クルルのおじさん 料理を楽しむ

『アメリカ農家の12カ月』

愛知・東海自然歩道の「岩巣山」に山歩きに行きました。尾張瀬戸駅から車で15分くらいで登山口のある岩屋堂公園に。最高標高499m、のんびり山歩きです。登山口から往復3時間程度。展望は結構開けており、はるか名古屋の中心部が一望できます。登山口の公園では「もみじ祭り」が開催されており沢山の人が来られていました。写真は「もみじ祭り」の会場=岩屋堂公園。夜はライトアップされます。2018年11月10日、撮影。

 

 

アメリカ農家の12カ月』、例によって神田神保町の古本屋で見つけた本です。1986年8月から1989年1月にかけて、アメリカ中西部ミズリー州で農場を営む夫婦・家族の朝から晩まで、種まきから収穫までを克明に描いたノンフィクションです。著者はリチャード・ローズさん、1937年カンサスシテイ生まれ。「原子力爆弾ができるまで」で1988年のピュリッツァー賞受賞作家。一年間、この農家・農場で生活を共にして書き上げたもの。1993年7月に日本語訳初版、同年10月に二刷。定価3,800円のものですが、1/10以下のお値段で売られていました。

 

以前にも書いたかも知れませんが、僕は商社時代の前半には大豆・油糧種子の取り扱いの仕事をしていました。1988年という年は課長をしていた時代で、大豆・穀物相場が大暴騰した時だったのです。本を手にした時に、瞬時に当時のことが思い出され、当然即買いしました。もともとの定価であれば買ってないでしょうから、古本屋さんというのは本当にありがたい存在だと思います。

その後数ヶ月の間、積んだままになっておりましたが今般の整理整頓で改めて読んで見ようと思いました。これも本棚効果です。思い切って本棚を設置してよかったと思っています。

 

 

穀物ベルトと呼ばれるアメリカ中西部の農家の仕事振りと生活そのものを本当に克明に描写しています。全346頁のハードカバーですが、著者が大変に筆力のある方だからでしょう、一気に読ませる面白さです。大おじいちゃん=大祖父の時代にドイツから移民した一族で、四代目・1939年生まれのバウアーさんが主人公。奥さんと子供=長男、次男、長女の三人、犬が二匹の家族。四世代の農家にして主人公の時代には約1,200エーカーの農地を耕作する農家になっています。この耕作面積の大きさでアメリカ中西部ではまだ大きめの中堅農家。1エーカーというのは、約4,000m2です。日本の農家の平均耕作面積は、2~3ha(ヘクタール)。北海道の平均でも25~28ha。1,200エーカーというのは約480haですから、桁違い・想像も出来ないほどの大きさです。これを夫婦二人で耕作している。長男はやや障害を持つ大学生、次男はアメフトのレギュラー選手の高校生で彼が農場を継いでくれそうな気配、長女はまだ9歳。トウモロコシ、大豆が二大作物ですが、これ以外にも豚、牛、鶏を飼育している。男の子二人は学校が休みのときには農作業の手伝いに家に帰って来ますが普段は寮での生活です。

 

 

実は、僕がまだ担当者の時、1980年前後のころですが、産地視察と称してアメリカ中西部イリノイ州を中心に大豆・トウモロコシ畑を一人で車を運転して3~4日かけて延べ1,000㎞以上も走り回ったことがあるのです。当時の課長さん(『先輩』等々で何回も登場して頂いている敬愛する大先輩です)が「可能な限り現場に触れる機会を持とう」という考えだったので実現させてもらったもの。自分で計画して出張したもののやはり大変な一人旅でした。

それでも、道中、農家に飛び込みで立ち寄ってインタビューを試みたり、戦車みたいなコンバインの運転席に乗せてもらったり、懐かしい思い出です。インタビューした時に、小さなお子さんがいたので「将来何になりたいのか?」と誘導尋問のような質問をしたら、予想以上にはっきりと「パパの跡を継いで立派な農家になるんだい!」と胸を張って答えたのにビックリ仰天したことを思い出します。イメージ的にはまるでこの本の主人公のバウアー農場にお邪魔したようなものです。

 

 

これだけ大きな農場を経営していても、決して、バウアーさん家は裕福ではないとの描写でした。質素で堅実な農業一家。アメリカの農業政策が過去10年に大きく変更され、そのしわ寄せが影響していることも説明されています。農業機械、作物、複雑な農政の仕組み等々も丁寧に分かりやすく紹介されています。日本語訳も良く出来ており、それぞれの専門家に助言をもらって翻訳作業をしたとのこと。

 

1988年はアメリカ中西部を熱波・大干ばつが襲った年だったのですが、幸いにバウアーさんの農場は作物が開花・成熟に向かう時期に降雨に恵まれたそうです。よかったですね。つい少し前の事のように思い出しますが、既に古き良き時代のアメリカの様子であったのかも知れません。

 

 

中間選挙の後のトランプ大統領のインタビューは醜かったですねえ。CNNの記者がロシア疑惑或いは中米からの移民キャラバンについての質問をしたのに対して、大統領の言葉とは思えない全く酷い返答でした。「黙れ、もう十分だ、マイクを置け、貴様は無礼だ、CNNは恥を知れ!」。

その翌日には、大統領が、ロシア疑惑に係わる捜査を一切コントロールしようとしない法務長官を実質解任したことが報道されています。

 

 

内田樹が著書『街場のアメリカ論』のなかで、トクヴィルが「アメリカ人は統治者の選択を誤る」、しかし「アメリカの統治システムはうっかり間違った統治者が選出されても破局的な事態にならないように制度化されている」と指摘していることを評価していました。読んだ時には、僕も”なるほど、その通りだ”と納得したものでしたが、ここまで酷い状況は想定出来ていなかったのではなかろうかと最近は心配になっています。

 

 

セサミストリート」が1969年に放送開始されて以来、ずっと「ビッグバード」役を務めていた俳優さんが84歳で引退されると報道されていました。当時、アメリカ大好き人間の僕はかなり熱心な視聴者でした。記事を見ていて、この俳優さんが「オスカー」役もしていたことを初めて知りました。オスカーはゴミ箱に住んでいる脇役のキャラですが、なんともインパクトがありました。

やはり、あの時代のアメリカというのは夢があり希望があり、ワクワク・ドキドキを世界に発信している国だったのだと思います。 

 

 

同じく「もみじ祭り」の川沿いで。陽の光を浴びた紅葉。携帯の画面ではモット鮮やかに見えるのですが‥。残念。

紅葉を楽しんだ後は、近くのスーパー銭湯に移動してゆっくりと休憩。運転のMさんには申し訳ないことながら、他のみんなとビールで乾杯しました。旨い!。

 

 

おまけです。「野菜たっぷりラーメン」。とりあえずの完成形。スープはダシに鶏ガラ顆粒、うまみ・コク味ペーストを加えて。別途、フライパンで野菜=もやしは必須、きのこ、キャベツ、ピーマン、ニンジン等々をニンニクと唐辛子を加えて炒めました。もやしはくれぐれも炒め過ぎない様に。

器にスープを入れ麺と野菜を加えてから自慢の自家製チャーシューを乗せて、胡椒、ゴマ油とラー油をお好みで振り掛けたら完成!(チャーシューもニンニクが効いているので食後はやや匂いが気になるかな?)。チャンポンと野菜たっぷりラーメンの区別はまだよく分かっておりません。2018年11月9日、料理と撮影。