クルルのおじさん 料理を楽しむ

鍵が見つかった!

久しぶりに読書のお話です。千種図書館に頼んでいた本の貸し出し準備が出来たという連絡を頂きました。年明け、バタバタしていましたが、少々はバタバタしている方が本を読みたいと言う気持ちが強くなる、読書の集中力は高まるものかも知れません。

「悪意の科学」。筆者はサイモン・マカシー・ジョーンズさん、ダブリン大の心理学准教授で幻覚症研究の権威の由。プレシ南日子さん訳。インターシフト合同出版、2023年1月第一刷。副題にある「意地悪な行動はなぜ進化し社会を動かしているのか?」、第一章の「たとえ損をしても意地悪をしたくなる」(のは何故?)、第六章の「勝たせたくないから投票する」(2016年の米大統領選、トランプvsヒラリークリントン、について)等々、興味深い記述がありました。反面、何かにつけ「悪意」「意地悪」をこじつけて繋げている箇所が気になりましたが全体として面白く読むことが出来ました。

 

この本を読んでしばらくした時の日経・春秋の記事です。1月17日付け。

東日本大震災の行方不明者の遺骨や所持品が、岸辺に漂着していないか。今も警察や海上保安庁が人知れず、地道な捜索活動を継続していることをご存じだろうか。おそらく世界に類例のない公務であろう。なぜ、そこまでするのか。一昨年の秋、捜索現場を取材した。

福島県富岡町の海岸で警察官が整列し、沖に向かって黙とうをささげていた。消波ブロックの隙間を熊手でかき出す作業を繰り返す。警官のなかに、大阪府警から志願して来た30代の男性がいた。聞けば、1995年の阪神大震災兵庫県の母親の実家が半壊したという。「被災地で貢献したかった」と志を語ってくれた。

▼「被災地のリレー」という言葉がある。助けてもらった恩を、別の被災地で返す。見ず知らずの人々への返礼を求めない贈与である。阪神大震災の被災者は2004年の新潟県中越地震の際、炊き出しなどに尽力した。中越地震の被災者は東日本大震災仮設住宅に救援物資を届けた。新たな社会を築く希望かもしれない。

▼ボランティアはかえって迷惑だ。義援金を送ればいい。近年、こんな空気が広がっていないか。確かに宿泊や食事のあてもなく現地入りするのは迷惑だ。ただ、行政の指示で動員される存在ではないはずだ。阪神大震災からきょうで29年。能登半島地震の現場でも、民間の善意と知恵を生かす共助のあり方が問われている。』

 

「被災地のリレー」っていい言葉ですねえ。「見ず知らずの人々への返礼を求めない贈与」、日本人の特性なんでしょうか。「自分にコストが掛かってでも利他を行おうとする行為」=「善意」。「悪意の科学」の真逆の話です。大切にしていきたいモノだと思いました。

今年の米大統領選。「悪意の科学」ではありませんが「悪意が政治を動かす」ことになりませんように。

 

 

NHK俳句です。一月第二週。選者は山田佳乃さん、ゲストは映画監督の安藤桃子さん。今週の兼題は「寒造」。「寒中に酒を造ること、また、作られた酒のこと。古来寒中の水は身体によいと・・・」(テキストの解説から)。テキストに載っていた句です。

 

   もと歌につづくくだかけ寒造   西山泊雲   (”もと”は舟編に「元」、酒母のこと。酒作りの仕事の運びは「唄」によっていた。「くだかけ」はニワトリの古い名前で、朝早く鳴くニワトリの声を言っている(テキスト解説)。

   寒造震災耐へし太柱   井上芙美子   

この震災は阪神・淡路大震災の由(テキスト解説)。

 

番組でも紹介された句です。

   寒造酒を神とも我が子とも   上野一考

 

特選句で印象に残った句です。

   大枡に能登の塩乗せ寒造

   東北に玉風来たり寒造

「玉風」は日本海沿岸、北西からの季節風。地域特有の言葉で季語にもなっているとか(地貌(ちぼう)季語とも言われるそうです)。大枡の句(投句の締め切りは昨年11月です)、早く能登が安寧を取り戻しますように。

 

特選三句です。

一席   静の杜氏動の蔵人寒造

二席   銀色の闇へ目をやる寒造

三席   角張って角張って呑む寒造

 

 

18日(木曜日)、今年初めてドラゴン先生と会食。「龍」年の山歩きの年間計画をしようと。予約したお店に約束の時間の5分前ぐらいに到着した時、ドラゴン先生から携帯に電話が入ってきました。”ムッ、これはきっと遅れることの連絡であろう”と思いましたが然にあらず。「ウナルさんがタマタマ打ち合わせで事務所に来ている」と。ウナルさんはかつての僕の後輩。勿論モアザンウエルカムなので(怖い顔をした)お店のご主人に頼んで席を作ってもらいました(人気のお店でこの日もほぼ満席、予約した時もカウンター席二人分しか空いていなかった)。やや嫌そうな怖い顔をしたご主人に対しても丁寧にお願いして席を作って頂くことが出来るようになりました。年の功ですかね。

 

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かつての「ウナル後輩」が登場するブログです。懐かしいです。

