クルルのおじさん 料理を楽しむ

ピアノのお話

豊田市美術館漆芸家の高橋節郎館。作品「漆塗のピアノ」です。年に何回かは実際にこのピアノが演奏に使用されるそうです。是非、聴いてみたいものだと思っています。モッタさんのお気に入りのスポット。2019年11月24日、撮影。ちょっと古い写真ですが、今回はピアノのお話なので・・・。以前の記事を埋め込んでおきます。

 

kururupapa.hatenadiary.jp

 

 

 YouTubeのその映像を見た時には、正直、ビックリ仰天しました。漁師のオッサンがフジコ・ヘミングを前にして「ラ・カンパネラ」を演奏している。フジコさんも最初は心配そうな顔つきでしたが、オッサンが演奏を始めると驚いた様子、彼女の表情が目に見えて変わりました。

 

佐賀県のノリ漁師、徳永義昭さん、59歳。全くピアノを弾いたことが無かった徳永さん。ある日、偶然にフジコ・ヘミングの演奏を聞いて大感動!、”この曲を自分で弾いてみたい”と思い込んだそうです。音大を出ている奥さんに話したところ、頭からバカにされたと。「あんな難しい曲、音大出の私でも満足に弾けないよ。あんた、楽譜も読めないでしょ。頭がおかしくなったんじゃないの!」と。ところが、このオッサンの思い込みは大したもので、この奥さんのコメントにもめげること無く、却って奮起。

それ以降、一日7~8時間、 YouTubeのピアノ鍵盤の動画を見て、一音一音、画面に鍵盤が表示されるのをなぞって、目と指と体とに覚えこませたそうです。それを続けること丸7年。丸7年、全てをカンパネラ一曲に注ぎこんで、この難しい曲を弾きこなすことが出来るようになってしまったとのです。

 

明石家さんまの「あんたの夢をかなえたろ!」という番組で紹介された話です。一月、僕が受けているピアンレッスンの時に先生から教えてもらいました。先生も興奮した面持ちで「こんなことが起こり得るんですねえ!」っと。

 

昔むかーし、大江健三郎安部公房の小説で、主人公の男性だった(その友達かな?)と思いますが、クラッシクの名曲を一曲だけ、その一曲だけはプロも顔負けの腕前で演奏することが出来る男の話が挿入されていました。小説の内容は全く覚えていないのですが、この寓話?だけは妙に頭に残っていて、僕がピアノを習い始めた時に、”そういえば、そんな小説があったなあ”と思い出したことを思い出しました。現実のレッスンは、そんなに単純、簡単なものでは無く、ある程度の年齢になってから初めて鍵盤に触れるというのは大変な͡コトです。指も固まっている、脱力なんて簡単には出来そうにない。体力も無くなっている、今日はトコトン時間をかけて練習するぞ!と意気込んでみても、悲しいかな、座っているだけでも疲れてくる。集中力も途切れがち、一時間が限界かも。記憶力も低下している、前日に覚えて、出来たと思ったことが、翌日になってみると頭に残っていない。”あの小説は、あたりまえやけど、やっぱ小説の世界なんやっ”と寂しく納得しておりました。

 

そこに、このオッサンの登場です。改めて、YouTubeを見ると、さんま(関西人は関西の芸能人に対しては何故か”さん”付けをしない。さんまさん、スンマセン)の番組の前にも、ご自分(orご家族)がYouTubeに投稿された画像もあり、地元の新聞でも大きく報道されているようでした。ご本人の表情がすごーく自然体なのが気持ちが良い。「練習量、やる気、この二つだけは誰にも負けないつもりです。マル7年かけてここまで来ました」と晴れ晴れとした顔で佐賀弁(多分)丸出しでお話されていました。ご本人は「フジコ先生を前にして演奏を聞いてもらえるなど奇跡の遥か先の奇跡です」と謙虚にかつ喜びを満面に表して話していましたが、僕からすると、そして僕のピアノの先生からも、多数の一般視聴者の方からも、”このオッサンの7年、このオッサンの存在そのものが奇跡やろ!!”と称賛したくなります。フジコ・ヘミングさんも「良い指をしてますねえ。ピアニストの指ですよ。あなたの人間性が音に伝わっています!」と最大級の賛辞を送っていました。

 

ラ・カンパネラはリストの最難解な曲と言われています。リストはご存じの通りラフマニノフと並び称される名ピアニストにして名作曲家。ラフマニノフさんのことは以前のブログに書いた通りですが、大変に大きなそして柔らかい手を持っていたそうですが、リストさんもピアノの魔術師と称賛され、どんな曲でも初見で弾きこなしたそうです。あまりにスピード感のある演奏に「指が6本ある!」と言われたとか。リストが先達で1811年~1886年ラフマニノフ1873年~1943年です。ちなみに、調べてみたらラフマニノフ作曲にも「鐘」というタイトルの曲がありました。

 

この放送のあと、日本国中のあちこちでリストの「鐘」が鳴り響いているような気分になっています。このオッサン物語の感動は多くの人と共有したいものだと感じました。

 

kururupapa.hatenadiary.jp

 

 

