クルルのおじさん 料理を楽しむ

京都トレイル、東山コース・完結編

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京都、大岩神社の大鳥居です。堂本印象画伯が奉納したもの。京都一周トレイル、東山コースのFルート「伏見・深草ルート」上にあります。通常の鳥居とは異なり、女神、兎、鳥、毘沙門、地蔵等々が彫り込まれている堂本画伯の作品です。この大鳥居はトレイルルート上にありますが、大岩神社本殿の横には同じく堂本画伯作の小鳥居がある由(こちらには立ち寄りませんでした)。この神社はかつては心の病、結核等の難病治癒に霊験あらたかとのことで多くの参拝者で賑わったそうですが、近年は信者も減り神社庁に「廃神社届」が出されているそうです(京都山岳連盟トレイル委の資料より)。

 

 

6月12日、土曜日、予定通り東山コース/Fルートを踏破しました。伏見桃山駅から伏見稲荷駅へ、東山コースの完結編です。今回のルートは今まで歩いた中では一番高低差が少ないコースです。ピークが大岩山展望所で標高が166m、ルートの全長は約10㎞です。

収まりを見せ始めているとは言え緊急事態下ですから終了後の反省会は外でやることは考え難い状況でありました。コースのイメージ(=それほどの難コースではなさそうだ!)と反省会をドラゴン先生のマンションで”家のみ”とすることを決めて、そこから逆算して出発時間を決めました。

 

僕は朝、名古屋の隠れ家から出発。”京都市内の移動はバスが便利である”というのが漸く実感できるほどバスにも慣れて使い勝っても良くなってきました。集合時間ちょうどにドラゴン先生のマンションに到着。今回のもう一つのテーマ・関心は、ドラゴン先生のマンションです。今年の年明けから全面改修工事を開始して4月に工事終了、一部、手直し等々も済んで全面完成した状態になっているとのことでした。ご家族以外では僕がお泊り客の第一号(多分)。

ドアを開けて中に入るともうこれは全く別な部屋に入ったような。ドラゴン先生の次女さんが企画・立案してお友達の建築家に頼んで設計してもらったそうですが、いやはや、かつてのボロマンション(失礼)が一流ホテルのスイートのように生まれ変わっていました。先生もゆったりとくつろげる居間・書斎スペースに甚く満足している様子。そりゃそうであろうと思います。僕の部屋(僕がいつも使わせて頂いている部屋)もスッキリとしています。クローゼットから新品の寝具を出して直ぐに寝ることが出来る準備を整えてから出発しました。

 

 

三条京阪駅までウォーミングアップを兼ねてゆっくりと歩き京阪電車伏見桃山駅まで。1時半ごろからトレイルスタートです。今までのルートと同様、今回のルートも京都の名所旧跡巡りです(特に前半がそうです)。Fルート起点の標識を過ぎると直ぐに「御香宮神社(ごこうのみやじんじゃ)」の石灯篭と入口石段に”ぶつかり”ます。幅の広い歩道なのですが、その歩道を神社の灯篭と石段が完全に塞いでいる。通行する人は石灯篭の後ろを回り登って石の階段を通り越すか、はたまた、車道に出るしかない。幸いに車の往来はそれほど多くなかったので車道を選びました。道路を整備・拡幅する時に、由緒ある御香宮の門を後退させる訳にはいかなかったのであろうとのことです。

 

いつもはドラゴン先生が携帯の道案内ソフトを駆使して山のなかでも詳細な登山ルートを検索出来ていたのですが、何故か今回はそのソフトが起動せず。僕が持参していたFルートマップを使ってのトレイルとなりました。起点F-1からF-35までが表示されていますから、まあ何とかなるだろうと。

”低い山でも登山は舐めたらアカン”と、いつも頭には入っているのですが、なかなかその通り出来ないモノです。もともと京都トレイルの標識は小さくて見落としがちになることは承知していましたが、今回もいきなり道に迷いました。乃木神社から桓武天皇陵に向かうべきところをそのまま通り越して大変な大回り、明治天皇陵を経由することになってしまいました。案内資料には「明治天皇陵から京都南部の展望は素晴らしい。(眼下に見下ろす)正面参道の230段の石段は圧巻である」と記載されています。本来のコースを行くとなだらかな道を辿って天皇陵に至るはずのものが、大回りした挙句になんとこの230段の石段の真下に出てしまいました。

