クルルのおじさん 料理を楽しむ

読書日記・「縄文」のお話⇒クルルの起源!

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名古屋市千種区平和公園の入り口の脇に咲いています。冬桜と思いきや寒梅であろうとのご指摘を頂きました。回りは雑木林でこの木が一本だけ花を着けています。良いもんですねえ。寒い日が続いていますが、ご自愛ください。2020年1月11日、撮影。

 

 

読書日記です。今回は「縄文」つながり。「縄文」二冊目の本を読んだときに驚きの発見をしました。クルルのおじさんの「クルル」の起源に迫る大発見になったかと。まだドキドキ、ワクワクしてます。

 

 

縄文時代縄文文化のことは『「和の食』全史』に書きました。この本の著者、永山久夫さんが指摘されていた「縄文グルメ」という言い方に引かれるものがあり(『「和の食』全史』のことを書いたブログを埋め込んでおきます)、この時代のことは機会があればまた読んでみたいと思っていました。本は例によって千種区図書館で借りました。

 

kururupapa.hatenadiary.jp

 

話が横道に逸れますが、もう一つ「縄文」の言葉が出てくるブログがありました。ついでに埋め込んでおきます。鯱城学園の授業で教えてもらったお話です。きっと縄文の人もサクラを楽しんでいたのでしょうね。”一年前は平和な時代であったなあ”と痛感します。ホンの一年前なのに随分と昔の思い出の様に感じます。早く、鯱城学園の授業を安心して受けることが出来るようになります様に。

 

kururupapa.hatenadiary.jp

 

今回、読んだ本です。

一冊目。『縄文の思想』。著者は瀬川拓郎さん、講談社現代新書、2017年11月第一刷。著者の瀬川さんは1958年の札幌生まれ。考古学、アイヌ研究をされている方。出版当時は旭川市博物館館長さんです。

 

復習を兼ねて、著者に従って時代区分を整理しておきます。

縄文文化は、1万5千年前から狩猟、漁撈、採集を中心に南は南西諸島(宮古八重山を除く)から北は北海道まで日本中全てをカバーしていた。その後、紀元前10世紀後半から前4世紀、前3世紀にかけて水稲耕作の文化である弥生期に移行(時代区分の年代が、執筆者により少しづつ差が生じているのは面白いことだと感じます。考古学というのは常に新しい発見により変化していくものなのでしょう)。

 

筆者がこの本で伝えようとしているのは「縄文は約2千年前に消え去った過去ではなく、日本の周縁で異なる相貌を見せながら、日本(日本人)の深層で息づいてきた。縄文伝統の狩猟・漁撈に特化することで弥生時代以降、農耕民との共存を実現してきた」ということ(だと思います)。

 

著者は「海民」という表現で、日本列島の海辺=周縁に生きた人々を辿っていきます。周縁の人々の弥生期以降の歴史を調べていくと、日本全国に亘りあちこちで継承されている神話・伝説に共通部分が多いそうです。また、アイヌ伝説と古事記、日本書記、風土記の古代海民の昔話の間にも共通部分が多いことに注目されています。

端折って纏めると、「これら物語では、海の神が山頂の女神のもとに往還する。舞台は海と山の二元的な世界であり、農耕が行われている平野を含んでいない。非農耕的な世界観が(弥生時代以降もずっと)存続していることを示すもの。山頂は別な世界であり、海辺の洞窟が入口で山頂が出口とする構造は「他界観」を表現している。これらの物語は他界往還譚である」。

 

弥生的生活は、稲作の普及⇒安定的な生活、富の蓄積⇒土地への執着、競合の発生⇒物質性豊かな社会、資本主義モノカルチャーへの時代、と捉える一方で、”縄文的”とは、強制・圧力への拒否、分配を通じた平等、他者や土地との緩やかなつながり、そして、競合を厭わしく思う、他者への攻撃を厭わしく思う気持ちがあったとの指摘です。著者の言いたい「縄文の思想」とは、「統制されるのを嫌う、これ以上持たなくとも良い、競う必要などない、いつでも離脱してゆけばよい」ということの様です。

 

「離脱するというのは、戦列を退いて敗者となることではない」という言葉が新鮮でありました。

 

著者が専門とされているのはアイヌ学ですが、著書「アイヌ学入門」では「同化と排他の『あわい』を生きたアイヌの姿」を描いたとのお話も記載されており、著者ならではの表現と感心しました。著者の言う縄文の思想は確かに「日本人の深層に息づいている」ように感じました。

 

 

次は大発見が出てくる二冊目です。

『「あきづしま大和の国」---甦る縄文の思想---』。著者は大谷幸市さん、彩流社、2008年2月初版。著者の大谷さんは1943年、名古屋生まれの方です。

 

いきなり「メビウスの帯」の話が出てきたのに驚きました。著者は縄文時代の土器、土偶に表されている模様に注目されており、所謂、縄文文様に「縄文の思想」を見出されています。「渦巻文」がその典型であり、二本の螺旋が合体して「しめ縄文様」が誕生していることをたくさんの出土品の模様を読み解いて解説しています。有名な「メビウスの帯」を例にとって、螺旋を捲いたしめ縄と同じ構造=「円環の連鎖」を紹介されていました。「メビウスの帯」を例に取られているのは、この構造のイメージが読者に分かりやすいであろうからとのことです。

 

縄文の土偶、土器にこれらの文様が描かれていることを、著者は「(縄文人は)その思想を形で表現している。合体する二者は同質でありながら異質であり、それが合体して新しい形を生み出すのは新しい生命の誕生を表すもの。円環の連鎖は永続性を表現しているものである」と読み解いています。

