クルルのおじさん 料理を楽しむ

鯱城学園一学期、終了

7月8日、金曜日。鯱城学園での一学期最後の共通講座、専門講座。事務局の方が冒頭の挨拶で「今日で(学園での)一学期の日程が終了する。二年間の休校のあとの再開でどうなることかと心配したがナントか無事に終了することが出来た」と感慨深げに話されていたのが大変に印象的でした。一学期、学園での共通・専門講座は全部で9回行われましたが僕は8回出席することが出来ました。”真面目”な生徒ぶりです。

 

この日の共通講座のお題は「熱中症予防について」。面白かったので久しぶりに講座を紹介します(また、時節柄少しでも参考にして頂けるかと)。先生は朝山正己さん。人間環境大学教授、志學館大学名誉教授。御年77歳。スクリーン資料が映し出されましたが、資料の一枚目に題と自分の役職を記載しておきながら ”肝心の自分の名前を記入するのを忘れた” と冒頭に謝られていました。最近、よくこの手のチョンボをするそうです(身に沁みます)。

 

現在の熱中症の分類は、三段階に分けられているそうです。

Ⅰ度(軽度)=熱痙攣(けいれん)、熱失神。Ⅱ度(中等度)=熱疲労。Ⅲ度(重度)=日射病、熱射病。Ⅲ度になると救急対応が必要になる。

暑さの指標としては環境(乾球)温度(℃)で、夏日>25℃、真夏日>30℃、猛暑日>35℃ですが熱中症警戒アラートはWBGT=暑さ指数(総合温熱指数)>33℃で発動されると。WBGTというのは温度だけでなく湿度、輻射熱を加味して設定されているもの。暑さの実感温度ともいえるそうです。朝山先生は1991年から2001年にかけて行われた「熱中症事故防止に関する研究」に従事した6名のなかのお一人。この研究結果が現在に至る熱中症対策の基として活用されている由。えらいえらーい先生(のよう)ですが、全く気さくなユーモアとウイットに溢れた楽しい講義でした。

 

体温調節についての説明があり、熱中症を防ぐためには体調管理が最重要であることを強調されていました。特に高齢者!は。

 

人体の器官の中で消化器官等々については理解しているが多くいるのに、体温の調整器官は何か?というと余り分かっていない人が多いそうです。はい、その通り、僕もすぐにはピンと来ませんでした。図にある汗腺、毛細血管、骨格・立毛筋が体温の調整器官として重要なものだそうです。そしてそれらを機能させる自律神経、視床下部の働きが大変に重要である、すなわち「体調管理が最重要であること」を教えて頂きました。

 

高齢者がお風呂に入る時、冬の寒い時には「寒い部屋と暖かい風呂場との急な出入りは危険、脱衣場の温度を温めてから衣服を脱ぐように」と注意されますが、冬以外でも注意が必要だそうです。

高齢者「風呂で熱中症(?)」のお題で説明がありました。

室温と皮膚温=20℃ー32℃=-12℃。水温と皮膚温=42℃ー32℃=10℃。熱伝導率は水は空気の約23倍あるそうで急に熱い風呂に入ると急激な温度変化を受けてヒートショックを起こしてしまう。脱衣場・風呂場の室温云々よりも、お風呂に浸かる前にゆっくりとお湯を体にかけて体を慣らしてから湯に浸かることが肝要、とのことでした。「熱伝導率」で説明がされると説得力が上がります。

 

その他一般的な注意事項も記載しておきます。

●室温管理にはエアコン(温度は28℃に)と扇風機との併用=気流による熱拡散!を。

●水分補給について。日常生活(少量発汗時)ではこまめに水分補給、多量な発汗時(特に体重の2%を超える時)には積極的に水分と塩分の補給(水・お茶とスポーツドリンクの併用)を。

●加齢と体温調節機能の説明のなかでは「高齢者特有の精神構造=頑張りズム、もったいない」に重々に注意するようにとのことでした。

 

講演の最後に本の紹介がありました。和田秀樹さん著「70歳が老化の分かれ道」思想社。特にご面識がある訳ではなさそうで、和田さんは1960年生まれのなので「何を若造が言っているのか」と思いながらも読んだそうですが、和田さんが高齢者医療専門の仕事をされていることを踏まえ高く評価され一読を薦めていました。帰ってからいつもの千種図書館で貸し出し手続きしましたがかなり長い順番待ちの状態です(和田先生がたくさんの本を著作されているのに驚きました)。

 

共通講座終了後、教室に戻り持参したお弁当を食べました。本年度、修学旅行は中止が決定されていますが、文化祭、体育祭はやる予定になっています。文化祭の部屋割り、各班ごとの役割等々について班長さん、各委員の方が相談していました。その頃に「安倍元首相が銃撃された、心肺停止の状態で病院に」のニュースがネットで流れて来ました。俄かには信じられませんでした。ショックでした。

 

専門講座が終わってから四班の仲間といつもの喫茶店に。休み中の農園での作業・水遣り当番をどうするか、文化祭の準備の打ち合わせ、そして一学期終了の打ち上げ会の打ち合わせ。仲間内での会話はボケたり突っ込んだりで話が弾みます。暑気払いを兼ねての一学期終了打ち上げ会は前週の打ち合わせの時に時期(8月5日にやろう)と担当(僕がお店探し)を決めていたのですが、コロナの再拡大が顕著になってきましたので「お店を予約しておくが当日近くになってヤバそうだと感じる時には中止・延期する」ことで意見が一致しました。みんなワクチン接種をしてはいますが、やはり7人(四班は7人で全員参加予定です)で会食ということになると心配になります。注意して対応したいと思います。

隠れ家に帰ってからお店の予約をして四班の仲間にラインで連絡をいれました。テレビでは安倍元首相が亡くなったことを報じていました。”こんな時に自分は能天気なことをしているなあ”と思いましたが、銃撃!日本でこんなことが起こるなんて信じられない!と思いながらも不思議なほど現実感がありませんでした。怖いですね。ただただ心よりお悔やみを申し上げたいと思います。

 

 

話が変わりますが、鯱城学園で僕たちは34期生です。二年間、休講が続きましたから今の一年生は37期生になります。その37期生の後輩からブログにコメントをもらいました。「木曽三川今昔」で検索して僕のブログを見つけてくれたらしい。嬉しく思いました。下に埋め込みしておきます。一年生のこの頃はコロナの制限もなく学園生活を楽しんでいたことを懐かしく思い出しました。

 

kururupapa.hatenadiary.jp

 

 

NHK俳句です。引き続き、僕の備忘録として書いています。お付き合い頂ければ嬉しいです。7月第一週、司会は武井壮さん、選者は高柳克弘さん。ゲストにはAKB48武藤十夢(とむ)さん。武藤さんは気象予報士防災士ファイナンシャルプランナーの資格を取得している!お嬢さん。気象予報士は合格率5%の超難関の資格とのことで7回不合格のあと8回目でやっと合格した由。大変な頑張り屋さんのようです。今週の兼題が「雷」だったので気象予報士としての武藤さんの出番となったのでしょう。

 

今週の特選三句です。

一席   遠雷や母の腕を拠   (腕=かいな、拠=よりどころ)

二席   雷神を躱し紀国一回り   (躱し=かわし、紀国=きのくに)

三席   その時の雷語る身振りかな

 

俳句では「雷」は実際の気象現象としての雷を以て季語とする、との説明がありました。カミナリ親父の「雷」、晴天の霹靂の「雷」等々、比喩・譬えに使われるのは季語とは見做さないと。形式的な季語に批判的であった「やつあたり俳句入門」のことを思いだしていたら、西東三鬼の句が紹介されていました。

 

     昇降機しづかに雷の夜を昇る   西東三鬼

 

前回のブログで「昭和15年に新興俳句弾圧事件が起こり、三鬼が治安維持法違反で特高に検挙された。それ以降、執筆停止処分、敗戦まで作品発表の道を閉ざされた(やつあたり俳句入門)」と紹介したばかりだったので大変に興味深く鑑賞しました。こういう巡り合わせって好きですねえ。

NHK俳句のテキストを見ると「作者(三鬼)は『新大阪ホテルで雷雨の夜作った、気象の異変と機械の静寂との関係を詠いたかった』と自解しているのに対し、特高は『雷の夜すなわち国情不安な時、昇降機すなわち共産主義者思想が高揚する』と解釈して逮捕する理由にした(三鬼「俳愚伝」)」と記載されていました。大変な時代であったことを改めて感じます。

 

