クルルのおじさん 料理を楽しむ

『China Syndorome』

 

久しぶりに千種区の図書館に行きました。留守宅でプランターに夏野菜を植えたので、チャンと実を付けてくれます様にと栽培のハウツー本を探しに。「コンテナで育てる野菜とハーブ」という格好のタイトルの本を見つけました。食べ物・料理・健康関連の書棚をプラプラしていましたら、掲題の本を見つけました。

 

 

『史上最悪のウイルス---そいつは、中国奥地から世界に広がる』上・下巻、文藝春秋社発行。著者は、カール・タロー・グリーンフェルドさん、1964年、神戸生まれの方です。お母さんが芥川賞作家(米谷ふみ子さん)、お父さんがアメリカ人でアカデミー賞にノミネートされた劇作家。原書タイトルは『China Syndorome』、2005年の春にニューヨークで出版。日本語版は2007年1月第一刷発行です。

 

 

SARS」騒ぎは、2002年の暮れから2003年にかけてのことでしたが、著者は、当時、香港に拠点を置く雑誌「タイム」アジア版の編集長で香港に赴任中であったそうです。2002年11月から2004年1月までの出来事を編集長・記者として丹念に追いかけたノンフィクションです。

本年の新型コロナ騒ぎの折に、かつてのパンデミックの事が何度も詳しく報道されていますが、「SARS」のことは ”大騒ぎしたのは覚えているが、ほとんど気が着かないうちにいつのまにか収束していた” 程度の印象しかありませんでした。

 

 

本を手に取ってパラパラと頁を捲った時には、”エッ、「SARS」騒ぎはそんな昔の出来事やったんや”と自分の記憶のエエ加減さに驚くと共に、”そういえば、この本のことを評価していた書評があったなあ”と微かに記憶が蘇ったりして、野菜栽培のハウツー本と一緒に借りてきました。首都圏で連日100人超の感染者が出ているし、自分では注意していると思っているモノの、ややコロナ騒ぎに馴れてきていて、緊張感が無くなりつつあると感じていた時でしたので、もっと最近のことと思っていた”昔”の「SARS」騒ぎを改めて今の状況下で読んでみようかと。

 

 

上下で500頁近い力作です。大変に面白かったです。「SARS」は、結果的には発生から8カ月ほどで収束。WHO調べでは、26か国・3地域(香港、マカオ、台湾を指しています)に広がり、感染者8,400人、死者876人ですから、今回の新型コロナ騒ぎとは比較になりません。が、今回の新型コロナ騒ぎに関連しそうな、背景?を改めて考えさせられるところが多々ありました。

 

 

本の構成は4部に分かれています。「SARS」対策で重要な役割を果たした香港大学のウイルス学者さん、この本の主人公の一人ですが、彼のウイルスに対する調査研究のスタンスに沿ったものです。第一部、それはなにか?、第二部、それはなにをするのか?、第三部、それはどこからくるのか?、第四部、それをどう殺すのか?。この切り口で構成されているので、このノンフィクションが高級の社会的サスペンス仕立てに出来上がっているように思いました。構成力と共に筆者の筆力が読み物としての面白さを倍増させていると思います。相変わらず日本語の邦訳タイトルは仰々しいと思いますが、これくらいのネイミングをしておかないと読者の注意を引かないのでしょうね。邦訳タイトルが「チャイナシンドローム」であれば僕も手に取っていなかったかも知れません。

 

 

最初の感染は、2002年の暮れに、すでに始まっていたそうです。香港を抱え込むようにしている中国最南部の省、広東省で感染が拡大していきます。時代背景が詳細に記載されています。イラク戦争が風雲急を告げる時期であったこと。

中国では経済成長が軌道に乗り、食料の不足を心配する暮らしから美味しい料理を楽しむ時代に差し掛かろうとしていた時代。広東料理は、所謂、ゲテモノ喰いで有名ですが、「野味の時代」と形容されています。美味しいもの、珍しいモノを求める人々が増えてきた。深圳の東門市場と言うのは、中国の野生動物市場の最大手の一つだそうです。生態学者に言わせると地球上には3千万種の動物がいるそうで、それぞれが一つ以上のウイルスの宿主となっている。当時、4千種のウイルスが既に知られており、そのうち150種は動物からヒトに感染するそうです。まだ、知られていないウイルスが無限に近い位いるんですねえ。

野生動物市場がウイルスにとっては新しい宿主を見つけ出す無尽蔵のホームのようなものだとの記述が大変に説得力を持っています。「SARSコロナウイルス塩基配列RNAリボ核酸ウイルスであることが後日発見されていきますが、このウイルスは、増加するのが早く、かつ、突然変異が多い=新しい繁殖のための宿主を見つけ出す。このウイルスのホームが、世界でも有数の(決して衛生状況が良いとは言えない)過密都市のど真ん中にあったことが、SARSウイルスが発現した原因のようです。

 

 

感染は、広東省から香港に広がり、さらに、北米、ベトナムシンガポールに拡大して行きますが、この過程での最大の問題点は、中国政府・共産党・官僚の隠蔽体質。広東省では奇病流行の噂が広がり、香港では最先端の医療機関、医師・研究者が原因究明に乗り出しているにも関わらず、中国当局=衛生局は情報出し渋りを続けます。更には、「この病気はそれほど心配する恐れはない!」と嘘の説明まで。現場で対応に当たった多数の医師・医療関係者が感染し重篤な状態に陥ったのは、情報共有が全く出来ていなかったからと指摘されています。

 

 

訳者の方が、訳者あとがきで纏めていますが、「(SARSの)生みの親が、高度成長で産業化された野味産業・野味文化、野生動物市場だとすると、育ての親は、中国共産党官僚機構の情報管理体制=抜きがたい隠蔽体質である」と。

 

 

SARSの症状も詳細に記載されています。本から抜粋しますと「高熱とからせき---呼吸が乱れ、血中酸素濃度が低下、胸部Ⅹ線写真には白い影(ホワイトアウト)が映る。生命を維持するのに必要な最低限の酸素を維持できず、意識混濁、死に至る」と。生々しい詳細な記載が随所に出てきます。現在のコロナの重篤化した症状と同じ。怖いです。

 

 

2003年3月15日は、中国・全国人民代表会議(所謂、全人代)で、この年は、国家主席江沢民から胡錦涛に変わる政権移譲の年度でした。政府・共産党にとっては最大行事で、ひたすら中国が安泰であることを世界にアピールする機会です。パンデミックに繋がるかも知れない感染症が蔓延しているなどと死んでも言えない。3月には北京でも感染拡大していたそうですが政府機関からは一切公表されなかった、いや、感染者がいることも否定されていたそうです。

 

WHOは、現在では、中国寄りだとトランプ大統領から攻撃されていますが、当時は、中国当局に原因究明、情報公開を厳しく迫っていたことが生々しく記載されています。SARSの名称も、それまで「非典型肺炎」と訳の分からない略称が使われていたものを、WHO本部(ジュネーブ)の医師がこの感染の怖さを世界に認識させるために、Severe(重症) Acute(急性) Respiratory(呼吸器) Syndorome(症候群)の頭文字をとって「SARS」と名付けた由。

ただし、特定の国、地域に紐つかない名称に配慮したはずの「SARS」ですが、結果的には、Special Administrative Region の頭文字「SAR」と同一になってしまっていた。「SAR」とは特別行政区=香港のことです。

 

 

2003年4月には感染者2000人超、死者240人超となっていたそうですが、中国国内で、一人の医師が内部告発に立ち上がり、それがきっかけとなり、タイム誌を初め海外メデイアが報道。内部告発の真贋を見極めるための取材活動ぶりが生き生きと描写されています。中国の新体制は旧勢力との権力闘争の一つとして、大々的に国家を挙げてのSARS撲滅キャンペーンを行うことを決定し、今回も見られたような独裁体制の国家でなければ出来ないようなやり方・手段で強引に抑え込んだそうです。

 

前後して、4月には、カナダのブリティッシュコロンビア大で、「SARSコロナウイルスが特定されます。従来のコロナウイルス科のウイルスは軽い風邪程度の流行感染病と認識されていたものが、動物に感染してやっかいな突然変異を起こしたモノらしいと。

 

また、前述の香港大学のウイルス学者さんの活躍で、ヒトへの感染は「ハクビシン」の体内のウイルスによるものということが解明され、中国では野生動物の販売が禁止されることに繋がったと。ここまでで、「それはなにか」「それはなにをするのか」「それはどこからきたのか」が明らかにされたのですが、最後の「それをどう殺すのか」にたどり着く前に、このウイルスの季節的な特性からなのか、7月以降には一般市民の新規感染者は出なくなったそうです。

 

「ウイルスを制圧したのに成功したと言えるのか?」「このウイルスが感染力を初めから欠いていただけなのか?」「季節の変化が影響したのか?」この本のなかでも明らかではなさそうです。SFサスペンス風に言えば、ウイルスが回りの様子を見て、チョットわが身を潜めたと考えられるのかも知れませんね(僕の妄想です、念のため)。

 

 

現在の状況に繋がっているかも知れないと思ったことです。

「SAR」収束後、中国政府は、2003年8月には野生動物の販売禁止令を解除しました。その後の中国経済の急成長もあり、益々、珍しいものを食べたい人々は増加しているそうです。また、この頃=2003年7月ごろから香港を対象にした「反政府活動法案」の動きが出ており、香港ではそれに反対する抗議活動が激しくなってきたことが記載されています。本年6月30日に、香港への「国家安全法」が成立・施行されましたが、その最初の動きがこのころのことだったようです。

そして、「SARS」収束後、中国は、透明性を欠いたスタンスを変えることなく(中国では、疫病の集団感染情報は国家機密に属する、という考えとか)、WHOとは”協調姿勢を明確して対応する方針””に転換していった由です。今回の新型コロナ騒ぎでの中国の初期対応、および、それに対するWHOの評価に対して、トランプ大統領は強い非難をしていますが、中国側は「SARS」騒ぎの時から、この時の来るのを見越してWHOとの協調姿勢を構築していたようにも感じ取れました。

