雨が懸念されています。大変な状況だと思いますが、くれぐれもご自愛のほどお祈り申し上げます。

 

 

10月2日、鯱城学園の共通講座で「お酢」をテーマにした講義を聴きました。お題は『科学の目で見る酢の話』。お酢は、僕も大変に関心のある調味料です。講義を聴いた後で、隠れ家に戻って以前に書いたブログをザッと読み直してみました。2017年頃の記事です。当時は(その前からですが)、食事に大変に気を遣っていたことを再認識しました。素人なりに体のことを真剣に考えていた様子。血圧が高めであったこと 、そして食べ過ぎ・飲み過ぎが原因であろうと自分なりに分かっていたからだと思います。お陰様で、試行錯誤の結果、体重はこの数年で最大8㎏、平均で5㎏ほどは減少しています。血圧も通常血圧を維持していますが、白状しますと、血圧が下がったのはお薬を服用するようになったからです。今も継続して服用しています。カミさんからは「薬の飲んでいて”血圧が正常だ””と言っているのはおかしい」とムチを入れられております。おっしゃる通りです。体重が減ったのは、自分なりの努力の成果もちょっとはあったと思っているのですが。

 

 

僕のライバル?であるドラゴン先生が熱心な「糖質制限食事法」の実践者であり、反省会の度ごとにバトルを繰り広げていることは何回も書いている通りです。先生の理論武装に対して、僕はどちらかと言うと精神論、文化論、そして自分の経験・好き嫌いから反論しているだけ。不得意な理論武装をもう少しチャンと身に着けたいものと人知れず悩んでおりました。

 

 

 大体の悩みは読書で解決できるもの。例によって本屋さんでプラプラしておりましたら格好の本を見つけました。

 

「ご飯は最強の健康食」、加藤直哉さん著。祥伝社黄金文庫平成27年(2015年)10月初版第一刷。本の帯の紹介では「加藤さんは2000年に琉球大学医学部卒業。東京の「健康増進クリニック」副院長さん。東洋医学にも精通、食事・運動・精神までも治療に取り入れた統合医療を実践している方」と。本のタイトルを見たとたんに、”これや!これを熟読してドラゴン先生に対抗しよう”と。その時は冴えていて、”敵に対抗するためには、こちら側の理論を強化するだけではなく、敵方の理論を解析して突っ込み処を探るのが戦術的には必要なこと”と閃きました。そこで、本屋さんをもう一巡。見つけました。ドラゴン先生がその食事法を師事している先生の本。

 

「『糖質オフ!』健康法」、著者は江部康二さん。京都生まれ、京都大学医学部卒業、京都の病院の理事長さん。”うーむ、ドラゴン先生とは京都繋がりか。手強そうだ。ナント、生まれは1950年!。ヤバい、これだけで親近感を覚えてしまいそうになる”。この本はPHP文庫、2012年12月第一版第一刷、2013年9月第一版第11刷、よく売れています。カバーには「糖質制限食」の体系を確立した!と謳っています。

”まあ、この両方を読めば、相手がドラゴン先生といえども五分のバトルには持ち込めるやろ、次回の反省会が楽しみだあ”。

 

 

両方の本ともにモノ凄ーい説得力です。特に、糖質オフは、人類の歴史を紐解いて解説、ハラリさんも納得するような記載です。いわく「人類が誕生したのは約700万年前。穀物を得るまではずっと糖質オフの生活を続けてきた。農耕を始めたのはホンの約1万年前。人類の歴史のなかでは約0.1%程度でしかない。進化に要する時間の尺度は長く、人間のからだは穀物中心の食生活に対応していない!」というもの。僕はこういうモノの見方をする方は大好きなので、スーッとこの本に引き込まれそうになりました。

 

 

念の為にこの食事法のエッセンスを確認しておきますと「主食を抜けば生活習慣病は防げる」というものです。魚介、肉、納豆、チーズ等たんぱく質と脂質はたっぷり食べてOK。お酒も糖質を含んでいないモノ=蒸留酒=焼酎、ウイスキーはOK(それから赤ワインも△ながらOK)。また指導法も良く工夫されています。「プチ糖質制限食=一日一食だけ糖質オフ=主食を抜く=ご飯、パン、麺の類を食べない。スタンダード制限食=一日二食を主食抜き。スーパー制限食=三食全て主食をカット。徐々にハードルを上げていけばよい!」というもの。

何やら入っていき易そうで、良いことづくめ。糖質オフの効果、糖質オフの効能も医学的に解説してあります。この食事法の料理のレシピ、外食の心構え、生活パターンに応じた対応の仕方等々が丁寧に紹介されています。至れり尽くせり。この食事法をトライしてみよう、というフアンが沢山生れたことも理解できそうな。

 

 

