クルルのおじさん 料理を楽しむ

『2030未来への分岐点』

f:id:hayakira-kururu:20210511111313j:plain

名古屋市千種区平和公園の猫ヶ洞池(ねこがほらいけ)。久しぶりに平和公園一万歩コースを大回りして歩きました。隠れ家から歩いてすぐの処にコースの起点があります。季節も良くなってきましたので閉じ籠っていないでウオーキングを楽しみたいと思っています。今日は約二時間ほど歩きました。快晴、気持ちの良いウオーキングでした。2021年5月6日、撮影。

 

 

 5月7日、緊急事態宣言が5月末まで延長されることが決まったと報道されていました。東京、大阪・京都・兵庫に加えて、愛知と福岡も対象(12日から)となりました。行政措置に対する自分の反応が””鈍感””になってきていると感じておりますが、このところの変異株の感染の広がり、重症者の増加が著しいことはやはり気にかかります。さすがに外食、会食の機会は出来るだけ少なくするように心がけるようになりました。

 

 幸い、隠れ家に一人いても楽しく時間を過ごすことが出来るので有難い限りだと思っています。TVはもっぱらニュースとスポーツ番組だけでそれ以外は余り見ていませんが、この日、たまたまテレビをつけたらNHKのBSでこの番組をやっていました。『2030未来への分岐点---水・食料の問題』。4月に放送があったものの再放送のようですが最初の放送は見逃していました。

 

 

 今年は秋に国連・食料サミットが開催されるそうです。2030年にSDGs達成を目標に掲げていますが、もちろん「食料」は大きなテーマの一つです。このNHKの番組もSDGsのテーマを順次取り上げている作品の一つだと思います。いかにもNHK的な取り上げ方だと思うのですが「食料」には以前から興味・関心を持っているので興味深く拝見しました。以下、自分の備忘録として書いておきます。お付き合い頂ければ嬉しいです。

 

 

番組の構成は、問題提起⇒その重大性、原因・要因⇒そして、その解決策?、となっています。資料解説だけでなく世界各地での実際の取材映像、ドラマ仕立て、インタビュー形式で組み立てられているので見ていて飽きなかったです。

問題を放置しておけば近未来の2050年にはフードショックの発生が現実になるということを強調しているのが印象的でした。フードショックとは食料の不足により「社会の不安定化、難民の発生、暴動、飢餓」を意味しているもの(と思います)。

 

●問題提起としては、「先進諸国、特に日本での『飽食』の生活。それに対して一方では「8億人が飢餓」という現実。その二つが存在している世界」。「飽食」に付随して「食品廃棄、食品ロス」の大きいこと。日本の食品ロスは年間612万トンに達していて、その量は国連の食料支援の1.5倍の量に匹敵していると。

とにかく、「現在の『食料システム』は持続可能なものではない」。「食料システム」という言葉は現在の世界の食料の生産・加工・輸送そして消費までの全体の流れ(および、その矛盾・歪み)を指しているようです。

 

 

●「持続可能でない」ことの矛先はまず「肉」の大量消費に向けられています。

牛肉1㎏の生産に要する飼料(代表的な作物がトウモロコシ)の量が6~20㎏必要であることがその理由です。世界の穀物生産量は約27億トン。世界人口78億人で一日一人当たり2,348kcalに相当する穀物が生産されており理論上は飢餓が無い世界が実現できる水準になっている。しかし、世界の穀物生産のおよそ1/3は「肉」を生産するために家畜の飼料に費やされている。「肉」の生産に必要な大量の穀物生産を維持するために森林破壊が進み、それが「水」に大きな影響を与え、大地に異変が起きている。地下水の枯渇が世界各地で現実的な問題となっている。全世界の水資源の7割は農作物の生産に使用されていて、水資源が枯渇しようとしている最大の要因が「肉」の大量消費である、という説明です。

 

「バーチャル・ウオーター」という概念で食料を「水」換算すると、牛肉1㎏を輸入する=穀物6~20㎏が必要=15,415リットル(ℓ)の水に相当するそうです。日本は年間80兆ℓのバーシャル・ウオーターを輸入している計算になり、これは日本の水の消費量に等しい量になる(桁が大きすぎて全くピンと来ませんが)。水資源の管理は、従来「ローカル」な問題と見做されていたが、これこそは「グローバル」な問題であると。ごもっともな指摘だと思いました。

 

 

●「食料システム」の歪みをもたらした要因の一つが「単一品種、大規模栽培」「農薬と化学肥料の大量投入」の農業であると強調されています。これにより食料の「生産国」と「消費国」が切り離された。現在、食料の輸出は20か国に独占されている(「独占」という表現よりは””20か国に「集中」している””のほうが妥当と思いますが)。「肉」の飼料の代表であるトウモロコシについていえばより顕著で、トウモロコシの世界の輸出の75%は5か国に集中しているとのことです。

 

「単一品種、大規模栽培」の歪みは、カカオ、パームヤシ、サトウキビの農園でも顕著。農園の拡大⇒小規模・零細農家の減少⇒失業、低賃金労働。また、熱帯雨林の破壊につながっており、さらに、農園の拡大により従来の農作物栽培が出来ない=自給が出来ない=飢餓の恐れに繋がっていると。

・・・大豆・トウモロコシ、パーム油等々、現役の時にこの仕事に携わっていた者としては、この辺りの議論の進め方には反論したいところもあるのですが。「緑の革命」のプラスの意義は大変に大きいモノがあった訳だし(その反作用が大き過ぎるのも確かですが)、現代の「農園」では病院、学校、衛生的な住居の提供が行われており近隣住民の生活向上にも大変に寄与しています。

 

また、世界の温室効果ガスの排出の約1/4は「食料システム」が原因だそうです。地球温暖化がますます進んでいること、深刻化していること、そして気候変動の頻度(洪水と干ばつの繰り返し)のリスクが高まっていて食料危機に繋がることが繰り返し紹介されていました。

とにかく、「飽食(贅沢)が大問題。美味しいモノをたくさん食べたい、という人間の欲望そしてその食生活。肥満人口が20億人いる一方で栄養失調の人が20億人いる。現在の食料システムは本来、飢餓を無くそうという目的に合致しないものになってしまっている(食料問題の研究者の総括)」

 

更に、このままの状態が続いて行けば、食料危機が地球規模で社会的な混乱に繋がっていくことが指摘されています。レバノンの現実の状況として、国家財政悪化・通貨の下落・極端なインフレにより、もともと食料自給率40%で輸入により豊かな食生活を送っていた国で食料価格が大幅に上昇。モノはあるのに高価過ぎて買うことが出来ない。飼料が輸入出来ないから肉・卵の生産が出来ない。市場で卵を奪い合っている様がレポートされていました。レバノンの食料自給率は日本とほぼ同じくらい低い水準ですから、そういう国が陥るリスクに警鐘を鳴らしているものでしょう。

 

 

●解決策が模索されています。

①持続可能な農法で生産性を高める工夫をすること、②生態系、熱帯雨林を守ること、③食生活を改善して食料需要を減らすこと、食品ロス・廃棄を減らすこと、④農地の回復を図ること。

世界銀行のアナリスト、国連WFPの事務局長の話では、食品ロス・廃棄は、世界の穀物生産の1/3に相当する量とのことで、生産国では畑から市場に出る間に、消費国では食卓にて、それぞれおよそ1/3の無駄が発生しているとのことでした。

 

スウェーデンで開催されているEATフォーラムでは「プラネタリーダイエット」が提唱されている由。食料システムを見直して食料資源の偏りを解消する、食生活を変えよう、そういう食事の推奨です、

「野菜・穀物と豆を中心とする食生活に。先進国では肉の消費を8割削減する。そして、肉の生産に使用されている穀物を貧民層に回して偏りを解消する。そうすれば、地球を守りながら100億人を養える」というものです。

 

解決策は「肉の消費を減らす」「持続可能な農法」「食品ロスを減らす」が骨子のようです。具体的な取り組みの事例が紹介されていました。

アメリカでの人口肉の開発。大豆を主原料とした「肉」です。味、食感はもはや料理のプロが試食しても分からない出来栄え。人工肉は、水の使用を87%減少させ、温室効果ガスを89%削減できるそうです。