巡り合わせのおまけですが、NHK俳句・名句カレンダーの9-10月の写真はみごとな曼殊沙華の景色です。その写真に渡邉白泉の句が添えられていました。

 

   まんじゅしゃげ昔おいらん泣きました   渡邉白泉

 

三鬼、白泉の句、面白いですね。この二人に師事したのが三橋敏雄(そして、三橋は「やつあたり俳句入門」の著者の中村裕さんの先生)とのことですから、そのうち三橋敏雄の句集を探して読んでみようかと思い始めています。

 

第二週です。司会は同じく武井壮さん、選者は井上弘美さん。ゲストはお笑い芸人「金の国」の桃沢健輔さん。桃沢さんは俳句大好きで学生の時に井上先生の授業を受けたことが切っ掛けでずっと俳句を続けているとのこと。

 

今週の兼題は「夜店」。今週もクイズから始まりました。イラストで夜店の人気商品が映されています。「りんごあめ」「かき氷」「ニッキ水」「ケバブ」「ヨーヨー」「甘酒」。この中で夏の季語はどれでしょうか?正解はまた末尾に記載しておきます。

 

桃沢さんの句を井上先生が添削しました。

原句   透明の雨よけくすむ夜店かな   桃沢健輔

添削   透明な雨よけの中夜店の灯   井上弘美・添削

良い添削だと生徒・桃沢さんが感心していました。

 

今週の特選三句です。

一席   夜店立つ赤き鶏冠の飴細工   (鶏冠=とさか)

二席   銃身の歪む夜店の射的かな

三席   裸灯へひよこ片寄る夜店かな   

「銃身の」句を読んだ時、”安倍さんを撃った犯人の銃の銃身が歪んでいたら----”と頭を過ぎりました。

 

日経・俳壇、7月2日、黒田杏子選です。

   戦争の悲劇に麻痺す六月

1960年6月15日、樺美智子忌。杏子さん評「歴史的事実が詠み継がれることは意味がある」と。ウクライナにも通じそうです。

 

 

おまけのお弁当と料理の写真です。

  

一学期最後のお弁当。左、のり弁にじゃこ・ピーマン/しし唐炒め煮のっけ。右、卵焼きと魚のフライ(店屋物です)、ズッキーニのチーズ焼き、ゴーヤとナス炒め、ナスのツナ炒め。上は枝豆とそら豆(これも店屋物)。次女が「もりだくさんの健康弁当」と褒めてくれました。2022年7月8日、料理と写真。

 

最近の一品です。左、イワシのオイル煮。ベランダで育ったローズマリーを加えて。中、ゴーヤチャンプルー。このお皿のピアノの模様が気に入ってます。陶芸クラブでこのイメージのお皿をトライしたい。右、長イモのナンプラー炒め。これ簡単で旨いです。2022年7月、料理と撮影。

 

クイズの正解です。

夏の季語は「かき氷」「ニッキ水」「甘酒」です。僕の持っている歳時記に「ニッキ水」はありませんでした。「肉桂水」でも掲載無し。「甘酒」はかつては暑気払いに温めて飲んでいたからのようです。なかなかピンとこないです。

ちなみに「金魚」も夏の季語です。入選句のなかに、

   すくうたび少年になる夜店かな

というのがありましたが、「金魚」は季重なりになることも勘案して作句されているとの評でした。時代の移り変わりで季語も変化するのでしょうが、この辺りの話になると「やつあたり俳句入門」の主張に一票を入れたくなります。

 

今日は参議院選挙の投票日です。名古屋は朝から雨模様です。投票率に影響しなければ良いですが。僕は期日前投票を済ませました。今回も出口でNHKの調査を受けました。今晩は夜の8時位から各局ともに開票報道ですが、こういう調査が充実してきているからか結果判定が益々早くなっているように思います。

朝夕の気温の上下幅が大きいですね。体調管理に十分に注意したいと思います。コロナも感染の再拡大が顕著になって「第七波」懸念と報じられています。皆さま、引き続きくれぐれもご自愛下さいます様に。

 

六月、読書の夏

 

6月29日に東北南部が梅雨明けしたそうです。最も短い梅雨の期間、最も早い梅雨明け、6月の梅雨明けは初めてとか。これで東北北部を除き日本全国、梅雨明けとなりました(北海道は梅雨が無い)。東海・名古屋も27日には梅雨明けしていますが、とにかく暑いですね。外出する時には帽子を被りマスクを外していましたが、この二三日は更に水筒を準備して日傘もさすようにしました。それでも暑い。猛暑、酷暑。日差しが一気に強くなっているような。一歩外に出ただけで外気が体温よりも高いというのを実感します。でもまだ6月。 ”この暑さ六月なのにナンヤこれ” とボヤきたくなっています。

隠れ家のトイレにNHK俳句・名句カレンダーをピンで刺して飾ってありますが、これが片面6カ月。”今年もはや半分終わるのか” と一日早く裏返したら7・8月の写真が酸漿市(ほうずきいち)の涼し気な写真でした。虚子の句が載せられていました。

 

   夫婦らし酸漿市の戻りらし   高浜虚子

 

 

NHK俳句です。前回、記載しなかったのでちょっと溜まってしまいました。相変わらず僕の備忘録として書いています。お付き合い頂ければ嬉しいです。

 

六月の第二週。選者は井上弘美さん、司会は武井壮さん、ゲストは引き続きマツモトクラブさん。今週の兼題は「南風」。「みなみ」と読むのが基本のようですが「みなみかぜ」「なんぷう」「はえ」とも読むそうです。さらに「南吹く(みなみふく)」「大南風(おほみなみ)」も。弘美先生からマツモト生徒に難しい問題が出されていました。

「黄雀風」「雁渡し」「鰆東風」「虎落笛」、それぞれ風の名前の季語なのですが、いつの季語か?。正解は末尾に記載しておきますが、僕は一つしか分かりませんでした(マツモトさん同様に読むことも出来ない)。達人クラスの難問かと。

特選三句です。

一席   フェニキアの舟の封緘南風

二席   南吹く丸太作りの小学校

三席   海鳥の両翼に南風惜しみなく

添削コーナーで素人には参考になる指導がありました。「風は吹いているだけで良い」=余分な関係付けはやらない。例として、

投句   南風に誰か奏づる手金琴

添削   南吹く遠く誰かの手金琴

なるほど、と思います。

 

第三週、選者は星野高士さん、司会は武井壮さん。ゲストは声優・歌手の松本梨香さん。今週の「会いたい俳人」は中村草田男。代表句が紹介されていました。

   降る雪や明治は遠くなりにけり

   萬緑の中や吾子の歯生え初むる

この「萬緑」の句で萬緑が季語になったそうです。今週の兼題はその「萬緑」。特選三句です。

一席   万緑や鳥も獣も声豊か

二席   万緑や途方に暮るる烏二羽

三席   無限とはこの万緑のあふれやう

番組の中では草田男が自ら句を読み上げている昔の録画が放送されたり、声優の松本さんが句を読んだりしていました。句を声に出して読むというのは良いことだと感じました。

 

第四週、選者は堀本祐樹さん、司会は武井壮さん。ゲストに料理家の土井善晴さん。今週のテーマが「料理」なので土井さんの登場となったのでしょう。早速に料理の句が紹介されていました。

    そら豆はまことに青き味したり  細野綾子

土井さんも「そら豆」の句をご披露。

   そら豆に背中を押されポンと出る   善晴    

そら豆の皮を剥く時の極意が、そら豆の背中を押すのだそうです。そうすると気持ち良くポンと出てくれる。それを踏まえて作句したと。「そら豆に」とするか「そら豆は」とするか迷ったそうです。さすが料理人。

投句を堀本さんが添削したものです。ポイントは「類想を避ける」こと。

投句   妻を師に男の料理雲の峰

添削   妻を師に料理をかしや雲の峰

僕は「男の料理」が投句者のキーワードかと思いましたが、もはや類句、類想のようです。勉強させられます。今週の兼題は「料理」を夏の季語で読むこと。

面白いと思った句です。

   一椀の粥茄子漬に助けられ

   夏料理に野暮な栄養論議かな

   ゆふぐれの余白のやうな冷奴

特選句です。

   鱧料理楽しみにして母の逝く

テーマが良かったからか良い句が多くあったように思いました。「鱧料理」のウンチクについて土井さんの出番。「鱧は梅雨の水を飲んで味がのってくる」「トロ箱に載せられた600-700gの鱧、これを”つの字鱧”という」、関西弁が絶好調でした。選者の堀本さんもいつの間にか関西弁イントネーションに。関西弁、恐るべし!。