 

 

 7月8日の日経夕刊では、とうとうアメリカがWHO脱会を正式に国連に通告したことが報じられています。また、驚いたことに同日の記事では、ブラジルのボルソナロ大統領が新型コロナウイルス検査で陽性反応が出たことも報じられていました。彼は65歳。陽性反応が出た後も「コロナはただの風邪」と公言続け、コロナ対策を実質的には何も行わず経済活動を維持するとの主張を継続しているようです。中国の有り様は別にして、西側の影響力の大きな国家の指導者も大変に個性が強い方々が増えたようで、今回のコロナ危機で世界の混迷はますます深まることになりそうですね。

 

 

首都圏では、東京では6日連続で100人超の新規感染者となるなど、埼玉、千葉、神奈川での増加も懸念されています。政府は、”感染が増えているのは、重篤化しない若者に新規感染が多いから”であり、また、”医療設備に対応余力・能力があること” を主な理由に緊急事態の宣言は検討していないとか。経済の再生を図りたい(財政の限界もあるでしょうから)ということでしょうが、若者の感染が増加して、それが、感染したら重篤化する可能性の高い年寄りに広がっていくことに対しての懸念・対応策等々はぜんぜん聞こえてこない。

4月に緊急事態を宣言した時の、"ほっておくと級数的に感染が拡大する" と言う説明は何だったんでしょうね。対応が一貫していなくとも、その時々に真摯な説明をするのが行政の責任だと強く感じてしまいますねえ。説明になっていない!、相変わらずイライラが募ります。

 

「若者は感染しても重篤化しないから大丈夫です」「年寄りは自分で責任もって感染しない様にしてください」というのが政府・行政の見解のように聞こえます。早くワクチン開発が進むことを祈りたいです。または、「SARS」の時と同じように、ウイルスが自ら身を隠してくれることを期待したくなりますねえ。

 

 

 

おまけです。 

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農園に水遣り当番で行きました。前々日、前日が雨だったので、収穫に精を出しました。久しぶりの青空の下、ナス、ピーマン、シシトウを収穫しました。2020年7月2日、撮影。

 

   つかのまの梅雨の晴れ間に茄子たわわ   孔瑠々

 

茄子は季語(晩夏)だそうで、季語のダブりがダメなんでしょうね。どう詠めばよいのかまだ分かっておりません。トホホ。「NHK俳句」は別途また記載したいと思ってます。

 

 

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右、久しぶりに夏野菜カレー。かつて師匠から”太陽の恵み”とネーミングしてもらいました。味に切れがなかった、やや残念。ナス、カボチャ、ピーマン、しし唐、トマトを大量に。頂いた名古屋コーチンを使って。カレー粉とルーを両方使いました。2020年7月7日、料理と撮影。

左、留守宅でのプランター。隠れ家から育て方を云々する以前に、既に、キュウリが実っていました。ナント早いこと。これ以降の処理・対応で、一苗からどれだけのキュウリが収穫出来るかの差が出るはずなのですが??。2020年7月7日、カミさん撮影。

6月のNHK俳句、その2.

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東山動植物園、合歓の木に花が咲いていました。熱帯植物のような感じがしました。動植物園は再開されていますが”密”を防ぐため入場者数を制限しています。小雪ちゃんが名古屋に遊びに来てくれました。小雪ちゃんパパ(僕の長男)が頑張って事前に全員の予約をしてくれ、半日かけて動物を見て回りました。コユちゃん(小雪ちゃんは自分のことをこう呼びます)は上野動物園には何回も行ったことがあるそうです。東山ではコアラを楽しみに。2020年6月20日、撮影。

 

 

NHK俳句、6月第二週、第三週のまとめです。例によって僕の備忘録として記載しています。お付き合い頂ければ嬉しいです。両放送とも、5月分と6月分の二回分の入選句をまとめて発表していますので、駆け足での講評です。次回からは平常の進行に戻ることが出来るのでしょう。番組制作・出演の皆さん、ご苦労様です。

 

 

6月第二週。選者の対馬康子さん、司会・パートナーの武井壮さんのお二人はリモート出演です。スタジオにはアナウンサーの方が一人居て、モニターに映されているお二人をつないでの進行役をされていました。

 

 

5月の兼題は「夏落葉」。夏落葉という季語は、恥ずかしながら、あまりピンときていませんでした。テキストの対馬さんの解説です。「一年中、緑の葉を保つ木(常盤木=トキワギ、と言うのですねえ)も、夏にかけて新葉が出るころに古い葉を落としてひそかに新旧交代をしている」。同じ初夏でも「若葉」とか「新緑」というと新鮮、みずみずしい様子ですが、それとは対照的に常盤木落葉、夏落葉というと、「陰と陽が合わさった独特の感性を研ぎ澄まして見出された季語」とのことです。

 

 

特選三句です。

 

三席   クリップで挟めぬ夜明け夏落葉

 

二席   夏落葉輪廻といふは惜しみなく

 

一席   夏落葉ばさりと月の欠けており

 

使いこなすのが難しい季語のように思いました。テキストを見ていたら、対馬康子さんが、この季語の解説のなかで第三週の選者の西村和子さんの句を取られていました。

 

     夏落葉男の齢首すぢに   西村和子   (齢=よわい)

 

対馬さんの評です。「ネクタイを締め、精悍に頑張っている男性。会話をしているその男性の首筋の動きに若々しく見えてもふと老いの始まりを見た、女性ならではの目線」と。男性としてはドキッとするような景色ですかね。確かにこの季語の風情が活かされているように思いました。

 

 

続いて、6月の兼題は「蛇」。対馬さんの好み?趣味?流儀?なのか何やらおどろおどろしい、気持ち良いとは言えない季語を兼題にされているような(僕は個人的に、気持ち悪いから、蛇は好きではないですね)感じがしてしまいました。

 

特選三句です。

 

三席   樹の灰の樹のおもかげを蛇滑る

 

二席   山河行く金剛力の蛇なりし

 

一席   蛇とほる身重の白きワンピース

 

これも難しい季語のように感じました。特選には選ばれませんでしたが、僕が(かろうじて)面白いなと思った句です。武井さんも取っていました。

 

     真夜中のピアノに棲みし蛇起こす

 

テキストに掲載されていた選者の一句です。

 

     蛇打たれ笑い崩るる如く死す   康子

 

余りにもリアル過ぎて気持ち悪くなりそうに感じました。対馬康子さんのテキストの解説を抜粋しておきます。

 

「俳句の作り方には大きく分けて、いわゆる取り合わせの句と一物仕立ての句がある。一物仕立ての句は、季語のことだけを詠んでいくスタイル。取り合わせの句は、季語部分と非季語部分の二つのものがぶつかり合うことで、連想の妙を呼び出す方法。”蛇”というどちらかというと孤独を思わせるものが配合により変わってゆきます」とのことです。理屈はなるほど!と分かるようにも思うのですが、このワザを使いこなすにはまだまだ時間が掛かりそうに感じます。

 

 

 

6月第三週です。選者は西村和子さん、司会は岸本葉子さん、ゲストに滝村雅晴さん。この回から、スタジオでお三方揃っての収録になりました。やはりモニター出演ではなく同じ場所に全員そろってお話される方が、見ていて(聴いていて)も楽ですね。まだ席の間隔を空けているようにも思いましたが、少しは”平常”に近づいてきました。

 

 

5月の兼題は「蚕豆(ソラマメ)」。

ゲストの滝村さんは「パパ料理研究家」。家族のためにパパが作る(作れる)料理を提唱されているとか。西村さんの息子さんとも交流があるそうです。選者の一句です。

 

      蚕豆は莢ごと焼かむ甘からむ   西村和子

 

西村さんは蚕豆を食べる時には、長い間ずーと、莢を剥いて塩ゆでして食べていたそうです。ある日、息子さんとバーベキューをした時、そのまま焼いて食べるとワタまで甘いということを発見して感激したそうです。その時のことを詠んだ句。そして、その食べ方を息子さんに教えてくれたのがゲストの滝村さんであった由。いい話、いい句ですね。特選三句です。

 

三席   蚕豆の莢の内なる綿甘し    (綿=わた、甘し=うまし)

 

二席   蚕豆やふくよかなりし母の指

 

一席   はじき豆土佐の女はよく笑う

 

特選には選ばれなかったですが、面白いと思った句です。

 

     蚕豆が好きで馴染みになりにけり

 

     蚕豆や教授の皿に皮のなく

 

やはり、食べ物をお題にした句は楽しいかと。

 

 

6月の兼題は「さくらんぼ」。食べ物が続きます。選者の方の個性が出ているのか、ディレクターさんの注文が入っているのか並べて比較してみると面白いものですね。コロナ巣籠りの影響もあり、投稿が大変に多かったそうです。分かるような気がします。特選三句です。

 

三席   さくらんぼ採りたし四十肩痛し

 

二席   桜桃の記憶は父の肩車   

     (桜桃(おうとう)=さくらの一種・さくらの果実=サクランボのこと)

 

一席   色づいてきてさくらんぼ騒ぎ出す

 

同じく特選外ですが面白いと思った句です。

 

     無頼派の集う酒場のさくらん

 

     さくらんぼ硝子の青に冷やされて

 

ゲストの滝村さんは「俳句に興味を持ちました。西村先生について教えて頂ければ」とエールを送っていましたが、西村さんから「料理が好きな方は俳句もお上手ですよ」といわれて満更でもない様子でした。僕も「料理は好きなんやけどなあ」と思いましたが、「料理がお上手な方は」の間違いだったかもしれません。

 

 

パパ料理研究家の滝村さんが紹介された旬の一品。お題は「トウモロコシ」。

『皮付きのトウモロコシをそのままの状態でレンジに(ラップをしないで)。3分半で美味しく頂ける』と。誰でも出来る超簡単な料理(W数は特に説明無しでした)。

 

