クルルのおじさん 料理を楽しむ

百歳、万歳!・その2.

伊勢市二見浦の夫婦岩です(旅行二日目、11月20日、撮影)。

 

おばあちゃん=カミさんの母親、カミさんのお姉さん、カミさんと僕の四人で鳥羽、伊勢志摩に二泊三日の旅行に行きました。一日目=11月19日(日)、名古屋から近鉄鳥羽駅に、レンタカーをして市内散策、ミキモト真珠島を一回りしました。車椅子を利用して始めての旅行ですが、車椅子のお陰でおばあちゃんの行動範囲が広くなりました。本人も改めて便利さを喜んでいます。乗り心地が心配でしたが、アスファルト道路は快適、問題無し。石畳の道はさすがにガタガタして可哀そうな気がします。出来るだけ平坦な道を移動しました。今の日本は車椅子への対応が良く出来ていることに改めて驚きました(まだ不十分との声が大きいと思いますが)。

トイレが便利になりました。車椅子マークが付いている多目的トイレが随所にあります。女性三人が車椅子ごと一緒に中に入ることが出来て用を足せます。これは利用者には大変な安心感があろうと。エレベーター、(エレベーターがない処では)車椅子ごと乗り込める台車、または階段の横のスロープがほぼ何処でも設置されていました。普段、目にしている設備でしたが、実際に利用してみて初めてその有難さに気づきました(改良して欲しい点は多々ありましたが)。

初日は鳥羽市にある鳥羽観光ホテル・潮路亭に。ミキモトが開発したパール風呂(アコヤ貝・真珠だけから抽出出来る保湿効果が高い成分が入っているそうです)をおばあちゃんも楽しんでいました。

 

二日目はゆっくり朝食の後、冒頭の写真の夫婦岩に。二見興玉神社の本殿の奥にあります(伊勢市です)。ホテルで説明を受けた限りでは「車椅子では無理かも知れない」とのことだったのですが、おばあちゃんが”見たい”というのでとにかく行ってみることにしました。

一番、近くの駐車場に停めて石畳と砂利道をゴトゴト、ガタガタと。神社を過ぎて夫婦岩を間近かで見るスポットまで行くことが出来ました。四人とも以前に見学したことがあるのですが、ここまで近くで見ることが出来たことに大喜び。大阪では小学校の修学旅行の定番だと思いますが、東京からだと中学・高校の様です。ナントおばあちゃんも女学生時代に来たことがあると。昔話に花が咲きました。72歳から100歳のグループですが、この時は皆さん10代に戻っていたような。

夫婦岩の後は、伊勢神宮・内宮に。前日の打ち合わせでは”宇治橋の鳥居の処まで行ければ良しとしよう”と話していたのですが、夫婦岩観光に成功!?したので、調子に乗って内宮の正宮まで行ってみようと。月曜日ながらも観光客が一杯、ちょっと遠くの駐車場に停めて「おはらい町通り」「おかげ横丁」を散策しながら宇治橋に到着。おばあちゃんも調子良さそうなので、そのまま宇治橋を渡って神域に入りました。

ここからが大変。神域には砂利が敷き詰められていますが、この砂利の層が厚くて深いのです。おばあちゃんの折り畳み式の車椅子の車輪の大きさ、タイヤ幅では砂利の中に車輪が埋もれてしまい、73歳が必死に押してもナカナカ進んでくれません。万事休すと思った時に、親切な人が声をかけてくれました。「宇治橋入口の案内所で大きな車椅子を貸してくれますよ!」。”オオ、これぞ天の助け”と二人におばあちゃんを見てもらい案内所に取って返しました。案内所で手続きをしながら話していると係の人が「さっき小さな車椅子で通って行かれた方でしょ。あの車椅子ではかなり厳しい(無理か)と思っていたんですよ」と。

思わず”あほたれ、見ていてそう思ったならその時に注意せんかい!”と怒鳴りそうになりましたが、最近、温厚になった僕は感謝の言葉を返して有難く大型の車椅子を貸して頂きました。

 

大型の車椅子は押すのも楽だし、乗っているおばあちゃんも乗り心地、座り心地が良さそうでした。正宮の石の階段の処まで行き階段の下からですが皇大神宮にお参りして貰うことが出来ました。ゆっくりと参拝を済ませて、おかげ横丁を再度散策。夜の食事に支障がないようにお昼は、参道のお店の蒸カキを食べたり、松坂牛のコロッケ(ナント、一個500円もします)・肉まんをつまんだり。おばあちゃんは昨晩の潮路亭での料理もこの時の参道でのツマミも三人に負けずにほぼ同じモノ、同じ量を楽しんでいました。凄い、エライ、立派!だと感心します。拍手です。自分が歳を重ねても美味しく食事を楽しむことが出来ればいいなあと心から感心しました。おばあちゃんから元気をもらっています。

 

二日目は志摩観光ホテルのザ・クラッシクに。伊勢志摩サミットで有名なホテル。館内に温泉は無く残念でしたが、海の幸のフルコース料理を楽しむことが出来ました。モチロン、おばあちゃんもほぼ完食!。