「それ豆」の句もそうでしたが「つの字鱧」も五月末の「歳時記食堂」で宇多喜代子女将が取り上げていたテーマと被っていました。偶然でしょうが土井さんのおしゃべりと比較できてまた一層に面白かったです。

最後に堀本さんがゲストの方のエピソードを俳句に纏めるコーナーがあるのですが、今回は土井さんが修業時代の話をしていました。それを堀本さんがまとめた句、

   土はらひ齧る独活こそ目を見張れ   堀本祐樹

土井さんのエピソードの詳細はあえて省きますが、その気持ちが上手く句に仕立てられていると感じました。さすがプロかと(齧る=かじる、独活=うど、です)。この句だけを読まれて土井さんのエピソードが句から浮かんでくればホンモノでしょうね。 

  

 

日経・俳壇、6月25日には、ウクライナ句は取られていませんでした。これも戦争への「慣れ」かも知れません。怖いです。

 

 

いつもお世話になっている名古屋市千種図書館は折に触れて古くなった本を「リサイクル図書」として来場者に無料配布してくれます。先日、貸し出しを頼んでいた本の準備が出来たとの連絡を頂いたので取りに行ったのですが、それがリサイクル図書の配布日に当たりました。プラプラ見ているといつもよりも面白そうな本が並べられていたので数冊頂いて帰りました。

サリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」、コーンウエルの検死官シリーズ15冊目の「異邦人」、米朝さんの「桂米朝句集」、そしてもう一冊、ついでに取った本。「やつあたり俳句入門」、中村裕さん著。借りた本は三浦雅士さん著の「スタジオジブリの想像力」(講談社、2021年第一刷)で、今回はこの本を紹介をしようと思っていたのですが、おまけで取った「やつあたり俳句入門」が予想外に面白かったので、こちらを先に紹介します(今回のNHK俳句にも多少、関連あるし)。

 

 

「やつあたり俳句入門」、中村裕さん著。文春新書、2003年9月第一刷。中村さんは1948年お生まれ、ライター、フリーランスの編集者。また俳人として三橋敏雄に師事されていた方。出版社の宣伝文句は

「たった十七文字の世界がなぜこんなに面白いのか。芭蕉、子規、虚子たちの人間くさい謎にビックリしながら俳句を作りたくなる一冊」

と当たり障りのない文句で紹介されていましたが、内容は端折って言えば高浜虚子批判、ホトトギス世襲家元制度批判。

「俳句に有季定型という枠をはめ、花鳥諷詠、客観写生という指導原理を導入して俳句を人に教えることが出来る『お稽古事』『お習い事』にして家元としての収入を確保した」「そのことが俳句本来の姿を歪めてしまった、詩のエネルギーを俳句から奪ってしまった」というもの。前述したNHK俳句の虚子はモチロン、中村草田男もまな板に載せられています。

かなり過激な批判があり”これは独断と偏見過ぎる”と思うところも多々ありますが、歯に衣着せない論評は面白く、また、特に後半の新興俳句運動、俳人についての件は興味深く読むことが出来ました。目次がこの本の概要を知る参考になると思います。

●はじめに

●第一章 俳句の出自と芭蕉

●第二章 子規の俳句革新

●第三章 経営者・虚子の功罪

●第四章 秋櫻子、誓子の影響

●第五章 新興俳句運動

●あとがき

虚子については第三章「経営者としての虚子」「家元制としての結社」のところでは厳しく非難していますが、一方「俳人としての虚子」の件ではその俳句を高く評価し、多くの優秀な弟子を育てたことは虚子の功績として認めています。

第四章以降が圧巻です。秋櫻子が昭和6年ホトトギスを離脱、それが後の新興俳句運動の起爆剤に。昭和12年に入ると日中戦争が勃発、この時代の流れが複雑に俳界にも影響し、昭和15年には新興俳句弾圧事件(京大俳句事件とも)が起こった。中村さんが師事した三橋敏雄は、渡邉白泉、西東三鬼に師事していたそうですが、三鬼はこの事件で治安維持法違反で特高に検挙され、それ以降は執筆停止処分になり敗戦まで作品発表の道を閉ざされたと。それぞれの俳人の名句も多数鑑賞されており、「やつあたり俳句入門」なんて(チャラけた様な)表題にしない方がよかったであろうと思いました。本のタイトルは出版・編集側が付けるらしいですから、中村さんはやや不本意であったかもしれません。近代俳句の歴史には全く無頓着であった僕には大変に刺激のある一冊でありました。それにしても俳句って色々な意味で面白いですねえ。改めて認識出来ました。

 

弘美先生の質問の答えです。

「黄雀風」=「こうじゃくふう」=夏の季語。陰暦五月に吹く東南の風。

「雁渡し」=「かりわたし」=秋の季語。これは正解出来ました。但し、「初秋から仲秋にかけて吹く北風」という意味は知りませんでした。

「鰆東風」=「さわらごち」=春の季語。「東風」の傍題とか。

「虎落笛」=「もがりぶえ」=冬の季語。虎落=もがり、は竹の柵、竹垣のこと。それが冬の烈風に吹かれて笛のように音を立てること。全く知りませんでした。

 

 

おまけです。鯱城学園"陶芸科"26期生の作品展。名古屋市市民ギャラリーで開催されていました。

 

     

さすがに陶芸(本)科の先輩諸氏の作品展。プロのような作品が多数展示されていました。2022年6月25日、市民ギャラリーにて撮影。

陶芸クラブではその後、タタラ作りの鉢、同じくタタラ作りの筒花生を作りました。いよいろ来週は「施釉の基礎」を教えてもらいます。うまく焼き上がるところまでいってくれるかしら!。

市民ギャラリーでの作品展は”陶芸科”がやるものと思っていましたが、”陶芸クラブ”卒業生の方々も作品展をやるそうです。「楽陶クラブ・第60回作品展」、7月5日から10日まで。同じく名古屋市民ギャラリーで開催されます。ご近在にお住まいでお時間がおありの方は是非、足をお運びくださいませ。

 

今日のお昼のニュースでも「全国で危険な暑さが続く」「外出は避ける様に」「名古屋でも39度に、明日は40度の可能性も」とのこと。コロナ感染もまた増加傾向になっています。熱中症患者が急増して救急搬送が逼迫と。

今日で6月が終わります。明日からはもう今年も後半戦に入ります。コロナにも猛暑にも負けない様に凌いでいきたいものです。皆さまも引き続きくれぐれもご自愛のほど。

  

 

『自省録』

五月の後半から『自省録』を買って読んでいましたが、漸く、最後まで目を通すことが出来ました。マルクス・アウレーリウス『自省録』、神谷美恵子訳。岩波文庫、2022年3月第27刷。マルクス・アウレーリウスはローマの哲学者で皇帝。121年生れ、180年に没。今から約1900年も昔の方です。---「生きているうちによき人たれ」、重責の生のさなか、透徹した内省が紡ぎだした言葉は、古来数知れぬ人々の心の糧となってきた‐‐‐と文庫本のカバー裏に記載されていました。

 

前回、記載した通りですが、神谷さんは21歳の時に肺結核を患い療養している時にギリシャ語を独習。新約聖書マルクス・アウレーリウスの本を原書で読破したと。その後、神谷さん35歳の時、1949年に「自省録」を翻訳出版、1956年に岩波文庫版に収められたそうです。

 

巻末には訳者解説が記載されていました。全22頁に及びますから解説というよりも論文という方が適切と思えるくらい。1.マルクス・アウレーリウスの生涯、2.『自省録』の思想内容について、3.『自省録』の構成、文体その他について、の三部から構成されています。2.ではマルクス・アウレーリウスが深く傾倒したストア哲学について、その概要が纏められています。ストア哲学・思想の限度(限界)を指摘しながらも「それにマルクスの魂が乗り移るとなんという魅力と生命を帯びることであろう」と。それは「彼がこの思想を身をもって生きたから、生かしたから」「マルクスは書斎人になりたくてたまらなかった」が「皇帝として現場との対決に火花を散らす身であったからこそ、その思想の力と躍動が生まれたのかもしれない」。

 

神谷さんがこの本を読んで大変な影響を受けたと感じさせるクダリが沢山ありました。僕も(今更ですが)ハッとしたクダリを紹介しておきます。

●「君の全生涯を心に思い浮かべて気持ちをかき乱すな。どんな苦労が待っていることだろう、と心の中で推測するな」「それよりも一つ一つ現在起こってくる事柄に際して自己を問うてみよ」---第8巻‐36.