・ガーナでの不耕起栽培。大地の力を引き出す農法です。下草カバーの土壌改善効果を重視。農薬、化学肥料無しで30%以上の増産が可能になっている。小規模農家の復活が進み、食料の不足は無くなり余剰作物を市場に持ち込んで現金収入も得られていると。

アメリカでの食品ロス削減運動。廃棄される農作物、食品を大規模に回収し再分配する。大学生が主導しています。鍵は輸送手段のようです。

 

「SDGs達成は大変に難しいこと、食生活を変えることも大変に難しいことであるが、今の『食料システム』のままでは、地球規模の食料危機が間違いなく起こる。そして、残された時間は少なくなってきているが2030年までの10年間で、それを避けるために出来ることがある、持続的な繁栄の道はある」ことを強く訴えられていました。

 

 

全般的に””国・政府レベルでの行政施策を通じて目標を達成していく、改革を行っていく””というよりも、””現場での個々のレベルでのやり方・考え方を変えること””で解決策を見出していこうとするような印象を受けました。これらの施策で充分なのかしら?、という印象を持ちました(・・・今のコロナ対策に対する不満足感のような?主体はそもそも異なっているのは分かっているのですが)。

スウェーデンのフォーラムの様子を見ていると、””民間の個々人の有意の活動が賛同・支持を得てネットで広がり大きな世論が形成され、その世論の支持を得られない政権は淘汰、排除される。民意に賛同を得られない政策、行政は排除される””ということを前提に考えているような。世界では、そんな考え方が当たり前の流れになってきているのですかね。

 

ちょっとオチョクって言えば、今のうちに肉を食べておこうと受け止めるか、一汁一菜の日本の和食生活に回帰しようとするか、重大な分岐点かも知れません。間違いなく言えることは、食品ロスはホントに無駄だと思います。可能な限り少なくするように努力したいものです。

 

 今朝のNHK中部のニュースで、三重県の若い農家さんの「節水農法」が紹介されていました。ハウス栽培のトマトですが、湿気を保つ膜(繊維)を土の代わりに使うそうです。水の必要量を大幅に抑えることが出来て、根が丈夫に発達してトマトの糖度も高くなる。旨い!と。海外からの視察も絶えないそうです。こういう農園がもっと儲かるようになったらイイですね。

そもそも、日本の水田でのお米作りは自然にも優しく人間にも優しいものだと信じていますが、もっと、日本のお米作りが「持続可能な農法」であることをアピールすればよいのにと切に思います。

 

 

2030年には80歳、2050年には100歳です(生きていればですが)。100歳になった僕が見る日本と地球はどうなっているものでしょうか。故橋本治さんにまた小説を書いてもらいたいような・・・。

 

 

 

f:id:hayakira-kururu:20210512092454j:plain   f:id:hayakira-kururu:20210512092402j:plain

「SDGs達成」を少しは気にしながらも能天気に料理を楽しんでおります。

左;農園で収穫したスナップエンドウを使って。スナップエンドウ、トマトと卵炒め。味付けに出汁つゆを加えました。上出来!。スナップエンドウが沢山あったのでこの後三回も作りました。自分で収穫したのは少しだったのですが、仲間が分けてくれました。感謝です。

右:手羽元の黒酢煮。バーミキュラ鍋で。ネギ、ショウガを加えて。柔らかく出来ました(器に移してからフライパンのタレを上からかけておくべきであったと反省してます)。ニワトリはバーチャルウォーターの使用量は少ない(多分)なんてことも考えたり(…してないですね)。2021年5月6~9日、料理と撮影。

5月、まだまだ・ますます「凌ぐ」日々が続いています。

 

f:id:hayakira-kururu:20210502180027j:plain

くちなしの花が咲きました。一か月ほど前に名古屋市地下鉄、本山駅近くの花屋さんでツボミの付いた苗木を買って鉢植えしたもの。隣は万両。ずっと赤い実を付けたままです。タヌキさんはこの鉢の横のドアを挟んで左側の隅にいます。マンションで言うところの共有スペースなのですが皆さまのご了解を得てこの場所に置いています。2021年5月2日、撮影。

 

 

久しぶりに「NHK俳句」です。4月新年度で選者さんが交代されました。2月、3月は端折りましたが、改めて4月から自分の備忘録として簡単に書き残しておこうと思います。お付き合い頂ければ嬉しいです。

 

 

第一週、選者は片山由美子さん、司会が武井壮さん。ゲストにピアニストの反田恭平さん。反田さんは武井さんのお友達、片山さんも大のフアンで後援会に入っている由です。最もチケットが取り難いピアニスト(のお一人)との紹介がありました。選者の片山さんは1952年のお生まれ。本年の講座のテーマは「見直し『俳句の常識』」。

「俳句にはルールがある。そのルールがあるからこそ自由になれるとも言える。しかし、縛られ過ぎるのも危険。時には常識を破ることにも挑戦してみる」という主旨です。

今週のテーマは「字余り」。番組では上五の字余りの名句を紹介。ゲストの反田さんに読んでもらい字余りの効果、リズムと韻律が自然な調べとして感じられることが大切であることを説明されていました。また、クラッシク音楽の中でも同様のことがあることをショパン夜想曲の連譜(装飾音)の効果を反田さんのピアノ演奏で確かめていました。反田さんの「(忙しく聴こえないように)オシャレにサラッと弾くのが大切と」とのコメントが憎いところです。俳句の番組でピアノ演奏を楽しめました。テキストに記載されていた上・中・下それぞれの字余りの名句を記載しておきます。

   白牡丹といふといえども紅ほのか   高浜虚子

   このあたり目に見ゆるものはみな涼し   芭蕉

   灯ともせば雛壇の緋の末広がり   鷹羽狩行

 

今週の兼題は「入学」。特選三句です。

一席   入学の子と門くぐる母校かな

二席   愛犬を諭して帰す入学式

三席   入学のわが子の見えず武道館

 

面白いと思った句です。自由題での投句でした。

     菜の花やふるさと行きの土讃線

 

   

第二週、選者は鴇田智哉(ときたともや)さん。司会は岸本葉子さん。ゲストは岩崎う大さん。ゲストのう大さんはお笑い芸人・かもめんたる、ネタ・マンガの執筆もされている方。選者の鴇田さんは1969年生まれ。「『句のひとみ』になって読む」ことをキーワードに「感じ取ること」と「言葉」を大切に俳句をしていこうと。今週のテーマは「じっと見る『句のひとみ』」。『句のひとみ」とは鴇田さんの造語の様ですが「その句の主語や主人公、登場人物を超えて、句全体にゆきわたる一つの視野」のこととか(難しい、俄かには理解出来ません)。具体的な句で説明されていました。

 

   霜掃きし箒しばらくして倒る   能村登四郎

「立てかけられた箒がしばらくして倒れるのをずっと見ていたのはいったい誰なのか!」、面白い問いかけですね。鴇田さんは、例えば、境内の「狛犬」かも知れないと言い、岸本さんは「賽銭箱」と答え、ゲストのう大さんは「地面」と話しました。箒が地面にこつんと倒れ落ちて、地面が「痛っ!」と。お笑いの本を書いている方は感性が鋭いように思います。定点観測の固定カメラの様な視線の存在を鴇田さんは「句のひとみ」と呼んでいると。面白い!ですね。俳句は一瞬を切り取る、と言われますが「長い一瞬もある」というお話も面白く思いました。

今週の兼題は「菜の花」、特選一席のみ記載しておきます。

一席   菜の花を怒りの色と思うまで

 

 

第三週、選者は岸本尚毅さん。司会は中田喜子さん。ゲストは落語家の金原亭馬治さん。岸本さんは1961年生まれ、岸本さんの本年のテーマは「俳句と想像力」。「句を作るときも読むときも想像力は頼りになる相棒」とのこと。今週のテーマは「時間と想像力」。番組とテキストに記載のあった「時の流れ」の名句です。

 