司会の岸本さんが「皮付きのままだと剥いだ時にあのモジャモジャが!」と楽しそうにはしゃいでいました。岸本葉子さんは、日経新聞の夕刊「人生後半はじめまして」の欄にエッセイを定期寄稿されています。この数回は、コロナ関連の話題ばかり。「こんなときこそ」とか「「断捨離タイム」とか「快適な巣籠り生活」とか。自然体の語り口のなかにハッとするようなフレーズが出てきます。ご本人も「俳句大好き人間」と言い切っていますが、俳句で身に着いたモノを捉える力のなせるところかと楽しく拝読しております。

 

 

 

6月17日に名古屋の隠れ家に「特別定額給付金」の案内が届きました。必要な添付書類のコピーを近くのコンビニまで取りに行きましたが、同じような趣の方が2-3人いらっしゃったように思います。翌日に申請書を投函。

 

たまたまですが、今日(6月26日)の日経朝刊の三面記事に「名古屋市民『支給遅すぎる』、10万円給付率4.7%」の見出し記事が掲載されていました。大きな自治体でも早いところは早い。札幌市約99%、神戸市83.4%と高い給付率です。逆に、横浜市が約17%、大阪市は3.1%。名古屋は大阪と並び随分と遅いのですねえ。

 

同記事。飲食店でアルバイトをしている学生(19歳)さんのお話。「10万円で助かると思ったが、給付よりも(アルバイトの)シフトの方が先に元に戻った」とあきれ顔とか。シャレにならないですねえ。河村市長は22日に作業の遅れを謝罪、現在、人海戦術で対応しているそうです。6月中に申請書を返送された給付が終わるのは7月中になる見込みとか。行政のIT化の遅れが丸見えになってしまいましたが、個人番号カードとか何だったんでしょうねえ。大変な手間と税金が費やされていると思いますが。ヤリッパナシで無駄にされたままなんでしょうねえ。相変わらずイライラが募ります。

 

 

文藝春秋の7月号は引き続きコロナ特集「コロナ後の世界」。このなかで柳田邦男さんが「リスク分析先進国・ドイツ---日本と何が違うのか?、コロナ対策再検証・この国の『危機管理』を問う」と題して12頁に亘る寄稿をしています。ドイツとの対比の中で、「検査も診察も無い『自宅待機』への疑問=なぜこのようなゆがんだ限定的な体制を、国はコロナ対策の柱の一つにしたのか!?。今月号は前編で、来月号で詳細が検証されるのではと楽しみにしています。次の段階への対応を少しでもスムーズに進められるように、何かにつけて、きっちりと検証をしておきたいですよね。

 

 

 

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東山動植物園。 観客数を制限しているので、ゆっくり、近くで見ることが出来ました。

イケメンゴリラで有名な「シャバーニ君」。ガラス越しですが、手が届くような距離で見ることが出来ました。コユちゃん(小雪ちゃんは自分のことをこう呼びます)が泣き出すかと心配しましたが、パパにしがみつきながらも興味深そうに見ていました。シャバーニ君はホントにイケメンです。映画俳優の風情、貫禄があります。

ゾウさんのところでは餌付けをしているところを見ることが出来ました。キリンさんも屋外に出てきてゆったりと散歩していました。

この動物園には「ふれあい広場」があります。ヤギさん、ヒツジさんに触れあいながら餌をやったり、モルモット等々の小動物を膝に抱いて撫でることが出来るように工夫された一角です。残念ながら、閉鎖されておりました。また、次回の楽しみに。

 

 

     父の日の甚平を着てブログかな   孔瑠々

 

 

おまけです。

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神奈川の自宅のベランダと庭をいじくってもらいました。スペースがちょっとできたので野菜を植えました。大型のプランターに園芸・野菜用の土、肥料を入れて、近くのホームセンターで苗を買ってきました。向かって右から、きゅうり、青紫蘇、ゴーヤ、とうがらし、ゴーヤ、イタリアンパセリ。鯱城学園・園芸科の学習の成果が出てくれるかどうか。育つかな?。6月14日、撮影。

 

鯱城学園は一学期は完全に休校継続です。二学期以降どうなるかを検討中とのこと。来年4月からの意向調査(アンケート)が届きました。もう一度二年生を続けたいか、このまま卒業するか、というもの。仲間と話したら、ほとんどの方が”もう一年やりたい!”とのことでした。僕もそう返信しました。園芸科は、農園・作物があるので、植え付け・水遣り・収穫等々で集まる機会もありますが、他の学科・クラブは完全にお休みの様です。もちろん、一年間のお付き合いのお陰でゴルフをしたり少人数で会食をしたりの集まりはありますから二年生はまだマシだと思いますが、今年の4月入学の一年生は全く自宅待機のまま(のはず)。年寄りの大学だから”已む無し”ですが、ホントの一年生、小さい子供達の教育(遊び)環境は心配ですね。日本の政府の危機対応力は頼りにならないことが分かってしまいましたから、自分達で、現場現場で工夫してやっていくしかないと思います。親御さん、現場の先生方は益々大変かと思いますが、頑張って下さいませ。医療の現場、教育の現場、社会のインフラに従事されている皆さま方、引き続き、くれぐれもご自愛のほど。

 

 

6月のNHK俳句と「新タマ」料理

 

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 左:留守宅でも沖永良部のユリが満開です。今、庭に手を入れているので撮る角度が難しかったようですがアップで上手くとれました。カミさん撮影。右:”新しい”ピアノの先生宅での鉢植えです。鉢植えでもキレイに咲いてくれました。ブログでこのユリを見た方から”欲しい!”と言う声を頂いてます。以前の会社の方にお願いしていますが、また分けて貰えればホントに嬉しいですねえ。2020年6月、撮影。

 

 

 

6月2日に「アベマスク」が郵便受けに入れられていました。マスクは、2月の初めには、まだ、繁華街のドラッグストアの店頭で販売されているのを見ることが出来ていました。中国の方と思しき方々が我先に買いあさっていた。ノンビリしている人間(僕のこと)はボケーと見ておりましたが、その後、コロナ騒ぎが本格化してくるとあっという間に店頭から無くなりました。名古屋の隠れ家にはほとんで在庫が無かったので大切に使用しておりました。その後、顧問をしている会社で取引先さんから社員用に供給してもらえることになり社内販売をしてくれました。自家製のマスクの活用が盛んになったり、4月後半から5月に入ると街中でも「マスク有ります」の看板を散見するようになりました。民間の知恵と工夫の方がスムーズに機能しているということでしょうか。アベマスクは日本政府の対応スピードを象徴するものになってしまったかも知れません。封に入れたまま当分は飾ったおこうと思っています。

 

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10万円の案内は残念ながら、まだ、来ておらず。主要都市部では時間が掛かっているそうですから、已む無しと思っています。日経新聞が6月9日から「検証コロナ・危うい統治」というシリーズを掲載し始めています。日本政府の対応がもたつきていることを厳しく指摘しています。本日(6月11日)までの三回を読む限りでは、もっぱら官僚制度の不備=組織防衛優先、既得権、縦割り・つぎはぎ行政、の指摘が中心になっているような。この10数年、もっと前からかな、時の政府は政治・官邸主導を得意げに吹聴していた訳ですから「検証コロナ」という観点からは、もっと政治そのもの、政府と官僚制度の両方に焦点をあてて記載してほしいなあと感じております。

 

 

 

コロナ騒動をちょっと頭から追い払い、NHK俳句、6月の第一週です。引き続き、リモート収録ではありますが、選者=小澤實さん、パートナー=戸田菜穂さん、ゲスト=生駒大祐さんをテレビ会議方式で繋いで、アナウンサーの方が進行役での放送となりました。

 

 

今回も、駆け足で二か月分を紹介、5月の兼題は「素足」。例によって特選三句を紹介します。

 

三席   素足すき杉下駄が好き銭湯も

 

戸田さんの評価が秀逸でした。「この女性の後ろ姿が見えるようです」。

 

二席   ネクタイを緩め素足を砂浜へ

 

「仕事から遊びへ、その瞬間を切り取った」。小澤さんの評に納得。自分も経験があるように思う瞬間です。

 

一席   素足たのしむペディキュアは海の色

 

これを一席に取った小澤さんにも感心しましたが、また、戸田さんのコメントが振るっていました。「女性は足の指のオシャレには自分の本当の姿がでるもの。その女性が目に浮かぶようです」と。

 

特選には選ばれませんでしたが、僕が良いなあと思った句です。お二人の会話のなかでも評価が高かったように感じました。総じてレベルが高いということでしょうか。   

 

   二階より素足の少女駆け下り来

 

   雲を見て素足をのせる文机

 

   素足のパンプス喫茶ともしびB定食

 

最後の句の戸田さんの感想がまた面白かったです。「向田邦子さんを思い出します。リズム、そして、言葉が面白い」と。それにしても、この句は7・7・5ですが、形式に拘ることなく、良い句を取ってくれる選者小澤さんの懐の深さも人気がある所以なんでしょうね。

 

 

続いて、6月の兼題「夏」。二ヵ月分を一回でこなそうとしていますから、駆け足での押せ押せの時間配分です。特選三句を紹介します。

 

 

三席   渋滞と焼きそばソース浜の夏

 

二席   冷凍保存の受精卵にも夏が来る

 

一席   びしょ濡れがうれしい夏の子どもかな

 

今回も、何やら観念的な二席の句を取りつつ、すごーい素直な句を一席にしている選者・小澤さんの選句に感心、面白さを堪能しました。これ以外にも、面白いなあと思った句です。

 

  シミーズは母の普段着夏来る(註;母の字は、女編に”比”でした)

 

  隈笹の葉のはきはきと夏来る

 

「シミーズは」の句は、皆さんから"如何にも昭和の句である、昭和の映画のシーン、郷愁を感じる”とのコメントが寄せられていました。同感です。「夏」、普通の言葉ですが、俳句の季語として使う時には大変に広がり奥行きを表すことが出来るもんだと。改めて、俳句の「季語」の面白さをチョット理解出来たような気になりました。

 

 

今回のゲストは、生駒大祐さん。1987年生れの方。小澤さんが紹介した句は、

 

   夏の木の感情空に漂えり   生駒大祐

 