●「現在の時を自分への贈り物として与えるように心がけるがよい」---同‐44.

 

この本の原題は「ta eis heauton」=「自分自身に」とのことです。「元来人に読ませるつもりで書いたものでは無い」(訳者序)。約1900年も前にこんな本を書いた人がいたこと、その本(写本)が残されていることに敬意を表したいと思います。更に、その本の言語を独習してそれを原書で読みこなし、後に精神科医、母親として超多忙な生活のなかで翻訳出版された神谷美恵子さんに改めてエールを送りたいと思います。

 

以上の通り、本屋さんで偶然にこの本に出合ったことを嬉しく思っていたのですが、文藝春秋の今月号(7月号)を見てビックリしました。「『ミステリという勿れ』と『自省録』」、田村由美さんの記事が掲載されていました。田村さんはマンガ家で『ミステリという勿れ』は彼女の代表作の人気マンガ。この中に『自省録』が登場して、その言葉が多々引用される場面があるそうです。このマンガがキッカケになり『自省録』が話題になり岩波文庫が大増刷したとか。TVドラマ化もされており増刷版の表紙には、このマンガ・ドラマの主人公の写真と「『自省録』が大きな鍵に!」というキャッチコピーも付けられたものがある由。

 ちなみにこれは僕が買った文庫本の表紙です。ドラマは今年の一月から始まって三月頃には終了したようです。僕の買った文庫本は2022年3月の第27刷でしたから、更にその後も増刷が続いているのかも知れません。前回、この本のことを書いた時に「本屋さんで面陳列されて置かれていました。---マルクス・アウレーリウスの自省録そのものの魅力に加えて今も変わらぬ神谷さんフアンが多いことの証明だと思います」と書きましたが、それだけでは無くてこのマンガとドラマの影響が大きくて増刷されたもののようです。

 

数年前(多分)に、吉野源三郎さんの「君たちはどう生きるか」がマンガ化されて大変な評判になり、吉野さんの原書も大増刷されたことが話題になりました(この本も岩波文庫でなかったかしら)。マンガをきっかけにして原典、原書を読むことになるのもいいことだと思います。若い世代の方々がそれなりの分量のある一冊の本を最後まで読み切る習慣を持つことは大切なことかと。

 

 

(話題が全く変わりますが)小雪チャンがピアノのレッスンを開始した、と長男から連絡がありました。長男一家のマンションから歩いて行けるピアノ教室。送り迎えにイロイロと制約がありますから便利な場所にあることが大きな要因になります。良い先生に恵まれることを祈りたい。僕の方もピアノレッスンを真面目に継続しています。アラタくんももうすぐピアノの発表会があると聞きました。孫たちとそのうちに連弾出来れば楽しいだろうなあ。

 

僕のピアノ教室は「ピアノサロン心音」ですが、ピアノのレッスンだけでは無くて1月に新年会をやって頂いた後も折に触れて他の仲間も加わっての懇親会=飲み会を続けてもらっています。「”心音”先生」に就いてからこの4月で三年目を迎えるので三年目記念の夕食会をやってもらったり、5月には「ピアノ会」が開催されてその最終日、恒例になった打ち上げ飲み会をやってもらったり(ドラゴン先生も連続参加、すっかり主要中心メンバーです)、更に、5月21日には新しい生徒さんの誕生日祝い兼歓迎会をやったり。楽しく有難い限りです。

 

新しい生徒さんは僕より10歳ほど年長さんで有名な画家先生です。旦那さん(旦那さんも高名な画家先生)が亡くなられてからも絵画教室を主宰されています。今も現役の画家かつ絵画教室の先生をされているスーパーレディ(以下、このブログでは”ミターさん”ということで)。「ピアノサロン心音」のピアノ会の常連メンバーの一人ですが、昨年末のピアノ会の時、心音先生の演奏を聴いていた時に”自分でもピアノを弾いてみたい”と感じられた。準備を整え(娘さん宅の使っていないピアノを自宅に移動して、自宅の応接間に手を加えてピアノの練習がゆったりと出来る環境を整え)この春からレッスン開始。

 

心音先生によれば”芸術を一つ極めた方というのはやはり素晴らしいモノを持っている”、”ミターさんの練習振り、集中力は凄いもの”であると。

誕生日会の時には「絵は何度も何度も(自分で納得できるまで)手を加えて完成させることが出来る。そして、その完成させたものを皆様に見せることが出来る。ピアノは演奏会のその時の一回が勝負!。発表するときのその瞬間が怖いと思います」と流石に画家先生としての含蓄のあるコメントが出てきました。心音先生も「レッスンを開始早々に発表会のことをイメージしているところがさすがにミターさん!」と感心、ビックリされていました。

 

 ミターさんのお誕生日お祝い会のお品書き。「貝合わせ風最中」「菊花しらあえ」「サラダ」「野菜のバルサミコ酢」「ローストビーフ」「貝柱とアスパラ炒め」「新じゃがいも煮」「手巻き寿司」「野菜のしょうゆこうじ漬け」「焼き魚」‐--飲み物---「バースデエーケーキ」(5月21日撮影、ピアノサロン心音)。いやはや大変にお手数をおかけしました。美味しくご相伴に預かりました。感謝、感謝。

この誕生日会はミターさんと心音先生ご夫妻と僕の四人でしたが、ご主人を含め三人が心音先生のレッスンを受けています。ノリノリのミターさんが加わり大変に盛り上がり、生徒三人の発表会をやろう!ということに。半年後から年末までに発表会をやることになってしまいました。どう見ても僕が一番、本番に弱そうです。今から手が震えそうです。

年初から「太陽がいっぱい」を練習していました。あのアランドロンが一躍有名になった映画のテーマ曲。僕の年代の人ならまず知っている曲でしょう。ほぼ半年間の練習後、前回のレッスンでOKを頂きました。次回からは新しい曲に挑戦です。アウレーリウスの金言を噛み締めて「今」を大切にしたいものです。

 

 

日経・俳壇、6月18日。

黒田杏子選。

   野良犬の犬歯や朱夏ウクライナ

   蛇穴を出でてこの世の戦みる

横澤放川選。

   プーチンへ送る一鉢きらん草

 

野良犬の句。評に「映像でごらんになったウクライナの野良犬の犬歯。一瞬を切りとる俳句の力」と。

きらん草の句。同じく評に「『別称ジゴクノカマノフタ』と言いたいのである。文字取り毒気をしこたま含ませた忿怒の一句だ」とありました。句の意味を100%理解出来ていないかも知れませんが、きらん草が可哀そうな気もしました。

 

 

おまけです。えらぶユリの写真です。

    

 

      

 

   

沖永良部島のユリです。以前の会社の関係でお付き合いがあり球根を頂いています。仲間にお裾分けしたら、皆さんキレイに育ててくれました。今年は特に花がキレイに咲いているように思います。

 

コロナは新規の感染者が減少傾向から下げ止まり、反転増加しそうです。引き続き、皆さまくれぐれもご自愛くださいませ。

 

鯱城学園・2022年一学期

コロナ新規感染者のなだらかな減少傾向が続いているようです。ウイズコロナの生活が定着してきているのかと。道行く人々はまだ多くの方がマスクを着用していますから、行政の指示を受けて「義務」としてやっているのではなくて、皆さん、自らの判断で着用を続けていらっしゃるのでしょう。僕は外を歩く時には出来るだけマスクを外して歩くように心がけています。人混みが激しいところ、地下鉄のなか等ではモチロン着用しています。歩いている時、僕と同じようにマスクを外している方が少しは増えているように思います。すれ違う時にお互いの表情を見て取れるのが新鮮な感じがして何やら安心します。

 

コロナが小康状態のお陰で、鯱城学園はこの4月以降、予定通りの活動を再開、継続出来ています。以前書いた通り我々34期の受講生は大幅に減少となっていますが、逆に言えば、学園生活を継続している仲間の結びつきは以前よりも強くなっていると感じています。

共通講座、一回目のテーマは以前紹介した「地域福祉」でしたが、それ以降「悪徳商法(に会わないために)」「お薬について」等々この学園らしいテーマの講義が続きました。前回は「持続可能な開発、SDGs」について。

今回6月10日は「絵師 長谷川等伯と赤松僚(リョウは火扁です)」でした。講師は鈴木靖之さん。高校教師、校長を経て一時は鯱城学園でも勤務されていた由。学生時代から画家としても活躍されており現在は「農芸家」を名乗っていると。画家として芸術に励み、家ではみかんの木120本を中心に農業に励んでいるとか、この5月で古稀を迎えたそうですから我々とほぼ同世代。「炊事・洗濯・家事・おやじ」で頑張っているそうです。楽しいですね、このフレーズ!。

