クルルのおじさん 料理を楽しむ

ケイコとマナブ

男の料理教室「食友会」にお試し参加させて頂きました。神奈川の自宅の町内会の皆さんがやっている料理教室。町のコミュニケーションセンター(コミセン)の調理施設を利用してされています。栄養士の資格を持っている女性の先生が二人いらっしゃって、事前に皆さんでその日の料理を決めて(何を料理するかというよりも何を食べたいか、で決めているようです)、先生がレシピを考えて、それを会の代表者(会長さん)がウエブで皆さんに配布。食材の手配も当番制で皆さんが協力してやっている。毎月第二日曜日の10時に集合、一時間半ほどかけて先生の指示を仰ぎながら全員で協力して料理。自分達で調理したものを調理室の隣の和室でお昼ご飯として頂く、という趣向になっています。嬉しいことに希望すればビール、日本酒も出してくれます。メンバーの平均年齢は多分70歳後半?(80歳前半かも)。皆でギャーギャー騒ぎながら楽しく調理して、それを皆で歓談しながら(アルコールも少し入れながら)楽しくランチするというもの。僕は若手!になります。

僕はもともと地元の方々とのお付き合いは全く疎い方ですし、単身赴任になって以降は更に疎くなりお付き合いの機会も全くありませんでした。料理には興味を持っていましたし、幸いにカミさんが民生委員を長い期間務めていたり、お隣のご主人さんが町内会の会長さんだったりで、この「食友会」を紹介して頂きました。参加希望を伝えた以降も、例によって、コロナ騒動の期間中は、実質、休会の状態。漸く、参加を許されることになったという訳です。

 

この日の主菜は「鶏肉の唐揚げ」、副菜は「アスパラとハムのポテサラ」。アルコールを頂きながら食事の時にイロイロと伺うと、ナント30年近くも続いている会とか。最年長さんは、92歳。お元気そのもの。毎朝、公園でのラジオ体操に参加して、グランドゴルフも楽しんでおられる。この日、ビールと日本酒の両方を楽しんでいたのは僕とこの方の二人だけだったかも。声にも張りがある。元気な高齢者さんのお手本のような方でありました。

この日のレシピです。会員の方の中には、毎月のレシピをずっとファイルされている方もいらっしゃる。その内に「男の料理・食友会」のレシピ本が発刊されるかもですね。ちなみに次回の主菜は「サバの味噌煮」です。

 

日経新聞、毎週土曜日の日経プラス1.に「何でもランキング」が掲載されています。人気の紙面だと思います。9月2日は「もう一度読みたい あの名雑誌」。第一位は「ぴあ」、以降「宝島」「ロードショー」等々、懐かしい雑誌の名前が掲載されていました。ふと「ケイコとマナブ」という雑誌があったことを思い出しました。この雑誌は日経のランキングには載せられていませんでした。僕もほとんど読んだことは無かったのですが、”名前の付け方がうまいなあ”と感心したことを覚えています。

最近の僕の生活スタイルの様なタイトルです。この歳になって、お稽古と習い事に明け暮れるようになっています。ピアノ、陶芸、水墨画。俳句は相対の先生はいませんがこれも習い事の一つに入るのかも。何回も書いていますが、習うこと、お稽古ごとそのものの面白さに加えて、先生・仲間との交流が何よりの楽しみになっています。

仲間の一人に言わせると、「プロの様な技能水準になってしまうとある意味、面白さは半減する。素人のレベルで毎回、やる毎に自分の変化や、出来るようになったことを実感できる時期が一番、面白い時だろう」とのこと。この人は達人の域に達している方ですが、確かに、何歳になっても成長を感じるのは嬉しい、ということなんでしょうねえ。とは言え、やはり早く上達したいものです。

 

 

NHK 俳句です。9月第一週。選者は夏井いつきさん。テーマは「凡人からの脱出」です。今週の兼題は「秋刀魚(さんま)」。

季語「秋刀魚」からの凡人アルアル類想の典型は「煙」だとか。七輪、うちわ、等々サザエさんの昭和の世界の言葉が詠まれることが多くなる由。季語の「本意」・・・「ホイ」と読みます、ずっと「ほんい」と思っていました・・・の説明が面白かったです。季語の本意を理解した上で、季語の力を生かせば良い、と。「言わないでも分かる言葉は削る、(季語の本意を)土台に使う」、それを季語の力と呼んでいる様です。難しいですねえ。

