陶縁会水墨画クラブの講師、井上昭彦先生の作品です。オリジナルを何枚か分けて戴きました。
戴いた作品の中で、一番、気に入っている作品です。表情が何とも面白い。
12月16日(土)の水墨画クラブの例会、井上先生が久しぶりに教室に顔を出されました。ほぼ三カ月ぶり。体調を崩されていてしばらく休養されていました。大きな荷物を抱えて来られました。先生が今までに和紙、画仙紙に描かれた作品ですが(裏打ちはされてはいません)習作というのでしょうか何枚あるか分からないほど。紙の厚さが15㎝ほどになる作品の束が三つほどありました。「家の整理をしている。捨てるには忍びない。クラブの皆さんがよければ貰って欲しい」と。会員からすればまさに宝の山です。時間の許す限り一枚づつ拝見して”欲しい”と思うものを何枚か頂きました(次回以降も先生の作品を鑑賞させて貰って欲しいものを頂くと言う有難い状態が続きます)。
この日の講習は「人物画」「自画像」だったのですが、先生が講評をしてくれました。久しぶりに先生の歯切れの良い講評を受けて皆さん、大喜び。僕はこの週から全体の講習とは別に基礎練習をさせてもらうことにしていました。先輩とのレベルが違い過ぎるので、一人で基礎練習したものを持参して、それを皆さんから講評してもらおうと。先生が親切に目を通してくれました。筆の動かし方、調墨の仕方、「葉っぱ」の描き方、先輩達も先生と一緒になって指導してくれました。実技の指導は初めてのことでした。有難いことです。基礎が出来ていないことには話にならない、ということを痛感しました。
この日は嬉しいことが重なりました。先輩の一人が水墨画の教科書を持って来てくれました。”かつて自分が基礎を練習をした時に役に立った本”との事。水墨画の教科書本は無数に出版されているのですが、”なかなか良い教科書には巡り合えない。自分が独習した時にお世話になった本”、とのことでした。その通りだと思います。僕も本は好きなので既に何冊かの教材を持っていますが、なかなかシックリくる本には巡り合えていません。”これがいいなあ”と思う本があるのですが、これはかなり古いもので、入会した時にクラブの会長からその本の中身の抜粋コピーを頂いたもの。本の名前、執筆者、出版社が分からず、探すに探せない状態です。良い教科書に巡り合うというのは難しいことだと思います。
翌、17日(日)。朝から机に向かい、先生から教えてもらった描き方を練習し、先輩から頂いた本を読み、「竹」に挑戦。水墨画の画題で「四君子」と言われていますが、「蘭」「竹」「梅」「菊」を描くのが基本のキとされています。「四君子」の中で、先輩から”「竹」を練習してみるのが良かろう”とアドバイスを頂いたので、早速に試してみました。結果は見るも無残。竹の「幹」「枝」「葉」、丁寧な解説が書かれているのですが、いざ描いてみると全く似て非なるもの。一時間半ほど格闘しましたが、全く歯が立たず。お手上げです。
諦めの良さは僕のとりえの一つ、気分転換に散歩に出かけました。いつもの平和公園から千種区図書館を経由して買い物して帰ろうと。急に寒くなったり、季節外れの暖かさだったり、相変わらず、異常なお天気が続いていますが、散歩するには気持ちの良い時節です。図書館には借りていた本の返却に立ち寄りました。
千種区図書館では数カ月に一度(多分)、古くなった本を持ち帰り自由で処分してくれる時があります。決まった日時では無いようで、今までにも、タマタマ、足を運んだ時に「リサイクル図書」が提供されていて何冊か頂いたことがありました。不定期にやっていると思いますが、そのタイミングが図書館を訪れた人はラッキーなことかと。本の好きな人には面白い企画だと思います。この日が、その「リサイクル図書」の日でした。