等伯と赤松さんの研究をやっているそうで大変に楽しいお話でした。京都の高台寺、圓徳院の「ねねの道」にはねねさんの石柱の横に等伯さん、赤松さんの石柱も一緒に並んでいるそうです。圓徳院の襖絵を等伯さん、赤松さんそれぞれが描いたお話を面白く語って戴きました。等伯能登半島、七尾の生まれ。京都に出てくる時には「鯖街道」を経由したそうです。街道の基点となる小浜から終点である京都の出町柳まで自らも回われたそうです(車でですが)。小浜にある大谷食堂の話も面白かったし、出町柳の豆大福「ふたば」の話も出て来て、京都トレイルの折にいつも朝から行列が出来ているのを思い出しました。

 

園芸科では農園で野菜を育てる傍ら、専門講座として「山菊の盆栽づくり」と「名古屋朝顔」に挑戦しています。いずれも見事に育ったアカツキにはそれぞれの品評会に展示することになるとか。僕の場合には品評会云々以前の話です。無事に枯らせないで育てることが出来るかどうかが心配。朝顔は二品種x五粒づつの種植えからスタートしましたが発芽はしたものの7割方が育たず。水のやり過ぎ、日照不足、植え替え時の根の深さ加減等々が原因のようです。それでも先生、仲間から補充を受けて、今は二品種x3ポッドつづを育てています。山菊は意外と順調に育っている様で現在三品種、四鉢が育っています。根の張り方もしっかりしてきたような。

僕は神奈川と隠れ家の往復生活ですから不在の時の水やりが大問題。簡易自動給水の設備(紐で水を滴らせるだけですが)はあるのですが、これもバケツのキャパ制約があるのでせいぜい4-5日が限界。今回はちょっと長い不在となるので悩んでいましたが、灯台下暗し。長男のお嫁さんのお母様。小雪チャンとツカサくんの面倒を見るためにずっと長男一家と生活を一緒にしてくれていますが、先日、小雪チャンを幼稚園でお迎えしてマンションに連れて帰った際に話していると大変な園芸家であることに改めて気がつきました。ベランダに昨年来の鉢植えが置かれていましたが見事に剪定されて管理されている。話を伺ったらこれはもう(僕から見ると)プロの仕事としか思えない。

園芸科で山菊と名古屋朝顔を育てている話をしたら強く関心を示してくれましたので、調子に乗って留守中の水やりをお願いしてしまいました。快くご了解を頂きました。僕が育てるよりも上手く育てていただけるような気がしています。小雪チャンも栽培キットに種を捲いて育てていました。小さなメガホンが備え付けれれていて植物には名前を付けてそのメガホンで「大きく元気に育てエー」と応援エールを送っていました。僕も一緒になって声援を送りました。そう言えばアラタくんも同じキットで育てていたなあ。小さい時から自分で育てる機会を持てるのは良いことだと思います。

山菊と朝顔は先ほど長男が車で引き取りに来てくれました。一安心です。感謝!。

 

 

NHK俳句です。相変わらず僕の備忘録として書いています。お付き合い頂ければ嬉しいです。6月第一週、選者は高柳克弘さん、司会はいつもの武井壮さん。ゲストは篠原かをりさん。篠原さんは1995年の神奈川生まれ、動物大好きで動物作家をされている方。今週の兼題は「蛍」。高柳さんの番組テーマは「俳句と映像」ですが、冒頭、長野県辰野町ゲンジボタルの美しい映像が紹介されていました。

---「蛍」も古くから和歌、俳諧で詠まれてきた季語で、「本意」(もっともそれらしいイメージ)がはっきりしている。「蛍」といえば魂、とりわけ恋心の象徴である---との説明がありました。この本意に沿った句です。なるほどと思いました。

   蛍火や手首ほそしと掴まれし   正木ゆう子

「一方では、蛍の情緒的な本意を意識的に覆そうとする句もある」と。

   草の葉を落つるより飛ぶ蛍かな   芭蕉

「蛍を一匹の昆虫として描き出すことで、本意に果敢に挑んでいる」と。芭蕉は挑戦者の一面も強く持っていたんですねえ。これもなるほど!と感じます。篠原さんの解説では「蛍は本来、飛ぶのは得意ではない」そうです。放送では一匹の蛍をアップで撮影し飛んでいる(漂っている)映像が流されましたが、芭蕉の句の蛍そのものの動きでした。高柳さんの鑑賞、解説は分かり易く、且、その句のポイントよく捉えていると感心します。

今週の特選三句です。

一席   ほうたるや友は今日から恋敵

二席   叡山の闇のみだれや蛍沢

三席   腕を引く力蛍を見つけた子

お題動画と称して映像を見て選者と司会者が句を詠みゲストが軍配を挙げるコーナーがあるのですが、前回も今回も今一歩でした。名句の鑑賞を聞いている方が面白いように感じます(スミマセン)。

 

日経、俳壇。6月11日、黒田杏子選。

   ウクライナの子ども等おもふ子どもの日

   草を刈る間も砲弾を浴びる子等

   観覧車雲の峰まで避難の子   

先週はウクライナの句が取られていませんでした。今週は三句。「ウクライナ疲れ」「戦争への慣れ」を心配する声が高まっています。ゼレンスキー大統領夫人も「この戦争に慣れないで下さい」と強く訴えています。西側の結束を続けるためにも「欧米ともに市民がウクライナ支援の気持ちを持ち続けられるかが今後試される」(日経6月8日、「忍び寄る『ウクライナ疲れ』、USナショナル・エディター、E・ルース)。杏子先生の選にウクライナ句が続くことを祈っております。

観覧車の句はウイーン在の方の投句。「『第三の男』で有名なプラーター公園の大観覧車。オーストリアにすでに7万人避難。更に20万人を受け入れます」と評に書かれていました。

 

 

陶芸クラブのことを書くのを忘れておりました。6月7日、第5回目。楽陶館にて、ひも作り・壺作品を作りました。恥ずかしながら写真を掲載します。

 

これを先生が焼いてくれます。来週は休校なので再来週に焼き上がった作品を見ることになります。不安と楽しみとです。回りの方の作品を見ると洗練された壺がたくさん出来ているのに驚きました。また「隣のトトロ」のキャラクターをあしらった壺を制作している方も。”陶芸は創造力であるなあー”と感心しました。再来週6月21日は、タタラ作りの鉢(皿)を制作するとか。これも楽しみですが授業のペースが速いので着いて行けるかかなり心配です。

 

 

おまけの料理、お弁当です。

     

左;のり弁、卵とシラス・ネギ炒めのっけ。ウインナー炒め、ヒジキ豆、ニンジン・ピーマン・しょうがのキンピラ、枝豆。6月3日、料理と撮影。

右;のり弁、炒り卵のっけ。長いもの焼いたん、ブロッコリー・のり・シラス炒め、枝豆・新タマ、さばの焼いたん。農園のトマト、新タマと枝豆の残りを詰めました。6月10日、料理。撮影は学園園芸科の教室の席で。

 

 

 

 

国立『新』美術館

カミさんと二人で乃木坂にある国立新美術館に「メトロポリタン美術館展」を見に行ってきました。日曜日だったこともあり大変な人混み、皆さんマスクを着用して鑑賞されていました。「西洋絵画の500年」の副題通り大変に充実した展示でした。

 

  

我々が入場したのは11:00の時間帯でしたが、見終わった後の13:00の入場待ちも長蛇の列となっていました。入場時間帯を指定したチケットの販売はコロナ対策がキッカケとなったものだと思いますが、お陰様で少しはゆっくりと鑑賞出来ますから良い仕組みだと思いました。

 

冒頭の写真は地下鉄乃木坂駅の改札を出たところにある国立新美術館のロゴポスターです。建物は黒川紀章さん設計ですが、このロゴは佐藤可土和さんの作品。国立新美術館の英語表示は「THE NATIONAL ART CENTER, TOKYO」とスッキリしたシンプルなもの。ロゴは「新」という漢字にこの美術館が独創的な活動を展開していく存在であることを凝縮させて表現している由。よく見ると「新」の漢字の全ての角が一切閉じられていません。「開かれた新しい場」を表象しているそうです。2022年5月29日、撮影。

 

 