   遅き日のつもりて遠きむかしかな   蕪村

   去年今年貫く棒の如きもの   高浜虚子

 

馬治師匠が落語、講談での時間の経過を表現するワザ・言い回しを紹介していました。落語の自由自在に時間を操る話術というのは素晴らしいものです。司会の中田さんがやや仰々しい話し方でしたが、岸本さんの淡々とした受け答えに助けられたように思いました。今月の兼題は「日永・遅日」、特選三句です。

 

一席   四歳と七十歳のくれかぬる

二席   木を抜けば頭に穴の開く日永

三席   珈琲と植物図鑑窓日永

 

一席の句は良いですねえ。まるで自分と孫のことのように嬉しく感じました。余計なお世話ですが、二席の「開く」は「空く」の方が合っているように、また三席の中下は漢字が続いて重苦しく思いました。

 

第四週は見ることが出来ませんでした。テキストには「俳句、二歩目へ」と題して昨年に続き先生が櫂未知子さん、司会が塚地武雄さんと記載されています。来月からちゃんと見たいものです。

 

  

注目(?)の名古屋市長選は、現職の河村さんが4期目(5回目)の当選を決めました。前回記載した名古屋通の方の読み通りになりました。やはりこの方、河村さんには岩盤の支持層がついていらっしゃるようです。最も、得票率は51.7%と過去最低だそうです。県知事の大村氏との対立も深刻のようで選挙後の4月26日の記者会見で大村知事は河村氏について問われて「(コロナ対策については)いてもいなくても同じ。まともに話は出来ない」とバッサリと切り捨てた(日経、4/27記事)とか。この記事で知りましたが、大村さんが支持していた対立候補には「自民党から共産党まで各会派が支持した」そうです。これも如何なものかと今更ながら感じてしまいました。

 

余り期待していなかったワクチンクーポンですが4月末に郵送されてきました。「国からのお知らせ」「名古屋市からのお知らせ」が同封されていて接種の説明が記載されていました。例によって分かり難い記載。電話での問い合わせは絶望的だと聞いていましたのでWEBで検索してみましたが、こちらも(年寄りには)ナカナカに分かり難い。とにかく、名古屋市では集団接種、個別接種の両方の体制が取られていることは理解出来ました。集団接種のWEB予約は既に予約が満杯との表示があり、””やはりこりゃあアカンわ””と思いましたが、個別接種の登録医療機関を見ていると、普段お世話になっているかかりつけ内科の名前を見つけることが出来ました。藁にもすがる思い、ダメもとでこの内科に連絡を取りました。内科の方も大変に混乱していましたが、結果的には、内科で問診を受けたあとで一回目を6月中旬、二回目を7月初めに接種の予約をすることが出来ました。いつもノンビリしている先生もさすがにお疲れの様子。問診の際、元気を出してもらおうと洒落の気持ちも含め日経の「ワクチン””お通し””説」の記事を紹介したのですが、すでに良くご存じでした。真面目な先生なので「当地の医師会、当内科としては行政からの要請に応じて接種予約の受け付けを出来る限り前広に進めているのですが…。本当にワクチンが届くかどうか…。我々には管理出来ないことなので申し訳ありませんねえ」と。果たして予約通りに接種は受けることが出来るものでしょうかね。

 

世界的に見ても「感染封じ込め、優劣が鮮明に」なっているようです。イスラエル、英国では一回以上の接種がそれぞれ6割、5割に達して「集団免疫」も視野に入りつつある。一方、インドでは「三重変異」も発見されているとか(4月27日、日経記事)。米国ニューヨークでは、同接種が成人市民では5割以上となり、市内での経済活動を全面的に再開、飲食や劇場での人数制限を全て撤廃するとか(4月30日、同)。どうしても僕ら凡人は他の国、地域、都市、街との比較でモノゴトを考えてしまいます。これ以上に日本国の「比較劣位」が進まないようにしてほしいものです。

 

今後はワクチン接種と並行して、””治療薬””そのものが最大の関心事になろうかと思いますが、最近、開発のニュースには全くご無沙汰ですね。せめて、この分野では日本が世界の先進国になって欲しいモノですねえ。夢のまた夢かしら?。

 

 

f:id:hayakira-kururu:20210502175459j:plain  f:id:hayakira-kururu:20210502175512j:plain

 久しぶりに「居酒屋ヒデさん」にお邪魔しました。いつもながら手際の良い準備振りでありました。写真左、中央の列・右側のお皿から「鰹のヅケ」「エビとスナップエンドウ・春のお豆の炒め物」「キャベツの蒸し煮」「チャーシュー」「キノコのマリネ」「アスパラの素焼き」、下段のお皿「鯛のアクアパッツア」。写真右、「アボガドのなめろう」。

「エビと春お豆の炒め物」と「アクアパッツア」が秀逸でありましたが、最後に出してくれた「アボガドのなめろう」が一番人気。ネギ、紫蘇、ミョウガを刻んで加えて、味付けは味噌と味醂の由。アボガドの皮を剥くのは、半分に切って種を取り出してから、更に半分(全体の1/4)に切ると簡単に出来るとか。名古屋でもやってみたいと思っています。2021年4月24日、撮影。

お昼からビール、ワインを頂き第三週の兼題「日永・遅日」を満喫した一日となりました。新くんは4歳、僕は70歳ですから、この週の一席の句、

    四歳と七十歳のくれかぬる

 

まさにこの通りでありました。僕もこんな句を自作で詠んでみたいものです。励みます。

  

2021年4月の風景

 

f:id:hayakira-kururu:20210420135439j:plain

名古屋城「金シャチ」特別展覧に行ってきました。久しぶりに「あほ桐会」の集まりです。名古屋市栄の久屋大通公園(セントラルパーク)の特設会場に4月10日から展示されています(7月11日まで)。三密対策を十分にされての観覧。見学ルートも二手に分かれていて、時間に余裕の無い方はほぼ待ち時間無しで用意されている撮影ポイントに行けます。そこで記念撮影が出来る様になっています。じっくりと見学したい人は展示されている舞台の上に登るルートが準備されていて一組ずつ順番に舞台の上に。雄シャチの胸の辺りにタッチすることが許されているポイントがあり、そこで実際に手を触れて金シャチの感触を味わえるようになっています。僕たちはモチロンゆっくりとタッチするコースを回りました。写真はタッチした後、雄シャチをアップで撮ったもの(2021年4月16日、撮影)。

 

 

金シャチ展を見た後、食事まで時間があったので””美術館に行こうか博物館にするか””云々と話をするうちに、ふと、目の前に聳えている名古屋テレビ塔が目に入りました。””そう言えば名古屋に来て以来まだ登ったことが無い””、他のメンバーは経験済みでしたが、改修された後は皆さんまだ行ったことが無かったので喜んで付き合ってくれました。名古屋テレビ塔は2018年12月から耐震改修の準備工事を開始、2019年1月から営業を停止して、2020年9月18日に工事を完了してグランドオープンしたものです。

 

 

高さは地上180m、半分の地上90mのところに展望台があります。やや曇ってはいましたが遥かに展望が開けています。遠くの山並みが朧にしか見えませんでしたが、ここでふと素朴な疑問が湧いてきました。””曇っているから見えていないが、晴れていれば富士山が望めるのでは…??””。仲間からの「南アルプスが障害となるであろうから晴れていても望むことは出来ない」という意見に怯むこともなく地上階のガイドさんに質問をぶつけて見ました。最初の方はご存じ無いのかオロオロとするばかり、傍で聞いていた別の方が「(富士山は)見えないと思います。少しお待ちくださいませ」と机の上のタブレットを手早く操作、TV塔から富士山への直線距離上にある障害物=標高の高いものをグラフ化したものを表示してくれました。

正解は「名古屋テレビ塔から富士山を見ることは出来ない」。一番、近い障害は猿投山でした。標高が629m、豊田市瀬戸市の間にある山です。面白い名前だと思いますが「さなげやま」と読みます。軽登山に人気のある謂れのある山です。その先にはやはり南アルプスが視線の行く手を遮っておりました。紀伊半島のどこやらからは遥か富士山を望めるそうですが、名古屋市はそれよりもかなり北にあるという当たり前のことを改めて認識出来ました。嫌な顔一つせずに変な質問をするオッサンに説得力のあるグラフを表示してくれたガイドさんの手際の良さに拍手でした。お世話をおかけしました。