 

言葉で書くと”なんのこっちゃ”の世界でしょうから、この本の図表を抜粋して添付します。見難いかも知れませんが、イメージだけでも掴んでもらえれば。

 

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メビウスの帯」は、ご存知の通り、一本の帯を180°捻って輪っかにしたものですが、表裏の区別がつきません。なぞっていくと永遠につづく「円環の連鎖」です。著者は「縄文人がこの状態を知っていた。生と死を一つの回路に見出し、永続性を感じ、再生観を表した」と受け止めています。「(土器・土偶に見られる文様は)二つの概念の融合あるいは合体、すなわち、生命誕生の原理、再生観、死後の魂の永遠の再生を託したもの」と読み解いています。

 

更に、渦巻き、しめ縄文様を組み合わせにより、イロイロな新しい形を生み出されていることが紹介されています。そして、ついに「ハート」の形の登場です。

 

 

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 本の表題の「あきづしま」というのは大和に係る枕詞ですが「秋津洲」と書かれて、アキツ(アキズ)はトンボのことです。神武天皇が国を平定した時の言葉「蜻蛉のとなめの如くにあるかな」、蜻蛉=トンボが交尾している姿を平和、豊穣のシンボルとして詠んだものとか。写真の右上がそうですが見えにくいので、著者も引用されていたウイキペディアから写真を借りてきました。この本の写真と同じものです。

  

 (ウイキペディアから引用。「ハート形のイトトンボの交尾」)

 

著者は、縄文人が既に融合、平和、豊穣のシンボルとして、この形を受け止めていたと解釈しています。それを表現したのが次の写真。この本の表紙の写真でもありますが、ハート型土偶です。東京国立博物館所蔵。

 

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この辺りまで読み進むと僕の心臓はドキドキしてきました。大変なことに気付いてしまいました!。クルルのおじさんの「クルル」というのは、次の写真にある「クルルマーク」が原点です(伊藤忠製糖のHPから転載)。

 

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 中部地方中心にスーパー等々でお馴染みのマークだと自負しておりますが、最初に見た時には”けったいなマークやなあ”という印象しかありませんでした。ハートの形を基にしてデザインしたとか、クルルマーク誕生には諸説あるようなのですが、今回、自分なりにその起源が理解出来た様に感じました。

 

渦巻きはこの本の著者に言わせると神であったそうです。(大谷著「渦巻きは神であった」)。渦巻き=神が原点にあり、融合と合体を繰り返し、生命の誕生と永遠性を表す融和と共生のシンボルとなって、それがハート型土偶で表現されている。クルルマークは”「融和と共生」のシンボル”だったんですねえ。改めてこのマークを見ると縄文グルメ人が優しく現代の我々に微笑みかけているような面白味を感じております。

 

今回は”令和三年の大発見”で一人盛り上がっているクルルのおじさんでした。

 

それにしても、瀬川さん、大谷さん、アプローチの仕方はそれぞれですが、古代の思想にまで思いを馳せるとは凄いことですねえ。そして、本を読むというのはホントに楽しいことだなあ、と改めて感じました。

 

 

蛇足ですが、メビウスの帯。昔、興味を持って読んだ本がありました。本棚を探すと残っていました。『メビウスの帯』、著者はクリフォード・ピックオーバーさん。吉田三知世さん訳。日経BP社、2007年4月、第一刷。メビウスさん(1790年から1868年)はドイツの数学者で、19世紀にこの帯の概念を専門誌に発表して広く世に知られるようになったそうです。れっきとした「位相幾何学=トポロジー」という学問の一つの概念です。紀元前の時代の縄文の人々がこの帯の状態に気づいていたとする大谷さんの土偶・土器の文様の読み取り方に感心します。

メビウスの帯の面白さは大谷さんも紹介されています。帯の中心に線を引き、その線に沿ってはさみで切っていくとどうなるか、面白いですから是非やってみてください。さらに帯の1/3くらいのところを切っていくとどうなるか。更にさらに180°ではなく360°捻じった帯を同様に切っていくとどうなるか。欧米では隠し芸の仕掛けに使われていたそうです。

 

この本の表紙は典型的な「メビウスの帯」を表している面白い絵(図?)なので、添付しておきます。今回のブログは添付写真が多いですが、模様・図形の説明は言葉では難しいです。ご容赦くださいませ。

 

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  おまけの料理です。

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左;手羽元のオーブン焼き。酒・醤油・オリゴ糖(もちろん、クルルマークのオリゴ糖です)に一晩漬けこんでオーブンで。見た目は不細工ながら美味しく頂けました。柚子はもっとたくさん散らせばよかったです。

右;今までタジン鍋でやっていたのをバーミキュラ鍋でやってみました。野菜とソーセージの蒸し煮。美味しかったですが、これはやはりタジン鍋でやる方がよさそうです。1月12日、14日、料理と撮影。

 

緊急事態宣言のもと、外食、ゴルフは原則中止。会社にも慎重に出社。一方では、ウォーキングは継続しています。運動不足なのでチョット距離を伸ばすように。最近、家の中で出来るストレッチ体操をメニューに追加しました。pochinokotodamaさんのブログで拝見、教えて頂きました。ありがとうございます。あとは、のんびりと家の中で読書・ピアノ・料理を楽しんでおります。

  

ストレッチが紹介されている「pochinokotodamaさんのブログ」です。この2021/1/8付けに掲載されています。参考にさせて頂いてます。ありがとうございました。

pochinokotodamaのブログ