NHK俳句です。僕の備忘録として書いています。お付き合い頂ければ幸いです。

5月第四週、選者は堀本祐樹さん、司会は武井壮さん。ゲストはファッションデザイナーの祐真朋樹さん。今回のテーマはファッション。「あなたのエピソード、俳句にします」のコーナーで ”なるほど” と思った添削がありました。

投稿句   夏服の君が振り向く坂の上

添削句   夏服の振り向く君や坂の上

堀本さんのアイデアは切字「や」を使って「君」の印象をハッキリさせる!。確かに語順を変えて「や」を使ったことで良い句になったように思いました。

テーマ「ファッション」の入選句で面白いと思った句です。

   サンドレスするり飲み干すギムレット

   夏帽の古稀の恩師と神楽坂

特選句です。

   ロールアップの踝やハンモック   (踝=くるぶし)

 

五月は(日曜日が)第五週までありましたので、最終週は増刊号「歳時記食堂---おいしい俳句いただきます」の放送がありました。宇多喜代子さんが女将さん、常連客が古坂大魔王さん、この日のお客は奥田瑛二さん。奥田さんは俳句歴30年以上で瀬戸内寂聴さんから「寂明(じゃくみょう)」という俳号を貰っています。若女将役には南沢奈央さん。

 

一品目は「そら豆」。

   そら豆はまことに青き味したり   細見綾子

細見綾子さんは明治40年兵庫県丹波市の旧家のお生まれ。肺を患い「来る日も来る日も横たわっていた」療養生活の時代の句だそうです。俳句が生きる支えになっていた由。宇多さん選の細見さんの三句です。「分かり易い言葉ばかり。そして深みがある」と宇多さんの評です。

   チューリップ喜びだけを持っている   細見綾子

   ふだん着でふだんの心桃の花   同

   つばめつばめ泥が好きなる燕かな   同

 

二品目は「鱧(はも)」。

宇多さんによると梅雨の水を飲んだ鱧が美味しい由。「つ」の字の立派な鱧(”つの字鱧”というそうです)が準備されて、宇多女将ご自身が ”はもきゅう” を料理して出していました。美味しそう。

   大粒の雨が来そうよ鱧の皮   草間時彦

宇多さんによると草間時彦は「食に関する(俳句の)第一人者」とか。

   ぐい吞みを小鉢代りの木の芽和え   草間時彦

楽しい句が多いです。なんと、この時に映っていたぐい吞みが我が家のものと同じでありました(なりやらチト嬉しい)。

 

三品目は「蜜豆」。

   単純な蜜豆でしたわが青春   上原恒子

上原さんはこの放送の収緑時に95歳の方。”三年前の2016年にNHK全国俳句大会で特選”との説明がありましたから収録は2019年だったのでしょうか。この句は、昭和22年にご主人と銀座で初デートした時を思い出して作った句だそうです。インタビューで「ご自分の句で一番好きなのはどれか」と聞かれて「ありません。これからです!」と答えておられていました。お元気にお過ごしされていることをお祈りしたいです。

 

今、神谷美恵子さん訳の「マルクス・アウレーリウス---自省録---」を読んでいますが、細見綾子さんの境涯の件を聞いていたら、神谷さんも21歳の時に肺結核を患って療養されていたことを思い出しました。神谷さんは療養中にギリシャ語を独習して、新約聖書マルクス・アウレーリウスを原書で読破されたと。神谷さんは大正3年のお生まれですから、細見さんとほぼ同じ世代。この時代の結核の重さを改めて感じてしまいます。

「自省録」は神谷さんが35歳の時、1949年に翻訳出版されたと思いますが、その後、1956年に岩波文庫版に収められたそうです。僕が買ったのは岩波文庫、2022年3月発行の第27刷です。本屋さんで面陳列されて置かれていました。超ロングセラーです。マルクス・アウレーリウスの自省録そのものの魅力に加えて今も変わらぬ神谷さんフアンが多いことの証明だと思います。

 

日経俳壇、5月28日、黒田杏子選です。

   憲法記念日ウクライナより難民来

   いくさなき五月の空や道の駅

   戦無き地球は夢か辛夷散る   (辛夷=こぶし)

 

 

 

メトロポリタン美術館展」を見に行く前日、居酒屋ヒデさんにお邪魔していました。

いつもながら充実のラインアップ。お昼からビール、日本酒、ワインを楽しまさせてもらいました。

この日の話題の中心はアラタくんの「じゃんけん大会」。幼稚園の自由遊びの企画としてアラタくん自ら先生に対して「じゃんけん大会やりたい!」と申し入れしたそうです。よく出来た先生でアラタくんの意見を真摯に受け止めてくれて「どんな大会にするか?どんなやり方にするか?」をみんなで相談しながら考える様に指導してくれた由。年長組の友達数人が集まり知恵を絞り合って  ”どうやったらみんなが参加して楽しい大会になるか” を自分達で考えた。司会進行役になったアラタくんは幼稚園の事務所で秘密のリハーサルもやったとか。

結果は?。先生に言わせると「一回目にしては大成功」。アラタくんはまだまだ不満足の様子であったものの子供達だけで反省会もやったとか。既に次回に向けての準備を始めているそうです。楽しく充実した幼稚園生活を送っているようで嬉しい、頼もしい限りです。

 

すっかりお馴染みになった「献立」です。ヒデさんパパが書いた余白にアラタくんがサインをいれました。すっかり割烹「新」です。”いい書体だねえ!”と感心して喜んでいます。

冒頭の国立『新』美術館のロゴですが、うちの家族では”これは国立『あらた』美術館である”と受けとめるようになっています(今回のブログは只々これを言いたかった)。爺バカの極みです。

 

 

鯱城学園の授業はコロナに影響を受けることなく続けられています。有難いことです。陶芸クラブは今日4回目の授業がありました。土練り、ひも作りの練習を続けています。いよいよ来週6月7日の授業ではひも作りの「壺」に挑戦します。どうなりますやら。

園芸科では山菊の「盆栽」と名古屋朝顔---名古屋式盆養切込みづくり大輪朝顔---に挑戦中です。いずれもチャンと出来れば展示会に出品することになるとか。僕の場合は枯らさずに花が咲くまでに育てることが出来るかどうかが最大の問題です。

いずれも(園芸も陶芸も)授業が終わった後は、仲間と喫茶店に入って楽しく歓談することがルーテインになっています。まだまだ制約が多い生活のなかでこの学園の機会は大変に有難いものだと感謝しています。

 

最後までお付き合い頂きましてありがとうございました。引き続きくれぐれもご自愛下さいます様に。

 

 

 

久しぶりのお弁当!

 

NHK俳句です。引き続き僕の備忘録として書いています。お付き合い頂ければ嬉しいです。5月第三週、選者は星野高士さん、司会は武井壮さん。ゲストは俳優の宮本真希さん。宮本さんは俳句王国愛媛県出身、小さい時から日常に俳句がある環境で育ったそうです。

星野さんのテーマ「会いたい俳人、12人」、今月は鈴木真砂女。星野さんによると真砂女は”愛を貫いた俳人”。千葉鴨川の老舗旅館に生まれて結婚するも様々な事情があり離婚、そして再婚、更に道ならぬ恋に落ち故郷を飛び出した由。銀座に小料理屋を出しそのお店「卯波(うなみ)」で月曜会という句会が開かれていたそうで、星野さんはお母様と一緒にこの句会に参加していたと。30年ほど前の写真を持参されていました。真砂女、藤田湘子、三橋敏雄、後藤綾子、中原道夫の並んでいる後ろに星野高士さん、その横に黒田杏子さんが映っていました。杏子さんが幹事役をしていたとか(若いなあと思いました。当たり前ですねえ)。

番組とテキストにあった真砂女らしい句です。一般的に「境涯句」と言われるそうです。「概して悲しいものになりがちだが、真砂女の句は読者を暗い気持ちにさせることがないように思う」と解説が有りました。その通りだと感じます。

   あるときは船より高き卯浪かな

   ふるさとを野火に追はるるごとく出でし

   夫を捨て家捨てて鰺叩きけり   (夫=つま)

   今生のいまが倖せ衣被    (衣被=きぬかつぎ)

   死なうかと囁かれしは蛍の夜   (囁かれし=ささやかれし)

   羅や人悲します恋をして   (羅=うすもの)

 

今週の兼題は「羅(うすもの)」だったのですが、真砂女さんの迫力のある句を先に読んでしまったので感激が薄れた様に感じました。今週の特選三句です。

一席   うすものに空かるくなる一日かな   (一日=ひとひ)