 

 

「あほ桐会」のことはこのブログにも書いたことはあるのですが、””あれはいつのことやったかいなあ~””不確かな記憶を手繰り寄せて探してみたら、見事に見つけることが出来ました(自分で書いているブログなので過去記事を探すことぐらい出来て当然なのですが…)。以下に埋め込んでおきます。2020年1月の話なのですが、イロイロな意味で懐かしい記事です。鯱城学園の三学期の開始を控えていた時でした。新年会、家族会を楽しんでいました。会食のあとはカラオケに行ったりしていたのですねえ。これがコロナ前の日常であったというのが良く分かります。ほんの一年ちょっと前のことなのに、今、思い出すともう随分と昔のことのように感じます。人間の記憶の曖昧さ、いや、僕の記憶の曖昧さですが日常が様変わりしていることに改めて驚いてしまいます。

 

kururupapa.hatenadiary.jp

 

 

鯱城学園は、本年3月15日付けの書信で「令和3年度・再開のお知らせ」が届いていました。この書信によると4月23日から共通講座を開始するということになっていたのですが、残念ながら、その後追加の連絡がありました。4月17日付けの葉書で「当面の間、休校する」こととなった旨の連絡がありました。

4月20日からは愛知県でも「まん延防止等重点措置」が適用されることになりますから、妥当な判断だと思います。既にこの「重点措置」が適用されている大阪府では「緊急事態宣言を国に対して要請する」と報道されています(4月20日、日経朝刊)。「重点措置」で収まる気配は全く無い状態。政府が3月21日までの緊急事態宣言の全面解除を決定したのが3月19日のことですから、当時、懸念されていた通り再拡大防止には全く決め手を欠いたままであったとしか言いようがなさそうです。ワクチン接種も遅々として進んでおらず。日経の朝刊一面「春秋」欄に面白い記事がありました。皮肉とユーモア(ブラックかな)交じりに「ワクチン供給」の話が記載されていました。貼り付けておきます。

 

日経、4月13日朝刊・「春秋」欄;

居酒屋などでテーブルに着くや、おしぼりと一緒に簡単なつまみが出てくることが多い。枝豆、きんぴら、もろきゅう……。関東でお通し、関西ではつき出しと呼ぶ一品だ。店はこれで席料を取るわけだが、まず何か並べておき、客を落ち着かせる効果も大きいという。

▼コロナ封じのワクチン接種作戦も、ひょっとしたらこのやり方だろうか。日本で医療従事者向けの接種が始まったのは2月17日だった。そこそこ早い時期に、とりあえずお通しは運ばれた印象である。しかし、あとがいけない。あれから2カ月近くたつのに、医師や看護師の大半がまだ1回目の接種さえ受けていないのだ。

▼待てど暮らせど、あとの料理が続かない店のようである。ところがきのうから、65歳以上の高齢者という別の団体の受け入れも始まった。さしあたり調達できるワクチンはわずかな量だという。遅い遅いの批判をかわそうと、スタートだけは当初予定に間に合わせたと陰口も聞こえる。危うい同時進行であるのは疑いない。

▼希望する国民全員の接種が終わるのは、はていつになるだろう。東京五輪の開幕まで、あすであと100日。変異ウイルスも増える一方だから、いよいよ切羽詰まった局面なのだ。「おーい、ワクチンまだ?」「お客さん、いまやってるところです」。ちまたの居酒屋なら、客はしびれを切らして帰ってしまう時分である。

・・・

 

訪米した総理が自らファイザー社CEOに直接要請したこと、そして「9月末までに(全対象者への)ワクチン供給にめどがたった」との発言も報道されていますが、それ以前の問題として「何故、日本でのワクチン接種がここまで遅れているのか」についての説明をしっかりとして国民の理解を得ることが必要だと思います。日本人の気質として「納得」すればもっと一丸となって対処に協力していこうという機運が高まるものと。残念なことです。

 

 

鯱城学園の学長さんというのは、名古屋市の市長さんが務めていらっしゃるということは以前のブログで記載しましたが、今年は名古屋市長選挙の年です。4月25日に投開票ですが当日は行くことが出来ないので、先日、期日前投票をして来ました。NHK出口調査をやっていました。タブレットの選択質問に答えていくもので1~2分で終わります。質問の一つには、「知事のリコール運動での署名偽造事件が市長選に影響すると思うかどうか?」という主旨のものでした。「YES」を押しました。

 

 

以前の記事を埋め込んでおきます。河村さんのご挨拶が面白かったことを書いています。 

kururupapa.hatenadiary.jp

 

 

 文藝春秋の5月号は「菅義偉『ファミリー』の研究」が表紙のタイトルテーマになっていましたが、この記事とは別に、愛知県知事の大村秀章さんが「私は河村たかし(名古屋)市長の嘘を許さない」と題する寄稿が掲載されていました。副題は「愛知県知事リコール『不正署名』黒幕は誰か?」。厳しい言葉で河村氏を非難しています。

「これだけ嘘を重ね説明責任を果たすつもりもない河村氏に『政治家としての資格』など、ひと欠けらもないことはもはや明らか」と言い切って、市長選では対立候補を支持することを鮮明にしていました。「『庶民のための減税』の嘘」、「『トリエンナーレ』をめぐる嘘」等々を詳細に記述して「河村氏は・・・市長を続ける資格はありません」と。市長選を控えたこのタイミングでのこの意趣返しとも思える寄稿の影響はさすがに大きいものがあるでしょう。不正署名問題で河村さんにはかなりのアゲインストの風の中での選挙選だと思いますが、この大村知事の記事が止めを刺すことになるのやら。但し、名古屋通の方に言わせると河村さんには絶大な支持層がついているそうですから、結果はフタを開けるまで分からないのでしょう。いずれにせよ、この地の市長選としては極めて関心が高いものになっています。選挙後に、今度は河村さんが反論を投稿するかも知れませんねえ。

 

 

相変わらず、神谷美恵子さんの本を読み続けています。知れば知るほど凄い方だなあと只々感心しています。面白いと感じたことはあちこちで口にしてしまう方で、名古屋での家族の集まりの時に紹介したところ、精神科医の長男はさすがによく知っていて「生きがいについて」は読んだことがあるとのことでした。カミさんを含む家族の何人かが関心を示し始めています。ドラゴン先生との反省会の時には、先生が「長島愛生園歴史館」主宰の見学ツアーがあることを教えてくれました。例年いつも満席のツアーになるとのことでしたが、幸いなことに9月最終回の予約を取ることが出来たとの連絡を頂きました。今から楽しみです。

 

 

タカト君はピカピカの一年生になりました。あらたクンは年中さん、小雪チャンは幼稚園に入園、年少さんです。サクト君は家でワンパク振りを発揮しているとか。子供達(孫ですが)の成長は元気を与えてくれます。彼らの成長に負けないようにコロナを凌ぎきって新しい年度を元気に過ごしていきたいものです。

 

 

f:id:hayakira-kururu:20210422090154j:plain   f:id:hayakira-kururu:20210422090158j:plain

左;留守宅のチュリップが咲いています。手前の黄色は小雪チャンが植えたもの。名古屋の鉢植えよりもしっかりと大きく咲いています。2021年4月20日、カミさん撮影。右;名古屋のマンションのべランダの平兵衛酢の花が咲きました。つぼみが沢山ついてます。いよいよ実がなるのかしら?。2021年4月21日、撮影。

 

 

f:id:hayakira-kururu:20210422090225j:plain

豚肉のしょうが焼き。キャベツの千切りを敷き詰めて上に乗っけました。熱いタレをかけたら上手く馴染んで美味しかったです。2021年4月20日、料理と撮影。
 

 

女性の活躍 

f:id:hayakira-kururu:20210412084025j:plain

お馴染み名古屋市千種区平和公園。いつもの散歩コース。すっかり春の気配で気持ち良いこと。近くに気軽に楽しめる散歩コースがあるのは有難いことだと思います。パンパスグラスは春にも似合う?。2021年4月5日、撮影。