小澤さんの評は「ここにアニミズム的な自然観を感じ取りました」。また、大祐さんの句には所謂「本歌取り」の句が多いことを指摘。「芭蕉は晩年、『かるみ』をめざした」そうです。日常のことばを大切に句作し、それ以来、本歌取りという「踏跡(とうせき)の技法」が多用されることはなかった。「大祐は先行の詩歌を愛し交響することで『かるみ』中心の俳句史への抵抗を行っているのかも知れません」という高い評価をされていました。これも小澤さんの懐が深いことがなせる評価なのかと面白かったです。

 

 

テキストの5月号を見ると、ゲストは女性の俳人の方でした。この方は、コロナ騒動のためにTVに出演する機会を逸したことになります。夏の甲子園が中止されたことが象徴しているように、この騒ぎで人生が変わってしまう方々も多数いらっしゃるだろうと思います。悔しいでしょうね。ホントに残念な気がしています。めげずに頑張って欲しいものです(言葉で書くと陳腐で情けなくなりますが)。

 

 

 

おまけ、新タマ料理自慢です。

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 師匠の作品、三品。 左;ローストビーフで新タマを巻いて、好みの味で。中;新タマ、厚めの輪切りをゴマ油で焼いて、豚ミンチ、破竹、ピーマンの牡蠣油炒めのっけ。左;同じく新タマ厚切りに紫蘇キムチのっけ。

 

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左;仲間の作品。右奥が話題の「トロ玉」。左奥、冷奴に青じそ+新タマのっけ。手前;水菜、パプリカと。バジル、青じそのっけ。

右;居酒屋クルル。左が話題の「トロ玉」。右奥、冷奴にタマネギ酢のっけ。手前は、新タマとツナ・コーン。

 

話題の「トロ玉」の作り方を紹介します。師匠の自慢作です。

●皮を剥く、芯を取る。バターを芯のところに入れ、醤油をたらりと。耐熱容器に入れてラップ。700Wのレンジで6分。新タマがトロトロになります。

簡単!、早い、旨い!。是非、お試しください。

 

解除・再開 ⇒『凌ぐ!』を続ける

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今年も永良部のユリが満開です。これは名古屋でお世話になっている方のお庭。数年前に球根を差し上げたら何シーズンも続けてキレイに咲かせて頂いています。嬉しいですねえ。2020年6月1日、撮影。

 

 

 

 5月25日、緊急事態宣言が全面解除されました。4月7日に 7都府県を対象に宣言が発令されて以来、ほぼ、一か月半ぶり。4月16日には、緊急事態宣言の対象が全国47都道府県に拡大され、13都道府県は「特定警戒都道府県」に指定されていました。約一か月後の5月14日に 39県で宣言解除、5月21日には関西3府県で解除され、25日に残りの首都圏、北海道の 5都道県で解除となりました。

 

但し、世界全体ではコロナの勢いに衰えは見えておらず。5月25日のWHO(世界保健機関)の会見では「感染拡大の第一波の真っただ中」との警鐘が鳴らされています。南米など新興国で患者が急増しているほか、規制を緩和し始めた先進国に第二波が到来するリスクがくすぶっているとの見方です(5月27日、日経)。

 

 

5月12日のブログで、日本の政府の対策に対する僕の印象として「イライラが減らない、ストレスを感じる」と記載してしまいました。

kururupapa.hatenadiary.jp

 

今日の日経記事に僕の感じていることをキチンと整理して纏めてくれている記事を見つけましたので、全文コピーを貼り付けておきます。日経電子版には数日前に掲載されていたのですが、紙面に掲載されたのは本日(6月1日)でした。

 

 

・・・以下、日経記事です。

コロナ 免れた感染爆発 日本の対策「勝因」見えず 

合理性欠いた自粛要請

 

緊急事態宣言がほぼひと月半ぶりに解除された。当初恐れられていた感染爆発を免れ、日本の流行はいったん収まりつつある。にもかかわらず、モヤモヤしている人も多いだろう。果たして日本の新型コロナ対策はうまくいったのか。

 

 

 
 ウイルス学者や感染症の医師といった感染症対策のプロが集う「コロナ専門家有志の会」のメンバーの一人が5月中旬、緊急事態宣言の一部解除を前に発した言葉が印象的だった。「感染者は確実に減ってきた。ウイルスを封じ込めているようだ。しかし、いったい何がこんなに効いたのか。よくわからない」
 

パンデミック(世界的大流行)の第1ラウンドでは各国の医療体制や対策の巧拙が感染者数や死亡者数を左右した。情報テクノロジーをうまく使いこなした台湾や、徹底した検査と追跡、隔離で感染を抑え込んだ韓国、官学一体で合理性ある戦略にこだわったドイツなど、「台湾モデル」「韓国モデル」「ドイツモデル」として他国は手本にしようとする。

 

日本は感染者数や死亡者数といった結果だけみるとこうした国々となんら遜色がない。しかし、「日本モデル」という称賛の言葉は聞こえてこない。対策はデータを重んじる合理性や一貫性を欠き、「自粛要請」という矛盾した言葉を国民の行動に強いてきたからだ。まねしようにもまねできるものでない。

外出制限の前提になった「8割」自粛。本来は人と人との接触を減らす数値目標だった。しかし、緊急事態宣言下でいつの間にか主要ターミナル駅や繁華街といった都市部への人出(人の流れ)の削減にすり替わった。人出が減るのと、人と人との接触が減るのとはイコールではない。そもそも接触機会の削減をどう定量的に示すかも定まった手法はない。

緊急事態宣言が始まった4月8日以降、各都道府県では一体、何割の接触削減が達成できたのか。それによって感染者や死亡者の動向にどう影響したか。今後、きちんとした検証が待たれる。

 

PCR検査不足に対する説明が不十分な点も社会に不安や不信をかき立てた。厚生労働省の医系技官が中心になって、検査の絞り込みを決めたとされる。疫学調査を優先し医療崩壊を防ぐのが目的なら、過少検査でも問題がないとする根拠を丁寧に説明すべきだった。

 

発足当初から政府内での位置づけが不明確だった専門家会議の迷走も、対策への信頼を損なう要因になった。同会議はあくまで医学的な見地から政府に助言を行う組織で政策の決定者ではない。にもかかわらず時に大いなる存在感を示した。

極め付きは専門家会議が5月4日に公表した「新しい生活様式」だ。買い物では通販を積極的に利用し、食事の際は対面ではなく横並びに座る。生活の場面ごとにきめ細かく示した実践例は、医学的助言とはほど遠いものだった。責任をとりたくない政治や行政が、専門家という権威を巧みに利用したともいえる。

 

日本大学の福田充教授(危機管理学)は「(新型コロナのような)感染症対策では情報を収集、分析、調査し適切にわかりやすく伝える能力が国に問われる。何かが隠されていると思わせるのは、リスクコミュニケーションとしては大失敗」と指摘する。

秋以降、北半球では流行の大きな第2波がくると予想される。政府は第1波で感染者と死亡者数が比較的少なくすんだ「勝因」をきちんと分析し明らかにする必要がある。再び、むやみに「8割減」を求められても国民はついていかない。

編集委員 矢野寿彦)

 

・・・6月1日付け、日経新聞です。良い記事だと思うのですが、何故か11面の余り目立たない場所に載せられています。この編集委員の矢野さんには「クルルのおじさん」賞を差し上げたいと思っています(気持ちだけです、念のため)。

 

 

 

6月に入り都内の学校が約三カ月ぶりの再開と報じられています。新くん(長女の息子です)の保育園の入園式も遅れていましたが、本日、無事に行われたとのことです。元気いっぱいの新くんは式の後、「もっと、みんなと一緒に遊びたい!」と号泣していたとか。遊べないのは辛いですよねえ。五月の最終週末辺りから繁華街・商店街での人通りも増えてきている様子。東京都の休業要請緩和も第二段階に移行した由。僕はこの日経記事の通り”モヤモヤした気分”が続いたままですが、巷で言われている「命を守り、生活を守る」ための覚悟の上での再開だと認識しています。ワクチンが開発されるか山中さんのおっしゃるファクターⅩが解明されるか、根本的な解決策が確立するまでは、個々人が今まで通り(以上)の基本動作の徹底を続けることが必要なんでしょうね。

 

 

 

このブログで政治的なことを記載するのは本意では無いのですが、アメリカでは大統領の(いつもながらの)不適切・不謹慎な言動からデモが暴徒化したり、中国では香港への統制強化のための国家安全法を採択したり(ドサクサに紛れてという意味ではどこかの国と同じですが。どこかの国では茶番以下の展開になって情けない限りですねえ。これもストレスが増す大きな原因の一つですね)。将来、ハラリさんのような歴史学者さんが2020年のことを記載する時には”呆れて筆が折れてしまうのでは”と恥ずかしくなりそうです。

 

 

 

楽しい話題!。NHK俳句です。新年度の新しい放送がスタートしました。五月最終週は、新年度の番組 、楽しみにしていた櫂未知子さんが登場。この番組は他の週の構成とは異なり、俳句初心者から勉強中の芸能人・俳優・アイドルの方々四人が生徒さんとなり、一年に亘って櫂先生に俳句の指導を受けるというモノ。タイトルは「俳句さく咲く」”俳句ゼロからの出発”となっています。まだスタジオに集合しての撮影ではなく”リモート収録”と言われる各所離れた場所からのテレビ会議方式の収録です。

 

 

櫂さんは俳句の世界では”厳しい指導”で有名とか。ご本人もご自分のことを”ハイ、厳しいです”、”口が悪いです”とハッキリとおっしゃっていました。歯切れが良さそう。5月のテーマは「季語って何?」。厳しい指導ぶりでしたが、ポイントを着いているように感じました。改めて認識出来ましたが、俳句の季節は「春」「夏」「秋」「冬」の四季と「新年」を併せて五つある。一句に季語は一つだけしか入れない。何故なら、季語を二つ入れると視点が動いてしまうから。今回の放送では、テキスト4月号と5月号の投句を纏めて紹介、かなり忙しい時間構成でありました。櫂さんが選んだ特選と櫂さんの句を記載しておきます。