この石段はトレーニング場所として有名だそうです。ちょうど筋肉モリモリの学生さんとおぼしき二人組がランニングシャツ・ショートパンツの完全トレーニングスタイルでこの階段を駆け上がろうとしていました。”途中休まないで一気に頂上まで駆け上るのかしら?”、年寄りおじさん二人組は一歩づつゆっくりと足を運びました。途中には10か所の踊り場が設けられていますので、その都度、休憩をいれながら。半分くらい来たところで件の二人組が下りて来ました。彼らも下りは歩いています。目があって挨拶、苦笑いです。”お互いにアホなことしてるなあ”という表情が出ていましたので気さくな会話が弾みました。「この階段を10回!往復する」そうです。近くで見れば見るほど下半身の筋肉が凄いのですが、立ち止まって話をしていると両足の膝、太ももが小刻みに震動しています。痙攣状態。「これが快感ですわ」と筋肉二人組。おじさん二人組は感心するやら驚くやら”ようやってるなあ”と呆れておりました。なんとか頂上まで到着。なだらかなノンビリコースのはずが、この石段のお陰で一気に体力を消耗。時間も大幅に超過。まだ全体の二割ほどしか歩いていません。

 

気を取り直して出発、桓武天皇陵を通り越し伏見桃山城をチラッと見てドンドンと先に進みました。今日のピークの大岩山展望所に到着。遥か大阪の高層ビル群、あべのハルカスがぼんやりと望めます。晴れていれば淡路島まで見えるとのことでしたが、この日は曇り空で残念ながら分かりませんでした。この後は下りになります。冒頭の写真の大岩神社を経由して旧大岩街道に。古くは深草少将が山科の小野小町のもとに夜な夜な通ったとされる街道です。このルートはFコースとは別途に「深草トレイル」と呼ばれています。昔の人は歩くのが早かったのでしょうね。

 

いったん下山して名神高速道路を横切り、再度、稲荷山方面に登り途中から稲荷奥社へのルートをたどれば踏破完了、と先が見えてきたのですが、名神を横切る辺りで再度、標識を見失いました。市街地をうろうろ、下手をすると線路沿いに伏見稲荷の駅に出てしまいそうになる。”これではトレイルにならない、単に道路歩きになってしまいそう”です。とにかく山の方に向かい畑仕事をしているおじさんに道を聞きつつ辛抱強く足を進めました。どこにいるのか分からない状態が続きましたが、ふと気が付くと、見つけ難いはずのFコースの標識が目に入ってきました。”普段の行いはそれほど悪くはなかったか”。今回はルート取りは知らないうちに僕の担当になっていましたので一安心しました。普段、いかに先生(の道案内ソフト)に頼り切っていたか。やはりマニュアルを大切にして事前の準備をしておくことの大事なことを痛感しました。漸く本来のルートに戻り、勝手知ったる稲荷奥社に到着することが出来ました。予想以上に苦戦はしたものの無事に伏見稲荷駅に到着。これで東山コースを全て踏破しました。心配したほどの大幅な遅れにはなっていませんでした。

 

 

マンションへの帰路、街で人気の和菓子屋さんでドラゴン先生が今月の季節菓子「水無月」を買い求めました。相変わらず糖質制限に拘りながらも季節の和菓子は外せないという矛盾に満ちた楽しい性格です。更にマンションの近くの食材・総菜屋さんでおつまみを仕入れました。僕はこの辺りで体力消耗してバテバテの状態。買い物は先生に任せて休息、漸くマンションに辿り着きました。先生から”先に風呂でもシャワーでも”という温かい言葉に素直に従いシャワーを浴びさせてもらいました。スッキリ爽やか、食事の段取りを完了していた先生に”どうぞ、どうぞ”と勧めたものの”もうすっかり汗も引いたからまずはビールで乾杯しましょう”と。いやあ、シャワーを先に浴びて一刻も早く飲みたい僕にとっては最高に有難い話。感謝、感謝です。