 

 

マスターズで松山選手が優勝しました。15番ホールで二位に二打差まで追い上げられましたが、その後は気持ちを取り直して最後まで崩れること無く堂々の優勝です。インタビューでも冷静な受け答えをしていました。良い表情です。良かった、良かった。月曜日の朝、じっくりとTV観戦。これは仕事している人には持てない贅沢な時間です。

 

マスターズはゴルフの祭典と言われているオーガスタナショナルGCで開催される男子プロゴルフ最高の大会です。今日は「女性の活躍」をテーマにしたのですが、実は、これを遡る一週間前、同じオーガスタ・ナショナル・ゴルフコースで「女子アマチュア」選手権が開催されており、日本の高校二年生、17歳の梶谷翼さん(「翼」さんですが可愛い女子高生です)が優勝しています。プレーオフを制しての優勝でしたが、優勝のコメントでは「最後まで楽しんでプレイする」ことに集中していたそうです。緊張で平常心を失うことが無いように「楽しむ」というのをモットーにしているのでしょう。二週間続けてオーガスタで日本人初、アジア人としても初めての優勝となりました。

 

この女子アマ大会は2019年が第一回大会、昨年は例によってコロナ禍で中止、今年が二回目の大会です。全米女子アマ、全英女子アマ等々の優勝者、世界各地のランキングでトップクラスの選手に参加資格が与えられている文字通り世界女子アマ選手権。女子アマ大会として歴史が新しいのは、ゴルフ場での女性差別の問題とそれを解消するに時間がかかったからとのことです。同ゴルフ場はアメリカの「ゴルフの聖地」と言われていますが、2002年までは完全に女人禁制のクラブ。「風と共に去りぬ」の舞台であるジョージア州にあります。土地柄からか近年まで人種差別、女性差別の問題にあまり関心が高く無かったのかも知れません。2002年に理事長発言に対して女性差別との非難が高まり、漸く2012年になって女性会員に門戸を開放。それ以降、更に女性の活躍の場を提供しようという考えから、2019年の女子アマ大会に繋がったそうです。全英女子プロの渋野選手に続く、マスターズ女子アマの翼選手の優勝で、まさに「女性の活躍」が続きましたから、今日、松山選手がマスターズを制することが出来て、男子・女子のバランスが取れて良かったかと。日本人が世界の舞台で活躍しているのを見るとやはり気持ちが高まります。

 

 

少し前の新聞に「ジェンダー・ギャップ指数」の記事が出ていました。世界経済フォーラムが3月31日に発表した指数ですが、男女平等がどれだけ実現できているかを数値化したものだとか。調査対象の世界156ヶ国の中で、日本は120位。主要先進国のなかでは当然、最下位。近い順位の国はアフリカ諸国のガーナ、ギニアアンゴラになると。韓国でさえ102位、中国が107位だそうです。「経済」「教育」「医療へのアクセス」「政治参加」の4つの項目からの分析ですが、日本は「教育」「医療へのアクセス」では90%以上の平等達成が出来ているが「経済」「政治参加」での不平等が大きいからのようです(日経記事3月31日の抜粋です)。

 

この調査結果にはかなり高い関心が集められているようで、その後も関連記事、特集が組まれています。超党派議員連盟が各党での女性候補の数値目標を義務付ける法改正を検討するとか、各党が女性議員の割合を決めるクオータ制に近い制度を提案するとか動きが活発になっています(4月1日、日経)。更に4月5日、日経「Women@Work」の欄では、東京大学では女性を過半数とする新執行部体制をスタートさせたとの記事が出ていました。理事・副学長の方(=女性です)のインタビューが興味深かったです。

・国際競争の中で多様性についての問題意識・・・「(日本の社会乃至東大は)女性を意図的に排除してはいないが、男性的なカルチャーが定着している・・・。『優秀であれば誰でも』ではなく、『女性の学生が必要。だから私達(東大)も変わります』というメッセージを今回発信した・・・。」

・一部への優遇策は逆差別と批判されそう・・・「差別とは権力のある側が権力の無い人たちを排除すること。逆差別という言葉は存在しないと思っている・・・。出来ることは何でもやらないと。逆差別などといっている場合ではない・・・。女性の権利の主張ではなく、これまでとは違う社会をつくる、というイノベーションの話だ・・・。」

と極めて明確に新体制のネライをお話されていました。

 

三月上旬にドラゴン先生と京都遠足に出かけた時にも「女性の活躍」の話になったのですが、先生は女性比率を一定水準に高めるためにクオータ制を導入する必要があることに一定の理解を示していました。僕はあくまでも(男性であろうが女性であろうが)その人の実力で判断されるべきであり、女性比率を高めるという理由で女性を登用するという考えには否定的でありました。重要な役職・役員の席には限りがある訳だから、実力ではない女性登用によりはじき出される男性が存在するということは「逆差別」である、と考えておりました。最近、相手を誘導して納得させてしまうのが益々お上手になっている先生からは、僕の単純な当たり前の考え方に対し、十分な理解を示しつつも「その時々の判断が正しくとも一定の時間軸のなかでは変えていく必要があること」とコメントありましたが、改めて考えるとこの東大の副学長さん同様に「逆差別などと言っている場合ではない」という意味であったのでしょう。

 

 

前回のブログで記載した通りですが、ドラゴン先生との京都遠足で「神谷美恵子」さんの業績に接することが出来ました。その後、美恵子さん関連の本を読みまくっています。「島の診療記録から」「神谷美恵子の生きがいの育て方」「100分で名著『生きがいについて』」「人生は生きがいを探す旅」「神谷美恵子の世界」、そして、三部作の一つ「生きがいについて」それから「人間をみつめて」。いま、三部作の最後「こころの旅」を読んでいます。もうすっかり美恵子さんに夢中になっております。著書目録を調べたら自伝「遍歴」という本も出されているようなので、是非、これも読んでみようと思っています。

前回も記載しましたが美恵子さんは僕の母親世代の方。息子さんがお二人おられ、ご長男が僕の兄と同年生まれ、次男さんが僕よりも一年年長さん。勝手に親近感を感じております。あの大変な時代によくぞこれだけのご活躍をされたものだと益々感心しております。「人間をみつめて」の「人間の生き方」の章で凄い記載だなあと感心したところの抜粋です。

「どんな時代、どんな社会に生まれあわせているのか・・・、男に、または、女に生まれついたことへの覚悟・・・。どっちみち制約は避けられ無い・・・制約の網の目をくぐりぬけながら出来る限り「主体的に」生きていくほかはない・・・。」

 

 

競泳女子の池江璃花子選手が4月4日に東京五輪出場を決めました。2019年2月に白血病が判明、命に関わる大病を乗り越えての奇跡の復活劇。日本中の方々が見ていて感激の涙を禁じ得なかったことと。「しんどくても努力は必ず報われる」という言葉は胸を打ちました。

 

 

「女性の活躍」というお題にしましたが、男性の活躍、女性の活躍などと言ってる時代では無いのかも知れませんねえ。「翼選手の優勝」「美恵子さんの業績」「池江選手の復活」と受け取るのが良いのかと。改めて「松山選手の優勝」良かったですねえ。おめでとう!と言いたいです。

 

 

 

f:id:hayakira-kururu:20210412110610j:plainf:id:hayakira-kururu:20210412110620j:plainf:id:hayakira-kururu:20210412110630j:plain

 最近の料理です。左、高野豆腐と竹輪、こんにゃく、ヒジキと豆の煮もの。中、野菜たっぷり焼きそば(焼きそばが見えない?)。右、久しぶりに春キャベツと浅利の香り蒸し。美味しく頂けましたが、砂ぬきがやや不十分でした。残念。4月5日から11日、料理と撮影。

4月になりました。再開します。

f:id:hayakira-kururu:20210402103952j:plain

名古屋市千種区平和公園入口の桜並木です。今年は桜の開花が全国的に早くなりました。この週末の天気は雨と強い風が予報されていたので、4月を迎える前に散ってしまうかと心配されていましたが、なんとか持ちこらえてくれていました。2021年3月28日、撮影。