 

四月の兼題は「つぼ焼き」、特選(=この番組では「さく咲く俳句大賞」というらしい)は、

 

  壺焼きに天より落つる醤油かな

 

五月の兼題は「鰹」、特選は、

 

  甲板は蘇芳に暮れて初鰹

 

テキストに載っていた櫂さんの句は、

 

  壺焼きや数えて淡き舟ばかり  未知子

 

  閃光をわがものとして鰹かな  未知子

 

4月のテキストで興味深かったところ。櫂さんは「心をこめる、季節の移り変わりを大切にする」という精神論めいたことよりも、まず、「音数を数える」=定型詩としての俳句を徹底することが先決と言い切っています。ご本人は「中七女」と自称するくらい真ん中の七音に拘っているとか。カミ、シモが6音になることは有り得ることながら、中が八音になってしまう場合、名句が生まれた例はほとんどない、との指摘。

 

5月号のテキストでは「季語」について。いわく「他の文芸が頼りに出来るものを一切持たない中で、俳句は『歳時記』に載っている『季語』という強い見方を持っている」、「歳時記は『あなたはけっして一人ではない』と教えてくれる」、「まずは『歳時記』を楽しむ、そこから出発しましょう」、「あれこれ悩まず、『あ、これも季語』と感動することが、俳句の出発点」とのことでした。確かに、「季語」って知っていそうであまり知りませんねえ。勉強しよっ!(と思います)。

 

 

 

明るい話題!。鯱城学園はまだ休校が続いていますが、園芸科では畑作業があります。と言っても、緊急事態の時には各自で行動を自粛していましたから、ほぼ2か月ぶりのことですが(この間は、先生たちが畑の管理を続けてくれていました)、連絡網で、水やり登板・タマネギの収穫の案内がありました。

 

久しぶりに朝、農園に。前日、雨が降っていたので水遣りは不要、タマネギの収穫は初めての経験ですので、うまく出来るのかやや不安ではありましたが、到着したら、優しい班長さんと先生が待っていてくれました。班長さんに手伝ってもらって(というよりほぼ全部、班長さんがやってくれた)あっという間に収穫完了。僕が植え付けしたタマネギは発芽の状態が良くなかったので心配していたのですが、それでも結構な量を収穫することが出来ました。先生たちが収穫したタマネギまでおまけに頂いて、リュックは満杯、かつ、手さげ袋もいっぱい。50-60個は、あったと思います。持ち帰るのが大変でしたが、マンションで小分けにして、お世話になっている方にお裾分け、久しぶりに近所のお店で一杯やりました。少しづつ日常が回復しつつあるように感じます。

 

 

 

  夏めきてカドの居酒屋笑い声  孔瑠々

 

 

 おまけです。

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収穫したタマネギで「タマネギ酢」を作りました。米酢、はちみつを投入。当分は、タマネギ三昧の生活になりそうです。新タマネギは、サラダで食べると美味しいですが、うまく乾燥させると半年から一年は保存できる状態になるそうです。いわゆる普通のタマネギに。乾燥させる時には、タマネギどうしをくっつけない様にと。「密着」はダメのようです。野菜乾燥用のネットのなかに笊を敷いて間を空けて並べ日陰に吊るして乾燥しています。うまくいくかな?。2020年6月1日、撮影。

 

 

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巣籠り生活で「料理」の機会が増えました。TV等でもその種の番組が増えているように。全国あちこちで料理の腕前を上達させて方がたくさん生まれているのでは!、楽しく過ごせれば良いですねえ。チヂミ、そばめし、ニラレバ炒めです。2020年5月下旬に料理、撮影。

『凌ぐ!』2020年5月の日常、その2.

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リトルスノーの花。二年ぶりに咲きました。小雪ちゃんが生まれた年の「母の日」のお祝いに長男(小雪ちゃんのパパ)がカミさんに送ってくれたもの。その時の花が終わった後もカミさんが丁寧に世話していました。咲くとは思っていなかった。エライ!。2020年5月15日、カミさんが撮影。

 

 

文藝春秋はたまに買って読んでいる雑誌です。「芥川賞」の発表の時には全文掲載されますからほぼ間違いなく買って読んでいます。それ以外の時でも面白そうな特集を組んでいる時には買います。6月号も、先月に続きもコロナ特集「総力特集、緊急事態を超えて」で山中さんと橋下さんの対談記事が掲載されていましたので買って読んでみました。 

 

 

お二人は以前から居酒屋で気楽にお酒を飲む間柄だそうです。もっぱら、橋下さんが酔って話するのを山中さんが聞き役になっている由。文藝春秋5月号の記事のことは、4月27日のブログに書いた通りです。

kururupapa.hatenadiary.jp

 

今月号では、山中さんのコメントが大変に興味深く感心して読みました。この記事の時点で、山中さんが気になっているのは「日本の感染拡大が欧米に比べて緩やか」なこと、そして(科学者の目からは)そこには「絶対に何か理由があるはず」と考えているとのことです。今は分からないこの理由を山中さんは「ファクターⅩ」と呼んでいて、認識を共有している研究者間で情報交換しその理由を解明しようとしているそうです。当初から、東アジア、日本で感染拡大が緩やかなことはイロイロな説(かなりのガセネタも含め)が流布していましたが、信頼に足る科学者の方が真面目に研究・解明しようとしていると聞くと何やら安心出来るように思います。頑張って是非とも解明して頂きたいものです。

 

 

もう一つエライと思うのは、橋下さんが「(政治家が)『家にいよう』というメッセージを発してそのまま平気でいることが出来るのは、犠牲となっている方々への共感力が低い」(この橋下さんのツッコミもいいコト言ってますよね。今回の件では、彼を見直しています)と発言しているのに対して、山中さんが冷静に「僕は、被害者は五種類いると思っている」と、大変に分かり易く整理して話をしていることでした。

 

山中さんが分類している被害者とは、①患者さん、②医療関係者の方々、③ずっと社会インフラを支えている職業の方々(警察官、バスの運転手、宅配業者、等々)、④自粛要請で今までの仕事・生活を犠牲にしている方々、⑤同じく、本来受ける治療・看護が受けられない方々(高齢者、等々)、教育の機会を奪われている子供達。「これらの方々をどうやったら守れるのかという話をもっと盛り上げていかないと」との指摘でした。

特に④、⑤については、どこまで政治・行政が関与すべきか難しいところがあると思いますが、なおざりにされる懸念が強いと思います。TVで垣間見る政府・行政の方々のお話は、どうもポイントが明瞭でない、と感じます。是非、論点を明確にしてアクションに移して欲しいものです。

 

 

さらに、山中さん、「この五種類のどれにも当てはまらない人は、自粛すると同時に、この五種類の困っている人のために何かできないかを考えて欲しい」と訴えていました。この対談の帰路、山中さんは「馴染みの居酒屋がテイクアウトをやり始めたので買って帰ろうと思っている」とのことです。チョットしたことでも今だからこそ「利他の気持ち」を大切にする必要がありますよね。今、この瞬間、自分が出来ることを一つでも、二つでも!、実際にアクションですね。 

 

 

名古屋市の宗次ホールさん。コンサートは軒並み中止、延期の状態が続いています。ホール自体も大変な経営環境に陥っていると思いますが、活動が出来なくなって苦境に立たされている演奏家さん達を支援する活動を開始されています。 

munetsuguhall.com

4月15日の演奏家応援企画第一弾です。過去に開催したコンサート、生演奏のDVDを返礼品にして演奏家さん達への支援を募集されているものです。若手演奏家さんがイロイロな場所で行ったライブ演奏が収録されています。こういうライブ演奏のDVDって珍しいかと。僕の知ってる演奏家の方は出てなかったですが、のんびりお酒飲みながらDVDを見る(いや、聴く!)のも乙なものです。皆さま、是非、応援してあげて下さいませ。

 

 

5月14日には、愛知県を含む39県で非常事態宣言が解除されました。同21日には、関西三県(大阪、京都、兵庫)も解除され、残るは、北海道、首都圏(東京、神奈川、千葉、埼玉)となりました。

 

  解除後もなぜか家飲み五月かな   孔瑠々

 

川柳みたいかな?、反省。ソロリと日常への回復が進みそうではありますが・・・。五月末から六月初めの景色はどうなっているでしょうか。

 

 

 

5月のNHK俳句ですが、前回、記載した通り、コロナ禍で収録が出来なくなり過去の再放送が続いています。

5月第一週は、昨年5月5日の再放送。

5月第二週は、昨年6月2日の再放送。

5月第三週は、昨年7月7日の再放送。

全て、選者は宇多喜代子さん、司会は小林聡美さん。NHKが宇多さん好みなのか、他の週の選者の方の番組は再放送が出来ない取り決めになっているのか、全く訳が分かりませんが、このままでは季節がドンドンずれていくばかり。宇多さん、聡美さんのお話は面白いので僕は楽しく見ておりますが、折角の再放送ですから、もう少し工夫すればよいのにと大変に残念に思います。勉強を兼ねて宇田さん特選三句を中心に記載します。

 

 

2019年5月5日、兼題は「八十八夜」 

 

一席  八十八夜納屋の扉に農事歴

 

二席  銀座にも八十八夜の雨が降る

 

三席  八十八夜一木一草声を出す

 

投句とは別に宇多さんの好きな句の紹介がありました。

 

    逢いにゆく八十八夜の雨の坂   藤田湘子

 

八十八夜は立春から88日目、5月2日か3日ごろ。雨になることが多い日だそうです。春の季語です。

 

 

2019年6月2日、兼題は「豆飯」

 

一席  豆飯や家族の顔が丸になる

 

二席  夕風ややはらかく盛る豆ごはん

 

三席  まめ光りめしつぶ光る豆御飯

 

特選には選ばれませんでしたが、僕が良いなと思った句。孫を思い出しました。

 

    幼子のあのねそいでね豆ごはん

 

選者の宇多さんの句。

 

    手に馴れた箸よ茶碗よ豆ごはん  宇多喜代子

 