一方の「ご飯は最強の健康食」。はじめに「お米の素晴らしさ、日本の食生活の素晴らしさを科学的にお話する」と説明があり、その後に「糖質制限における弊害もお話していきたい」と書いてあります。この二冊の本の出版のタイミングを見ると、この「ご飯は○○」の本は、それより先に出版されて人気が出た「糖質オフ○○」に対抗するために準備された本のようにも思えます。記載もどちらかというと一般的な内容。「日本人にとってお米は特別な食べ物」「銀シャリ(舎利=ブッダの骨)=銀色に輝く仏様の骨」つまり「日本人はお米を神に譬え、大切に敬ってきた」。情緒的ではありますが、僕は本来はこちらの見方・考え方の方が好みです。

第一章「ご飯を食べれば病気にならない」。ご飯食は肥満にならない、添加物がない、栄養素が豊富、風邪をひかない、等々を”科学的に”解説したあとに「糖質制限食の問題」として①から④まで4項目にわたり詳しく問題点を指摘・説明されています。アンチ糖質制限を強く意識されているのが明らか。

面白いのは第二章「ご飯はおかずが素晴らしい」以降。みそ汁、梅干し、卵かけごはん、納豆、ぬか漬けの素晴らしさを紹介。さらにご飯に合う飲み物、デザート。グルメの楽しみ方、まで。この本のエッセンスは、ご飯を中心にしたカロリーバランス!。それから、食べたときの満足感を味わえること。また、添加物摂取を減らす=ご飯を炊いて、ご飯とバランスの良い素晴らしいおかずを楽しむことが大切と。ご飯大好き人間の僕としては、自分の食事の正当性を確認しつつ、大変に面白く読むことが出来ました。

 

 この著者によると1971年当時の食事は、炭水化物60%、たんぱく質15-20%、脂質20-25%のバランス、つまり、ご飯6割、おかず4割であったそうです。そして、筆者の主張は、この割合が理想的で、最近はご飯の割合が減っているのが問題との指摘でした。

 

 僕は、ご飯大好きですが、おかずの割合がもっと高い中身になっています。特に夜の食事は、外で食べようが、家で一人で食べようが、カミさんと一緒に食べようが、お酒がまず間違いなく入ります。お酒を飲むと食べる量が減る方がいらっしゃいますが、僕は、飲んでも食べるタイプ。特に外食の時は、料理=ツマミを食べながらずっとお酒を飲んでいる=食べ過ぎ、飲み過ぎになる傾向があります。こういう時は、主食=ご飯はまず食べていません。主食(=糖質)以外は、どれだけ食べても大丈夫というのが糖質制限のエッセンスであれば、僕のお酒を飲みながらの食べ方は、立派なプチ糖質制限食事法になっているのかなあと。

 

お酒も、もともと日本酒大好きなのですが、日本酒を飲むと翌日の体重アップにつながっているのを感じているので、最近は、日本酒は控えめに、焼酎中心、たまには、赤ワイン。こうなると江部先生の言われる立派なプチ糖質制限そのものかと思うのですが、自分で思っているのは、糖質云々を意識しているのではなく、肝心なのは食べ過ぎ、飲み過ぎはいけないということ。

 

 

二冊を読破したあとですが、もともと天の邪鬼の性格なので、どちらかの食事法に軍配を揚げることはせずに、自分の道を究めようと思いました。「ご飯は○○」は、現在、ほぼ当たり前にやっていること。但し、ご飯比率は低いです。そして糖質制限のプチもたまにはやっていることと自分の食事の現状を確認しました。

やはり、一番大事なのは、どちらの場合も、食べ過ぎ・飲み過ぎはアカン。本来あるべきは、主食(=糖質)をとろうがとるまいが、腹八分目(ホントは腹六分目)を心掛けるべし!と。これが僕の結論。先日の「一休さん」の中庸の道ですね(都合のよい、エエとこどり、という声もあるかと思いますが・・)。

 

 

実は、糖質制限の食事法は、重大な問題を含んでいることに気がついてしまいました。「主食=ご飯、パン、麺、粉モン、イモを食べない。それ以外の、魚、肉、卵、豆・葉物野菜、きのこ、海藻を食べる。腹いっぱい食べて大丈夫」というのがこの食事法のエッセンスですが、分かりやすく、極端な例を取って問題点を考えてみます。

 

もし、全ての日本人がこの「主食を食べない」食事法をとった場合、どうなるのでしょうか!?