 


ご無沙汰しております。あっという間に4月になりました。2月10日以降、休筆しておりました。4月から再開します。改めてよろしくお付き合いのほど。

 

 

この二か月で生まれて初めて小説を書きました。一月末に、とある出版社の小説応募の記事を見て一度挑戦してみようと思い立ったもの。全くいい加減な動機でスタートしたので、最初の2週間ほどで ”ヤッパ、そんな甘いものではないわ、これは諦めよう”と思ったのですが、ウダウダやっているうちに、それなりに様になって来るように感じました。中盤、また "やはりこれはダメだ。もはやこれまでか” と思ったのですが、散歩で気を紛らわしていると新たな展開に結びつくアイデア(思い付きかな)が出てきました。結局、400字詰め原稿用紙で263枚を書き上げて投稿。以前、かなり高名な作家さんが「最初の作品を書き上げた時には、その最後に(了)の字を書き入れる時、満足感に充たされるものだ」と書かれていたのを覚えていますが、満足感というよりは(もちろん、”やったあ、完成させた” とは思ったのですが)、”やれやれこれで終了した”、という解放感の方が強かったような。あまり自分には作家適正は無いのかも知れません。

 

この応募は、WEBで投稿出来る様に設定されていました。WORDの400字縦書きのフォームで印刷して送るか、またはWEBで投稿することも可能となっています。手書きの原稿は受け付けてくれません。昔の文筆家の方には信じられないことかと。確かに、達筆な方の手書きの原稿を読み取るのは大変に手間暇がかかるでしょうから、ワープロの統一フォームは効率的だと思います。一段落してから、改めて、最近の文筆家の方の執筆の在り様についてのお話を伺う機会がありましたが、ほとんどの方が手書きではなくワープロソフトを使用されているとのことでした。

 

以前にも記載したことがありますが、僕のパソコンはグーグルのドキュメンツが標準設定されており、ワードは入っていません。ドキュメンツは使いやすいソフトなのですが、縦書き転換が出来るようには設定されていない。つまり、この出版社の応募フォームにして提出するには不可能な状態でありました。大慌ての状態で、昔からこの筋の師匠であるエキプロさんに相談しました。結果的には、彼の助けを得て無事に提出することが出来ました。ドキュメンツで書いた原稿を彼と共有する、それを彼がWORD400字縦書きフォームに転換、PDF化して再度、僕に送り返してくれます。この作業を校正のため何度か繰り返し出来上がった最終版を応募投稿しました。原稿を書く作業で苦しむのと同じくらいのストレスが溜まりました。改めて、エキプロさんに感謝です。万が一、何某かの賞金を貰うことが出来れば心よりのお礼をしたいと思っています。

 

 

休筆期間中の出来事を紹介します。その1. です。

f:id:hayakira-kururu:20210402115534j:plain

 前回のブログで記載した居酒屋さんの置物です。残念ながら、2月末にお店は予定通り閉店となりました。最終日にきっちゃんとお邪魔してお店のダンナととりあえずのお別れ会をしてきました。お馴染みのタヌキの置物は現在、僕のマンションの入り口に座っています。上の階に住んでいる方の了解を得て玄関ドア前に置かせてもらっています。毎日、このタヌキくんを見ながら一日も早くコロナ禍が収束すること、そしてダンナがまた安くて美味しいお店を再開してくれることを祈っている次第です。

 

 

その2.「全集中」の期間中ではありましたが忙中閑あり(と自分に言い聞かせ)、3月10日に京都市北区にある立命館大学国際平和ミュージアムで開催されていた「長島愛生園の人々---ハンセン病、隔離と希望」を訪問させて頂きました。ドラゴン先生にお誘いを頂いて訳も分からずにお供させて頂いたという訳です。 ドラゴン先生からは例によって事前に宿題が出ており、この企画の数日にわたる関連オンラインイベントを見ておくようにとの命令があり、前日に(一夜漬けで)WEBで拝見した上で出掛けました。そして、当日の展示資料を見たのですが、思っていた以上に大変なショックを受けました。厳しい苦しい環境下でも「生きがい」を見出して素晴らしい活動をされている人々の姿に接して素直に感動しました。「感動した」というのは余りにも通り一篇かもしれませんが、とりわけ神谷美恵子さんという存在に出会えたのは大変に喜ばしい、嬉しいことでした。僕の母親よりも年長さんになる方ですが、それはそれは素晴らしい生き方をされた方だと感心しています。へぼ小説投稿終了後に、さっそく千種図書館にこの方の関連書籍の取り寄せをお願いしました。現在、5冊目を読んでいるところです。

 

 

緊急事態宣言は3月下旬に全面解除されましたが、変異ウイルスの活性化により残念ながらリバウンドの気配が濃厚になっているようです。4月1日には、大阪・兵庫・宮城に緊急事態宣言に準じる「まん延防止等重点措置」を適用することが決められた由。変異株への警戒感が示されたというのは理解出来ますが、一体、何をどう対応しようとしているのか相変わらずよく分かりません。ワクチン接種も遅々として進んでおらず、多分、日本は人口当たりワクチン接種比率で世界的には極めて低い状態の国ではないかと危惧しています。何故、野党もマスコミもこの点をもっと突っ込んで糾弾しないのか不思議な気がします。まあ、逆に言えば、人口当たりの感染者数等々を見ると、日本はまだ恵まれているという解釈になるのかも知れませんが・・・。そういう納得感を持って現状を認識するのが妥当なのか、これも行政・マスコミがもう少し分析してアピールすべきかと感じています。

 

 

名古屋市の鯱城学園からは4月後半から新学期を開始するとの案内が届きました。果たして、この状態で開校出来ることになるものかしら。まだまだ予断を許さないように思います。コロナを凌ぐ毎日が続きそうです。一年以上が経過してコロナ対応での生活に安易な慣れが生じ始めていると感じていますが、今一度、気持ちをシッカリと引き締めてコロナを凌いでいく必要があると感じます。

 

今回は、”再開のご挨拶まで”です。皆さま、引き続きくれぐれもご自愛下さいます様に。応募小説の結果はさてどうなるものやら、何かに引っかかっていれば多分報告をさせて頂きます。

 

今回で一旦、休筆します。

 

こんにちは、懸念された通り緊急事態は(栃木県を除き)3月7日まで延長されることになりました。僕は、今まで(それなりの注意をしながらですが)外出の機会は余り減らさないように、外食も極々少人数にして継続していました(もちろん緊急事態宣言時はそのルールに沿った形で)。日常のペースを大切にしたいと思っているからなのですが、それでも一月の記録を見たら、外出の機会、特に外食の回数は大幅に減少していました。自分でも改めてビックリ、自分が思っていた以上に家で籠っていることが多くなっていました。コロナを「凌ぐ」生活が長く続くに連れて、外に出て、人に会って、会話を楽しむ機会は間違いなく少なくなっています。自分自身、ストレス耐性は圧倒的に強い方だと思っているのですが、自分でも気づかないうちにどこかが蝕まれている、なんてことにならないように改めて注意したいと思いました。

 

 

 先日は久しぶりにきっちゃんと交信(ラインを使っています)。お互い元気なことを確認できて何よりだったのですが、二人で飲むときによく使っているお店(=居酒屋さん)が、ナント2月いっぱいで店仕舞いをすることになったそうです。コロナの影響だろうと。きっちゃんとは今年になってから、まだ、会う機会を作れていなかったので、2月に入ってしまいましたが”新年会”をこのお店でやって、お世話になったダンナにエールを送る会をしようということになりました。スタート時間を早くして8時にはお開きにするつもりです。

前回、この店にお邪魔した時には、換気・風通し、衝立・仕切り、十分なスペース、座り方の工夫、等々推奨されている対策を全て対応してやっておられました。こんなに頑張っているお店でも、来客の減少には抗しきれないのでしょうね。何とも残念なことです。

  

 

きっちゃんとの出会いのことを書いたブログです。懐かしいなあ。僕の思い出のため埋め込みしておきます。

kururupapa.hatenadiary.jp

 