 

ドラゴン先生とも本年初めて、ウナルさんとは何年振りになるのか、当然に話は大変に盛り上がりあっという間に時間が過ぎました。現役パリパリのウナルさんドラゴン先生と打ち合わせのあと東京に移動する予定をしていたので、時間を惜しんでの会食となりました。早めに店を出てウナルさんは名古屋駅に。ご苦労様です。

コロナ以降、夜の会食に「二次会」という言葉は死語になっていると思いますが、ウナルさんを見送って、さあどうするか。こんな時にトンデモナイことを言い出すのがドラゴン先生です。普段は「糖質制限」等々を声高に唱えているお方ですが「〆の料理を食べなかった。すぐ近くによく知っている旨いラーメン屋があるが、どうする」。女性にデザート・ケーキ、ドラゴン先生にラーメン。どちらも別腹ということでしょうか。確かにお気に入りの店はすぐ近くにありました。

お互いにラーメンを頼み、二人でビールを一本だけ頼み、元々の主題である「山歩き」の話で盛り上がりました。よくおしゃべりして気持ち良く帰路に。食べ過ぎですが、飲み過ぎでは無い。しっかりした足取りで隠れ家に到着しました。

ここで大事件発生。カギが無い!。酔って朦朧としている状態ではなく、ポケット、バッグを二回ほど探しましたがやはり無い。幸いに予備の鍵は秘密の場所に置いてあったのでそれを取り出して部屋の中に入りましたが、カギが無い、ということに納得がいかず。着替えをしてからもう一度、衣服のポケット、バッグの中身をチェック。やはり無い。どこで無くしたのか?。

冷静に(自分では)記憶をたどりました。カギは携帯(電話)と同じポケットにしまっていた。最初のお店でドラゴン先生と電話した後に携帯は席に置いたままにしていた。お店を出る時にドラゴン先生から「携帯を忘れているぞ」と注意されて驚いて受け取った。ポケットにしまった。その時点では間違いなくカギはポケットにあった(はず)。二軒目のラーメン屋さんで携帯を取り出した(何かを検索した)。その時の携帯の出し入れの際に誤ってカギを落としたのでは。

我ながらの名推理に元気が出て来て、急いでラーメン屋さんに電話を入れました。事情を話すと極めて丁寧な対応。ちょうど閉店後のお掃除が終わったところだが残念ながら落とし物は何も見つかっていないと。万事休す。

 

最近は忘れ物は多々あるのです。傘を忘れたり、持っていくべきものを忘れて外出してしまったり、先方に渡すために持って行ったものを渡すのを忘れてそのまま持ち帰ったり、全く、マンガのような忘れものが多くなっています。でも、落とし物をしたことは無かった。夜、ベッドに入っても依然として釈然とせず、極めて寝つきの悪い一夜となりました(といっても良く寝ていたと思いますが)。

翌日、諦めの悪い性格かと自分でも驚きましたが、再度、カバンと衣類を総点検。当たり前ですが、やはり、無いモノは無い。お昼ごろ、お店が営業開始する時間を待って、もう一度ラーメン屋さんに電話、一軒目のお店にも電話。有難いことに両方ともに親切な対応をしてくれましたが、やはり落とし物は無しであったと。”もはやこれまで、諦めよう”と自分に言い聞かせました。

 

翌々日、今日(20日、土曜日)のことですが、気持ちを切り替えて、陶芸クラブ、水墨画クラブ、その後、長男宅での食事会に。夕方、長男のマンションに行く時まで携帯をチェックすることも無かったのですが、気づくとラーメン屋さんから昼頃に電話が入っている!。もしかしたら!。お店の夜の開店時間を待って電話しました。ビンゴ!。

なんと店内ではなく店の前の通りにあるそのお店の看板の台の上に鍵が置かれてあったそうです。誰が置いてくれたものやら。また、お店の方に僕の電話を伝えていた訳では無かったのですが、先方の電話にはこちらの電話番号が自動的に記録されていて(これは飲食店では良くありそう)、結果的には僕が当日の夜と翌日の昼に二回電話を入れていたのが幸いして、鍵を見つけた時に(二回電話を入れてきた)この人であろうと推測して僕に電話してきてくれた様です。奇跡としか言いようがありません。

 

新京・伏見店。御園座の東側の筋を入った直ぐの処です。ラーメンはドラゴン先生のお墨付き、勿論、旨い。ツマミにはゲソカラ(ゲソのから揚げ)が名物。僕のカギはこの看板の台の上に置かれていたとか。僕の推理は全く外れで、どうしてお店の外で落としてしまったのは全く分かりませんが、お店の方の丁寧・親切な対応、カギを台の上に載せてくれた方の「善意」に感謝、感謝です。

 

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昔のブログで同じく「鍵」を描いた記事がありました。これも懐かしいです。

 

 

おまけです。水墨画「竹」です。

  

昨年からの宿題、「新年を寿ぐ」がテーマでした。僕は水墨画の基本教材とされている四君子「竹」「蘭」「梅」「菊」の「竹」を練習していたので「竹」を見てもらいました。仲間、先輩が暖かく講評してくれました。嬉しい限りです。