今回も冷えたビールのなんと美味しいこと。大きな冷蔵庫の棚一段には全てビールが冷やされていました。ゆっくりと時間をかけて満足出来るまで反省会を堪能。先生が先に切り上げお風呂に向かいました。ジャグジーがついているそうです。僕は最後まで一人で反省会を続けて(飲み続けて)おりました。お陰様でその夜はぐっすりと気持ち良く眠ることが出来ました。

 

 

翌日曜日。前夜に相談して「お昼はゆっくりとカレーを食べてから解散しよう」と決めていました。軽く朝食のあと(朝食はドラゴン先生がキャベツとトマトのサラダを準備、更に、マンションの隣にあるコンビニで総菜パンを手当てしてくれました。またまた感謝ですね)、先生はマンションの管理組合の総会に。僕はのんびりと読書。先生が目を通している「京都本」を読んでいました。

一時間ちょっとしてからドアが開いてドラゴン先生の明るい元気な声「xxさん(僕のこと)、お客さんですよお」。”お客さん?、なんのこっちゃ?”。続いて張りのあるもっと元気そうな女性の声「うわあぁっ、すごいキレイやわ。エエわねえ。同じマンションとは思えへんわぁ」京都弁まる出し(京都だから当たり前か)。管理組合で委員をされている女性お二人がご来場。お一人は存じている方でした。

 

4月のブログ再開の記事のときに、立命館大学での「長島愛生園」展示会の事を記載しましたが、この企画の実質的な運営の責任者がこの方(以降、T女史にします)。展示会を見学した際に、入口で世話係をされていて旧知のドラゴン先生が足を運んでくれたことを喜んでいらっしゃいました。僕もその時に簡単に挨拶させていただきました。

”そっか、同じマンションの住民であった”。僕が部屋に居ることもあり、わざわざ、お二人を連れてきたそうです。お二人はもっぱらリノベーション完了後のマンションがどんな風になっているのかに大変なご興味。女性お二人の逞しさで隅から隅まで観察して良く出来ていることに驚愕し、絶賛していました。

ドラゴン先生が名ホストぶりを発揮、美味しいドリップコーヒーを上手に入れ、更には取って置きのお菓子も出してきました。女性陣の喜びよう!。管理組合のこと、長島愛生園のこと、秋の長島ツアーのこと等々を話しているとあっという間に時間が過ぎました。長島愛生園での出来事を風化させないように毎年長島ツアーが続けられているのですが、最終9月のツアーにドラゴン先生が二人分申し込んでくれていて、同じ日にT女史も参加されるということでした。また、楽しみに一つ増えました。

 

(4月の記事を埋め込んでおきます) 

kururupapa.hatenadiary.jp

 

女性陣が帰ったあと、ちょっとだけ部屋の整理をして退去準備を完了。お昼近くになっていましたので、いざ、待望のカレーライスを食べに出発。京都大学病院の東側道路の反対側にあるカレー屋さんです。小さなカウンターだけのお店。コロナ対策を徹底しているので一度に入るのは半分に抑えて。食事中以外はマスクを着用、食事中は会話をしない=黙食を徹底。入る時には席の準備が整うまで10分程度待たされました。待っている間に女将さんが表に出て来て注意事項を丁寧にかつきっぱりと説明します。

ドラゴン先生はカツカレーを辛口で、ご飯は少な目、サラダ付きを注文。僕も同じく、但し、ご飯は普通盛り。この店のご飯はサフランライスです。これも名物です。一番奥の席に座りました。目の前が厨房ですが、透明のアクリルで隔てられています。辛さが旨い!。食べ始めて直ぐに思い出しましたが、”そうだ、この店のご飯の量はけっこう多かった”。無言のうちにカレーの美味しさを堪能。最後はかなりお腹がいっぱい状態でしたが完食。勘定を済ませて外に出る時、大将と女将さんがお二人揃って「お待たせしてすみませんでした、対策に協力して頂いてありがとうございました、また、いらっしゃってください」と丁寧に挨拶してくれました。気持ちの良い対応です。ドラゴン先生は先代の大将(今の大将のお父さん)の時から通っているお客です。”サフランライスの味、カレーの味・辛さ、共に変化していない”と喜んでいました。