食べ物の句は楽しいですね。

 

 

 

2019年7月7日、兼題は「団扇(うちわ)」

 

第一席  足元へ胸へ顔へと水うちわ

 

第二席  おぐたび海豚(いるか)の跳ねる団扇かな

 

第三席  団扇より蕪村の一句香りたつ

 

やはり季語俳句はその季節に味わうのがよろしいようで。

この年度の宇多さんのテーマは「昭和のくらし」です。毎回、昭和の香りがする道具が登場します。宇多さんがご自宅から持参されているものが多いようです。「ちゃぶ台」が出てきたり、「おひつ」を紹介したり、はたまた、電気が無い時代、ブロック氷で冷やして使う「冷蔵庫」の使い方を説明したり、僕たち世代にはなんとも懐かしい景色。昭和も遠くなりつつあるのでしょうね。

 

 

 

鯱城学園は、5月11日付けのお知らせ葉書では、6月以降も登校禁止、再開の時期は未定となっています。それでも園芸科では、先生と農園近くの有志の方が春播きの種まきをやってくれていて、水遣りだけは順番に各班のなかで日程を決めてやることになりました。生育中の玉ねぎの収穫も6月上旬には行うことになりそうです。

 

 

 

おまけです。

偶にはいつもの平和公園ウオーキングコースから離れ、近隣の歴史散策コースを開拓しようとしています。城山八幡宮、旧末盛城跡に行きました。織田信行の居城です。たまたまですが、前回のNHK大河ドラマ麒麟がくる」で、信行(TVでは信勝)が登場していました。信長暗殺を試みて失敗、逆に信行が打ち取られてしまいました(この出来事の舞台は、末盛城ではなく、信長の那古野城でのことです)。この番組もコロナの影響で撮影が中断されており、とうとう6月14日からは放送中止となるそうです。戦国歴史モノは面白いですね。地元が登場するのも楽しいものです。久しぶりに毎回見ているのにホントに残念なこと。

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名古屋市千種区にある末盛城跡。看板は「末森」表示ですが、案内には「末盛」が使用されています。近隣の住所も「末盛」です。城跡は、明治になってから城山八幡宮となり、近隣の複数の神社が合祀されたそうです。右は御神木の「連理木(れんりぼく)」、一度分かれた幹が再び連なって成長しています。名古屋市内では最大のアベマキ。

 

 

隣にある謎の洋館。 

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末盛城跡、城山八幡宮の社の西側にある何やら由緒のありそうな立派な建物。帰ってから調べたら、関東大震災のあとの昭和3年(928年)に建てられた「昭和塾堂」とのことでした。末盛城の二の丸辺りの場所。青年教育の場として建設された由。満州事変の直前の時期ですが、軍国主義、軍事教育とは一線を画した青年教育のための施設。建物の形は上から見ても横から見ても「人」の文字の形になっており「人づくり」を象徴するものであったと。戦後は、一時、市庁舎、県庁者としても利用されていたそうです。現在は立ち入り禁止になっています。

 

 

『凌ぐ!』、2020年5月の日常

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留守宅の庭のスズラン。カミさんが撮って送ってくれました。平兵衛酢の木にも花が着き始め、エラブのユリもそろそろ咲き始めそうとか。花が咲くころには新幹線乗車の禁止令が解除されるかな。2020年5月9日、撮影。 

 

 

   五月晴れ読書の時間がやたら増え  孔瑠々

 

 

隠れ家生活を続けています。散歩・ウオーキングは意識してほぼ毎日、継続しています。食品・日用品以外の買い物は自粛、近くの大きな本屋さんは閉店状態、図書館も休館となっています。隠れ家の本棚にはまだ読んでいない本が積んだまま状態でしたから、その中から数冊取り出して読んでみました。

 

 

白洲次郎さん関連の本が二冊。「白洲次郎 占領を背負った男」北康利さん著、第14回「山本七平賞」受賞作。2005年8月第一刷、2006年3月第13刷。この本は、むかーし次郎さんのかばん持ち(秘書?)をやったことがあるという方から戴いたもの。もちろん、その方も大の次郎さんフアン、いやいやフアン以上の白洲次郎信奉者でした。余り熱い方から薦められるとつい引けてしまって却って読む気が削がれるものです。長い間本棚で寝たままになっていました。もう一冊は「プリンシプルのない日本」白洲次郎著、平成18年(2006年)6月発行、平成23年(2011年)7月 28刷。これは次郎さんご自身が1951年から数年間、主に「文藝春秋」に寄稿したモノを纏めたもの。白洲正子さんの本を読みまくっていた時に、”ついでに”買ったものと思いますが、そのまま積んだままになっていました(スミマセン、次郎さん)。

 

 

それからシンガポールの初代の首相、リー・クアンユーさんの本。「One Man's view of the World」。2013年発行。これは、リーさんが晩年になって、世界をどう見ているか、どう感じているかをインタビューも交えて一冊に纏めたもの。出張時にシンガポール空港の書店で見つけて買ったものだと思います。僕がマレーシア・シンガポールに駐在していた時には、すでに、首相の地位はゴー・チョクトンさんに譲っていましたが、上級相として内閣に留まっていて、会社で言えば創業者・会長のような印象がありました。この本の出版の前の時点では、既に内閣閣僚からも引退していますが、まだまだ、影響は大であったように思います。

 

次郎さんと言い、リーさんと言い、強烈な個性で国家の危機に立ち向かい尽力した方です。今の時期、そういう”強い方”のことを読んでみようという気持ちになったのかも知れません。

 

 

連休中、政府が緊急事態を5月末まで延長することが報道されました。”まあ、已む無しの決定やろなあ”と理解しつつも、さすがに、自分でも自粛疲れの気配が出てきていると感じます。ちょっとしたことにイライラすることが多くなっているかも知れません。歓談しながらの飲み会なんぞ、既に、随分と昔のコトの様になってきております(物忘れが良い性格も相まってです)。お酒は一人で飲んでも美味しいのですが、やはり仲間と一緒に楽しく会話・議論・言い合いをしながら飲むのが一番ですよね。もっとも、医療を初めてとしてコロナ対応のそれぞれの現場で頑張っている方々が多数いらっしゃる訳ですから「自粛疲れ」なんてのはバチ当たりな言葉かと反省しています。

 

 

こんなことを考えている時、5月6日にドイツ政府が経済規制の大幅な緩和策を発表したと報じられました。メルケル首相が「少しは大胆になれたが、引き続き注意が必要」と(日経、5月7日、夕刊)。ドイツのメルケル首相、手腕が絶賛されているように感じます。評価が高い理由は、国家の危機に際して政府の基本方針を分かりやすく説明して、国民の理解と支持を得ていること。そして、感染を抑える施策を含めコロナへの対応策が論理一貫して具体的であること。

素人の僕がTV・新聞記事等で知る限りでも、”事実を隠すことなく正直に伝えようとしている、国民と危機意識を共有して対処していこうとしている”ことが感じられます。

ドイツ政府の感染を抑える基本の考えは二つ。一つは、感染者を早期に見つけるために大量の検査を実施すること、そして二つ目は、人と人との接触を最小限に抑える行動制限。とりわけ、検査は無症状や軽症の感染者が気づかないうちに高齢者を感染させてしまう事態を避ける防波堤という位置づけである由。また、検査で感染が判明しても重症でなければ医療システムへの負担も抑えられるという確信に基づいた考え方。

ドイツの行動制限の特徴は、外出そのものではなく、接触を減らすことに重点を置いていると。外出そのものには比較的寛容(散歩、運動は自由に出来るとか)であるが、3人以上で立ち話することは厳禁。

また、感心するのは、規制を緩和するための要件を分かりやすく納得出来るように説明していることだと思います。既に4月15日の記者会見の時点で「再生産数(一人の感染者が新たに何人を感染させるかを示す数値)」を使って小規模の商店に限っての営業を認める判断をしたこと説明しています。

 

 

翻って日本国。「日本、検査体制なお課題」、「緊急事態の解除へ明確な基準を求める」等々の指摘がTV・新聞でも連日、続いています。はたまた、PCR検査を受ける目安改定とかで「37.5度以上の条件を削除」するとか、相変わらず、基本施策の軸がブレているのではと不安になります。イライラします、ストレスを感じます。落ち着いている僕の血圧も上がってしまうのではと心配になります(まだ、安定してくれています。ご安心くださいませ)。

 

数字で見る限り、日本の感染者数、死者数の数字は、欧米諸国と比較しても、桁違いに数段優れたコントロールされている状態だと思われるのに。ナントも残念な、情けないことかと感じてしまいます。

 

5月11日の日経社説では「科学的な根拠に基づく政策決定を」と書かれてしまいました。「政治と科学の連携が重要。政策決定プロセスの透明化も欠かせない。現状はいずれも不十分だ」「専門家会議は非公開で---分析結果や見解の公表内容をめぐり、首相官邸からは頻繁に注文が付くという」とまで。どうも基本のところがしっかりしていないから不安感が拭えない。イライラが減らない。ストレスを感じる。もう少し、しっかりしたリーダーシップが欲しいなあと思ってしまいます。

 

 

  

白洲次郎さんのことは以前にも、このブログで書きました。

kururupapa.hatenadiary.jp

 

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次郎さんの生き様はTVドラマにもなったそうですから、ご存じの方も多いかと思いますが、ムチャ端折って説明しますと「家柄良し、大金持ちの息子」「英国ケンブリッジ大学留学」「語学力を含め留学で得た知力・経験を基に活躍」「吉田茂との出会い」「GHQマッカーサー時代のたくさんの逸話」「新憲法制定時の苦渋」「講和条約での活躍」「通産省の設立」そして「車とゴルフ」「奥さん・正子さんのこと」ということになるかと思います。