2月に入っても予想通り(期待通り)食事会が続いています。2月3日には、ドラゴン先生、モッタさん、ウナル役員と新年初めての反省会。名古屋テレビ塔の近くにある老舗の鶏鍋屋さんに。ドラゴン先生が珍しく遅刻されたので、最初は三人で歓談。モッタさんは引き続き僕のブログを読んでくれていて嬉しい限りでした。映画の話、そして、俳句の話。モッタさんは20年以上も俳句を続けていて、名古屋で句会にも参加している由。「俳句は季語と切れ字が命である」との一家言の持ち主です。俳句は僕も興味を持っているので、そのうち句会に空きが出れば誘って頂きたくお願いをしました。モッタさんの厳しい入門審査があるのかなあ?。

 

ようやくドラゴン先生も参戦。会話が一気に盛り上がりました。僕はカンパネラのオッサンの話を紹介しようと温めていたのですが、すっかり放念したまま。途中、お手洗いに席を外した時にようやく思い出しました。”そうや、忘れてた。今日は、これを話しに来たんや!”。席に戻るなり、三人が別な会話で盛り上がっているところに乱入、「実はですねえ、今日は、是非に聞いて頂きたいお話が・・・」。一瞬、改まって話を始めたので、皆さん何事かと。

 

このオッサンのカンパネラの話をすると、モッタさんはなにやら知っているような気配。ドラゴン先生は、聞きながらも既に手が動いてスマートフォンを操作している。瞬時に映像と音声が流れ出しました。僕が見た映像とは別なものらしく、これは5-6分のぶっ通しの演奏です。僕も含め四人とも一瞬、わが目と耳を疑うような、皆さん、言葉を失いました。ビールを持ってきてくれた仲居さんが「あっ、これはさんまさんの番組、漁師さんのピアノ演奏!」と放送を見ていたようで、会話に引き込まれてしまいました。いやあ、やはりこのオッサンの演奏は凄い!、凄いインパクトです。

 

興奮冷めやらない状態が続きましたが、漸く一段落。この方々に紹介した甲斐があったと嬉しく思ったのですが、驚きはこのオッサンの演奏に留まりませんでした。モッタさんがちょっと恥ずかしそうに「実は、むかし私もカンパネラに挑戦したことがあるのです!」「だから余計に感動しましたが、この年齢でピアノを始めた方が、ここまで弾けるとは信じられません」。なにーっ!、モッタさん、こんなにお上手にピアノを弾く方だったの!!。

 

前回の会食の時のことをブログの記事の一番最後に記載しましたが、 

kururupapa.hatenadiary.jp

 

この時に、お二人が音楽にも大変に造詣が深いことを知らされて驚いたことを書きました。この時の話をもう少し詳しくお伝えしますと(そう言えば、この時も鶏鍋でした。別なお店ですが。名古屋はトリが美味いのです)、 ドラゴン先生の話では、モッタさんはバイオリンを嗜まれる方、とお聞きしていました。ご本人は、余りバイオリンのことは話題にせず「最近は、ピアノでジャズ系を弾きたい、弾いて楽しみむことが出来ればいいなあ、と思っている」とのことでした。僕が年を取ってからピアノのレッスンを受けていることに対しての温かい励ましの言葉だと理解していました。一方、これもビックリ(こちらの方がビックリ)なのですが、ドラゴン先生がチェロを弾くと。更に、学生時代にはホルンをやっていたと。先輩である朝比奈隆が大学で指揮をしてくれた時には、オケでホルンを担当して吹いたことがあると。いやはや、僕がヨチヨチ歩きでピアノを練習しているというのに、”あんたらホンマに何でもできる人たちなのねえ!”と驚いて、空いた口が塞がりませんでした。

 

そして今回は、モッタさんのピアノの技量が僕からすれば雲の上のレベルであることが判明してしまいました。俳句といいピアノといい、大変な方と接しているのだという事をヒシヒシと感じて、身が引き締まる思いでありました。

 

 

今回の反省会がここまで盛り上がったのも漁師のオッサンのお陰。改めて、徳永義昭さんに拍手喝采です。何といっても、まる7年間、一日7-8時間も、よくぞ練習を続けられたものです。全国でこの放送を見た中年~高年のピアノ初心者の方々(僕の周りだけでも、60を超えてから初めてピアノに挑戦している方が結構たくさんいらっしゃいますから、全国ではたいへんな数になるものと思っています)にどれだけ励みになることか。「練習量とやる気だけは、誰にも負けん!」というのは素晴しい一言であったと思います(真似するのは至難かと思いますが)。徳永さんにエールを送りたいと思います。

 

 

オマケです。弁当の写真。2020年1月29日、撮影。 

いつもの”のり弁”にパラパラ玉子と自家製鶏ハム炒めのっけ。おかずは野菜尽くし。ブロッコリー、カリフラワー、ニンジンの蒸したもの(茹でないで蒸してます)、得意のキャベツのザワ―クラウト風、ホウレンソウの茹でたん。上は、初めて挑戦した豚バラと大根煮、トマト。ためしてガッテンで、ご飯を「おひつ」に入れると冷えても美味しいことを紹介していましたので、騙されたつもりで小さな寿司桶を買ってきて冷やしてみました。確かに旨いと思いました。自己満足で”脳”がそう思っているのかも知れません。

 

 

オマケのオマケ(=蛇足)です。

一月に読んだ句の中から自選。孔瑠々の俳句です。続くかな?。

●古希ならば今年限りと年賀状

●ハイビスカス冬の緑の力強さよ

●四十年雑煮は我が家の味となり

●晴れ着なし通勤電車の年初日

●着ぶくれて落ち葉踏みしむカラス舞う

●新春にカンパネーラを漁師弾き

 

 

最後までお付き合い頂きありがとうございました。