二席   風のやう影のやうにも薄衣

三席   羅がふわりと昇る昇降機

他の週が投句、作句の添削が中心になりがちな番組構成の中で、星野さんの趣向は面白いなあと感じ始めております。

 

5月14日、日経・俳壇です。

黒田杏子選。「停戦の見通しが立ちません」と。

   日本の五月ウクライナの五月   

   撤退の瓦礫を撫づる蝶の群れ 

   列なして人撃たれたり麦の秋

横澤放川選。

   戦なき空の高鳴り燕来る

   さまゞの事忘らるる桜かな

(スミマセン、投句された方の氏名は省略します)

 

前回のブログで「野鳥歳時記」の山谷春潮さんのこと、息子さんの倉本聰さんの事を記載しましたが、文藝春秋の今月号(六月号)にその倉本さんが寄稿されていました。面白く拝読しました。

お題は「老人よ、電気を消して『貧幸』に戻ろう!---浪費とはおさらば。子孫のため地球を洗い直す」。老人への提言です。老人世代が「ここ何十年地球を痛めつけ、環境危機を招いた」。「老人には贖罪の義務がある、それを最後の我々(老人)の仕事にしないか」という主旨。現在、倉本さんは87歳ということですが、力強い文章、説得力のあるフレーズに溢れた極めて具体的な提言でした。

「便利な生活=サボリのこと」「人がサボルことは代替エネルギーを使う」「次々と発明される新しいツールが不要不急な便利さを生み、それが環境に負荷を」かけていないか。「老人世代は質素だった昔を経験して来た世代」、「今昔ノート」を作って小さな日常の習慣を点検、洗い直しをしよう-----新聞、テレビ、冷暖房、照明、掃除、洗濯、買い物・包み紙、水・ペットボトル、移動手段、伝達方法、医学、等々の身近なところに『貧幸時代』の実践例を見出してはどうか、というものです。

昨今「SDGs」は大流行りですが、老人世代に対して呼びかけるというのは斬新でかつ的を得た発信であろうと感心しました。僕も一通りは普段の生活で”無駄をなくし始末を心掛ける”ようにしている積もりなのですが、いま一度身の回りを点検してみようかと思いました。それにしても日常生活のなかで「プラスチックの削減」というのはホントに難しい問題だなあと痛感しています。

 

おまけの料理です。久しぶりに弁当を作りました。

左、のり弁。海苔を刻んで二重に載せてその上に味付け炒り卵とじゃこ・ピーマン煮のっけ。右、ウインナーとハム炒め、蒸ブロコリー、新タマとキュウリ。鯱城学園に持参してお昼休みに教室で食べました。2022年5月13日、料理と撮影。

 

この弁当には総菜は使いませんでしたが、食材は全てプラスチック、ビニールに覆われていますよね。お米の袋、卵のパッケージ、海苔の包装、ピーマンの袋、ウインナー・ハムの袋、キュウリ・新タマ・ブロコリーの袋---ほぼ全てがプラゴミ。

スーパー等では一人分の総菜が売られていて大変に重宝していますが(便利!、サボリや)、これらはほぼ全てがプラ容器に入れて売られています。隠れ家の資源ゴミの内容を見ると、一にプラゴミ、二が缶(これはほとんどがビール)、三にビン(これは日本酒、ウイスキー、焼酎、ワイン等の消費が多いから)になっているように。二と三は別にして、一のプラゴミの多さが気になります。「貧幸時代」はどうしていたモノやら、もう一度、考え直してみようかと。

 

鯱城学園、再開後は今のところ全て出席出来ています。講座が終了した後、園芸科の仲間と一緒に喫茶店に入ることがルーテインになってきました。一年間いっしょに授業を受けその後二年間のコロナ休校があった。その間も農園作業で繋がっていたので連帯感が自然に強くなったのでしょう。信頼関係も出来てきており会話も弾むようになっています。有難い限りです。園芸の授業では「山菊の盆栽づくり」がテーマになっています。秋の菊花展への出品を目指す!とか。この盆栽仕立てというのは端から全く自信がありません。仕立て云々以前の問題で山菊を枯らすことなく育てられるかが心配です。

陶芸クラブは二回目も楽しく参加することが出来ました。菊練り、ひも作り、「筒花生」を作る練習。菊練りは相変わらずサッパリ要領を得ません。先生からも「菊練り三年!」とのお話がありました。

今の段階は粘土を練って、ひも作りして、積み上げて「筒」を作るまでの練習です。最後は手ロクロ台からしっぴきで切り離す。それを更にしっぴきで縦に真っ二つに切り分け、その断面を見る。ひもの積み上げ具合が薄く一様になっているかどうかを自分の眼で確かめます。やはりごつくてバラバラですねえ。一時間ほどかけて積み上げたものを一瞬のうちに元の粘土に戻します。うまく出来ないにしても”土を捏ねている”ということが楽しく感じられています。忘れていた懐かしい感覚ですね。次回(5/24)はひも作りで「壺」にトライするとのこと。楽しみにしています。

 

五月も中旬を過ぎました。寒暖の差が激しい日が続いていますが、お天気の時は大変に爽やかに感じます。散策には最高の季節です。

 

  

久しぶりに平和公園一万歩コースを全て歩きました。写真は平和公園の猫が洞池。

5月8日にパワーシャベル三台が水没、浸水したとツイッター投稿があったそうです。それを地元メデイアが報道していたのを長男(小雪チャンのパパ)が教えてくれました。翌々日、気持ちの良い天気だったので見物方々ウオーキングに出かけました。池のしゅんせつ工事のため水位は大幅に少なくなっています。普段は左の写真の階段の下段くらいまでは水がきています。右の写真、水没、浸水した重機でしょうか。周りはフェンスで取り囲まれていて安全確保はされているようでした。この手前は芝生の広場が広がっていて親子連れがたくさん遊びに来るところですからくれぐれも注意が必要です。事故現場にはかなりの数の見物客が足を運んでいました(僕も含めて)。2022年5月14日、撮影。

  

厚労省の専門家組織はマスク着用の見直しについてとりまとめをしたそうです。距離が十分であれば「不要」との見解とか。まだ感染者の数は高留まりの状態が続いていますから引き続き十分に注意する必要があります。

散歩、散策の時には元々必要なかろうと思っていましたが、道中ですれ違う方が嫌な気分になるのはこちらも嫌なので着用するようにしていました。気兼ねすることなしに日常を一つずつ取り戻すことが出来れば嬉しいですね。皆さまも引き続きご自愛下さいます様に。

 

 

カワセミを見た!

僕の隠れ家の近辺は散策には大変に恵まれた場所で、ブログで何回も紹介しています「平和公園」「東山動植物園」があります。名古屋市千種区です。それぞれその周辺が一万歩コースのウオーキングコースになっていますが、この辺りから東側に足を伸ばすともう少しワイルドな感じの「緑地」が残っています。千種区のお隣の名東区です。

前回、鯱城学園の楽陶館のことを紹介しましたが、楽陶館は名古屋市名東区にあります。そして、名東区には地図を検索すると直ぐに気がつくほど大きな緑地が少なくとも二つあります。一つは「牧野ヶ池緑地」、もう一つが「猪高緑地」。牧野ヶ池緑地はその緑地の中に名門「愛知カンツリー俱楽部」を擁するほどの大きな緑地。このゴルフコースには仲間に連れて行ってもらう機会があるのですが、前回にプレイした時にゴルフ場を取り巻く緑地にある神社(白美龍神)の話を聞き、その翌日に隠れ家から歩いて散策に行ったことがありました。緑地の周辺も散策して予想以上のウオーキングとなりました(道にも迷いました)。往復で5時間ほどは歩いたかと。

 

そして、もう一つの「猪高緑地」は楽陶館の近くにあります。「猪高=いたか」と読みます。「楽陶館」の場所を検索している時に気がつき、機会があれば歩いてみようと思っていました。

5月8日、日曜日。快晴。元々の予定していた行事が順延となりポッカリと時間が空いたので爽やかなお天気に後押しされて隠れ家から歩いてみようかと思い立ちました。

 

楽陶館の最寄りの駅(本郷駅)までは僕の駅から6っ目になります。地下鉄の駅の2~3駅程度はちょうど歩くのに適当な距離なのでよく歩いていますが、6っとなるとややハードルが高い。それでもお天気が気持ち良い快晴であったのと、最近の運動不足の解消のため!と気合を入れて挑戦することにしました。

 