また、政・官・財界以外でも、小林秀雄川上徹太郎今日出海さん等々との幅広い交友がホントに面白い。「プリンシプルの無い日本」と本の題になっていますが「プリンシプル」という言葉に拘りを持っていたそうです。”原理原則。外すことが出来ない軸のようなもの”。正子さんの本の中にも「プリンシプルに忠実であった」「大ざっぱなくせに、外側の現象に惑わされず、ものの本質を見抜く才能に恵まれていた」との記載がありました。ご本人もこの本の中で川上、今さんとの対談で「どうも日本人というのは、物事の原則ってのをちっとも考えないんだ」「妥協は妥協でいいんだ。だけども、原則がハッキリしている所に妥協ということが出てくる。」と熱くなって語っている件が印象的です。

 

 

リーさんの本。日本についての件を読んで驚きました。現実主義・実務重視のリーさんは戦後日本の復興には一目もニ目も置いていたとのことですが、この本では「strolling into mediocrity」とバッサリ切り捨てられていました。日本=茹でガエル状態に警鐘をならしている。当時すでに日本の人口の減少、急速な老齢化に大変な危機感をお持ちで、日本のリーダーと思しき方々にこの問題にどう対処するつもりか、会う度に質問していた由です。彼らからまともな答えが返ってきたことは無いと、大変な失望感を露わにしています。シンガポール外国人労働者、移民を答えの一つにしているが、日本のリーダーが移民の是非を真剣に考えている様には見えない。このままでは日本はそこらへんの凡庸な国になっていくだろうと。大金持ちの日本人は海外に出ていくのでは、とまで警鐘されています。国民一人ひとりの勤勉さ、能力の高さを高く評価してくれていることが救いですかね。

 

日本の指導者に改めてダメ出しをされたようなイヤーな気分になってしまいました。自粛疲れの空気が更に重くなってしまったような。でも、辛口のアドバイスというのは貴重ですよね。ちなみに、リーさんも若いころ英国ケンブリッジ大学に留学しています。次郎さんの後輩になりますね。

 

 

シンガポール、初期のころはコロナ対応の優等生と評価されていました。ソーシャル・デイスタンスを見える化して接触を抑え感染拡大を防いだと。しかし、最近になり感染者が急増したそうです。政府に対し”対応が甘かった”と批判が増えている由です。感染急増の原因は外国人労働者。彼らの生活区域が感染源となり感染が拡大していると。皮肉なことですが難しい問題ですね。コロナがイロイロな問題、矛盾点を浮き彫りにしているかのような印象を受けます。

 

 

今日(5月12日)の朝刊では、「ドイツの再生産数がまた「1」を超えた」、「韓国で集団感染が発生した」、「中国・武漢では都市封鎖解除後初めての感染者が発生した」等、再度、感染拡大の懸念が報道されています。

 

日本では感染者数、死者数ともに収まりを示しつつある状態。5月末まで延長された緊急事態ですが、中旬には再度の見直しの動きが出てきています。制限を緩めれば、再度、感染者・死者数が増加することは間違いないと覚悟しておく必要があるのでしょうね。制限の緩和→強化→緩和、の繰り返しが続くのでしょうねえ。長い付き合いになりそうですが、凌いでいきたいと思います。

 

 

5月のNHK俳句、第一週も昨年の番組の再放送でした。コロナのため新規の収録とロケを中止している由です。再放送は引き続き、選者;宇多喜代子さん、司会;小林聡美さん。5月第二週(5月10日)も昨年の再放送でしたが、どういう訳か、昨年6月2日のモノでした。選者は同じく宇多さん、司会は小林さん。どうせ再放送するのなら、昨年の5月の他の選者さんのものにすれば、同じ週・日のものを見ることが出来て良さそうに思いますが、再放送にもイロイロな制限、制約があるのですかね。僕は、このお二人とも好きなので楽しんで見ております。放送は無いですが、テキストも”やたら増え”ている時間に楽しんで読んでおります。次回は、また、俳句の話を続けたいものです。

 

 

 

おまけです。

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巣籠り生活で料理を作る回数が増えています。腕もチョットは上達したかな。

写真・右、古い花山椒が残っていたので「ちりめん山椒」に挑戦。予想以上に上手く、美味しくできました。満足。アツアツの玄米ご飯に合います。朝食(和食バージョン)は、玄米ご飯と納豆、豆腐、めかぶ、わかめ、佃煮、そして、ちりめん山椒、更に、葉モノ野菜の和え物を組み合わせて飽きずに楽しんでいます。

写真・左、鶏モモ肉をはちみつ・しょうゆ等のタレに漬け込んでからオーブンに放り込みました(それだけ、手間が掛からない)。野菜たっぷり焼きそばと。昼食・夕食には、関西粉モン系の料理を頻繁に作ってます。2020年5月6日、8日料理と撮影。

  

俳句のお話、その4.「NHK俳句」

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朝、表題のブログを書き始めようと思っていたのですが、のんびりし過ぎてチョット遅くなってから朝刊を見たところ、ナント、黒田杏子先生が、僕の投句を採って載せてくれていました。ビックリ仰天、そして、感激!。小学生の時に写生大会で描いた絵が思いもかけず「佳作」で張り出された時のような気持ちを思い出しました。すっかり嬉しくなりメールやらラインやらで彼方此方に発信してしまいました。2020年5月2日、日経俳壇です。

 

   春深し一人籠もって飯を炊き   孔瑠々

 

4月10日過ぎごろに葉書に書いて発送した句でした。日経俳壇には確か3月上旬から投句を開始しましたから、6-7度目の応募。”ちゃんと見て採ってくれたんや、杏子先生、大好き、ありがとう”、もう諦めつつあっただけに嬉しい限りでした。

 

 

一旦、本題に戻ります。「俳句」のお話、その4.です。「NHK俳句」講座のまとめ=備忘録です。「秀句に学ぶ」の気持ちを大切にまとめたいと思ってます。お付き合い頂ければ嬉しいです。

TVで放映されている「NHK俳句」を面白く視聴しています。本も今年の一月号から毎月、本屋さんに行って買い求めています。本のタイトルはNHK”テキスト”「NHK俳句」となっています。確かにこれは俳句雑誌ではなく、テキスト=教科書という呼び方が当たっているように思います。

 

 

4月がこの番組の新年度のスタートになります。こういう講座番組は、概して、新しい年度がスタートする月の号は面白いもの。「きょうの料理」を思い出します。このブログでも何回も記載したことがありますが、僕の料理のテキストは、NHKきょうの料理」でした。2007年4月からの一年間のNHK「今日の料理」は、今でも全12冊、本棚に残してあります。特にこの時は「きょうの料理」50周年の年であったので、番組制作にも力が入っていたのかも知れません。カミさんの薦めで、初めての料理本としてこのテキストを買ったのですが、内容が充実しているなあと感心したことを覚えています。

 

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いまでも、その月になると、本棚からその月の号を取り出してパラパラ見ることがあります。見るだけで実際に作ったりしていませんが。考えてみれば、もう十数年前の料理本。最近の流行りはもっとチャチャっと出来るものに変わったのかもしれません。ツラツラ考えると、僕は随分とNHK番組にお世話になっているのかも知れません。受信料はチャンと払っていますから、負い目は無いと思っていますが。逆に熱心な視聴者な訳だから喜んでもらえるかな、NHKさんに。

 

 

NHK俳句」も、新年度になると選者の先生が交代され新しいメンバーでの「講座」が始まっています。第一週の選者は、4月17日のブログ『凌ぐ!、2020年4月の景色』で既に記載しましたが小澤實さんです。「令和の新星」をテーマにした講座でした。そして、

第二週が、対馬康子さん。テーマは「こころを詠む」。

第三週は、西村和子さん、テーマは「ようこそ句会へ」。そして、

第四週が、櫂未知子さん、テーマは「俳句ゼロからの出発」。

実は、この第四週の櫂さんの放送を一番、楽しみにしておりました。昔、櫂さんの本を読んだことがありましたので、四人の先生のなかでは唯一知っている名前だったから。物忘れが良い僕にしては珍しく大変に良く覚えておりました。

 

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2017年の『正月風景』を書いたブログなのですが、その中に「櫂美知子さんの『食の一句』に面白い句があります。」と書いて一句紹介しております。この本は多数の俳人の方々の「食」の句を一日一句づつ櫂さんが選んで紹介するという構成になっています。この本を読んだ当時は、俳句そのものよりも、「食の切り口からの俳句」ということに興味を持って買い求めたことを思い出します。本の帯には「切れ味の良い文体が俳句の味を引き立てます」と書いてありました。その最初の句、1月1日の句が、

 

   馴染むとは好きになること味噌雑煮

 

でした。ブログでもお雑煮の話を書いていたので面白いと思ったので掲載したもの。とにかくこの本、この句のことを覚えていて、テキストで第四週、新選者=櫂未知子さんを見た時には”おお、あの雑煮の句の本を書いた人や”と懐かしさすら覚えたほど。この雑煮の句を作ったのも櫂さんだと思い込んでいた節もあります。

 

今般、この本を見直して再発見!。この”雑煮”の句を読んだ方は、ナント第三週の選者の西村和子さんだったのでした。こういう偶然の巡り会わせに出会うのは好きな方なので大変に楽しく思いました。俳句の業界(とは言わないのでしょうが)も意外と狭い世界なのかしら、なんてやや失礼な印象を持ったりして。再発見がもう一つ(単に、間違いの発見ですが)、櫂さんのお名前を誤表記していました。美知子さんではなくて未知子さんでした。謹んで、お詫びと訂正をさせて頂きます。

 

 

この第四週の話のオチですが、結局、櫂さんは番組に登場されず。この第四週の番組は、他の講座がスタジオで収録しているのに対して、外に出て番組を作っている。俳句勉強中の芸能人・タレント(だと思うのですが?)の方3-4人が一チームとなり、二つのチーム対抗で、その時々の季語の世界を吟行して選者の先生が点数を付けるという、チョット、ゲーム形式のものなのです。ということで、ここでもコロナの影響。ロケに制限・制約が出てきているので新年度の番組は中止とせざるを得なかったようです。新番組の代わりに、4月26日の番組では、昨年度の第一週の録画を再放送されていました。再放送とは言え僕が見るのは初めて。櫂さんを見れなかったのは残念でしたが、再放送も大変に面白い内容で楽しく拝見することが出来ました。