 

ホテル客室窓越しの景色(11月21日、朝に撮影)。ここは志摩市です。

 

三日目はのんびり、ゆっくりと名古屋に戻り、休憩してから三人は東京に戻る予定であったのですが、トラブル発生。近鉄鳥羽駅から名古屋まで乗り換えなしの特急に乗車、席に座って「二日間の旅行が無事に追われそうで良かったねえ」と話していたら、車内放送があり。「車両故障のためにこの特急は運休」に。”じゃあ、どうすれば良いのか”の説明が全く無く要領を得ないので頭に来ていたのですが、しばらくしたら係の人が席に来てくれました。相変わらず要領を得ない説明で「とにかくこの列車からは急いで下車してください」と急かすだけなので、さすがに声を荒げて文句を言ってしまいました。帰りの新幹線の時刻を考えると(この後の直行便まで待つのはやや心配なので)次の宇治山田駅で乗り換えて名古屋に戻る特急に乗ることにしました。僕は冷静に文句を言ったつもりでしたが、ホームで待っていると駅長だか助役だか何人かの駅員さんが寄ってきて平謝りしていました。以前であれば嵩に懸かって「謝ってすめば警察はイランやろ」となるところですが、この時も穏やかに謝罪を受けることが出来たかと。73歳になって成長しているのかも知れません(カミさんからは「それが普通ですよ」と窘められました)。

 

名古屋からはカミさんが二人を池袋まで送って行ってくれました。夜、神奈川の自宅に帰ってからカミさんから電話があり。「おばあちゃんが大変に喜んでいた。長男の家で子供達(曾孫たち)と話を出来たのも楽しかった。旅行に行ってホテル・旅館に泊まる自信もついた。また、みんなで一緒に行きたいと言っている」とのことでした。

旅行の前日は名古屋の覚王山の長男のマンションで皆で食事会をしました。長男夫婦、嫁さんのお母さん、小雪チャンと司くん、全員そろって。嫁さんが「100歳祝い」のケーキを準備してくれていました。おばあちゃんが小雪チャンと一緒にローソクの火を消しました。

おばあちゃんが喜んでくれて、そして自信をつけてくれて何よりでした。また、是非、一緒に旅行したいと思います。元気を貰ったのはこちらの方だと感謝しています。

 

 

NHK俳句です。11月第二週、選者は山田佳乃さん、ゲストは女優・作家・歌手の中江有里さん。今週の兼題は「冬構(ふゆがまえ)」。「日本の家屋は大方夏向きに作られていて、冬を迎えるに当って設備や建物や樹木に冬の準備をする。『冬構』は主に家の外に設える(しつらえる)事柄を指している」そうです(テキストの解説)。

漱石の句が紹介されていました。

   砂浜や心もとなき冬構   夏目漱石

 

テキストに宇多喜代子さんの句も載せられていました。

   年寄りに従うことも冬構   宇多喜代子

 

今週の特選三句です。

一席   古九谷にちいさな山河冬構

二席   冬構どこへも行かぬ影と棲み

三席   冬構ここにも母の几帳面

 

 

11月第三週です。選者は村上鞆彦さん、ゲストは作家の山崎ナオコーラさん。山崎さんは母親で俳句も嗜む方。尾崎放哉の自由律俳句を印象深く受け止めていると。

   入れるものがない両手で受ける   尾崎放哉

 

村上さんの今週のテーマは「子育て」。山崎さんのお話が秀逸でした。

(小説と対比して)「一瞬を永遠にするのが俳句」。「母ではなくて親になる」と言う気持ちの持ち方。(子育ての極意は)「『生きている』ことを肯定する」等々、インパクトのあるフレーズが出てきました。「子育て」の名句です。

   悴める掌を包みやり諭しけり   西村和子   (悴める=かじかめる、掌=て、諭し=さとし)

 

テキストに面白い句がありました。

   天瓜粉百歳はあと百年後   西山ゆりこ   (天瓜粉=てんかふん)

 

うちのおばあちゃんも百年前には天瓜粉を叩(はた)かれていたのでしょうね。

 

今週の兼題は「落葉」、特選三句です。

一席   歌舞伎座の緋の絨毯に落葉かな

二席   無花果の大きな音の落葉かな

三席   寝室のありしあたりへ落葉散る

 

 

おまけです。

水墨画の練習を続けています。11月18日の宿題、「阿修羅像」と「龍」です。

   

阿修羅像は「写真を見ながらデッサンしてそれを水墨画に描く」というのが宿題でしたが全く出来ず。先輩が描いた「阿修羅像」を真似したら少しは描けるようになりました。「構図は良い」と講評してもらえましたが「水墨の線にはほど遠い」と厳しい指摘を頂きました。

「龍」は先生の作品を真似したのですが、これも全く描けず。別な先輩がお皿に描いた「龍」を真似して描きました。こちらの方は少しは線がキレイになった?。コミカルな表情が面白いと気にいっています(調子に乗って自画自賛してしまう方ですから、厳しい指摘を頂くのが有難いですね)。