このお店の入口の写真をブログに載せた記憶が蘇り、探してみたら見つけることが出来ました。まだ記憶力は辛うじて機能しているようです。チョット安心しました。随分と前に載せていたんですねえ。

kururupapa.hatenadiary.jp

 

このタヌキさんがお店の入口でお出迎えしてくれています。入口には昔ながらの”縄のれん”が掛かっています。”いまどき、こんな江戸時代みたい縄のれんを使っている店はないんとちゃうやろか”、この縄のれんも無くなってしまうと思うとやはり寂しいです。 

 

 

麒麟が来る」は最後まで面白かったです。事前の宣伝アピールが大袈裟だった割には、意外に平凡な終わり方をしました。以前のブログに「へうげもの」に描かれている光秀の最後の触りを書きました。NHKでは残念ながらこのシーンには至りませんでしたので、「へうげもの」に描かれている様子を想像しながら書いておくことにします(この作品はオリジナルを読んだ訳ではありません。まったくの受け売りと想像です)。

 

kururupapa.hatenadiary.jp

 

この「和の食・全史」で紹介されている戦国時代の野戦食・兵糧「芋の茎縄」のお話なのですが、これが「へうげもの」に出てくるそうです。

へうげもの」では山崎の合戦に大敗した光秀が少数の家臣と逃げて逃げて、武器も食糧も無くなった。”もはやこれまで”という時、この「芋の茎縄」を戻して、最後の食事をしようとします。少しばかりは味噌も残っていたようです。その時に光秀は家臣に「ちょっとまて」と。近くに咲いていた桔梗の花(=明智家の家紋です)を添え、落ちていた白い石を箸置きとして置いた。そのチョットした室礼(しつらい)で景色は様変わり、家臣たちは感激して涙したと。明智光秀は最後の瞬間に千利休の「侘び」の世界の極致を堪能することが出来た、というストーリー(だそう)です。

最後の瞬間に味気ない兵糧食を食べるに際し、花と石を置くだけで景色を変え、満ち足りた気持ちを持つことが出来た。面白い見立てだと思います。機会があれば、原作を読んでみたいものだと改めて思いました。

 

 

タイトルに書いた通りですが、今回を以ちまして一旦休筆します。チョット思うところがあり、今から三月いっぱいで集中してやりたいことがあるので。今はやりの「全集中」でやってみようと(意味、使い方が違うかな?)。4月からは、間違いなく(多分?)、再開したいと思っていますので、その節にはまたよろしくお付き合い下さいますように。

 

 

オマケの料理です。 外食の機会が少ない分、料理の回数が増えています。

f:id:hayakira-kururu:20210209120542j:plainf:id:hayakira-kururu:20210209120554j:plain

左、白菜と豚肉の煮込み。レシピには材料はこの二つだけと書いてありましたが、人参をピーラーで細くして加えました。彩り良し、味も良し、でした。バーミキュラ鍋で。

右、ブロッコリーとカリフラワーの炒め物、海苔を加えて。両方とも鯱城学園の畑で収穫したものです。

 

f:id:hayakira-kururu:20210209120604j:plain

もはや定番。野菜たっぷり味噌ラーメン。すりごまを掛け過ぎました。 

 

f:id:hayakira-kururu:20210209141914j:plainf:id:hayakira-kururu:20210209141925j:plain

左、野菜スープ風煮物。卵添え。

右、ソーセージとブロッコリー(人参、タマネギも加えました)のタジン鍋。 

 

 

今回は短いブログになりました。取り急ぎ、休筆のご挨拶までです。またの日まで、皆さま、くれぐれもご自愛下さいます様に。

 

NHK俳句、2021年1月

 

NHK俳句、一月の纏めです。僕の備忘録として残しています。お付き合い頂ければ嬉しいです。

 

第一週、レギュラー陣がお元気に登場。司会は戸田菜穂さん、進行役は宮戸洋行さん、選者は小澤實さん。ゲスト「令和の新星」は藤井あかりさん。1980年、神奈川生まれのママさん俳人。今週の兼題は「春待つ」ですが、冒頭に藤井さんの句の紹介がありました。

   羽もなく鰭もなく春待ってをり   藤井あかり   (鰭=ひれ)

 

もう一句、小澤さんが”いい句だ”と紹介された藤井さんの句です。

   冬河原独りになりに来てふたり   藤井あかり

 

「たんたんと書かれているように見えるが、句の中で大きく感情が動いている」という鑑賞がナルホドと感心しました。藤井さんが大切にしていることは「心を写生する」とか。小澤さんからは「内面陰影派」と評されていました。

 

特選三句です。

一席   間仕切りもマスクもいらぬ春を待つ

二席   鉛筆をげんこつ握り春待つ子

三席   待春やスーツケースの鍵四桁

 

コロナ禍が影響しているのでしょう。例年よりも「”春”を待ちたい」という気持ちが投句にも強く反映しているようです。一席は宮戸さんも取っていました。”このような気持ちを簡潔な言葉で的確に表現できると楽しいだろうなあ”と切に思います。特選には選ばれませんでしたが、面白いと思った句です、

     春を待つ卒寿の母のストレッチ

 

僕のカミさんのお母さんが毎日、自宅マンションの屋上で熱心に楽しくウオーキングしている姿を思い浮かべました。カミさんのお母さんの方が年上です。

 

「卒寿は卒の略字=「卆」が九十と読めるから90歳のお祝い」(橋本さんの本から抜粋です)。相変わらず読書の毎日ですが、先日、久しぶりに橋本治さんの「九十八歳になった私」という小説を読みました。講談社、2018年1月第一刷。2015年末~2016年初めに「群像」に掲載された”30年後の近未来特集”への短編寄稿が評判良く、それが連載になり、そして単行本になったとか。一気に読めました---話がムチャ横道に入りますが、ご容赦下さいませ‐‐‐。ご本人のあとがきでこれは「近未来空想科学”私”小説」だそうです。こんなカタチで物語を書けるものかとホントに感心しました。橋本さんのボヤキ思想が詰まっているような。橋本流に言うと「70歳は古稀=古代稀なり、本来、ここで終わるものがその先を祝うようになってしまった。いわば、その先は駄洒落の世界。喜寿、傘寿、米寿、そして卒寿、なんと白寿まで、ぜーんぶ駄洒落」だそうです。

 

最終章は「”人生は消しゴムだ”の巻」。「いくら使っても消して行っても、使い切ることは起こらない」。肯定的な比喩かと思いきや「消滅はしない。(でも消しゴムの)かけらは消しゴムとして機能しないから”捨てられる”」。寂しいことを言ってるのに、この人が書いているとなんかホンワカしてきます。あとがきの時点で「2017年が終わった段階で私はまだ69歳です」と注釈がありました。橋本さんが亡くなったのは、2019年1月。この本が出版されてほぼ一年後に亡くなられたんですね。改めて、ご冥福をお祈りしたいと思います。

 

第二週です。司会は、武井壮さん、選者は対馬康子さん。ゲストには、またまた元宝塚のトップスター、早霧せいなさん。兼題は「氷る」。冒頭に、選者の対馬さんの句が紹介されていました。

   いつもかすかな鳥のかたちをして氷る   康子

 

テクストには、「氷る」というのは物理現象ではあるが「俳句という世界では、それとは異なった詩的因果関係が存在します---人の心の奥底に働きかけて、イメージを呼び覚まし、現実の世界の中における感動を引き起こす」と解説されていました。<フーム、なるほど、難しい>。特選三句です。

 

一席   滝氷る華厳に音もなかりけり

二席   順番に氷る行進の靴音

三席   どの水も空にて美しく氷る

 

一席の句は「写実を超えて内面の心を表している」と高い評価でした。特選には選ばれませんでしたが面白いと思った句です。

     アに濁点イにも濁点声氷る

ゲストの早霧さんも取っていました。早霧さんは大変な寒がりだそうです。寒い時に自分で「さ”ぁ”むぅい”ぃ”」と濁点付けて言葉を出している自分を思い浮かべたと。分かるように思います。