 

 

 再放送された番組の選者は、宇多喜代子さん。講座のテーマは「昭和のくらしと俳句」。今年に入ってからの三回(今年の1-3月)は、テキストを読み、TVも見て存じておりましたが、やはり講座の第一回目というのは良いモノです。この先生、昭和10年のお生まれですが、とにかく歯切れが良い。俳句の世界では大御所的な存在かと。新年度のテキストにも「旬をおいしく」というコラムの連載が開始されています。4月号では「山菜・蕗の答」、蕗味噌の作り方を説明。俳句は載せられておらず、料理雑誌に載せても通用する面白い随筆?レシピ?です(嫌味ではありませんから、念のため)。司会の女性もしっかり者。他の週の番組を見ても、女性の選者、女性の司会者が多いこと。俳句の世界では、今や、女性陣が圧倒的に優勢な印象を持ちます。

 

 

この番組では、「昭和のくらし」=始末な暮らし、「始末」という言葉のニュアンスを切れ味鋭くお話されていました。そして、

 

   足袋つぐやノラともならず教師妻  杉田久女

 

の句を紹介。昭和のくらし=「つぎあて」という言葉からの紹介でしたが、ナントこの句も僕の記憶にある句の一つだったのです。小川軽舟さんの「俳句と暮らす」のことは『「俳句」のお話』の一回目(先月3月19日)に埋め込んだ通りですが、この本の中に「台所俳句」という俳句のジャンルの話が出てきます。虚子が「ホトトギス」に「台所雑詠」の欄を設け、女性からの投句を積極的に募集したのが女性進出の大きなキッカケとなった。当時は俳句は男性が作るもの、女性の俳人はまずいなかったそうです。そして、その先駆けの女性俳人の一人が杉田久女。この掲出句がその代表作の一つとして載せられていました。

 

 

小川軽舟さんの文章・句は大好きなので、最近もよくこの本をパラパラ見るのですが、またまた面白いことに久女の句の次の頁に宇多喜代子さんの話が出ていました。昭和になり民主主義の時代になると平凡な日常を詠う「台所俳句」は緩いモノと叱責されるようになったとか。時代は「社会性俳句」を求めたと。昭和30年代に句会に出始めた宇多さんも「台所俳句と謗られないような俳句を作らねば」と随分と気負ったこともあったそうです。いまTVで拝見する貫禄十分、歯切れ・テンポのよい宇多さんも若い時には随分と苦労されたようです。昭和の時代のご苦労が、平成、令和になって、女性俳人が圧倒的に優勢な俳句の時代を築くことに繋がったのかと一人納得しました。

 

 

この宇多さんの講座の時の兼題は「たんぽぽ」でした。選者=宇多さんが入選9句選んで紹介する。その中から司会の方が一句選んだあと、宇多さんが入選の中から、特選三句を選びます。視聴者も一緒になって”自分が選者ならどれを選ぶか、先生はどういう句を採るのか”面白く見ることが出来ます。特選三席を記載します。

 

一席 黄たんぽぽ月と地球は兄弟か

 

二席 たんぽぽやはいはいがもうよちよちに

 

三席 蒲公英の絮や眼下に太平洋

 

司会の方が選んだのは三席と同じ句、僕が三つ選んだ中では二席の句が同じでしたが、一席の句が意外でした。宇多さんの感性、失礼ながらお歳の割にはエライお若いかと。読み方によってはマンガ的な気配もあり、僕は面白みがあると思ったのですが、これを一席にするとは思いませんでした。僕が選んだあとの二つは、

 

  たんぽぽの隣に座る昼休み

 

  たんぽぽが囲む高校グラウンド

 

僕の発想が日常的に平凡というか、感性が緩いというか悩ましいところです。「秀句に学ぶ」というのが俳句の極意だそうですから焦らずにボチボチと楽しみたいと思っています。

 

 

軽舟さんの本の続きの話です。また、パラパラと頁をめくっていると、ナントナント、またまた大発見。第一週の選者の小澤實さんのことが記載されていました。軽舟さんは俳句雑誌「鷹」に加わり藤田湘子に師事、その後「鷹」編集長、更に湘子死去に伴い「鷹」主宰を引き継いだとのことですが、「鷹」に入会した時の若き編集長が小澤實さんだったそうです。兄弟子であったと。年齢も軽舟さんが五歳年下(のはず)。小澤さんの句をいくつか紹介されていました。

 

  酒飲んで椅子からころげ落ちて秋  實

 

  入る店決まらで楽し冬灯  實

 

小澤さんはイロイロな事情で「鷹」を離れることになったそうですが、お二人の仲の良い繋がりを垣間見ることが出来たようです。小澤さんの句、親しみが沸きます。面白い句ですよね。軽舟さんに言わせると「湘子もそうだけれど、酒飲みは飲むときは飲むことに専心しているので案外酒の句が少ない。小澤さんは酒飲みにして酒の俳句が多い」と。小澤さんの句に親しみを覚えるのは”酒飲み”の線が繋がっているからかと。これで、第一週の講座も益々、面白く拝見出来そうに思います。

 

 

 第二週、第三週もそれぞれ面白い内容でした。第二週の対馬康子さんのテーマは「こころを読む」ですが、第四週の櫂未知子さんの講座(これは前述の通り放送は無しです。テキストの講座から)ではこれとは真逆のようなことが記載されています。櫂さん曰く「初学のころには”心のこもった句を大切に”とか”季節の移り変わりを大切に”とか言われるが----そういった精神論めいたことよりも、まずは『音数を考えて欲しい』と言いたい。定型詩としての俳句を徹底することが先決かと存じます」と。

 

一方の対馬さんの教え方も「俳句五段飛ばし」とかで斬新な発想を広げる方法=頭の体操!を紹介されていました。対馬さんの今月の兼題は「蝶」。ご自分の句として、

 

  蝶結びほどけば幾千万の蝶  康子

 

年間のテーマは「こころを詠む」ですが、今月のサブテーマは「見えないものを見る」でした。金子兜太さんの句の紹介もありました。

 

  涙なし蝶かんかんと触れ合いて  金子兜太

 

別な本を見ていたら、対馬さんの代表句らしき句を見つけたので記載しておきます。

 

  国の名は大白鳥と答えけり  対馬康子

 

女性の発想の方が俳句という形での表現には適しているのかと思わせるような。子規さんや虚子さんが今の時代にいらっしゃれば、どんな反応をしめされることになるのかしら。ちなみに対馬康子さんは昭和28年生まれ、僕よりもチョット年少さんです。

 

 

長くなりましたが、もう一息。第三週の選者は西村和子さん。女性のお生まれを記載して申し訳ない気もしますが、テキストのプロフィールに皆さんの生まれ年は公表されていますので。西村さんは昭和23年生まれですから、僕よりもチョットお姉さん。姉御イメージですかね。小澤さんが昭和31年生まれですから、だいぶ後輩。まだまだ若く感じてしまいます。やはり、自分よりも年配の方を見ているほうが安心感があるように思ってしまいます。

司会は僕にはもうお馴染みの岸本葉子さん。女優の方をゲストに迎え、句会のイロハから、俳句の勉強の仕方、ノートの取り方、記録の残し方等々を分かりやすく説明されていました。

西村さんの句は、1月1日の句としてお雑煮の句を紹介しましたが、番組の兼題は「春燈」。ご自分の句として、

 

   子の寝息確かめ消しぬ春灯(はるともし) 和子

 

この番組でも同様に選者の和子さんが選んだ特選三句を記載しておきます。

 

第一席  星を見に出て家々の春燈(はるともし)

 

第二席  そのことに触れず語らず春燈下(しゅんとうか)

 

第三席  春燈や夜遊び謀る六地蔵

 

僕が一番面白かったのは第三席の句。コミカルで面白い、春燈の風情が出ていて素晴らしいと思いました。これ以外では

 

   春燈や帰るにはまだ早すぎて

 

会社で残業は終わったが、このまま真っすぐに帰る時間ではないぞよ、という気配がうまく出てるなあ、酒飲みにはこの気持ちはよく分かると。

 

 

日経俳壇に載せてもらったことを彼方此方に 連絡したら、たくさんの方から”お祝い!”の返信を頂きました。ドラゴン先生からは「黒田杏子選が値打ちがある、コメント貰っているのも凄い!」と珍しく素直に褒めてくれました。嬉しいなあ。

黒田杏子さん、昭和13年生まれとの事なので僕よりも一回りお年上。オカッパ頭とモンペ姿がトレードマークになっています。女性俳人のなかでは、宇多さんと並び称されていらっしゃる方だとか。重鎮、大御所(これは男性を指す言葉ですかね)ですね。代表句の一つです。

 

   白葱のひかりの棒をいま刻む  黒田杏子

 

 

一夜開けて、 やや落ち着きを取り戻しました。俳句はゴルフと一緒で、100人の俳人がいらっしゃれば、100人の先生がいるのかとふと思い至りました。5月号以降も、対馬さんと櫂さんの指導ぶりがどんな展開を見せるのか楽しみです。お酒大好き人間と分かった小澤さんの真面目な顔を見るのも楽しみですねえ。西村さんと宇多さんの姉御の元気な様子をみるのも。いまから一年間、楽しめそうです。・・・『続くかな?』。

黒田先生には、お礼も含め新しい句を三句書いて葉書を出しました。また、採って欲しいなあ、と欲が出ます(だいたい、欲が出た時はダメですね。これもゴルフと同じ)。

 

 

ついつい長くなりました。最後までお付き合いありがとうございました。皆さま、引き続き、くれぐれもご自愛下さいますよう。 

 

 

おまけです。

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次女の指導よろしきを得てタカト君が粉を捏ねて「うどん」作りで活躍しています。ラインでその様子を見れるのがホントに楽しみです。影響を受けて、僕も新作「ミートパイ」に挑戦(生地は市販のものですが)。”味が決まらなかった”と思いましたが、一晩経ったものを食べたら結構しっとり美味しかったです。いま見ると成型に工夫が必要だなあ。反省。2020年5月1日、料理と撮影。