 

日本の食料自給率は既に40%以下になっていますが、ご飯・パン・麺・イモを食べなくなれば、自給率は壊滅的な水準に落ち込むでしょう。肉の生産には(穀物の生産に比較して)大変なエネルギーコストがかかっています。魚資源は枯渇するでしょう。水資源の確保が更に大問題になります。同じ畑で大豆だけを栽培し続ける訳にはいきません。

有事の際、食糧危機等の緊急事態にこんなアホな食事法をとって自給率を下げている国があるとしたら、そんな国に対して穀物の輸出国が支援してくれるでしょうか。

著者の冒頭の人類の歴史を例にとれば、今の日本の、そして世界の人口を維持していられるのは、農業のお陰、主食のお陰です。農耕が発達して、農業により主食=米、麦、イモを確保することが出来たからです。主食=糖質を食べないで今の地球規模の人口を維持できる訳がありません。

過激な言い方をすれば「日本は飽食の時代だから、こんな贅沢な食事法が流行る。経済学で言うところの”合成の誤謬”や。これはアカン。自分勝手な考え方や。日本人は自分だけよかったらよいと思う国民だと思われてしまう。これは『亡国の食事法』や!」ということになってしまうと思い至りました。

 

 

”健康法・食事法と食糧問題とは、問題の所在が異なる。それをゴチャマゼにした議論のための議論は意味が無い”という意見も聞こえてきそうで、また、自分でも肩に力が入って、やや筆が走り過ぎているかとも思うのですが、大事な問題につながるテーマだと感じています。やはり、毎日の食生活は、極端に走ることを避けて、先ほど記載の通り一休さんの「中庸の道」を模索するのが良いと改めて感じています。珍しく、ちょっと硬すぎる話になってしまいました。

 

 

長くなってしまいますが、お酢の話にもどります。以下、例によって僕の備忘録です。ご参考までに。

 

鯱城学園・10月2日、共通講座です。 『科学の目で見る酢の話』、講師は農学博士の藤森正宏さん。ミツカンさんの研究室でご活躍されていた方です。

この講義は、「お酢についての暮らしの知恵・言い伝え、お酢の効用は本当かどうか?を食品学の視点から科学的な根拠について考える」というもの。結論は、はい、お酢は有効な食品、調味料でした。五味のなかで、甘み(糖)・塩見(ミネラル)・うま味(アミノ酸)の三つを生命維持にかかわる味覚。残りの二つ、酸味は腐敗のサイン、苦味は毒物のサインと位置づけられています。

お酢は、人類が”作り出した”最古の調味料。お酒の種類と同じだけの種類があると。食欲増進=唾液・消化液が分泌される、お酢のさっぱり感で食が進む。減塩のお手伝い=お酢の香り・酸味で減塩時の味気なさを補う等々、素晴らしい効用を持つ調味料です。

 

最後の「お酢で健康;まとめ」のなかで「人気の健康情報にはすぐに飛びつかない。誤解・過信は禁物=食品には病気を治すほどのパワーは無い=薬ではない。期待する効果は、誰にでも当てはまる訳では無い。そして、悪い生活習慣のツケは食べ物だけで帳消し出来ない」ことを強調されていました。

「これさえ食べたら全て良くなる、これさえやめれば全て良くなる」、そんな食品はありませんと。健康に効く4つの生活習慣とは、①食う=バランスよく食べ、過食しない!。に加えて、②よく寝る、③よく動く、④人と社会とのつながりを持つ!、とのことです。大賛成、僕はやはりこの路線で行こうと再確認しました。

 

 

 この日のお弁当。唐揚げ、ミンチカツは評判のお店で買ったモノ。弁当用のソース入れが手元に無く、残念でした。今回で、農園で収穫したナスを全部使い切りました。2019年10月2日、料理と撮影。

 

この日の午後は、園芸の専門講座。先週に続き名古屋市みどりの協会から先生に来ていただいて「花壇づくり」の講義がありました。土づくりの大切さを教えて頂きました。僕たちの農園でそれなりの収穫が出来ているのも、土づくりを手間暇かけてやって頂いている裏方の先生方のお陰であることを再認識。先生方に改めて感謝です。

 

 

お酢」についての以前のブログです。お疲れでなかったら読んで下さいませ。 

kururupapa.hatenadiary.jp

お医者さんと対立して、薬に頼らずに自分の体質改善を図ることで問題を解決したいと考えていた時期のことです。体重増加に歯止めをかけようと苦労し始めたころ。懐かしいなあ。 

 

kururupapa.hatenadiary.jp

ミツカン・グループ企画の「世界に広がる日本の酢の文化」について記事にしています。著者は今回の講義の講師先生とは別な方でした。 

 

kururupapa.hatenadiary.jp

よくこんな大それたタイトルを付けたと呆れますが「豆乳ベースのお酢ドリンク」は今でも続けています。毎日ではありませんが、体が飲みたいと言ってくるようになっているかも。僕には合っている飲み物です。

 

 

最後まで、目を通して頂いてありがとうございました。お疲れ様でした。料理すること、食べることを楽しんで生きていきたいと思っています。