 

第三週です。司会は岸本葉子さん、選者は西村和子さん。ゲストには俳優の小倉一郎さん。小倉さんは西村さんと長く吟行に同行している間柄だそうです。兼題は「寒」。冒頭に西村さんの句が紹介されていました。

     大寒や心尖れば折れやすく   和子

 

入選三句です。

一席   カツカツと板書ひびけり寒の朝

二席   寒の水硯に垂らすとき砕け

三席   鋼鉄の畳に立つや寒稽古

 

面白いと思った句です。

     のほほんと志ん生聞いて寒の内

 

「寒」というイメージは”厳しい季節”となるところ、このようなノンビリとした景色を詠んだのが面白いとの西村さんの評でした。冒頭のご自分の句が”刺々しい”のと極めて対照的と。もう一句、

     ぎくしゃくと健康体操寒に入る

 

西村さんも「歳取ってからはこの”ぎくしゃく”が大変に良く理解出来る句です」(彼女は僕よりも2歳年長さんです。表情がホントにお若いですね。)と喜んで評価しておられました。

二席の句は、ゲストの小倉さんが取っていましたが、小倉さんも「硯」を詠んだ句を番組の中で披露されていました。

     擱筆や寒の硯の海しずか   蒼蛙(小倉さんの俳号です)

 

擱筆(かくひつ)、書き終えること=筆を置くことだそうです。あとで調べて知りました。勉強になります。ついでに、硯の墨汁を貯めておくところが”硯の海”=硯海(けんかい)というそうです。知識と教養が詰まった句ですねえ。

  

この第三週のテーマは「ようこそ句会へ」。今週は吟行の準備のお話でした。西村さんが吟行に行くときに準備しているモノの紹介がありました。吟行七つ道具。そもそもリュックを利用しているそうです。両手をフリーにしておけるから。転ぶかも知れないことを心配している由。よく理解出来ます。リュックの中には、

句帳と筆記用具、電子辞書そして電池の予備(電池は肝心な時に切れる、だから予備は必須と。説得力がありました。)、晴雨兼用の傘(「俳句にあいにくはない」とのこと、多少のことでは吟行は中止にはならないそうです)、ポリ袋(野外でチョット腰を下ろす時に便利とか、また、吟行先で土筆、ワカメ、ジュンサイ等々を採ったり、貰ったり、買って帰る時に便利とか)、靴下カバー(暖房用。冬、お寺さんで靴を脱いで板の間に上がる時に必須)、夏は日焼け止め、虫よけスプレー、等々を入れていると。いずれも「何のための吟行支度かというと、季節との出会いを準備不足のために逃がしたくないから」。

 

舞台裏の話が披露されていました。初めての吟行で一番の気がかりは、果たして吟行の場で時間の制限の下で句を読むことが出来るかどうか。本来は、事前に作っておく「孕み句」は原則禁止ながら、不安を恐れる余り参加しないことを考えると、その季節の句を準備して作っておいてもよいでしょう、との優しいお話がありました。先生からそう言ってもらえると安心して参加される方が増えるかと思います。プレッシャー強すぎるのは良くないですよね。ゲストの小倉さんもやや恥ずかしそうに「そういう経験はあります」と話されていました。

 

第四週です。俳句さく咲く!。櫂未知子先生とレギュラー陣が元気に勢ぞろい。いつもの通り宿題の結果発表から。今月の宿題季語は「春隣」「雪」「寒の水」「寒卵」「白鳥」「竈猫(かまどねこ)」「蜜柑(みかん)」、そして自由。「竈猫」は「へっつい猫」「かじけ猫」と同意(のよう)です。「かまど」なんて漢字、書いたことがないかも。生徒さんの力量が伯仲してきてトップ争いが激しくなってきました。面白いと思った句です(いずれも8点をもらっていました。10点満点の8点です)。

   名を呼ばれ耳だけ動くかじけ猫   いとうまい子

   新たなる店の看板春隣       塚地武雄

   笑む母の遺影に日差し春隣     田中要次

   窓辺から子供のこゑや春近し    櫻井紗季

 

いとうさんと塚地さんが同点一位、田中さんと櫻井さんが同点三位でした。その後、授業では「おいしいものを少し」というテーマで正月に食べたものを詠んでいました。櫂先生が参考にあげた句は、

   大根が一番うまし牡丹鍋    右城墓石(うしろぼせき)

 

「大根も牡丹鍋も両方とも冬の季語。本来は脇役の大根を中心に詠んでいるのが面白い、単純な句ではあるが納得できる」と。<なるほど、そういうものか>。テクストを見ていたら有名な句が掲載されていました。

   湯豆腐やいのちのはてのうすあかり   久保田万太郎

 

櫂さんに言わせると名句中の名句として名高い一句であると。<なんか分からないようにも思いますが、良い句ですね。>

 

この後は「縄跳び」(縄飛び)を生徒さんが実際にやってから「縄飛」の句を詠んだり---縄飛は冬の季語だそうです---そして、最後は「春待つや」を上五においてのミニ句会。久しぶりに櫻井紗季さんが特選に選ばれました。

   春待つや自転車の砂埃拭く   櫻井紗季   (砂埃;すなほこり)

 

投句の俳句大賞の句です。兼題は「寒卵」。

   この空は母校へつづき寒卵

 

 

橋本さんの本のあと、長谷川櫂さんの『俳句の誕生』(筑摩書房、2018年3月第一刷)を読みました。僕の俳句の既成概念を揺さぶってくれるようなかなり衝撃的な内容でした。俳句というと・・・「写生」、目の前にあるものを言葉で写しとる。その為には、対象への凝視、精神の集中が必要・・・という捉え方をほぼ全面的に否定していました。櫂さんの受け止め方は全く逆で、「”ぼーっ”とする時、心が自分を離れて果てしない時空をさまよう時、言葉によって失われた永遠の世界を探る言葉が現れる」と。「ぼーっとする時=心を遊ばせる時」を大切にして句を詠むことの楽しさを語られている本でした。

 

分かり易くて納得できる考え方でしたが、それに至る考察が凄いこと。「俳句の誕生」というタイトルの通り、この本は「日本になぜ俳句という短い詩が誕生したのか」を遥か昔の言葉と詩歌の発生から遡って考察したものです。櫂さんの芭蕉の句の鑑賞は有名ですが、確かに大変に面白く読むことが出来ました。

   古池や蛙飛こむ水のおと   芭蕉

 

この誰でも知っている句に対して数十頁に亘り詳細な考察がなされていました。「芭蕉のこの句については、これまでに二度書いた」、だからこれが三度目の「古池論」になるそうです。一言で言ってしまえば、この章のタイトルである「切れの深層」ということなのでしょうが、歴史的、文化的考察がとにかく凄いです。そして面白い。飽きることなく一気に読めます。

芭蕉の後の江戸時代後半の”大衆社会”の捉え方も秀逸なものだと感心しました。近代化を西洋化という観点からではなく”大衆化”の観点から読み解いていく辺りは、俳句を根底にした”日本近代社会学”的な面白さかと。

「近代大衆俳句を超えて」の章では、虚子について語られていますが素晴らしい見立てだと感心しました。曰く「虚子は俳句を詠むとき、自分が唱えた『客観写生』『花鳥諷詠』という標語に束縛されること無く、心を自由に遊ばせて句を詠んだ。魔法使いの魔法にかからないのは魔法使いだけである」。

長くなり過ぎるのでこの辺りで話を切り上げますが、今月のNHK俳句でも選者の先生達が「内面(の心)」を表現することの大切さを述べられていたように思います。俳句って、やっぱ、面白いものなんですねえ。

 

クルルの駄句です。

   湯豆腐や千秋楽となりにけり   孔瑠々

   湯豆腐や窓のガラスは曇りおり   孔瑠々

   湯豆腐のぐらりと揺らぎ香り立つ   孔瑠々

 

 

今回はオマケの料理と写真は無しです。ドタバタ続きで写真を撮る余裕がありませんでした。情けない。次回は是非、掲載したいと思います。皆さま、引き続き、くれぐれもご自愛下さいますよう。