”なんかオモロイ本、あるかいなあ”と見ていたら・・・水墨画・・・の文字が目に入りました。”おや珍しい、こんな(水墨画の)本が「リサイクル図書」に出されるとは”。手に取ってみると、かなり古い本で頁綴じも部分的にはバラバラ状態になっている。頁を捲ってみてドキドキしてきました。見覚えがある。
”おや、まあ、これは、あの本や”。
山田玉雲 著。「水墨画基礎入門」秀作社出版。平成元年1月初版、平成11年12月新装版の本でした。
急ぎ帰って中を見ました。僕の持っていたコピーはこの本の前半中心の一部でした。「四君子を描く」という章もありました。「蘭、竹、梅、菊を四君子という・・・絵を学ぶ最初にこの四君子の描法が基本とされ、蘭が曲線、竹が直線、梅と菊は曲線と直線との組み合わせ・・・運筆を学ぶ者の基本」と。
”ナルホド、まずは「竹」=直線から練習せえ、という意味か。先輩は鋭い指摘をしてくれているんやなあ”と素直に感心しました。もう一度、筆をとってみましたが、やはり全く歯が立たずでした。
NHK俳句です。12月第二週、選者は山田佳乃さん。ゲストは作家の岩下尚史さん。今週の兼題は「薬喰」。「『薬喰』とは寒中に体力をつけるために獣の肉を食べること。獣肉色が禁じられていた時代、寒の内に限り、鹿や猪の肉は血行を整える薬であると秘かに食されていた」「密やかな食だったので、猪は山鯨、兎は鳥と」(テキストの解説から)。番組で紹介された句です。
裏山に行って戻って薬喰 星野高士
テキストにあった面白い句です。
旨酒のことに吉野の薬喰 小島健
上物の熊と誘はれ薬喰 茨城和生
特選六句の中で面白いと思った句です。
美しく肉たたまれて薬喰い
特選三句です。
一席 胃の中の猪呑みたがる薬喰
二席 仕留めたる漢を上座薬喰 (漢=おとこ、と読む)
三席 もうゐない月の兎や薬喰い
駄句です。
目一杯食べた言い訳薬喰い 孔瑠々
毎年2月に「猪鍋」をやっています。年甲斐もなく何時も食べ過ぎてしまう。来年は「猪鍋」の20周年です。きっちゃんは今からイロイロと準備に余念がありません。楽しみなことです。
第三週です。選者は村上鞆彦さん、ゲストは女優、タレントの柴田理恵さん。村上さんのテーマは「人生を詠う」。今回は「病、看護」です。理恵さんは富山にいらっしゃる94歳のお母さんの介護で東京と往復する生活だとか。
番組で紹介された句です。
当て所なく師走の街に座り込む 小山正見
作者は、認知症を患った妻との暮らしを俳句に詠み、句集に纏めた。その中の一句とのことです。
テキストにあった句です。泣けます。
短日や襁褓に父の尿重く 相子知恵
(襁褓=”むつき”と読む(「おむつ」のこと)、尿=”しと”と読む)
今週の兼題は「ストーブ」、特選三句です。
一席 雨に濡れし少女の匂ふ暖炉かな
二席 吾も犬も猫も老いたり暖炉燃ゆ
三席 ストーブや我が顔広く平らなる
テキストにあった村上さんの句です。
ストーブに手を揉み知らぬ者同士 鞆彦
おまけです。陶芸の先輩が貸してくれました。
『生誕100年記念、ルーシー・リー展 ~静寂の美へ』。ルーシー・リーは1902年生まれ、イギリスの代表的な陶芸作家。先輩はこのルーシーさんの大のフアンで、彼女の作品に憧れて陶芸に励んでいるそうです。
この本の中に掲載されているルーシーの作品です。
「うつわ」「フォルム」がルーシー作品のキーワードの由。先輩は僕の眼からは”達人”の域に達している方で、このようなフォルムの作品を多数作っていますが、まだまだルーシーさんの器の線は出せないと。
いつの日にか、こんなキレイな器を作ってみたいもんだと思います。
急に寒さが厳しくなってきました(といっても「平年並み」とのことですが)。気候、気温の変動のブレ幅が大きすぎるのは厳しいものがあります。皆さま、くれぐれもご自愛下さいませ。