京都トレイル、次回はいよいよ「北山ルート」に挑戦することになるかもしれません。鍛えておかねば・・・。

 

 

ちょっと長くなりますが、6月のNHK俳句、第二週、第三週のまとめです。僕の備忘録です。

 

NHK俳句、6月第二週。司会は岸本葉子さん。選者は鴇田智哉さん。ゲストにアーティストの井上涼さん。Eテレ「びじゅチェーン」の作詞・作曲・歌唱・アニメ映像を手掛けている方。全く存じておりませんでした。涼さんの作品の「睡蓮ノート」が放映されていましたが確かにインパクトのある方です。テーマは「句のひとみ」で今月は「目」を主題にしたお話でしたが今回はイマイチ興味を持てませんでした。今月の兼題は「蛾」です。特選三句です。

 

一席   蛾の止まる電信柱むずかゆい

二席   太陽の大きなハンコ夏来る   (これは自由題です)

三席   壁の蛾の間近に壁を見て居りぬ

 

涼さんの「睡蓮ノート」が印象に残りました。それから西東三鬼の「目」の句、

 

     右の眼に大河左の眼に騎兵   西東三鬼

 

を涼さんがイメージしたイラストが面白かったです。

 

 

第三週は司会が中田喜子さん、選者は岸本尚毅さん。ゲストは加賀翔さん、この方も存じていませんでしたが、お笑いコント「かが屋」の方とか。有吉さんの影響を受けて写真と俳句を楽しんでいる方です。

 

今月のテーマは引き続き「俳句と寓意」。戦争など重たいテーマを詠うときに寓意は効果的であるとのお話でした。

 

   死は易く生は蝿にぞ悩みける   森鴎外

 

鴎外、日露戦争の陣中での句とか。寓意の例として適切なのかよく理解出来ませんでした。次の句はテキストに紹介されていたモノです。「冷戦」の時代の作品だそうです。

 

   ピーマンの青き拳や核戦争   田川飛旅子

 

俳句は多様であると。テキストには「ときには観念的な理屈っぽい句に挑戦されてはいかがですか!」との岸本教官のコメントが面白いと思いました。今月の兼題は「蝿」、特選三句です。

 

一席   蝿打ちて蜘蛛宥したる夕餉前  (中七;くもゆるしたる)

二席   芍薬の硬き蕾に月の蝿

三席   影を追う照明器具の中の蝿

 

ゲストの加賀さんの句、自由律の句です。

 

    洗い終えたまな板に蝿   加賀翔

 

岸本教官が添削して五七五に変換していました。

 

    洗い終へてそのまな板に来る蝿   岸本教官・添削

 

加賀さんが得意げに自由律俳句を説明していたのはやや興醒めでしたが、この句の場合は添削しない方がよいだろうなあと思いました。

 

駄句です。

    

   六月や伏見桃山曇り空   孔瑠々

   六月の二百三十段に膝笑ひ   孔瑠々

   六月やサフランライスカツカレー   孔瑠々

 

 

おまけの料理です。

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左;焼きカレー。卵がキレイに焼けなかった。味はまあまあ合格でした。また、やってみようと思います。2021年6月14日、料理と撮影。

右;最近よくやる料理です。あさりとキャベツ炒め煮。美味しいです。2021年6月16日、料理と撮影。

 

紫陽花の株分け、剪定、挿し木をしました。 

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仲間から戴いた紫陽花が終わったので、剪定をして挿し木をしました。一鉢に四株植えられていたのでそれぞれを四鉢に分けました。頂戴した鉢は昨年のこの時期に挿し木をしたものだったと聞きました。一年であんなに見事な“隅田の花火”が咲いてくれたら嬉しいですね。上手く育ってくれるかなあ。2021年6月21日、作業と撮影。