今週の特選六句で面白いと思った句です。

   これはこれは研ぎに研ぎたる秋刀魚かな

   持っとれよ秋刀魚鬼おろしガシガシ

   燃えだすサンマ絶叫のサヨナラ打

俳句「ゼロから」のコーナーでは、切れ字「や」「かな」「けり」の説明がありました。

   名月や男がつくる手打ちそば   森澄雄

これを切れ字「や」の代わりに、

   名月男がつくる手打ちそば

としたときの情景の変化。素人=初心者には分かりやすい解説であったと思います。

駄句です。「凡」、丸出しです。

   サンマの値七輪の煙懐かしく   孔瑠々

特選句のなかに秋刀魚の値段が高くなっていることを詠んだ句がありました。

   砂町にちらと覗きて秋刀魚の値

「30年前には『値』の意味は分からないのでは」という質問に「季語の本意は時代と共に動くもの」との夏井さんのコメント。

 

桔梗の句です。

   桔梗や白紫のほかはなく   尾崎迷道

 

水墨画クラブの次回のテーマの一つが「桔梗」、宿題になっています。クラブに入会前のスケッチ会に参加した時、公園でキレイに咲いていました。皆さんが作品に描いていましたが、先生から「スケッチが丁寧に出来ていない」との厳しいご指摘。

その時の写真を見ながら何度か描いてみたのですが、基本が分かっていないのか、対象をよく掴めていないからか、絵にならず(画にならず)。隠れ家の最寄りの駅近くの花屋さんでお安く売っていたので二鉢を買いました。のんびりと眺めているとなるほど、花、蕾、しべ、枝、葉っぱ、の具合が少しは分かったような気になりました。

 

隠れ家の本棚にあった水原秋櫻子「近代の秀句」(朝日選書、1986年第一刷・2001年第11刷)をパラパラと見ていたら、この句が目に着きました。「当たり前のことを言いながらも常識ともきこえず、理屈ともきこえぬ」「限りないさびしさを覚える」との秋櫻子の評が書かれていました。「桔梗」は、この場合は「きちこう」と読むそうです。

 

この感じを水墨で描ければさぞかし面白いだろうと思いますが、なかなか思うように描けないところが楽しいのかも知れません。

 

名古屋から神奈川に移動する新幹線の中で、今年の芥川賞作品を読みました。以前に買った文藝春秋の9月号。芥川賞が掲載される文春は毎回買っていますが、この数年最後まで読み通すことが難しくなっていました。最近の文学作品を読み通す体力が無くなってしまったのかとも感じるようになっていました。

今年の授賞は市川沙央さんの「ハンチバック」。ナントか読み通すことが出来ました。受賞者インタビューにご本人が「(作品を読んだ)父は(その)破廉恥さに激怒しました」と記載された通り、悍ましい(おぞましい)内容であったかと。

先天性ミオパチー患者である筆者が、同じ難病を患っている患者を主人公にした作品。「ハンチバック」とは背中が曲がった「せむし」のこと。小説の主人公が自信をそう形容しています。選評には「辟易感」「恫喝的な書きぶり」と違和感を覚えた意見もアリ。片方では「とにかく『小説』が強い、一文が強い、思いが強い」「毒気のあるユーモア」「チャーミングな悪態」等々高い評価が多かったようです。

 

最近は「ケイコとマナブ」生活を続けていて、どうも読書の時間が十分に確保出来ていないと感じております。夏目漱石の小説も縄文土器の話もまた読んでみたいなあ。

 

9月になっても熱中症への警戒が報道される毎日ですが、さすがに日陰に入る時の風が爽やかに感じられる時もあるようになりました。コロナは再度、蔓延しそうな勢いとか。引き続き、皆さまくれぐれもご自愛下さいます様に。

 

追伸、ラグビーワールドカップ。日本、初戦を順調に勝てて良かったです。少々、心配しておりました。「地力」がついてきてるように感じました。次のイングランド戦が楽しみです。