猪高緑地の方がやや遠いのですが、牧野ヶ池緑地を歩いた経験から、まあほぼ同じような遠さ加減であろうと、それなりの感覚は持っておりました。歩きやすい服装(ほぼ京都トレイルに行く時の格好)をして水分だけは多めに持参して出発しました。

 

そう言えば最近新しい”道”を歩く機会が少なくなっていることに気がつきました。いつも同じ道を歩いていると刺激が無い。無理してでも違ったルートを通るべし。今は亡きあの日野原さんもおっしゃっていたように思います。途中までは勝手知ったる道でしたが、出来るだけ裏通り、知らない道を通るようにしました。

残念なことに(予想していたとはいえ)、道中は主要道路の側道、歩道を歩くことになります。ずっと舗装道路。高速道路のジャンクションを越えていく必要もあります。歩いていて面白いとは思えないルート。京都の市街、郊外散策とは比較にならないのが寂しい限りです。

 

楽陶館を通り越して緑地の南東側の入り口に到着しました。既に一時間半ほどは歩いたか。道中が余り楽しい道路でなかったので距離がすごく長ーく感じます。楽陶館から歩いて10-15分の処でしょう。緑地の中に足を踏み入れると起伏が多く、人が少ない。自然がそのまま残っている環境なのに驚きました。東山、平和公園の周辺コースよりも、京都トレイル並みの自然が残っている感じがします。気持ちの良い里山の風情です。

緑地の北西側の湿地に差し掛かる辺りに小さな池がありました。そこでカワセミを見たのです。周りに誰も人はいない。ゆっくりと近づいてみよう。残念、焦ってガサッと音を立ててしまいました。カワセミ君は、さっさと飛び立ってしまいました。その飛び去った時の色が誠に見事な青い色でした。大変に鮮やか。キレイとしか言いようがない。写真に撮ることは出来ませんでしたが、まあ、僕の携帯のカメラで撮れたとしても、きっちゃんのようにはいかなかったでしょう。撮れなかったことで余計に鮮やかさが記憶に残ったのだろうと思います。

ここに至る道中の舗装道路をトボトボと歩いたアホらしさも忘れてカワセミを見たことで大変に嬉しい気分になりました。ここまで歩いて良かったと思いました。「犬も歩けば棒に当たる」「思い立ったが吉日」、よく言ったもんだと思います。

 

カワセミがいた池です。この横の木に留まっておりました。魚を狙っていたのかしら。

 

猪高緑地の中心部にある「塚の杁池」、最大の池です。途中、休憩も取り寄り道もして隠れ家を出てから代えるまで6時間近くかかっておりました。ゆっくりと休みました。

 

連休中は、家族、仲間達と沢山遊ぶことが出来ました。久しぶりに予定がいっぱい詰まって連日の行事をこなしました。一昔前はこの程度は当たり前だったと思うのですが、コロナのせいか、はたまた、歳のせいか毎日何かやらねばならないことが続くと(例えそれが楽しいことでも)やや疲れるようにも思います。逆に何もすることが無くなると寂しくなるのに全く贅沢なことです。とにかく心身ともに健康を維持したいものです。

 

 

NHK俳句です。僕の備忘録として書いています。お付き合い頂ければ幸いです。

5月第一週。選者は高柳克弘さん。司会はいつもの武井壮さん。ゲストには女優の高柳明音(あかね)さん。今週の兼題は「四十雀シジュウカラ)」。テーマは「はばたけ、野鳥俳句」で、ゲストの明音さんは大の愛鳥家とのこと(同姓ですが親戚筋等ではなさそうでした)。今週も野鳥の映像、動画を映し出して解説していました。四十雀を詠った名句です。

   追ひすがり追ひすがり来て四十雀   石田波郷

テキストにあった面白い句、芭蕉の句です。

   老の名のありともしらで四十雀  芭蕉

ただし、このような詠み方は言葉遊びに近いものになるので映像性に乏しくなることに注意が必要とのことでした。放送では紹介されていなかったと思いますが、以下はテキストから抜粋。野鳥はまだ十分に俳句に詠まれていないテーマで、かつて歳時記での扱いに異議を申し立てが俳人がいたそうです。山谷春潮さん(明治32年生まれ、昭和27年没)。山谷さんは水原秋櫻子主宰の「馬酔木」の俳人であり、日本野鳥の会に所属する愛鳥家。個性ある鳥たちが十把一からげに「囀り(さえずり)」(=春の季語だそうです)や、「小鳥」(=秋の季語)にまとめられているのは問題であると考え、独自に「野鳥歳時記」を編纂(昭和18年刊)したと。「四十雀」自体、歳時記の多くでは「夏」の季語とされているそうですが、この「野鳥歳時記」では「無季」に分類されているとか。歴史の浅い季語では歳時記編者によるブレはよく生じることだそうです。手元にある稲畑汀子編「ホトトギス新歳時記」を見ると「四十雀」は秋・10月の季語に載せられていました。大発見でした。編纂者によってこれ程ブレがあるとは知りませんでした。

今週の特選三句です。

一席   四十雀開店急かす森のカフェ

二席   スコップに掬ふ亡骸四十雀

三席   金婚へぼけとつっこみ四十雀

三席の句は面白いなあと思いました。僕は28歳の時に結婚したので金婚はもう少し先ですがこの句の様に生きたいものです。一席の句は、京都トレイルの森のレストランを思い出しました。いい句ですね。

 

改めてカワセミを思い出しました。ホトトギスの新歳時記を捲ると6月・夏の季語に載っていました。カワセミ翡翠。例句を見てビックリして、感心しました。

   はっきりと翡翠色にとびにけり   中村草田男

僕が感じたことがそのまま句になっていました。これが俳句の季語の力というもんですかね。とても僕にはこの様に言葉に出来ないです。

 

 

第二週です。選者は井上弘美さん。司会は武井壮さん。ゲストも引き続きお笑い芸人のマツモトクラブさん。前回プレゼントされた歳時記を「読み込んできた!」と気合が入っていました。今週の兼題は「立夏」。今年は5月5日が立夏、暦の上で夏に。クラブさんに宿題が出ていました。宿題は「かけがえのない一日を詠む」。

   花立てにカーネーションと感謝とを   マツモトクラブ

亡きお母さまの墓参りに行った時のことを思い出して詠んだ句だそうです。俳句ナビの弘美先生から「良く出来ている。”母の日”と言わないでそのことを表現出来ている」と褒められていました。弘美先生の添削です。

   一束のカーネーションと感謝かな   添削・弘美 

とされていました。クラブさんは「一束」で「(霊前に花を)『手向ける』ことを表現出来ている」と絶妙のフォローをしていましたが僕にはそうは理解出来ませんでした。これで読む人に「亡き母」が分かるのかしら?元の句のほうが「亡き母」と言わないでその事を表現出来ているのでは、と思いました。・・・何事に付けこんな風にブツブツと文句をいってるようでは上達しないのでしょうねえ。素直に学ぶ姿勢を大切にしたいと思います。反省です。

今週の特選です。

一席   百名山百の頂き夏来る

二席   掌に立夏の海のひと滴

三席   一灯にマリアのあをむを立夏かな

 

テキストを見ていたら、第一週の「野鳥歳時記」を編んだ山谷春潮さんは脚本家の倉本聰さんの御父上である、との記載を見つけました。倉本聰は1935年生まれ、僕よりも15歳の年長さんです。数年前に某飲料メーカーの広告記事に登場しておられてインパクトのあるフレーズが掲載されていました。

「60代の若者たちへ」、「この先をどう生きるか。しまっておいた夢を取り出してみないか。」

この新聞記事まだ取ってあります。

 

日経俳壇、5月7日、この週も横澤放川選にウクライナ句がありました。

   ナチス化いけしやあしやあと萬愚節   朝田黒冬

   キエフまで九千キロやかたつむり   野上卓

 

昨日、5月9日はロシアの77回目の戦勝記念日プーチンの演説が報道されていました。軍事侵攻を一方的に正当化するだけの内容だったように思いました。「戦争情態」宣言は無し、懸念された核戦力を言及することも無かったようです。全く「いけしやあしやあと万愚節」としか聞こえません。報道統制が厳しいとはいえ彼の地の普通の人びとはこの演説をどんな風に受け止めているのでしょうか。怖いです。

連休が明けてコロナの感染者が増加しています。益々個々人の対応が大切になってきているように感じます。皆さまもくれぐれもご自愛下さいませ。

今日の午後は楽陶館に行ってきます。陶芸クラブの二回目です。「菊練り」、出来るかなあ?。